「基本的な用語を捏造し続けていたら、わけがわからなくなってしまった」――。そんな実例が、私たちの隣国です。「福島原発ALPS処理水」を「汚染水」に、「自称元徴用工」を「強制徴用」に、そして「輸出管理」を「輸出規制」に、それぞれ置き換えて日本を批判し過ぎた韓国。政権が交代したところで、日韓関係が順調になるという保証がない理由は、まさに、用語を捏造し過ぎたためか、もう日韓の意思疎通が非常に難しい状況に追い込まれているからなのだと思う次第です。
目次
基本的な用語を捏造する国
IPSってなんだ!?
ちょうど1週間前の『文在寅氏訪日に冷淡な日本、米大統領夫人には「歓迎」』や『噴飯物:「文在寅氏歓迎しクアッド・プラスに入れよ」』では、「IPS」という用語を紹介しました。
「IPS」というのは、多くの人にとって聞きなれない用語だと思いますが、これは韓国メディア『中央日報』(日本語版)に7月14日付で掲載された、次の記事で出てきたものです。
【コラム】韓半島が米中対決の弱点にならないようにしなければ(1)
―――2021.07.14 11:15付 中央日報日本語版より
この記事の冒頭には、こんな表現が出てきます。
「米中戦略競争の最前線が東南アジアから東北アジアに北上中だ。中国のユーラシア一帯一路構想(BRI)と米国のインド太平洋戦略(IPS)が重なるところが東南アジアの陸地と海だ。」
つまり、「IPS」とは、「米国のインド太平洋戦略」のことなのだそうです。
不肖ながら、この「IPS」という用語、ほとんど見た記憶がありませんし、そもそも米国が「IPS」なる戦略を進めている、などとする話題も聞いたことがありません。
お気づきの方も多いと思いますが、この「IPS」、おそらくは日本が提唱した「FOIP」、すなわち「自由で開かれたインド太平洋」(英語で “Free and Open Indo-Pacific” )のことを意味するつもりで、このように記載したのではないでしょうか。
FOIPは日本の外交と防衛の「基軸」に!
さて、このFOIP、現在では日本の外交と防衛の基軸になりつつあります。
『日本政府、外交青書でFOIPから中韓を明らかに除外』や『外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』、『ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書』などでも述べたとおり、今年の外交青書や防衛白書では、このFOIPが大々的に取り上げられたほどです。
そして、このFOIPに強くコミットする日本、米国、豪州、インドの4ヵ国の協議体を、最近では一般に「クアッド」(QUAD)と呼ぶのですが、このFOIPやクアッドは現在、日米豪印はもちろんのこと、いまや西側諸国全体を巻き込んで広まりつつあります。
ことに、米国では最近、報道官などが記者会見で、とくに断りなく「クアッド」という表現を使ったりもします。
たとえば、『ワクチンスワップ構想巡り米国務省「まずは米国優先」』などでも触れたとおり、米国務省のネッド・プライス報道官が4月21日の会見で、ワクチンの供与を巡って「クアッド」という用語を使っています。
原文は次のとおりです。
“…what we’ve talked about in terms of our arrangements with Canada and Mexico and we’ve talked about in our arrangements with the Quad.“(※下線は引用者による加工)
また、FOIPの用語については、今年6月のG7首脳会合(サミット)のコミュニケにも盛り込まれましたし、最近だと「クアッド」以外にもFOIPにコミットする国(たとえばカナダ)、あるいは興味・関心を示す国(たとえば英国やフランス)などもあります。
(※もっとも、6月12日の日仏首脳会談では、エマニュエル・マクロン仏大統領のFOIPに対するコミットメントが若干弱くなったように見えるのは気がかりですが。)
うがった見方ですが、韓国メディアで「FOIP」という用語を見かけることが非常に少ない理由は、「FOIP」という用語を使ってしまうと、「日本が提唱した概念がいまや自由主義世界全体を席巻しつつある」、という事実が明らかになってしまいかねないためなのかもしれません。
「処理水」が「汚染水」?一事が万事、この調子
この点、本来ならば「FOIP」と表現しなければならないところ、その用語をわざと頑なに使用しない、あるいは「IPS」などと本来は存在しない用語を勝手に捏造する、というのも、なんだか不可解です。
ただ、長年、ウェブ評論を通じてコリア・ウォッチングを続けてきた感覚からすれば、この手の「用語の捏造」を見かけることは、珍しいことではありません。
たとえば、朝鮮半島で「強制連行された」と自称する者たち(旧朝鮮半島出身労働者、ないしは自称元徴用工)が日本企業を続々と訴えている問題については、韓国国内では「強制徴用問題」などと呼ばれています(それにしても、「強制徴用」というのも奇妙な用語です)。
また、福島第一原発の「福島『汚染水』問題」とは、日本政府が今年4月、福島第一原発で発生した汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水の海洋放出を決定したところ、それに中国と韓国が噛み付いている問題のことです。
そもそも『処理水は「汚染水」に非ず:海洋放出は合理的な決定だ』を含め、当ウェブサイトではこれまでに何度となく述べてきたとおり、中韓両国が「汚染水」と称しているものにはトリチウム(三重水素)が含まれているものの、実際のところは「汚染水」ではありません。
そもそもトリチウム自体は自然界にも存在するものであり、また、中韓の原発からも自然界に放出されています(経産省HP『資料5-2 トリチウムの性質等について(案)』P7等参照)。
具体的には、中国「大亜湾原発」は年間約42兆ベクレル(2002年)、韓国「古里原発」は52兆ベクレル(2016年)、同じく韓国「月城原発」に至っては合計136兆ベクレル(2016年、うち液体が17兆ベクレル、気体が119兆ベクレル)分のトリチウムが排出されているのです。
つまり、韓国という国は、FOIPを「IPS」、自称元徴用工問題を「強制徴用問題」、福島ALPS処理水を「汚染水」などといちいち捏造された用語で呼び変え続けているのです。
「基本的な用語すら、捏造しまくっている」…。
だからこそ、何が科学的に正しいのか、そもそも理解できなくなってしまっているのではないのでしょうか。
対韓輸出管理適正化措置
輸出管理の概要
さて、この「基本的な用語すら捏造しているがため、何が事実かわからなくなってしまっている」という、もうひとつの典型例が、日本政府が2019年7月に発表した、韓国に対する輸出管理の運用変更(当ウェブサイトで言うところの「対韓輸出管理適正化措置」)でしょう。
そもそも輸出管理とは、安全保障上の理由により、軍事転用可能な品目を輸出する際に、輸出する相手国に応じて許可を取ることを義務付ける制度のことです。
本来、貿易や投資は自由に行われるのが筋ですが、それと同時にテロの蔓延は世界的な課題ですし、北朝鮮やイランなどのように、核開発をしている(あるいはそれが疑われている)国が存在する以上、そのような国に軍事転用可能な品目を渡さないようにするのは、当たり前の話でしょう。
たとえば、半導体の製造工程で使用されるとされるフッ化水素は、核兵器の材料のひとつであるウラン235の濃縮工程においても使用されています。だからこそ、自由貿易の例外として、軍事転用可能な品目を輸出するときには、その相手国に応じて、厳しい審査を受ける必要がある、というわけです。
その際、重要なのが、根拠条文です。
外国為替及び外国貿易法 第48条第1項
国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
これが「輸出管理」の根拠条文です。
輸出規制は北朝鮮に発動されているが…
これに対し、輸出制限ないし輸出規制と呼ばれる措置もあります。
これは、いわゆる経済制裁措置として、特定国に対し輸出を制限する措置のことですが、現在発動されているものとしては、北朝鮮に対する輸出規制措置が有名です。
外国為替及び外国貿易法 第48条第3項
経済産業大臣は、前二項に定める場合のほか、特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者又は特定の取引により貨物を輸出しようとする者に対し、国際収支の均衡の維持のため、外国貿易及び国民経済の健全な発展のため、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又は第十条第一項の閣議決定を実施するために必要な範囲内で、政令で定めるところにより、承認を受ける義務を課することができる。
つまり、輸出管理と輸出規制は、同じく外為法第48条なのですが、項数が異なっており、両者は別の措置であることがわかります。
また、輸出管理適正化措置が発動された原因は、おそらく韓国の側にあります。
この点、『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』でも議論したとおり、日本政府が韓国に対する輸出管理の適正化措置を講じた理由は、おそらく、韓国の輸出管理に、迂回貿易や横流しなどの大きな「問題行動」があった(あるいはその疑いがある)からではないでしょうか。
日本が韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」(現在の「グループA」)から「グループB」に引き下げたこと自体も、こうした何らかの「問題行動」の存在を示唆しています。要するに、何らかの問題行動によって、国家としての「信用」を失った、というわけです。
誤解に誤解を重ねた文章
ただし、処理水を「汚染水」、FOIPを「IPS」、自称元徴用工を「強制徴用被害者」など、実態と異なる誤った用語を頑なに使い続けているのと同様、対韓輸出管理適正化措置に関しても、韓国は頑なに、「輸出規制」と呼び続けているのです。
しかも、韓国に言わせれば、この「輸出規制措置」は「強制徴用(※自称元徴用工)判決に対する意趣返し」、というわけです。
出発点からしてこうなのですから、そこから出て来る議論とその結論がハチャメチャなものになるのも仕方がないのかもしれません。
その典型例を昨日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に発見しました。
「輸出規制撤廃」最後の峠を越えられず…文大統領の訪日見送りの背景(1)
―――2021.07.23 09:53付 中央日報日本語版より
「輸出規制撤廃」最後の峠を越えられず…文大統領の訪日見送りの背景(2)
―――2021.07.23 09:54付 中央日報日本語版より
おそらく、中央日報の社内での認識に加え、韓国政府の関係者に取材をして執筆したと思しき記事なのですが、これが大変に噴飯物です。
先日頓挫した、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の訪日を巡って、中央日報の記述は「連日の悪材料で対立局面が長期化する状況でも議論は少しずつ進展した」、とするもので始まり、次のように続きます。
「結果的に文大統領の訪日は実現しなかったが、両国が首脳会談の議題とする懸案を点検・調整しながら深みのある実務協議が行われたのは不幸中の幸いだったというのが、政府の内部的な評価だ」。
なるほど。
いったい、どういう意味なのでしょうか。
中央日報の言う「3大懸案」
中央日報はこう述べます。
「首脳会談が開催される場合、韓日は▼慰安婦・強制徴用被害など過去の問題▼日本政府の福島汚染水放流▼日本の輸出規制措置--を3大懸案に設定して議論する予定だった」。
ここで中央日報が述べる「3大懸案」、具体的には「強制徴用」、「汚染水」、「輸出規制」が、すべて用語として誤っているというのはご愛嬌ですが、中央日報の記事ではこう指摘します。
「複数の消息筋によると、特にこのうち輸出規制問題については韓日間の隔たりがかなり解消され、規制自体が撤廃される可能性まで議論が進展したという」。
本当ですかね?
そもそもの輸出管理適正化措置、経産省がパブコメなしに発動できた部分とそうでない部分に分かれていて、このうち韓国をホワイト国から除外する措置については政令(『輸出貿易管理令』別表3)の改正にともなうパブコメが必要でした。
ことに、『韓国ホワイト国除外は「新時代」の到来の象徴』などでも説明したとおり、このパブコメには、外為法関連政令改正としては異例の4万件を超えるコメントが寄せられ、その圧倒的多数が「韓国をホワイト国から除外すること」に賛同するものだったと伝えられています。
ということは、日本政府が発動した輸出管理適正化措置を「適正化以前の状態に戻す」ためには、政令(輸出貿易管理令)別表3に韓国の国名を再度追加しなければなりませんし、その場合には当然、パブリックコメントを求めることになるでしょう。
2019年のパブコメで日本国民の圧倒的多数が韓国の「ホワイト国除外」に賛同したという事実を踏まえると、韓国を再び(現在の用語でいう)「グループA」に戻すことに、はたしてどれだけの人が賛同するのかがよくわかりません。
というよりも、経産省が「韓国の輸出管理を巡る不適切な事案」の内容を公開していないうえ、日本政府が何度も韓国政府に対して協議を呼び掛けているにも関わらず、韓国側が協議に応じないうえに日本を世界貿易機関(WTO)に提訴するなどしている現状を、どう説明するのでしょうか。
いずれにせよ、「韓国に対する信頼が戻ったからグループAに戻す」などと発表したところで、国民の理解は得られないでしょう。
不自然な点はほかにもいくつもある
つまり、中央日報の議論、記事の冒頭から明らかに不自然なのですが、それだけではありません。
次の記述などは、どう考えても理解不能です。
「韓日協議の過程に詳しい情報筋は『輸出規制措置の場合、その始まりだった2019年の状況から最近の状況まで総体的かつ具体的に議論され、確実な進展といえるほどの成果もあった』と説明した」。
もしも日韓双方が協議の結果、2019年の対韓輸出管理適正化措置の発動理由についての認識を共有しているのであれば、まず韓国政府がやるべきは、日本政府が求めている輸出管理を巡る政策対話への無条件の復帰でしょう。
また、中央日報はあらためて、2019年7月1日以降の状況を「整理」しているのですが、その整理に誤りが大量に含まれています。たとえば、次の具合に、輸出規制という誤った用語を頑なに使い続けていることは、その一例でしょう。
「日本経済産業省は2019年7月1日、高純度フッ化水素(エッチングガス)、フッ化ポリイミド、フォトレジストの3品目に関する輸出規制措置を発表した」。
また、次の記述も、正直、支離滅裂です。
「日本は1カ月後の2019年8月には韓国をホワイトリスト(輸出審査優待国措置)国から除外し、露骨な『韓国叩き』に入った。日本が2度の輸出規制を断行して前に出した対外的な名分は『輸出管理などの理由』と『安全保障上の懸念』だった」。
2つの措置を「別々に講じられた輸出規制」であるかのごとく記述しているのですが、残念ながら、両者はセットで輸出管理適正化措置であり、手続としてばらけているだけの話であって、措置としては一体です。
さらには、この措置を発動した理由については、次のように決めつけています。
「しかしこれは表面的な理由にすぎず、その裏には2018年10月の強制徴用被害者が提起した損害賠償訴訟で韓国大法院(最高裁)が原告勝訴判決を出したことに対する不満があった」。
これについては客観的事実を整理するだけで誤っているとわかります。
2018年10月の自称元徴用工判決問題に関しては、日本政府はまず2019年1月9日に、日韓請求権協定第3条(1)に基づく「外交的協議」を申し入れました。
そして、韓国政府がこの協議に応じず、5月15日に当時の李洛淵(り・らくえん)首相が「韓国政府にできることには限界がある」と匙を投げたことを受け、日本政府は請求権協定第3条の手続を(2)の「仲裁委員会による仲裁への付託」に切り替えました。
ただし、韓国政府は結局、この手続のデッドラインである6月19日までに仲裁委員を任命せず、また、第三国仲裁の仲裁国指名期日である7月18日までに手続に応じませんでした。これによって韓国の請求権協定違反という違法行為が確定したわけです。
しかし、もしも日本政府がこの措置を「自称元徴用工問題」の報復として発動するなら、7月19日以降でなければおかしいはずです。実際、日本政府が対韓輸出管理適正化措置を発表した7月1日時点では、第三国仲裁手続はまだ進行中でした。
だいいち、自称元徴用工問題に関する仲裁手続を管轄していたのは外務省で、担当閣僚は当時の河野太郎外相でしたし、輸出管理適正化措置を管轄しているのは経産省で、担当閣僚は当時の世耕弘成経産相でした。
両者がリンクしていると考える時点で、基本的な事実を踏まえていないと言わざるを得ません。
むしろ経済制裁ではない証拠
さらに問題は、こんな記述です。
「しかし明確でなかった日本の名分は、韓国企業が輸出規制対象3品目に対して着実に個別許可実績を増やしたことで、その基盤がさらに弱まった。個別許可承認実績が増えるにつれ、日本から韓国に渡った戦略物資の管理・運用の安定性が公式的統計で確認されたからだ」。
これも、話が逆です。
輸出管理適正化措置の発動によって、問題の物資が個別許可に切り替えられ、それらのうちとくにフッ化水素については輸出量が激減しましたが、これは2019年6月以前には、用途が確認できていないのに輸出されていた数量・金額が非常に多かったことを意味しています。
あるいは、輸出管理適正化措置以降も、用途が確認できたものに関しては韓国への輸出が続いています。このこと自体、輸出管理適正化措置が経済制裁ではない証拠でしょう。
それなのに、中央日報はこう述べます。
「もう一つの原因に挙げた『安全保障上の懸念』もバイデン米政権の主導で韓日米3カ国安全保障協力が強化される状況では主張しにくくなった」。
どうしてこう、自国にとってここまで都合よく解釈できるのでしょうか。
むしろ、日米韓3ヵ国連携を進めるうえでは、現状の「ザル」のような韓国の輸出管理こそ、問題視されかねません。
中央日報は、日本の「輸出『規制』措置」の名分が「この2年間にかなり弱まり、韓国政府はこうした論理を前に出して日本側と実務協議に入った」、などと述べているのですが、これはおそらく、中央日報に情報を提供した韓国政府の認識がそのまま記載されているだけの話でしょう。
この点、中央日報は「外交筋」の話として、「事実上、輸出規制措置を撤回するための一種の『ロードマップ』を構成し、これに対する具体的な協議を進めるほど双方の隔たりは狭まった」、などと伝えた、としているのですが、このあたりもおそらくは韓国側が一方的にそう思っていただけのことではないか、という気がしてなりません。
しっちゃかめっちゃか
まともな意思疎通が成立していない
さて、韓国側ではつい最近まで、輸出管理適正化措置の「撤回」と自称元徴用工問題の「解決」が「交換条件」になる、などと勘違いしていましたが、『徴用工解決と輸出管理撤回という政治決断はあり得ない』でひととおり議論したとおり、自称元徴用工問題と輸出管理適正化は、まったく別次元の、無関係の問題です。
さらに、『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』、その1年後の『あれから1年:いまだにGSOMIA破棄できない韓国』などでも詳しく説明したとおり、GSOMIAと輸出管理適正化措置も、そもそも最初から「交換条件」にはなり得ません。
このあたりは『「不等号の向き」を盛大に勘違いする「加害者・韓国」』でも説明した、「例の不等式」を持ち出せば、なんとなく理解できるかもしれません。
おそらく韓国政府、韓国メディアの認識は、こういうものです。
「2018年10月と11月に大法院(※最高裁に相当)の強制徴用判決が下り、これに対して2019年7月に日本が対抗措置として輸出規制を発動し、韓国がそれへの対抗措置としてGSOMIA破棄やWTO提訴を発動した」。
そして、「強制徴用判決」自体が、日本の過去の不法行為を原因としたものであるため、本来ならば日本企業が判決に従い、強制徴用被害者らにきちんと謝罪と賠償を行わなければならないはずなのに、日本が輸出規制という対抗措置で応じたこと自体がさらに不当な話だ、という構図ですね。
数式で証明する、韓国の不法行為
これを計算式にすると、こういうことです。
(日本の過去の不法行為)+(日本の輸出規制)≧(強制徴用判決)+(GSOMIA破棄)…①
つまり、韓国側にとっては、2018年の「強制徴用判決」と2019年の「GSOMIA破棄」は、日本の「過去の不法行為」と2019年の「輸出規制措置」に釣り合ったものだ、ということなのでしょう。
しかし、そもそも、「日本の過去の不法行為」は、国際常識に従えば、1965年の日韓基本条約・日韓請求権協定により、「ゼロ」にリセットされています。また、日本の輸出管理適正化措置も、むしろ韓国の不法行為を原因としたものであることから、これも価値はゼロです。
これに対し、2018年10月と11月の自称元徴用工判決は、韓国が一方的に、日本との国際条約やサンフランシスコ条約体制を反故にするものですし、GSOMIA破棄も韓国が一方的に日米韓3ヵ国連携の信頼を踏みにじるものです。
したがって、①式は次のように書き替えることができます。
(日韓請求権協定で解決済みの過去の歴史)+(日本の輸出管理適正化措置)<(自称元徴用工判決)+(GSOMIA破棄)…②
当たり前ですが、左辺はゼロですので、現在の状況は、「数学的(?)に」見れば、韓国が一方的に日本に対して不法行為を仕掛けている状態が残ります。つまり、①式における「不等号の向き」を、韓国が間違えている、というわけです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
どうでもよい話かもしれませんが、現在の政権は「左派」とされる一方、中央日報といえば「保守系メディア」だったはず。
その中央日報ですら、輸出管理に関しこんなハチャメチャな解釈を示しているあたり、万が一、文在寅氏の次に保守系大統領が出現したとしても、日韓関係が順調に元通りとなる可能性が非常に低いことを示唆しているように思えてならない、という次第です。
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輸出管理適正化の措置に関してずっと疑問に思っていることがあります。
そもそも輸出管理の根拠規定である外国為替及び貿易法は我が国の国内法です。そして我が国の安全保障のために輸出を管理するのが目的です。したがってこの法律で定める手続きを守る義務は我が国から輸出をしようとする企業に課されているわけです。我が国から輸入をしようとする外国企業には直接関係がないわけです。あくまで輸出をしようとする国内企業に政令に定められた輸出相手国のグループ分けに従って経産省の承認を受ける義務が課されているということです。(どのグループに区分けされるかによって、輸入する側の企業が使用目的や使用状況の資料等を求められて事務が煩雑になるなど間接的な影響があるとは思いますが。)従って、例えば韓国をA~Dのどのグループに区分けするかは我が国の問題です。つまり韓国が我が国に対して「輸出規制を撤廃しろ」と強硬に言い続けるのは全く筋違いの話で内政干渉に他ならないと思うのですが?
イジワルばあさん 様
仰る通りだと思います。韓国には何の負担も発生しないのです。
ただ、北からの「何故抜け荷を止めたニカ!」というお叱りがプレッシャーになってるとは思います。
韓国が気にしているのは、実害の有無ではなく、格下のはずの日本から、ウリナラがランクを落とされたというプライドの問題ではないでしょうか。
ウリナラは、常に最恵国でなくてはならないのです。道徳的に劣位の日本は、常にウリナラを敬い、特別扱いしなくてはならないのです。
新宿会計士様、いつも更新ありがとうございます。
イジワルばあさん 様
韓国が「輸出規制」撤廃要求を執拗に続けることについて、私見を述べさせてください。
仰る通り、輸出管理適正化措置に関して実際に手続きの負担が増えているのは日本企業の側であり、韓国側ではないでしょうし、彼らの要求は日本に対する内政干渉に他なりません。
にも拘らず、韓国が日本に対する内政干渉を止めない理由は、主に以下の2つがあるのではないかと想像します。
1.体面の挽回
ご存じのように、韓国は「ウリたちは世界に冠たる最優秀民族であり、道徳的劣等な日本から特別優遇されて当然」と考えています。その日本が韓国をBグループへ落した事で体面が著しく傷ついているのです。この状態が韓国には屈辱的で耐えられないため、日本へ元のAグループへ戻させ、韓国の体面を挽回させたいのでしょう。
韓国にとって、体面は命より重い…!のです。
>>2へ
>>2
2.半導体製造業の採算性の悪化
超高純度フッ化水素など、日本企業が輸出している資材は質が高いため、それを用いて製品を製造すると歩留まりが高まります。このため適正化措置が取られるまで、韓国は低品質な資材で製造可能な製品に対しても、日本の高品質な資材をジャブジャブ使うことで、高い歩留まりとそれによる採算性の良さを維持できていました。
ところが措置後は、その日本製資材を、製品を製造する際どうしても高品質な資材を使わなければ作れないラインにだけしか使うことができなくなり、それ以外の場所では韓国製や中国製などの低品質なものに置き換えなければならなくなりました。
その結果、歩留まりが悪化し、製品の生産量や質を措置前と同水準で維持するために必要な原価が、相当上がってきているようなのです。
これはWoW!Koreaに寄稿されたファンドビルダー氏のコラムをソースにしますが、措置後は歩留まりが50%前後に低下したままらしく、黒字化が難しい状況に陥っているらしいです。
また、日本製から韓国国産製へ切り替えるため、新たな研究開発や新規設備投資に多額の費用を掛けざるを得なくなっている状況も加わり、韓国の半導体製造業の経営内情は相当苦しくなっている可能性大です。
この2つの中で、より大きい理由は体面挽回の方だと思いますが、半導体産業界に生じている実害を含め、「Aグループへ戻して、ウリたちの面子を立てろ!」「以前のように日本製資材を好き放題使わせろ!」というのが、韓国が執拗な内政干渉を止めない主な理由ではないかと思います。
韓国政府は「自由」という言葉を使うと北や中国に睨まれるので使いたくない。韓国マスコミは政府の顔色をうかがってFOIPという言葉を使わない。日本が中心になっているのもあるでしょうけど、一番大きな理由は中朝でしょう。
韓国政府はrule of lawも「法の支配」ではなく「法治」と翻訳するし、understandは「同意した」になるし、為替スワップに対応する用語がないせいか、流動性供給スワップを通貨スワップと翻訳するし。一時が万事政府主導でこんな感じ。
フッ化水素については、管理強化により韓国の産業に影響を与えること無く、韓国のフッ化水素購入総額がおよそ半減しているようで「輸出規制」の効果覿面。「輸出規制措置の場合、その始まりだった2019年の状況から最近の状況まで総体的かつ具体的に議論され、確実な進展といえるほどの成果もあった」というのはおそらくそのことを指しているのでしょうw
毎日ありがとうございます。
外務省より、韓国誤記に対する正誤表を、日本国内において声を大にして
発表していただきたいものです。
*従軍慰安婦⇒慰安婦(売春婦)等々・・・・・
まあしかし、ハングル文字+意図的捏造歴史教育に頼る国とは、以後半世紀はおつきあい無理
なのではないでしょうか。
ハングルは「大いなる文字」という意味なので、「文字」は不要です。
彼らはゼロには戻ってないと思っているから、分かり合えないのでしょう。
でも無視してOK。なぜならそもそもが捏造だし、その憤りは北や中国には向かわない時点で正義も無い。
ホワイト国外しの理由を明らかにすれば良いのですがねえ。
門外漢様
衆議院議員岡田克也君提出韓国に対する輸出規制措置に関する質問に対し、
お尋ねの「不適切な事案」については、個別企業の取引に関する内容であり、また、安全保障に関わる取引の情報が関係行政機関以外の第三者に知られることにより輸出管理の執行に支障が生じるおそれがあるため、回答は差し控える。 と答えている。
その「不適切な事案」が安全保障に関わる事だから、公開出来ないのが歯痒い所ですね。韓国はWTOに提訴したが、早速米国が横槍。多くの状況証拠が有るだろうが、彼の国は絶対に認めない事は明白であろうから、やはり、G7やそれ以上の価値観を共有する良識国家群で経済包囲するしか方法が無い様に思います。G7やFOIP諸国には情報は共有出来ているものと勝手に推測はしています。そんな中に韓国も加わろうと触手を伸ばしているあたりは、噴飯物ですが。
路傍の小石 様
告げ口みたいで気が進まないのですが、G7辺りで詳細な説明をしてほしいものです。勿論プレス発表はしなくても良いと思いますが。
それくらいは、既にしてるのかな?
ホワイト国外しの理由は明らかにされています。
韓国内需要の数倍の戦略物質が行方不明となっているからです。青山繁晴参議院議員や高橋洋一元内閣参与・上念司氏等が指摘していますし、ホワイト国からグループAへの呼称変更・対象国変更時の経産省の業界団体説明のオフレコ発言とも符合しています。
また、数年前から日韓の当局交渉で日本側から韓国側へ行方の説明および韓国安全保障貿易体制の是正は繰り返し申し入れています。またホワイト国から外れた時に韓国当局に対して復帰方法の説明会まで行っています。(行方の説明および韓国安全保障貿易体制の是正すればすぐに復帰できる)この説明会を韓国側は「輸出規制の解除交渉」と歪曲しており、この時点でまともに会話ができる相手ではなくなっています。
未確認な情報では戦略物質の行方は、①中国向け、②北朝鮮へのせどり、③イランへの軽油代金の物納など色々と説があり私には分かりません。
もはや理屈が通じないので日本側の各種優遇措置を一つ一つ撤廃していき、国として立ち行かないレベルに落ちない限り、自国の理屈は世界に通じない事を根本的に理解できないのではないでしょうか。
文在寅にしろ中央日報にしろ、結局のところは日本不在の「G行為」をしてるだけなんだって事ですね。
いやほんと、ウリナラファンタジーを用いて世界最優秀民族を自称してホルホルするG民族らしいなぁ、としみじみ思います。
1948年の韓国樹立宣言からもうじき73年=2万6千日強なのに、「韓国の」歴史が半万年=182万6千日強だと主張される方々ですよ。
7月1日か7月19日以降かなどと、たかだか18日の差なんて180万日の歴史の重みに比べれば無いようなものケンチャナヨ。
>・・・韓国が日本から輸入した戦略物資をまともに管理していないため北朝鮮などに入る可能性があるということだった。
>しかしこれは表面的な理由にすぎず、その裏には・・・
なんと言うか、相手の意図を取り違えると対処方法のわやくちゃになるってことなのかな?
変な曲解をせずに、輸出管理体制を確立して適切な管理をしているって事実を積み上げれば、自称さんのこととは別に、緩和措置を勝ち取ることもできたでしょうに♪
そう言えば、最初の頃は法改正したりして、それなりに真面目に対応していたんじゃなかったかな?ただ、なにを考えたのか、実績確認とかの時間がかかることがあるのをスルーして、勝手な期限設定をして逆ギレして、対話拒否にWTO提訴をやっちゃってましたね♪
そんなだから、あり得ない仮定だけど、ちょっとだけ妄想を垂れ流してみるのです♪
>2019年のパブコメで日本国民の圧倒的多数が韓国の「ホワイト国除外」に賛同したという事実を踏まえると、韓国を再び(現在の用語でいう)「グループA」に戻すことに、はたしてどれだけの人が賛同するのかがよくわかりません。
仮に、経産省が韓国の横流し疑惑に納得のいく回答を得ることができて、ザルだった輸出管理体制もしっかり整えられて、かつ、それがきちんと機能している実績が積み上がってくると、輸出管理の緩和を経産省としても考えると思うのです♪
で、もし、韓国を再び「グループA」に戻すためのパブコメが実施されたとすると、どんな結果になるのかな?って思ったのです♪やっぱり反対が多いのかな?それとも、韓国がちゃんとしてるなら別に良いんじゃない?って反応になるのかな?
それで、もし反対が多かったとして経産省は改正を止めちゃうのかな?
前者については、なんとなくだけど「反対」が多くなるように思うのです♪
反対理由は「個別審査をやめると、また横流しがはじまる。」くらいかな?
あとは「グループKを作って特別扱いする」みたいな意見もありそうなのです♪
後者については、微妙なのです♪パブコメってあくまでも参考でしかないから、経産省が本気で「これなら戻しても大丈夫」って思えると強行しそうな気もするし、そんなことをしても経産省自身には何の得もないから世論を考慮して引っ込めるってのもありそうなのです♪
と、こんなことを考えてたのです♪
まぁ、今の韓国を見ているとあり得ない妄想の中での話でしかないんですけどね♪
七味 さん
>前者については、なんとなくだけど「反対」が多くなるように思うのです♪
>反対理由は「個別審査をやめると、また横流しがはじまる。」くらいかな?
あとは「グループKを作って特別扱いする」みたいな意見もありそうなのです♪
「信頼を失うのは一瞬。取り戻すのは一生」という価値観が分かるなら朝鮮人韓国人とは言えない気がしますね。
七味 様
> 「グループKを作って特別扱いする」
新しい読者の方が多数いらっしゃるようなので、言い古したネタを再確認。
「グループ特Aを作って特別扱いする」のもありですね。
グループ特Aには、韓国、北朝鮮、中国を入れます。
もうおわかりですね。
特Aの「A」は「あ」と発音します。
先日「韓国の国債の格付けについて、世界3大信用格付け会社のピーチは~」という記事を見つけました。ピーチ? そんな格付機関あったかな? 写真が載っていてFitch(フィッチ)のことだとわかった。
ハングルにはfの音がない。フッ化水素はプッカスイソかな?
ファックユーはパックユー。
> ハングルにはfの音がない。
上の前歯を下唇の内側に当てて息を漏らす無声唇歯摩擦音である「f」の音は日本語にもありません。
日本語では、上下の唇を狭めて息を漏らす無声両唇摩擦音で代用します。
朝鮮語では、「p」(両唇破裂音)で代用します。
「th」(無声歯摩擦音/有声歯摩擦音)も、朝鮮語、日本語ともにありません。
thin, thank などの無声歯摩擦音は、
日本語では、「s」(無声歯茎摩擦音)で代用します。
朝鮮語では、「t」(無声歯茎破裂音)で代用します。
that, they などの有声歯摩擦音は、
日本語では、「z」(有声歯茎摩擦音)で代用します。
朝鮮語では、「d」(有声歯茎破裂音)で代用します。
自国言語の特性を顧みず、他国のみ批判嘲笑するのは滑稽ですよ。
発音の話は難しいのです♪
RとLの区別もよく聞きますよね♪正直なこと、あたしには全く区別できないのです♪
文章として話してるときには、それなりに区別してるらしいけど、単語だけだとごちゃごちゃになってるって言われてたのです♪
あと、日本語でも、恥ずかしながら、イントネーションとか全くわかんないのです(T_T)
お友達なんかは、「橋」と「箸」で違うって言うけど、ちんぷんかんぷんだったのです♪
・・・・・・単語だけの会話なんかないから、区別できなくていいんですよっ o( ̄ ^  ̄ o) プィッ!
ハングルはどんな音でも書き表せることになっていませんでした?
第1回(開催地ソウル)、第2回(開催地バンコク)文字オリンピック2回連続金メダルですよ。
負け惜しみ、乙。
日韓の輸出管理で皆さんお忘れかと思うのが、韓国も日本をホワイト国から外してそのままになっている事。
もし日本だけ韓国をホワイト国に戻すとすると、日本だけ格下げされた事になりますので、まああり得ない話です。
日韓については、まともに分かり合えない国で、その理由は韓国の異常性による物です。
今回のオリンピックでも分かる通り、選手村での行動や、日本国国歌の君が代を受け入れられないなど日本人の多くが知ることになると良いと思います。
君が代の否定は、天皇陛下の否定、それは日本の国体の否定となる物で、そんな国は朝鮮半島にしか存在しません。
だんな様
>日本だけ格下げされた事になりますので、
うろ覚えだけど、嫌がらせをするためだけに、わざわざ制度を新設してたんじゃなかったのですか?
けど、そんなことがあった事すら、忘れ去られているということに、失笑を禁じ得ないのです♪
それはそうとして、安全保障のための輸出管理は、各国がそれそれ個別に考えればいいし、厳格な管理をしようと思うと、時間とかコストもかかって、他所から買うという選択肢もできる訳だから、韓国は韓国の好きにすれば良いと思うのです♪
正直なとこ、彼の国にしてみれば、北朝鮮や中国との対立姿勢を見せてる日本への輸出なんて、両国の目が期になっちゃうんじゃないでしょうか?
いっそのこと、輸出管理を拡大して、いろんな品目で輸出禁止にしてくれればとも思うのです♪
特に食料品なんかは、お買い物するときに、原産国表示を見なくてもすむので、大歓迎なのです♪
・・・・・・中国製があるから、変わんないかな?