X

鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及

文在寅氏「ブラックスワン・ストーカー」説、いつにもまして辛辣な小気味よさ

巷間「日韓関係の特殊性」に関して議論する人はいますが、じつは特殊なのは「日韓関係」ではなく「韓国」だったと指摘されれば、思わず目からウロコが落ちるという思いをすることができます。日本を代表する鈴置高史氏が昨日、『デイリー新潮』に寄稿した最新論考では、文在寅氏が日韓首脳会談に拘る理由――「ブラックスワン・ストーカー説」――について、あらためて丁寧に説明されています。

どうなった?「文在寅氏の訪日」論

文在寅氏は日本にやって来るの?来ないの?

韓国大統領の文在寅(ぶん・ざいいん)氏は、結局のところ、日本にやって来るのでしょうか、来ないのでしょうか。

これは、世の中的には関心を抱く人がそれなりに多いと思われることもあり、当ウェブサイトでもここ数日、かなり詳細に取り上げて来た論点です。

ポイントは、おそらく3つです。

  • ①文在寅氏が東京五輪開会式を機に日本にやって来るかどうか。
  • ②やって来た場合、菅義偉総理大臣が日韓首脳会談に応じるかどうか。
  • ③応じた場合、その会談の形式や内容はどういったものか。

もともと、文在寅氏が菅総理との日韓首脳会談の開催を望んでいるという話は、かなり以前から何度となく出てきていました。昨年秋口に菅政権が発足して以来、朴智元(ぼく・ちげん)国家情報院長らを日本に派遣したのも、日韓首脳会談の開催を希望するという、文在寅氏なりのメッセージでしょう。

ところが、日本側はこうした韓国側の「求愛」に対し、一貫して冷ややかな態度を取っています。実際、菅総理自身も昨年11月、朴智元氏に「日韓関係を健全化するためのきっかけは韓国の側が作るべき」と述べています(『菅総理「日韓関係健全化のきっかけ要求」の本当の意味』参照)。

もちろん、こうした日本側の「つれない態度」に対し、韓国側からは毎日のように批判の声が飛んできますし、最近だと日本のメディアからも、「日韓対話が必要だ」とする声が出ています。「日本を代表するクオリティ・ペーパー」だと自称する日経新聞の次の社説などが、その典型例でしょう。

[社説]日韓は地域安定へ対話探れ

―――2021年6月15日 19:00付 日本経済新聞電子版より

「便所紙にもならないくせに『クオリティ・ペーパー』を騙るな」、と怒る方もいらっしゃるかもしれませんが、たしかにこの社説を読むと、そういいたくなる気持ちもわからなくはありません。

なお、この日経社説も、普段の日経の記事に輪をかけてお粗末な代物ですが、その問題点についてはすでに『「日韓対話」呼びかける、的外れかつ無責任な日経社説』で詳しく説明したつもりですので、本稿で繰り返すつもりはありません(ご興味があればこちらをご参照ください)。

韓国にとって「道徳的優位」は当然の前提

さて、本邦のメディアが後ろから日本政府を撃つような真似をするのは不可解ですが、韓国側で日本に対し、譲歩を迫るのは、ある意味では当然の話です。

当ウェブサイトでも長年、コリア・ウォッチングを行ってきた経験に照らして申し上げるならば、韓国国内では「韓国は日本に対し、道徳的優位を持っている」と信じ込まれているからです。

この道徳的優位とは、韓国人が日本に対して抱く優越感のようなもので、「歴史的に見て韓国が『被害者』であり、日本が『加害者』である」という虚構に由来するものです。

というよりも、米国の政治学者で米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザーでもあるエドワード・ルトワック氏が著書『中国4.0』で述べた次の記述を読むと、優越感というよりも劣等感のようなものかもしれません。

日本は韓国に対してすでに十分すぎるほど謝罪したし、これからも謝罪しつづけなければならないだろうが、それらは結局、無駄である。なぜなら韓国がそもそも憎んでいるのは、日本人ではなく、日本の統治に抵抗せずに従った、自分たちの祖父たちだからだ」(同P129)。

もう少し正確に記述するならば、韓国には「日本に勝った」という歴史的事実がないため、ときとしてそれを捏造してでも精神的優位性を保たねばならないわけであり、だからこそ、果てしなく謝罪要求を繰り返す、というわけです。

米国人が書いた説明のなかで、個人的にはこれがもっともストンと腑に落ちる記述だと思う次第です。

譲歩?ムリムリ!

もっとも、「それでは日本が韓国に対し、譲歩できるのか」と言われれば、「無理です」、というのが答えです。

そもそも論として、2017年5月に文在寅政権が成立して以降に限っても、韓国が日本に対して働いた不法行為の数々は、とうてい日本政府側が「不問に付す」ことができるものではないからです。

たとえば、次のような具合です

外交儀礼違反
  • 日韓慰安婦同意に関する外交機密文書の一方的公表(2017年12月)
  • 国際観艦式におけるいわゆる「旭日旗」を巡る騒動(2018年9月)
  • 韓国国会議長(当時)による天皇陛下侮辱発言事件(2019年2月)
  • 日本政府のアグレマンも得ずに次期駐日大使人事を公表(2020年11月23日)
違法判決問題
  • 日韓請求権協定に反する自称元徴用工判決(2018年10月30日・11月29日)
  • それに伴う日本企業の資産差押えと「売却スルスル詐欺」
  • 国際法上の「主権免除」原則に反する自称元慰安婦判決(2021年1月8日)
安全保障問題
  • 火器管制レーダー照射事件(2018年12月20日)
  • 日本の対韓輸出管理適正化措置(2019年7月1日発表)
  • 日韓GSOMIA破棄騒動(2019年8月22日~11月22日)
その他の国際法違反、約束違反、不法行為等
  • 日韓慰安婦合意に基づき設立された慰安婦財団の一方的解散
  • 日韓請求権協定に基づく紛争解決措置の完全な無視(2019年7月19日)
  • 福島原発ALPS処理水放出を激しく批判(2021年4月14日~)

こうやって並べてみると、やはり壮絶ですね。

日韓関係は破綻寸前

たんなる外交儀礼違反くらいならば、これまでも韓国(や北朝鮮や中国)が平気で行っていたものであり(※それ自体も異常ですが)、辛うじて「無礼な国だ」くらいで済ませられなくもありません(※もちろん、日本国民の1人としては、それで済ませてほしくはありませんが…)。

しかし、違法判決問題については、放置しておけば韓国に進出している日本企業にも多大なリスクが降りかかりますし、見方によっては韓国による国際法秩序の破壊でもあります。日韓間でかつて見られた「なあなあの関係」で済ませるには、正直、問題があまりにも大きすぎます。

また、安全保障上の問題点については、日本だけでなく、米国など国際社会に対しても、大変に大きな影響をもたらしかねません。

つまり、現在の日韓関係は、法的にも、経済的にも、軍事的にも、外交的にも、あらゆる面で行き詰まりつつあるのです。

といっても、日韓間の国交は続いていますし、日韓両国は産業面でのつながりも密接、相互の直接投資も今でも続いています。

また、人的交流も活発であり、コロナ禍以前であれば、相互往来は最盛期で1000万人を超えましたし、法務省『在留外国人統計』によれば、日本に住む韓国人は2019年12月時点で44万6364人と、在日外国人全体(293万人)のうち約15.2%を占めています。

(※もっとも、韓国に住む日本人は2020年10月基準で45,664人で、海外在留邦人全体・141万人のうち約3.2%に過ぎないため、これを「非常に多い」と見るべきかどうかは微妙ですが…。)

ジワリと広がる影響

ただ、現在は活発に見えても、日本側にはジワリと「脱韓」の動きがみられることもまたたしかでしょう。

たとえば、産業面では、韓国は日本にとって3番目の輸出相手国ですが、日本から韓国への輸出品目の多くは「モノを作るためのモノ」であって、日本企業にとって必要不可欠な市場、というわけではありません(『深まる日台関係:5月の合計貿易高も「台湾>韓国」に』等参照)。

また、そもそも日本の金融システムの韓国に対する与信は割合的に見て非常に少なく、『日本の金融機関、香港と韓国への与信額が減少傾向に』でも確認したとおり、もともと少ない対外与信に占める対韓与信の比率が、近年、さらに低下する傾向を見せています。

さらには、旭日旗騒動や火器管制レーダー照射事件以降、安全保障面・防衛面での相互交流については、目に見えて影響が生じ始めています。

そのなかでも特筆すべきは、日韓両国政府間の防衛当局者による「ハイレベル交流」実績が激減し、先日の『韓国政府が気付かない、今年の防衛白書「本当の意味」』でも指摘したとおり、ついに昨年度(2020年4月~21年3月)はゼロ回になってしまったことが挙げられます(図表1)。

図表1 ハイレベル交流実績(過去5年分)【※クリックで拡大】

(【出所】過年度分の防衛白書より著者作成)

防衛白書によると、「ハイレベル交流」とは、「防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、事務次官、防衛審議官、各幕僚長」が「それぞれのカウンターパート」と実施する2国間会談のことを指しているのだそうです。

具体的には、1年間で「5回以上」実施された場合は赤、「3回以上」は濃いオレンジ、「2回」は薄いオレンジ、「1回」は黄色、そして「ゼロ回」は灰色で示されていますが、直近に関しては、韓国とのハイレベル交流実績については見事に「ゼロ回」であることが確認できます。

日本政府は口先では「日米韓3ヵ国連携が大事だ」などと言いながら、現実にはこれと真逆に、日韓防衛協力が後退している、というわけです。

(なお、防衛省様には、防衛白書の画像の引用にあたり、当方の電話での問い合わせに大変親切にご対応いただいたことに対し、改めて感謝申し上げます。)

待望の鈴置論考

ブラックスワン・ストーカー仮説

さて、文在寅氏が日本にいらっしゃるのかどうかについては、気になる論点のひとつですが、それだけではありません。なぜ文在寅氏(あるいは文在寅政権)が、ここまで菅総理との首脳会談に拘っているのかが解せない点のひとつなのです。

それについて納得がいく解説は、ほとんどありません。

なかには昨日の『噴飯物:「文在寅氏歓迎しクアッド・プラスに入れよ」』でも触れたとおり、「支持率の回復を狙った行動だ」などとする、非常に浅薄な「分析(?)」もありますが、とうてい納得がいくものではありません。

ここで、可能性がいくつかあるとしたら、たとえば、次のようなストーリーでしょう。

韓国は米国から日韓関係『改善』について厳命されており、北朝鮮制裁緩和の条件にされているため、焦った文在寅氏があわてて日本との関係『改善』を模索し始めた」。

これはこれで、大変に説得力があるストーリーです。

ただ、個人的にはどうしても有力説に位置付けざるを得ないのが、『鈴置論考の文在寅氏「ストーカー」説と韓国の「狙い」』でも触れた「ブラックスワン・ストーカー」仮説です。

この「ブラックスワン・ストーカー仮説」という呼称自体は当ウェブサイトの命名ですが、説自体は当ウェブサイトのオリジナルではありません。『鈴置論考の文在寅氏「ストーカー」説と韓国の「狙い」』でも紹介した、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の議論の受け売りです。

鈴置氏のいう「ブラックスワン」とは、いわば、「滅多に発生しないが、もしそれが発生したら大変に大きな影響がある出来事」のことです。たとえば、北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)が日本にやって来ることや、日本が北朝鮮との交渉を開始するなどの可能性のことでしょう。

もちろん、この期に及んで金正恩が日本にやってくる可能性はほぼ皆無でしょうが、ただ、任期満了を10ヵ月後に控えた文在寅氏にとっては、「南北関係改善」に少しでもつながるのであれば、可能性は低くても、掴めるものはなんでも掴んでおこうと思っているのかもしれません。

もちろん、鈴置氏のオリジナル論考は、このあたり、かなり丁寧に議論していますので、ご興味があれば是非、『デイリー新潮』の『菅首相に粘着する文在寅 ”蚊帳の中”にもぐりこみたい韓国、「左派政権駆除」に動く日米』という記事をご参照ください。

現状のアップデート:大変に待ち遠しかった論考

では、東京五輪直前の現在、このブラックスワン・ストーカー仮説は、いったいどう変化したと見るべきでしょうか。

これについて、嬉しいことに昨日、鈴置氏の最新論考が公表されていました。

文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力

文在寅(ムン・ジェイン)大統領がこれほど日韓首脳会談に執着するのはなぜか――。根本的な疑問を韓国観察者の鈴置高史氏が読み解く。<<…続きを読む>>
―――2021/07/16付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より

すでに一部の方々がご指摘のとおり、今回の論考、普段にもまして舌鋒鋭い箇所が多々あり、その切れ味の良さに対しては爽快感すら生じるほどです。図表を除いても6000文字を超える長文ですが、正直、朝鮮半島問題に関心がある人ならば、負担を感じることなくあっという間に読めてしまいます。

ただし、文在寅氏が来日するかどうかを巡って、いまだに日韓両国政府から正式発表がないこと(※16日午前時点)、どうやら双方が首脳会談の開催方式でもめているらしいこと、などの部分については、当ウェブサイトでもこれまで確認してきたとおりなので、本稿では割愛します。

それよりも、やはり読むべきは、「文在寅氏がなぜ、菅義偉総理との正式な会談開催に拘っているのか」、という論点です。

鈴置:実は、その理由は韓国でもきちんと説明されていません。韓国各紙は『韓日関係を改善するため』と一応は書きます。でも、それを素直に信じる韓国人は少ない」。

なぜなら、反日がウリだったはずの文在寅政権がいきなり「日韓関係が大事」と宗旨替えすると、つじつまが合わなくなるからだ――。

これは、たしかにそのとおりでしょう。

巷間唱えられる2つの仮説

そこで、鈴置氏が最初に提示する2つの仮説が、①「北京五輪説」、②「米国の圧力説」です。

このうち「北京五輪説」とは、2022年2月の北京冬季五輪開会式に参加して中国にゴマをする際に、米国から「親中的」とみなされるのを防ぐために、東京五輪にも言っておく、というものだそうです。

自然に考えて、かなり無理があるこじつけです。

実際、鈴置氏もこの考え方については、「文在寅氏が日韓首脳会談まで要求していること」、「来年5月に任期が終わる以上、米国に睨まれるかどうかは政権運営に関係がないこと」などを理由に挙げたうえで、否定しています。

一方で出て来るのが、「米国からの圧力説」です。

これについては、日韓関係「悪化」の理由が文在寅政権にあることを、ジョー・バイデン米政権自身も良く理解しているはずであり、一見すると説得力がありそうな仮説です。

しかし、鈴置氏はこれについて、次のように指摘します。

『文在寅政権がこちら側に戻るのを期待しても無駄。来年3月の大統領選挙で再び反米左翼政権が選ばれないようにする方が肝心』との空気が米国の外交専門家の間には濃いのです(「面従腹背の文在寅 ソウルに戻ると即、金正恩に“詫び状” 米国でも始まった『嫌韓』」参照)」。

つまり、鈴置氏はこの「米国からの圧力」説についても、基本的にはあり得ないだろう、という立場を取っている、ということです。

なお、このあたりについては異論がある方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的な理解に基づけば、ここで大切なのは「韓国政府の動きを最も合理的に説明する仮説は何か」、という点なのだと思います。

鈴置氏が「北朝鮮説」を推す理由

その前提を踏まえて出て来るのが、「北朝鮮説」です。

――鈴置さんは『北朝鮮説』を唱えてきました。

鈴置:残りの任期中に南北首脳会談を実施して『朝鮮半島に平和をもたらした』と国民にアピール。引退後の監獄送りを避ける――という、この見方こそが韓国の動きを最も合理的に説明できるからです。『監獄回避説』と呼んでもいいと思います」。

鈴置氏といえば、やはり「北朝鮮説」でしょう。

過去から鈴置論考を読んでいる立場としては、こうしたブレのなさも鈴置論考の大きな魅力のひとつだと思う次第です。

とくに、今回の論考においての大きな「見せ場」が、まさに文在寅氏が「日本との対決姿勢」から一転して「ストーカー」に化けるシーンです。

文在寅大統領は日本には就任当初から居丈高に出て、例えば2018年5月に安倍晋三首相からケーキをプレゼントされた時も『食べなかった』と広報しました。日本とは妥協はしない、との姿勢を国民に示したのです」。

安倍総理からプレゼントされたケーキって、これのことでしょうか(図表2)。

図表2 例のケーキ

(【出所】韓国大統領府)

イチゴの数も位置も不揃いで、メッセージも下手な(失礼!)手書きのものが使われているのを見て、当時、個人的には「安倍総理の文在寅氏に対する嫌がらせかな?」などと感じたことも事実ですが、たしかに鈴置氏の指摘どおり、当時の韓国には日本との対決姿勢が見え隠れしていました。

それが突然、日本との首脳会談を異様に望むようになったのです。2019年11月のASEAN関連会議では安倍首相に対しストーカーまがいの事件も起こしました」。

ストーカーまがいの事件とは、控室で文在寅氏が安倍総理を強引に呼び止めてソファで話し合いを行っている姿をおそらくはスマートフォンで撮影し(図表3)、「韓日首脳会談だ」として発表したことを指しているのでしょう(※もちろん、日本政府は抗議しています)。

図表3 例の隠し撮り写真

(【出所】韓国大統領府)

(※なお、余談ですが、一部メディアによれば、撮影したのは当時の鄭義溶(てい・ぎよう)国家安全保障室長(現・外交部長官)だったのだそうです。)

これが、鈴置氏のいう「『居丈高』から『ストーカー』への急変」、というわけです。

北朝鮮というフィルターを通すとすっきり説明がつく

その背景にあったのは、2019年2月のハノイでの米朝首脳会談決裂と、同年6月の米朝首脳による板門店接触への参加失敗であり、「この2つの事件で『朝鮮半島の平和は文在寅大統領がもたらした』との幻想が一気に崩れ」、「政権としては致命傷」を負ったことだったのです。

文在寅大統領としては手柄を積み直さねばならない。韓国の大統領はノーベル賞を貰うほどの実績がない限り、退任後は監獄送りになるのが通例だからです。そこで『平和の立役者』を演じる舞台を、米国から日本に切り替えたのです。それには日本の首相を操る必要があるわけです」。

…。

それにしても、「日本の首相を操る」とは、大変な思い上がりですね。

もちろん、この説明が正しいかどうかについては、残念ながら、現時点で証明することはできません。ただ、「北朝鮮」というファクターを使えば、文在寅氏の一見支離滅裂な行動に対しても、非常に合理的かつ十分な説得力を持って説明が可能なのです。

辛辣な鈴置氏

文在寅氏の米国・日本に対する拘泥

さて、今回の鈴置論考も、文在寅氏に対し、相当に辛辣です。

たとえば、世の中では2018年6月の米朝首脳会談について、文在寅政権が「仲介した」かのごとく信じられているフシがありますが、鈴置氏の説明では、次のとおりです(要約して箇条書きに変えています)。

  • 2017年夏ごろから米朝の情報機関同士が首脳会談を模索し秘密接触を開始した
  • これを嗅ぎつけた文在寅政権は無理やり米朝間に首を突み、韓国が仲介した形にしてもらった
  • 米国がそれを許した理由は、韓国のメンツを立ててやらないと邪魔するから
  • 北朝鮮がそれを赦した理由は、韓国からのカネを期待してのことだろう

というわけで、これが1つめの「辛辣ポイント」につながります。

米朝にとって韓国はもともと不要な存在。だから文在寅政権が熱望したにもかかわらず、シンガポールとハノイでの米朝首脳会談に呼びもしなかった」。

次は、日韓関係です。

鈴置氏によると、菅義偉政権は2020年9月に発足した直後から、北朝鮮に水面下での交渉を呼びかけ、これに北朝鮮も好意的に応じたかのように見えた、と指摘します。

これが事実なら、韓国にとっては大変なことです。

要するに、「蚊帳の外」を恐れている、というわけですね。

韓国は日朝関係が進展する際には首を突っ込んでおかないと大変なことになる。日朝が動く時は米朝も動きます」。

この流れが、先ほども紹介した、鈴置氏の「北朝鮮説」につながる、というわけです。

ただ、話はこれに留まりません。2つ目の「辛辣ポイント」が、これです。

日米ともに文在寅政権は信用していませんから、韓国は朝鮮半島の将来を決める外交ゲームから外される可能性が高い」。

なかなか強烈ですね。

ブラックスワンは文在寅氏が「恐れているシナリオ」

そのうえで、なぜ菅政権に交代したあとで、文在寅政権の攻勢が強くなったのか。

その答えが、次の記述です。

『安倍前首相は応じなくとも、親韓派の二階俊博幹事長の後ろ盾が必要な菅新首相なら言うことを聞くはずだ』と踏んだのです。

おそらく、ここまで読めば、読者の側も鈴置氏がなぜ「北朝鮮説」を強く推しているのかが理解できることでしょう。

ただ、ここで鈴置氏に疑問を呈したい点も出てきます。

金正恩(きん・しょうおん)が東京五輪にやってくる可能性は非常に少ないですし、バイデン大統領本人も日本にやって来ることはありません(かわりに夫人が来日します)。

文在寅氏が期待しているとされる「日米南北」の首脳会談が開かれる見通しもないのに、なぜ文在寅氏がそれでも東京にやってこようとしているのでしょうか。

ただ、これについても鈴置氏は、明確な回答を準備しています。

鈴置:ええ、バイデン大統領は訪日しませんし、金正恩(キム・ジョンウン)総書記もコロナで外国に出かける余裕はない。ただ、いつ日朝関係が動くかは分からない。可能性が低くとも、韓国とすればそれに備える必要があるのです。(中略)日本では日朝交渉が本格化する可能性は極めて低いと考えられているからです。韓国でも同様ですが、文在寅政権にすればブラックスワン――可能性は低いけれど、起こったら大惨事――なのです。

まさに、これが「ブラックスワン」仮説の本質、というわけです(※というよりも、鈴置氏が一貫して主張していた内容です)。

先ほどの疑問点に対する答えも、これで十分でしょう。

やっぱり元ネタは韓国メディアだった

さて、鈴置氏は先ほどの議論で、「米国からの圧力」説を提示したはずですが、その出所はいったいどこだったのでしょうか。

鈴置氏は韓国メディア『中央日報』の7月9日付『葛藤を解くため日本に行こうとする文…『手ぶらで戻れば逆風』憂慮』【韓国語版】に、次のような記述が入っていたと紹介しています。

文大統領が残りの任期で最も重点を置いている分野は南北関係の改善である。ところが米国は朝鮮半島戦略の前提として事実上、韓日関係の復元を要求している」。

これこそまさに、先ほど鈴置氏が紹介した「米国からの圧力」説です。

ただ、これについて鈴置氏は、次のように一蹴します。

鈴置:嘘くさい話です。『日本との関係を改善したら、対北援助など韓国のやりたいことをさせてやる』と米国に言われた、との説明です。しかし、そんな野放図な対北政策を米国が許すはずはない。もちろん、韓国に対し『日本との関係を復元せよ』と言っていますが、それは必要条件であって十分条件ではない」。

本当に、こういう見方ができる論者は、現在の日本には貴重だと思わざるを得ません。

「またぞろ二階幹事長が」

さて、二階俊博・自民党幹事長が訪日した韓日議連御一行様に対し、文在寅氏の訪日を要請した、とする話題は、当ウェブサイトでも『二階俊博氏が韓日議連一行に文在寅大統領の訪日を要請』で取り上げたとおりです。

これについては鈴置論考でもかなり辛辣に取り上げられています。

――またぞろ、二階幹事長が登場しました。

「またぞろ」、の表現に、二階氏(図表4)の怪しさが充満していると感じるのは、気のせいでしょうか。

図表4 二階俊博氏

(【出所】衆議院ウェブサイト)

ただ、これについて鈴置氏は、韓国側が「親韓派に招待状を発行させる」という「韓国に残された最後のカード」を切ったものだ、と指摘。

そのうえで、3つめと4つめの「辛辣ポイント」が出てきます。

『朝日(新聞)が日韓首脳会談をやれと言うのなら、しない方が日本のためになるのだな』と考える人が増えているからです。(中略)韓国の外交官が日本の識者を訪ねて『米国も韓米日の協力体制強化を望んでいる』などと執拗に説きもしました。が、それに引っかかって『日韓首脳会談をすべきだ』と騒いだ日本人は限られました」。

韓国政府、ことにこの政権の流す情報はいい加減であることが次第に知られてきて、下手に受け売りすると『韓国の使い走り』に認定されるからです」。

小気味よいほどに辛辣ですね。

とんでもないことをしでかした二階氏

しかも、個人的には、『二階俊博氏が韓日議連一行に文在寅大統領の訪日を要請』を執筆後、二階俊博氏が文在寅氏に「招待状を発行したこと」について、ちょっと厳しく批判しすぎたかな、という気もしたのですが、鈴置論考の次のくだりを読んで、こうした雑念は吹き飛びました。

鈴置:二階幹事長の発言により、青瓦台は韓国内で『東京五輪参観は日本から招待があったからだ』と説明、訪日反対を抑えることが可能になりました。さらに韓国側は二階発言をもってして『日本は本格的な首脳会談を約束した』と見なし、その実現を首相官邸に迫ると思われます」。

菅義偉総理はおそらく堅実な人物であると思いますので、おそらくは「党の幹事長の発言は政府の発言ではない」などとして無視してくれるものと信じたいところです。

特殊なのは「韓国」

さて、鈴置氏はこんな「目からウロコ」の指摘をします。

鈴置:要は『日韓の仲が悪いのは日本の植民地支配が原因である』との説明です。しかし、その『日韓関係は特殊』との主張も、次第に説得力が薄れています。韓国との首脳会談を開かないのは日本だけではないからです」。

たしかに、この視点はありませんでした。

そもそも北朝鮮も中国も、韓国との首脳会談にあまり応じていません。

その理由はおそらく、北朝鮮は南北首脳会談後に韓国からドルが送られてこないことに業を煮やしたためであり、中国は韓国がやたらとおべっかを使うわりに、5月の米韓首脳会談で共同声明に「台湾海峡」を明記したことに怒りを抱いているからなのでしょう。

以上を踏まえ、ぜひとも紹介しておきたいのが、今回の鈴置論考の最も重要な「辛辣ポイント」でしょう。

平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」。

これはまた強烈な記述ですね。

あるいは毒舌と言った方が良いでしょうか。

先ほど紹介したルトワック氏の文章と並んで、この鈴置氏の発言を半永久的に記録したいほどですね。

いずれにせよ、文在寅氏の訪日については、最後の最後まで曲折があるのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (101)

  • (※もちろん、日本政府は故食いしています)。
    おそらく誤記かと思われますが、この部分意味不明です。

  • 相変わらず、読み応えのある鈴置さんの論考でした。
    一番気になる点はこちらです。

    菅義偉政権は2020年9月に発足した直後から、北朝鮮に水面下での交渉を呼びかけ、これに北朝鮮も好意的に応じたかのように見えた

    北朝鮮との水面下での接触が前向きに進んでいるのなら凄いことです。
    実際に日朝首脳会談まで行く確率は低いとのことですが、脳内には北朝鮮のことしかない文大統領にとって無視し難い事象ではありますね。

    ところで、米国の圧力説ですが、恐れ多くも鈴置さんの説に少しだけ注釈をつけたい点があります。

    『日本との関係を改善したら、対北援助など韓国のやりたいことをさせてやる』と米国に言われた、との説明です。

    米国の圧力説が正しいとしても、米国は北朝鮮への援助の「十分条件」に日本との関係改善を持ち出しているわけてはありません。
    鈴置さんも指摘するように、それはあくまで「必要条件」です。

    しかし、韓国政府はそれを「十分条件」だと勘違いした可能性が大いにあります。何事も自分たちに都合の良いようにだけ解釈する韓国政府、特に文政権にありそうなことです。

    その結果、北朝鮮への援助のために日本との関係改善に熱心になっているというのが私の見立てです。

    頭の中に北朝鮮しかない文政権ですから、ここまで熱心に日本にストーカーするのは、当然北朝鮮が理由ですが、北朝鮮のための制裁緩和の条件を「都合の良いように勘違い」したというのが、あまりに韓国らしいですね。

    • 私もこちらの「韓国政府がアメリカの示した必要条件を十分条件と勘違いしている」説を支持します。現時点でアメリカが文在寅政権に対して十分条件を示すべき理由が皆無だからです。そんな条件を示すくらいならば、米韓ワーキンググループなど無用でしょう。
      アメリカの真意としては、「韓国が日韓関係を修復させ、日米韓という枠組みが機能するようになったら、朝鮮半島政策を前に進める検討を始めても良い(ただし、検討開始は制裁緩和を意味しない)」くらいのところだろうと思いますが、韓国政府は「とにかく日韓関係改善に繋がる何らかの"成果"があれば、制裁が緩和され、北朝鮮に対する"人道的支援"にもアメリカの諒解が得られるに違いない」と思い込んでいるのだということでしょう。
      北朝鮮の深刻な危機に関する情報が流れている現在、文大統領としては、一刻も早く大規模な"人道的支援"を実施したいと考えているに違いありません。だからこそ、とにかくなんでもいいから"成果"と言い張れるものが必要なのであり、必死に日本を動かそうとしていると見るのが妥当だと思います。「日韓関係改善に向けた"成果"があったんだから、北朝鮮に物資を送っても良いよね?(チラッ)」くらいのところでしょう。

      なお、ブラックスワン・ストーカー説については、現時点でははっきり否定的です。確かに、韓国の与り知らないところで日朝間の接触があり、何がしかの進捗があったりしたら、韓国にとって大きなダメージであるという点には同意します。しかし、日朝間の接触があったとしても、それが東京で行われる可能性は非常に低く、さらにたとえ東京で行われる場合であっても、文大統領が来日したとて何の牽制にもならないからです。
      韓国外交部の機能不全は相当深刻なので、その程度のことすら理解できていないという可能性は否定できませんが、文大統領がこんなに瀬戸際までジタバタする理由とするには無理があり過ぎると思います。

      文在寅大統領の動きを理解するためには、「北朝鮮」という補助線を引けばよいという点については全く異論はありませんが、この訪日をめぐるドタバタは、韓国政府の(よくある)致命的な勘違いが基になっていると考えます。

      • 勘違いと言うより曲解だと思う。
        相手の言質を意図的に捻じ曲げて都合のいい解釈をする。
        それを正されると「不意打ちだ・不誠実だ」と騒ぐ。

        北朝鮮の件もこんな感じじゃなかろうか。
        アメリカ「北朝鮮問題は日米韓で連携していく」
        曲解(日韓関係を改善すれば制裁解除していいんだな!)

        • 鋭いですね。
          "勘違い"というと"うっかり"のニュアンスがありますが"曲解"だと故意のイメージがあります。故意の場合、相手の意図を理解したうえで捻じ曲げているという事ですから相手の意図を理解している前提にも捉えられます。
          相手の意図を理解できていない「勘違い野郎」という意味で"勘違い"をスカイました。本当に相手の意図や曲解して行動した場合のリスクを考えているのでしょうか?

      • 龍 さま
        >>アメリカの真意としては、「韓国が日韓関係を修復させ、日米韓という枠組みが機能するようになったら・・・
        アメリカは未だ以前の三角枠組みが復活すると言う認識なのか私は疑問に思っています、もし口先枠組みの機能を望むのであればレーダー照射事件の時即介入すべきだと思うのですがだんまり、慰安婦合意破棄されてもだんまり、口先で相手双方が勝手に遣ってくれるのならまあ其れで良いか程度の話でしか無いのでは、日本としては韓国はアメリカの同盟関係なのだからアメリカが躾けろよと言いたいですけど言えませんね。

      • 龍様

        >日朝間の接触があったとしても、それが東京で行われる可能性は非常に低く、さらにたとえ東京で行われる場合であっても、文大統領が来日したとて何の牽制にもならない

        ご指摘はその通りだと思います。もし、近い将来、日朝の高位当局者間で国交開始に向けての公式の交渉が開始される、なんてことがあるとしたら、場所は当然東京ではなく、ストックホルムか、ウランバートルか、ともかく第三国になるでしょうし、直前まで秘密裏に調整がおこなわれるはずですから、ミナミがそれに首を突っ込む余地など1㍉もないでしょう。

        鈴置氏が具体的にどういう情報を掴んでいるのか、文中には出てきませんが、最早自壊寸前とも見えるキタの窮乏状況からすれば、ムン政権の期間内の電撃的日朝交渉の開始も、あながちないとは言い切れない気もします。その際、それが寝耳に水の国家惨事と自国民に受け取られれば、ムンのクビは間違いなく飛ぶ。ロウソクだかちょうちんだかによって、政権の座を追われ、即監獄行きとなるでしょう。

        それを避ける手立てはただ一つ。あのとき菅に対キタ交渉への要訣をアドバイスしておいた。ウリも喜んで側面支援するニダ、と言っておいたとすれば、まあ何とか言い訳は立つ。あとはお得意の韓流ファンタジー全開で、盛大に盛り上がればいい。せいぜいそれくらいかなと思います。

        鈴置説が正鵠を射ているとすれば、なんだかんだ言いつつ、結局ムンは東京に来ることになるんでしょうね。だけど、ミエミエの儀礼的首脳会談では、やっぱりマズいと思うのでしょうか。いかにもオモテには出せないウラ合意があることを匂わせる余地が残せる、というか国内的には存分に振り撒ける程度のものにする必要があるからこそ、この期に及んであれほど恥も外聞もないほどにジタバタしているんではないでしょうか。

      • 同意です。

        韓国脳では「願望・妄想」と「現実」の区別がつかなくなってしまう事が多いですし(レーダー照射事件を参照)、都合の悪い事実が認識できないし(「あるべき事」以外は徹底的に排除するK-朱子学のテンプレ思考とK-自己愛性人格障害の合併症)、結果として現実世界の因果関係を理解出来ない(K-自己愛性人格障害の弊害)から「必要条件」と「十分条件」の違いが判らないのは当然でしょう。

        こんな未開な思考様式を持っている民族が文明国の中にいるのはオドロキです。

        • > こんな未開な思考様式を持っている民族が文明国の中にいるのはオドロキです。

          朴李(park-lee)だけは上手いですから、巧みに文明国に擬態します。それと、ゆすり、たかり、踏み倒しも一級品です。そうやって日本からカネをむしってDGP世界10位にのし上がりました。大したものだし、ここまでしてやられてきた日本の間抜けぶりも悪い意味で大したものだと思います。

          • パクリがうまいというより、当代最も強い国に従って旨味を吸い尽くす、コバンザメ戦術に優れているということかもしれませんね。
            小国が生き残る上では必須の能力だったのかもしれません。

      •  私も「韓国勘違い説」に賛成ですが、龍様とは少し異なります。

        > 鈴置:嘘くさい話です。『日本との関係を改善したら、対北援助など韓国のやりたいことをさせてやる』と米国に言われた、との説明です。

         鈴置さんはこう書いてますが、アメリカに何か言われたのは確かと思われます。ただその中身は「北朝鮮の問題を進めるようアメリカに求めたいなら、日本との問題を一つくらい片付けてからにしてはどうか?(どうせできないだろうけれど)」というアメリカ側の「嫌味」に過ぎなかったと私は考えてます。

         ところが、朝鮮人に嫌味や皮肉は通用しません。この言い方では、
        「日本との問題を解決すればアメリカは北朝鮮との問題を進めると言った」と曲解します。そこからはウリナラファンタジーの暴走です。

        「日本との問題を解決する
        →アメリカが対北経済制裁を解除してくれる
        →もう一度南北首脳会談を開ける
        →文大統領の仲介で米北首脳会談が開ける
        →開城工業団地と金剛山観光が再開できる
        →朝鮮戦争終戦宣言を出せる
        →在韓米軍は撤退してくれる
        →南北統一ができる
        →北朝鮮の核を分けてもらえ、核保有国になれる
        →日本を上回る世界大国になれるニダ!

        そして文大統領はノーベル平和賞ニダ!監獄行きを避けられるニダ!」

         なんだかゴールの遠いすごろくをやってるような気がしますが、文在寅一味には最初さえ上手くいけば後は全てが順調に上手くいくと考えているようです。だから上手くいかない時を想定した別の案や修正案を考えてさえおらず、つまづいたところで立ち止まってしまい、日本やトランプ前大統領のせいばかりにしたり、米北へしつこい程会談を呼びかけたりするしかないのです。

         アメリカの嫌味を韓国が勘違いして暴走している、という「韓国勘違い暴走説」ものであれば、アメリカが日本に圧力をかけた形跡がないなどの矛盾を説明できます。非常にこっけいであり、まともな人間であれば恥ずかしくて取らないであろう行動ですけれど。

        • 韓国人にとって、恥はかかされるものであって、かくものではありません。従って、ストーリーが初っ端から躓いたとしても、「日本に恥をかかされた」となるだけなので、何も問題はないのです。

        • とある福岡市民様、同感です。

          何年か前の事ですが、韓国がK-FX「開発」を推進する際、当時の韓国国会答弁で韓国政府の関係者が「米国は韓国に軍事的な核心技術を提供してくれると約束した」と言っていましたが、米国側は「そんな事は言っていない。そもそもステルス核心技術移転は米国議会の承認なしには不可能だよ」と韓国側の妄想を否定した事と似ていますね。

          韓国の「願望と現実の区別がつかない」と、韓国の常套句の「後頭部を殴られた」は見事なブックエンドの対となっています。

          こんなウソ満載の国会答弁をした政府役人が信用失墜で免職にならない事もオドロキですが、韓国有権者がそんなウソを見逃して被害者面をするのも韓国の国家・民族としての異常性の例でしょうな。

      • 「勘違いした(?)」とは
        おつむが弱いみたいで
        失礼この上ないニダ。

        勘違いしたフリをして
        そこからテクニックを駆使して
        頑張っているのニカ。

      • みなさまの分析・コメント、とても面白いです。
        勉強になりますわ

    • 「韓国の都合のいいように勘違い=曲解に加えて、もう一つ可能性が高いのは、米国の発言者です。

      北朝鮮への制裁緩和などという難作業を米国に依頼する前に韓国サイドでやるべきことをやらなければならない。たとえば、日本との関係改善で一つでも成果を出してからにして欲しい。(必要条件)

      という趣旨の発言を行ったのはもちろん非公式でしょうし、もっと言えば担当者レベルの雑談の一部であったかもしれません。
      まともな外交チャネルを持つ国なら、米国政権の真意をすぐに確認して、齟齬がおこらないようにするものですが、外交リソースが枯渇しかかってる今の韓国では、こんな雑談レベルの話を「米国政権の正式な要請や許可」と勘違い(妄想)している可能性も少なくありません。

      • これって十分あり得る話なので、笑えませんよねえ。
        今や全方位的に後頭部を晒しまくっている韓国外交部ですが、果たして立て直しってできるもんなんでしょうか?

        左派政権が継続すればさらに悪化するのは必定ですので、もしかするとアメリカ(および日本)が次期政権として右派政権を望むのは、せめて会話のできる外交部にしてくれという悲鳴なのかもしれません。

        • 北朝鮮てさえ、外交官は外交プロトコルを守りますからね。韓国の外交部の能力低下は著しいです。
          外交って本当に特殊な世界で、外交官同士にしかわからないプロトコルが山のようにあります。
          敵国との交渉さえ、このプロトコルに則って行われるのですが、仮にも同盟国がこの外交プロトコルを守れなくなってきてるのには、米国も頭が痛いでしょうね。

  • 北朝鮮や中国も特殊ですね。
    特殊な国でさえ相手にしない特殊な国と国ということでしょうか。
    民主主義などの面を被っているだけ悪質ですね。

    • 政治形態で言えば北も中も軍事独裁政権なのでまあ普通。
      対して、任期五年の独裁国家は珍しい。

      • おっしゃる通り、民主主義のフリをしてる分だけ、より悪質に感じます。ネットの発達などで、隠せなくなってしまったのかもしれませんね。

        • ここで韓国の養護をすると叩かれるかもしれませんが、韓国の場合は「悪気の無い悪行」と「自覚のない愚行」ですので、特に企んで悪い事をしている訳でも、相手を故意に騙している自覚がある訳でも無いと思います。

          特段の悪気無く、ごく自然体で嘘を吐き約束を破れる民族は倫理論や地政学ではなく、精神病理学で扱ったほうが建設的だと思います。

  • 昨日の夜、テレビでTBSをつけてたら以下のようなニュースが流れました。
    「日韓の外交関係者によりますと、文大統領の訪日に合わせた首脳会談に向けては、日本側が韓国を輸出管理の優遇対象から外した状態の回復、一方の韓国側は破棄できる状況の日韓の軍事機密共有協定「GSOMIA」の運用を安定化させる方向で合意を目指し、最終調整が行われている」
    実に噴飯ものニュースでほんとかよって思ったのですが、少なくとも二階氏の招待発言を受けて流れされたものでしょう。
    いったい誰が流したのか、フェイクニュースになりそうなニュースですから韓国側が流したに違いないと信じたいところです。

      • ないないw
        GSOMIAをいつでも破棄できることが外交カードと考えているのは韓国政府だけ。
        日本政府は、破棄するならご自由にとのスタンスなのは前回で表明。
        アメリカ政府は、制裁するだけ。

        韓国政府関係者と二階あたりが、菅総理に会談をせまるための最終調整をしてるのでしょう。
        最終調整を誰がやってるか書いてないのがミソ。

    • ここの常連さんにも動揺する人はいるわけですから(https://shinjukuacc.com/20210716-03/#comment-174579)。テレビしか見ない人間をだますのはたやすいのでしょう。

      • 駐韓国の日本大使館・領事館勤務だった外務省のお役人には韓国側のハニトラに引っかかったタワケ者がいる可能性にたった今気付いて愕然としました。

      • その可能性高いでしょ。韓国のロビング能力は侮れないものがありますから。朝日、毎日、日経、TBSなどに韓国のプロパガンダのようなニュースを流させるのに成功してますし、WTOの事務局長選挙でも泡沫候補の韓国人を決選投票まで持ち込みましたからね。
        韓国大使館の人間がマスコミ、政治家、役人にいろんなところでいろいろ吹き込んでいるのでしょう。

    • 「GSOMIAの運用を安定化+ムンのクビ」くらいに水増ししたところで、とても等価交換とは言えないですね(笑)。

      • 等価交換どころか、GSOMIAの運用が韓国のせいで不安定なら観光による協定違反ではないでしょうか。

  • 今回はいつにも増して、読み応えのある鈴置氏の論考でしたね。ふだん、JBプレスやらゲンダイweb.やAERAドットcom.やら時事通信、共同通信、はたまたATM 、NHKなどの「読む気が失せる」報道を見てると、もう1ページ目から集中出来ます。

    二階氏の発言により、果たして文大統領の五輪開会式出席と首脳会談はあるのでしょうか?私は鈴置氏のインタビューを見ると、菅総理の言う「15分程度」「丁寧に」なら承諾しそうですが、あくまで正式な会談要請なら菅総理は拒否でしょう。

    何ら日本への無礼の数々に、謝罪や釈明を述べず、自分の立場を守るだけの意図なら、加担する必要は無いからです。15分儀礼にもジル・バイデン夫人を同席させればいいと思う。後で「言った」「言わない」を避ける為。文大統領と2者会談は絶対に避ける。形式通りの挨拶だけにするわけです。で、文が去った後、バイデン夫人とは更に話を続ける。

    平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国が藁にも縋る会談を求めるのは、日本だけです。他国は相手にしませんよ、こんな嘘つきで何を取りきめようが、すぐに反故にする国に。

    鈴置氏の最後の一言、決まり文句になりそうです。
    「日韓がうまくいかない原因は韓国の特殊性にある」そうだ!更に、
    「韓国人にはその自覚がありません。すっかり信用を国際社会から失ったのに、常に他人が悪い」。我々には「どっちもどっち」「お互いに悪い点がある、ココは一つ未来志向で」(笑)。聞き飽きましたわ。

  • いつも楽しみに拝読しております。

    ご自分たちも植民地でひどいことをしてきた欧米の諸国は、今までは日本の植民地支配原因説を信じていたようですが、さすがに韓国の振る舞いがここまで来ると、韓国の方が特殊な国だと気づき始めたのでしょう。日本の国民の大多数は、鈴置さんが記事の中でさりげなく書かれているように「朝日が日韓首脳会談をやれと言うのなら、しない方が日本のため」という意識に既になっています。
    韓国人が、韓国は日本に対し道徳的優位を持っていると考えていることは、根拠のない人種的な優越論ですから、要するに日本と日本人に対する人種差別、ヘイトの類です。差別反対の運動家の方々には、ぜひ「日本人への被差別」についても活動していただきたいと思います。

    • 確かに韓国という国は国際的にも日本国をヘイトして差別発言を繰り返して発信していますね。「差別、差別」という方々は韓国の幼児期からの反日教育や日本ヘイトについては黙認ですから、これもツートラック=要は2枚舌と思います。

  • 昨日のニュースで、バイデン政権が香港で事業をしている米法人・個人に「リスク警告」を行ったとするニュースが流れました。

    バイデン政権、香港での事業リスクを米企業に警告-中国の統制強化で
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f228009fdcda1b451a2c2494caba66167d938a29
    ※元記事はブルームバーグ

    香港返還時の約束が守られず、法の支配が覚束なくなっていることなどを理由に、香港で事業をするリスクを注意喚起したものです。

    ここで、個人的な希望として、韓国で事業をする日本企業や個人に対して、日本政府がリスク警告を発するのは、かなり有効ではないかと思いました。
    まぁ、あいつらが反発するのは必須で正直、効きすぎるかもせれませんが、実際に日本企業であるというだけである日突然向こうの政府から資産を差し押さえられるリスクが存在するわけですから、別に荒唐無稽な話ではなく、日本にとって「理」も「利」もある警告になると思っています。
    さらに言えば、本当にに発さなくても「警告を検討」とのニュースを流すだけでも、それなりの効果があるかもしれません。

    以前、鈴置さんは「いまが攻め時」と仰っていたように、日本の世論があいつらの「異常さ」や「信用のおけなさ」を十分認識しているいまなら、この警告に反対するのは向こう寄りの限られた人だけだし、「韓国の特殊性」によって反対する人への反論は十分に可能です。

    もちろん現実世界では、日韓議連の面々がいるし、その他さまざまなファクターが絡むので、簡単でないことは承知しています。
    それでも、今後、閉塞し進展しない両国関係を「打開」する荒療治の一つとして、価値ある案だと思います(まぁ、すでに「100の報復」に含まれているかもしれませんが)。

  • 東京オリンピックは日本の成果だ。それに花を添えることなどしたくない。だから行くわけない。ところが、まてよ、オリンピックの開会式に首脳が出席すること自体、不自然ではない。
    日本に何か譲歩させれば政権の得点になる。それなら行ってもいい。
    ところが日本政府から色よい返事がない。いつもの手で新聞記者にリークする。
    会談ぐらいはしてもいいよと言っている。あいさつ程度で帰ってきたら恥をかく。
    結局来ないんじゃない? いつものことだけど異様にメンツを気にして自分でハードル高くしてる。

    • こういう考え方が 韓国を今のようにした原因の一つだと自分は思います

      • ワクチン10万回分は最高の侮辱になると思いますよ。
        台湾250万、東南アジアでも100万回分だから。

        • 例え1回分でも、副作用だの薬害だの粗悪品を押し付けられただの謝罪と賠償寄越せだの、実害が発生するのは火病を見るより明らかです。

    • sqsq様

      「ワクチン10万回差し上げたら。」

      それは最悪の選択でしょう。日本を知って頂く機会として、また監獄30年暮らしになるシャバの最期のもてなしとして、福島県他東北の海産物の試食会がお似合いですよ。あ、クラブケーキも(笑)ジル・バイデン夫人が手渡し(爆笑)。

    • 日本で困窮している現役慰安婦の人道的送還を手伝ってあげるべきでしょう。

1 2 3