ワクチンの円滑な接種を妨害したのは日本共産党と立憲民主党
東京都で新規陽性者数の「リバウンド」が生じているというのは、以前からしばしば当ウェブサイトでも指摘して来た点です。ただ、それと同時に昨日の『東京都の新規陽性者数を職業別・年齢別にグラフ化する』でも取り上げたとおり、東京都の場合、新規陽性者に占める医療従事者の割合は激減し、高齢者の割合も低下する兆しを見せています。こうしたなか、重症化率が高いとされる高齢者と低いとされる若年層について、倍率を乗じて指数化してみたらどうなるか、検証してみました。
目次
東京都でリバウンド中だが…
東京都の新規陽性者数やその「7日間平均値」については、6月中旬ごろから明らかにリバウンドしています。たとえば昨日、つまり6月29日(火)時点においても、新規陽性者、平均値ともに、前日比で見ても、前週比で見ても、着実に増えています。
東京都・6月29日(火)の状況
- 新規陽性者数…476人(前日比+159人、前週比+41人)
- 7日間平均値…495人(前日比+6人、前週比+89人)
これをグラフ化したものが図表1です。
図表1 東京都新規陽性者数
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
医療崩壊リスク遠のく
医療従事者や高齢者の割合が減少中
ただ、昨日の『東京都の新規陽性者数を職業別・年齢別にグラフ化する』でも取り上げましたが、東京都における新規陽性者数データをもとに分析すると、この新規陽性者に占める「医療従事者」、「高齢者」などの割合は、顕著に低下しています(図表2、図表3、図表4)。
図表2 東京都における新規陽性者に占める医療従事者の比率
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
図表3 東京都における新規陽性者に占める高齢者の比率
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
図表4 東京都における新規陽性者に占める高齢者の比率(7日間平均値)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
つまり、新規陽性者数自体は上昇に転じたものの、新規陽性者に占める医療従事者の割合はむしろ激減し、また、高齢層に関しても、まだ「激減」とはでは言えないにせよ、間違いなく、低下する兆候が見えているのです。
まさに、医療崩壊リスクは絶賛遠のいている、というわけです。
「30歳代と比較した重症化率」
こうしたなか、ふと思い出すのが、厚生労働省が公表する『新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識』という資料の4ページ目にある、「30歳代と比較した場合の各年代の重症化率」という統計的事実の記載です(図表5)。
図表5 30歳代と比較した場合の各年代の重症化率
(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識』P4)
これによれば、30歳代を1とすれば、重症化率は10歳未満で0.5倍、10歳代だとわずか0.2倍(!)、20歳代でも0.3倍であり、これに対し、40歳代で4倍、50歳代で10倍(!)、60歳代で25倍(!!)です。
ちなみにそれ以降は70歳代が47倍、80歳代が71倍、90歳以上で78倍だそうですが、年齢が上がれば上がるほど、感染によるリスクが飛躍的に上昇する、というわけです。重症化リスクが30歳代の0.2倍である10歳代と比べれば、90歳代の重症化リスクは390倍(!)です。
危険指数を作ってみた
こうしたなか、「価値観が違いすぎる」様というコメント主の方から、こんな趣旨のコメントを頂きました。
「この年代別のグラフに、年代別の重症化倍率をかけて、危険度指数グラフにしてみるというのはどうですかね?」
なかなか、面白そうなアイデアですね。
図表1に示したとおり、東京都の新規陽性者数に関するデータは、過去にさかのぼって年齢別に取得可能です。そこで、年齢階層別に再集計し、これに次の「倍数」を掛け合わせて合計すれば、一種の「危険指数」のようなものができるのではないかと思いました。
- 10歳未満…0.5倍
- 10代…0.2倍
- 20代…0.3倍
- 30代…1倍
- 40代…4倍
- 50代…10倍
- 60代…25倍
- 70代…47倍
- 80代…71倍
- 90代…78倍
実際に「重症化指数」を計算してみたら…?
100歳以上については数値がないので、90代と同じく「78倍」を使うことにし、また、年齢不明のデータについては無視したうえで、加重平均して計算した数値を「東京都重症化危険指数」と定義し、その推移をグラフ化したものが、次の図表6です。
図表6 東京都重症化危険指数
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータに上記倍数を乗じて作成)
形は何となく図表1とも似ていますが、ピークが微妙にずれています。それを見るために、次の図表7では、この「危険指数」を東京都新規陽性者数と同一のグラフに示してみましょう。
図表7 東京都新規陽性者数と東京都重症化危険指数
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータ等を参考に著者作成)
両者はおおむねグラフとして重なっているのですが、あきらかに両者にズレが生じていた時期もあります。これについてもう少し詳しく見てみます。
たとえば、昨年末から今年の年始にかけての時期については、新規陽性者数に占める高齢者の割合が高かったためでしょうか、「危険指数」が東京都における新規陽性者数(×10)を恒常的に上回っていました(図表8)。
図表8 東京都新規陽性者数と東京都重症化危険指数(2020年12月1日~2021年4月20日)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータ等を参考に著者作成)
しかし、高齢者に対するワクチンの優先接種が始まる前後くらいから、両者が再逆転し、現在では「危険指数」は新規陽性者数(×10)の半分くらいに減っている、というわけです(図表9)。
図表9 東京都新規陽性者数と東京都重症化危険指数(2021年2月9日~6月29日)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータ等を参考に著者作成)
ワクチン接種は野党が妨害した
ワクチン接種は1日100万回を大きく上回る
さて、ワクチン接種が急激に進み始めたのは、6月以降のことです。
昨日の『ワクチン総接種回数の「増分」が1日150万回を記録』でも報告しましたが、現在、日本のワクチン接種は極めて急速に進んでいると考えられ、データの1日の増分も、当初、菅義偉政権が掲げていた「1日100万回」をはるかに上回っています(図表10)。
図表10 総接種回数の増分(公表日ベース)
(【出所】VRS『新型コロナワクチンの接種状況(高齢者等)』で提供される6月7日(月)~6月29日(火)分のオープンデータより著者作成)
先行する医療従事者等に対する接種が進捗するに従い、医療従事者が新規陽性者に占める割合が激減したのですが、高齢者の世界でも、早ければ来月中旬にも、これと同じことが起こるかもしれません。
菅総理が「戦犯」?違うでしょう!
こうしたなか、少し古い話題ですが、朝日新聞系のウェブサイト『アエラドット』が配信した記事が、『Yahoo!ニュース』に掲載されていました。
菅首相は戦犯に間違いないが、立憲、共産党もポンコツ過ぎたワクチン国会〈dot.〉
―――2021/6/17 18:36付 Yahoo!ニュースより【AERA.dot配信】
ここに、こんな記述があります。
「政府は当初、ワクチンがコロナ対策のゲームチェンジャーとなることを見越し、日本でも早期に接種開始できるよう、海外の臨床試験データに基づいて迅速に承認する『特例承認制度』の活用を検討していた。しかし、立憲と共産党が強く反発。ワクチンではなく、むしろPCR検査体制の拡充をと主張した。立憲や共産党はワクチンの効果には人種差があるという理由で国内での治験にこだわり、欧米各国で行われていたワクチンの緊急使用に猛反対した。予防接種法の法改正でも、こうした立憲・共産党の意向を踏まえ、ワクチン審査を慎重にすべきという付帯決議が付けられたほどです」
これ、発言したのは「政府関係者」だそうですが、事実であればまさに立憲民主党と日本共産党がワクチン接種を妨害したということであり、『アエラドット』の記事タイトルにある「菅義偉総理が戦犯」とする記述は明らかな事実誤認でしょう。
現在はコロナの終息を優先すべきであるというのはそのとおりではあるものの、日本共産党と立憲民主党が全力でワクチン接種を妨害したという事実については広く共有されるべきでしょう。
その意味で、「戦犯」は野党であり、また、「報道しない自由」を駆使し、野党がワクチンを妨害したという事実の共有を妨げているという意味においては、新聞、テレビなどのマスメディアの罪も極めて重いと言わざるを得ません。
さしあたって次の総選挙では、私たち有権者は賢く行動しなければならないといえるのではないでしょうか。
View Comments (17)
早期承認の一番の抵抗勢力は厚生労働省だったと思います。
野党を陰で焚きつけてた、とかないっすかね?
厚労省でしょうね。
薬害訴訟で懲りておりますので、前例もないのでヘタに手続きを省略して尋常でない後遺症を持つ人や死者を出した場合、国家賠償訴訟で敗訴すれば賠償の対象になると思われます。
厚労省の役人にとってみれば悪夢であり、責任回避したいに決まっています。
大臣や政務官等政治任用の人間が、「俺が責任を取る」と言ってくれなければ私が役人でも積極的には進めるとは思えません。
官僚機構とはそんなもんでしょう。また、選挙の洗礼を経ていない官僚に勝手に政治を行われては大変なことになってしまいます。
でも、さすがに一日百万回接種は努力目標だろうと私も思っていたのですが
、既に達成した様だというのは、少々ポンコツの部分はあってもヤッパリ官僚機構の凄さを再確認させてもらいました。
一朝事ある時の日本人は官僚機構を含めて凄い。
引きこもり鎌倉の住人 さま
インフルエンザワクチンは毎シーズン確か5000万回ぐらい接種されてます。
mRNAワクチン特有の冷凍と配送、現場での取り扱い法の周知、はハードルだったと思いますが、かなりの範囲業者に丸投げできたでしょうし、接種そのものは接種する医療機関に適当なニンジンさえぶら下げれば、100万回ぐらい軽くいけるんとちゃうんかい、と思ってました。
まあ、ワクチン接種の仕組みができていた、という点は評価しますが「一朝事ある時の動き」としては、むしろ非難される点のほうが多かった気がします。
なお、口には絶対出さず「通常診療とワクチンで疲弊してる」とか言ってますが、今、開業医はプチバブルでウハウハという噂です。コロナで開業医の減収が問題になってましたから、寿司問題で突き上げを食らってた医師会上層部は胸をなでおろしてるでしょうね~。
>現在はコロナの終息を優先すべきであるというのはそのとおりではあるものの、日本共産党と立憲民主党が全力でワクチン接種を妨害したという事実については広く共有されるべきでしょう。
慎重に承認することの是非はともかく、このような経緯で承認が遅れたことは広く共有すべきだと思います。
ただ、この事実を知らない人間がワクチン接種の遅れに対して政府を批判するのは仕方ありませんが、遅れの原因を作った当事者(党)が政府を批判するのはどうかと思います。
https://www.sankei.com/article/20210529-AQX7B3TV55PORNQSDF6TW3CTOU/
わたし個人は、海外での治験データーを元に特例承認していれば、オリンピックも盛り上がり、コロナで消沈した国民の元気が一気に回復できたのにと考えます。
価値観が違いすぎる様の「危険度指数グラフ」ナイスアイディアですよ
グラフの形状からリスク状況が改善していることが一目でわかります
集合知とかこういうの大好き
本稿での指数算定の方式?で65歳以上の高齢者とその他の者での加重平均値を計算してみました。
大雑把ではありますが、高齢者とその他の者に潜在してる重症化リスクには約10倍の違いがありそうです。
全体的なリスク数値(2,214,374,117)を分母として、公表されているワクチン接種実績に下記の指数を換算すると、ワクチン接種での”正味のリスク回避達成率”が把握できたりするのかな・・?(医療関係者分は65歳未満と仮定して)
①65歳未満での加重平均指数(一人当たり 4.936)
②65歳以上での加重平均指数(一人当たり49.650)
A.年齢別人口 B.重症化指数 (A×B)
0~4歳 4,783,530 0.5 2,391,765
5~9 5,271,118 0.5 2,635,559
10~14 5,473,614 0.2 1,094,723
15~19 5,877,047 0.2 1,175,409
20~24 6,410,149 0.3 1,923,045
25~29 6,466,220 0.3 1,939,866
30~34 6,950,524 1 6,950,524
35~39 7,730,481 1 7,730,481
40~44 8,798,415 4 35,193,660
45~49 9,960,058 4 39,840,232
50~54 8,666,374 10 86,663,740
55~59 7,778,677 10 77,786,770
60~64 7,484,949 25 187,123,725
小計 91,651,156 452,449,499
65~69 8,512,280 25 212,807,000
70~74 8,760,156 47 411,727,332
75~79 7,151,679 47 336,128,913
80~84 5,261,420 71 373,560,820
85~89 3,542,733 71 251,534,043
90~94 1,706,646 78 133,118,388
95~99 479,940 78 37,435,320
100歳以上 71,959 78 5,612,802
小計 35,486,813 1,761,924,618
換算指数の合計値 2,214,374,117
あれれ、数字が揺れるのはスペースのせいかな??
単位くらい入れれば良かった。(◞‸◟)
立憲・共産党がワクチン接種に反対したのは隠したい事実だが、儒教的には
全ての責任は首相が負う事になっているので、AERAのタイトルは
間違いありません。
首相はアジア的やさしさで立憲・共産党を抱擁しなければなりません。
と書いてきて、ベトナム戦争やカンボジアのポルポトへの赤旗の記事を思い出しました。
菅総理が結果責任を負うべき立場にあることには同意しますが、「戦犯である」とすることには違和感があります。つまり、① 立民・共産やそれを支持するマスコミ、支持有権者が「故意に」ワクチン早期接種に向けた特例的真偽を「妨害した」のだし、②その妨害にも負けずに100万回の実績ができ7月中の高齢者接種終了が確実になっていて、成功の部類にあるから、③政府は負けていなくて、負けているのは妨害を企てた勢力であるからその勢力が「戦犯」えある、と考えます。
従ってAREAのタイトルは恣意的に政府を貶めるものだと感じます。
なお報道を見ると、菅総理は党首討論の時に枝野氏と、立民の妨害責任についてやりあってましたね。
(例えばhttps://news.yahoo.co.jp/articles/8225ca716c39294eed9f763ee83d032ba822d620?page=1)
最終的には首相の責任かもしれませんが
いくら条件反射で噛みつくとはいえ当事者(党)が責任を追及するのはいかがなものかとは思います。
蓮舫氏、「あまりにも遅いと言わざるを得ません」と苦言を呈した。
https://www.daily.co.jp/gossip/2021/04/01/0014202310.shtml
大変な計算をしなくても、死者数を見れば都内のコロナリスクが大きく下がってきていることがわかりますね。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/deaths-by-death-date
によると、都内の死者は今月中旬以降は0か1の行進です。
新宿会計士様。興味ある重症化危険指数の説明ありがとうございます。
感染者に関する発表データ(https://newsdigest.jp/pages/coronavirus/)によると、東京都新規感染者は今年減少傾向にあった2月中旬からの1か月間平均約290人に対し、
6月の最近1か月平均は約420人です。本文中の図表9からはこの両期間の危険指数は約5000と約3000又はそれ以下と読み取れます。
考えようによりますが、感染者の少なかった2月から3月の平均感染者290人に対し6月中は増加して420人というより、危険指数から200人以下と実質考えてもよい感じを受けますが如何でしょうか。
今週から始まった英国のウインブルドンテニスでは、ほとんどの観客がマスクをしていませんでした(日本人らしき観客は着用)。英国新規感染者は日本の人口比にすると4万人程度の感染者となります。コロナワクチンの接種割合が国民の5割以上の英国でマスクをしていないのは、危険指数が極めて小さい結果だと納得しました。勿論死者も少ないです。英国は科学的だなーと思いました。危険指数についてはマスコミでの報道は未だ見ていませんし、それ以前にマスコミは理解できていないかもしれません。
危険指数と重傷患者数や死亡者数との相関を見るのもおもしろいかもです。タイムラグを一定とれば、高い相関を示しそうです。そうすれば有用な先行指標になります
新宿会計士様
本文中にある厚生労働省の新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の基礎知識(2021年6月版)がリンク切れになっています。
地方公共団体のWebサイトでもリンク切れになっていましたので、おそらく厚生労働省が当該資料を掲載しなおしたことが原因のようです。
新しいリンク先はおそらくこちらの資料だと思います。
◎(2021年6月版)新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の基礎知識
https://www.mhlw.go.jp/content/000788485.pdf
新宿会計士様
ちょっとした思いつきだったのを、こんなにも素早く対応していただいてありがとうございます。
これなら、まだワクチン受けていない若年層で感染者増えても、影響度が少なくなるから、増えた増えたと大騒ぎしなくても良いのではないかなと。