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テレビ「韓国には韓国の理屈」ネット「日本にもある」

本稿は、ちょっとした「小ネタ」です。普段から当ウェブサイトで申し上げているとおり、社会のインターネット化が進めば、新聞、テレビを中心とする大手メディアの情報支配力が低下するはずです。それについて考えるうえで、ちょっとした「事件」があったようです。

ネット情報発信の長所と短所

普段から当ウェブサイトでは、「社会のインターネット化が進めば、新聞、テレビを中心とした大手マスメディアの情報支配力が低下するはずだ」、と申し上げています。「文章を書いたり、写真や動画を撮ったりして不特定多数の他人に見せる」という行為へのハードルが、どんどと下がって来ているからです。

ほんの10年ほど前であれば、まだまだネットにアクセスできる人の数は限られていましたが、スマートフォンが急速に普及したことなどの影響もあり、いまや新聞やテレビ「だけ」で情報を得ようとしている人は、むしろ少数派になりつつあるでしょう。

もちろん、社会の急激なネット化には、さまざまな問題点もあります。『ブログ「炎上事件」、なぜ発生?』や『読者投稿要領と「不適切な事例」』などでも報告したとおり、「ついうっかり」で不適切な内容の投稿をして「炎上」してしまう、という事件は後を絶たないからです。

あるいは自動車が出現し、交通事故が激増したようなものでしょう。新しいテクノロジーが登場し、社会が便利になるときには、たいてい、必ず何らかの弊害が生じるものなのです。そして、それらの弊害を上回るメリットをもたらすからこそ、新しいテクノロジーが社会で受け入れられるのだと思います。

いずれにせよ、社会のネット化によって最も大きな影響を受けている業界のひとつがマスメディア(とくにテレビ局と新聞社)である、という点については、もはや疑念の余地はないでしょう。

そして、新しいテクノロジーが出現したときには、それを使いこなせなくて事故が起きるのも仕方がない話ですが、もうひとつ特徴があるとすれば、古いテクノロジーに依存している人たちが社会の変化についていけなくなることです。

最近、ときどき引用するのが、今から約10年前、2011年1月10日(月)付の読売新聞東京朝刊1~2面に掲載された、『日本の改新/識者に聞く』という山崎正和氏に対するインタビュー記事の、次の記述です(※山崎氏は2020年8月に他界されています。ご冥福をお祈り申し上げます)。

もう一つ心配なのが、大衆社会がより悪くなることだ。ブログやツイッターの普及により、知的訓練を受けていない人が発信する楽しみを覚えた。これが新聞や本の軽視につながり、『責任を持って情報を選択する編集』が弱くなれば、国民の知的低下を招き、関心の範囲を狭くしてしまう。ネット時代にあっても、責任あるマスコミが権威を持つ社会にしていく必要がある。

山崎氏という「外部者」の口を借りているとはいえ、この記述は、読売新聞を含めたマスメディア側のネットに対する「ホンネ」のようなものでしょう。

「知的訓練を受けていない人の情報発信」が、いわゆる「迷惑系ユーチューバー」や先日列挙した「炎上事件」などのことを指しているのだとしたら、山崎氏の10年以上前のこの指摘は、慧眼に基づくものだったといえるでしょう。

しかし、もうひとつ残念なのは、「『責任を持って情報を選択する編集』という仕事を、マスメディア側がしてこなかったのではないか」、という疑念に、この文章がまったく答えていないことです。情報を「切り取り」して恣意的に「編集」し、結果として民意を歪めて来たのは、むしろマスメディアの側ではないのでしょうか。

テレビ「韓国には韓国の理屈がある」ネット「日本の理屈もある」

こうしたなか、マスメディアの影響力が低下したと思しき話題を、ひとつ発見しました。神戸新聞系のスポーツ紙『デイリースポーツ』のウェブ版に昨日掲載されていた、こんな記事です。

青木理氏「サンモニ」で「韓国には韓国の理屈がある」 ネット「日本の理屈もある」

―――2021.06.13付 デイリーより

『デイリー』によると、ジャーナリストの青木理氏が13日、TBS系『サンデーモーニング』に出演し、自称元徴用工問題等を巡り、次のような趣旨の発言をしたのだそうです。

  • 日本から見るとゴールポストを動かしたりしてるって見えるかもしれない(が)日本の過去の植民地統治の痛み、被害がある
  • (1965年の日韓国交正常化について)アメリカが共産圏と対峙するために、日本と韓国に『仲良くせいや』と言ってきたこともあったし、日本の保守勢力が韓国の軍事政権と結びついていた。政治的妥結と妥協として国交正常化した
  • (この妥結と妥協の結果として韓国では)「市民の権利は置き去りにされ、(日本の)統治が違法か合法かあいまいにした
  • 『国際的な約束を守らないのはおかしい』っていうのも一理あるけど、韓国には韓国の理屈がある。(中国や北朝鮮との関係も踏まえ)やっぱり日韓は仲良くした方がいい

こうした発言については、ほんの10年前くらいまでであれば、「あぁ、なるほど」と納得する人は、それなりにいたのかもしれません。

ただ、大変に申し訳ないのですが、この「サンデーモーニング」の事例こそ、テレビの影響力が大きく低下しているという証拠に思えてなりません。というのも、『デイリー』によると、ネット上では次のような指摘があったと記載されているからです。

  • 韓国の理屈があるのは理解できるが、それを日本が無理して受け入れる必要はない
  • 韓国の理屈が日本の理屈に優先する理由は?

じつは、この日韓関係を巡るテレビ出演者の発言と、それに対する「ネットの反応」は、わが国におけるマスメディアとネットの「力関係」を見るうえで、なかなか良いケース・スタディではないかと思うのです。

(※ちなみに当ウェブサイトにおける「韓国の方こそ国際法や条約、約束などを守る方向に舵を切らねばならない」とする見解については、『徴用工・慰安婦問題に「12の解決策」と騙る駐日大使』などを含め、これまでに当ウェブサイトでさんざん強調してきたので、本稿では割愛します。)

この『デイリー』の記事でもわかるとおり、ネットの興味深いところは、読者や視聴者が、「ほかの一般人の包み隠さない反応」を、ほぼリアルタイムに共有することができるという点にあるのだと思います(※もちろん、発言者に対する罵詈雑言のたぐいは非常によくありませんが…)。

ユーザーの反応

また、この『デイリー』の記事が、『Yahoo!ニュース』にも転載され、コメント欄が大変な盛況を博しています。

青木理氏「サンモニ」で「韓国には韓国の理屈がある」ネット「日本の理屈もある」

―――2021/6/13 13:47付 Yahoo!ニュースより

記事の内容は、『デイリー』で確認したものとまったく同じですが、『Yahoo!ニュース』の場合は読者コメント欄が設けられています(※ただし、同じ『Yahoo!ニュース』でも、すべての転載記事にコメント欄があるわけではありませんのでご注意ください)。

つい先ほどの時点で、コメント数は3796件に達しており、それらのなかで目についたものをピックアップし、要約すると、だいたい次のような趣旨のものが多くの賛同を集めているようです。

  • そもそも「戦後処理」の意味を理解していない。「韓国には韓国の理屈がある」というが、その「韓国の理屈」は戦後処理の否定であり、謝罪と賠償の永続化を狙うものでしかない。そんな理屈に付き合う必要はない
  • 「韓国の理屈」は韓国国内の問題に過ぎず、日本との関係においては、国と国が合意した時点で国際ルールに従うのが当たり前。「韓国の理屈を尊重しなければならない」というのなら、韓国とは何の約束も条約も結べないことになる
  • 「韓国の理屈」がどんなものかは知らないが、国際社会においては国際的な約束が優先されます

ほかにも、発言者の方を舌鋒鋭く批判するものなどもありました(※本稿では紹介しませんので、気になる方は直接ご確認ください)。

いずれにせよ、このように、一般読者からの反応がたくさん寄せられるというのは、まさにネット時代ならではの現象ではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (42)

  • その理論で言うと
    「犯罪者には犯罪者の理屈がある」
    ことになりますね。貧困が原因とか。
    でも法を犯してしまったら犯罪者なんですよ。

    • しきしまさま
      以前からなんでしょうが、最近パヨクのこの手の発言が目に付きます。
      「不法滞在は、犯罪じゃない」みたいなやつ。

    • 「マスゴミにはマスゴミの理屈がある」最近の実例。

      こんなふうに犯罪行為をしてみた!
      犯罪行為の手口を広く知らしめた(そして自衛隊を貶めた)
      「報道権」の行使なので犯罪行為でない!

  • 韓国から見れば日本は犯罪者だから、全ての道理は韓国側が上にこなくてはならないってことでしょ。
    そこまでちゃんと言いなよ、青木さん。
    言えるものなら。

  • 青木氏の発言をまともに聴いてたら、世の中がおかしくなるでしょう。

    • だんな様

      そうですね。
      しかし、10年数前の私は恐らく青木氏の発言に同調していたと思います。

      悪夢の民主党政権が日本にもたらしたもの。それは決して壊滅的な負の影響ばかりではなく、日本の将来に一縷の望みと希望を生む土壌を作るという、極めて重要な役割を担っていたことが、今になってようやく理解できた次第です。

      • 名古屋の住人さま
        その気持ちは、私もよく分かります。
        気づいたのが、遅かったのかどうか。
        良かったのかどうかは、良く分かりませんが、しばらくは「ウリは、ネトウヨニダ」になるんだと思います。

        • だんなさま
          名古屋の住人さま
          私も同じくしばらく前であれば、テレビのコメンテーターに同調したと思います。しかし、これほど韓国に日本が殴られ続けるのを目の当たりにすれば、さすがに。
          ただ、一体誰がこういう事をわざわざテレビで言わせるのでしょう? 普通におかしいですよね。

    • 昔のサンモニにはケントギルバート氏のようないわゆる保守派の方も出演されたのですけどね。
      そう言う人たちは徐々に呼ばれなくなり、
      仲良し君達だけになって、
      友の会みたいになっちゃいましたね。
      自民党員の義父はサンモニ見て
      「この放送局は朝日か?!」
      と言っておりましたが
      当たらずとも遠からず、朝日の劣化版ですね。

  • >ジャーナリストの青木理氏が13日、TBS系『サンデーモーニング』に出演し、自称元徴用工問題等を巡り、次のような趣旨の発言

    そもそも、「理屈の話」以前に「自称元○○」と呼ばれる人たちに対する認識や日韓併合に対する見解が日韓で大きく異なっています。
    韓国がお互いの立場を無視して、国と国との約束・合意を破ってまで自分の「理屈」を押し付けようとしているのですから、通常のジャーナリストだったら「そこまで言うなら、せめて強制連行の証拠をだすべきだ」ぐらいは言うべきところから話が始まってしかるべきです。
    故に、青木理氏は「裏をとらずに作文をする」ような人なのであり、盲目に韓国の片棒を担ぐわけですから、青木理氏の言葉は「自称ジャーナリスト」であり、実質は「反日市民団体の職員」だろうとしか思えない。

    • 私もそう感じます。
      彼の言うことは既に善悪を決めた前提で話をする、この場合は韓国が善で日本が悪となります。更に言えば底浅い発言が多く、ネットとかで突っ込まれそうな時はなれば自分は政治に詳しくないなどと平気で言い放ちます。サンモニは何故この様な浅い人物に最後のコメントを託すのか理解出来ません。

      • PMB様

        今、長谷川熙氏の「崩壊 朝日新聞」を読んでいますが、朝日新聞に限らず日本の病巣は恐ろしいぐらいに各所に散らばっているのでしょう。
        サンモニも然り。

  • 青木の理は偏りすぎで白々しいほどです。白髪の韓国擁護の人は何故か多いですね。

    • 簿記3級様

      青木氏は常に韓国目線、韓国の工作員のような偽ジャーナリストだと思います。
      韓国に駐在、留学した人は、親韓になるか嫌韓になるかの二つに分かれるように思いますので、青木氏は前者の典型です。
      政府筋に篭絡されたのかもしれません。

      左翼は白髪が多いですね、一方右翼は薄毛。
      一説によれば、男性ホルモンが多い=闘争的=右翼、男性ホルモンが少ない=同情的=左翼、ということのようですが、
      個人的には、左翼傾向の人は中身よりも格好に拘る人が多いので、知的に見える白髪を敢えて装っているのではないかと思います。
      黒髪に染めるか否か、左翼峻別方法かと思います。

      • PONPON 様
        何となく韓国人はハゲが少ないのかなと思っていました。
        真面目な長野県民というより生粋の韓国人ですね。ホントウニありがとうございます。

      • ほー外見で左右判別らべりんぐッスか!
        シンプルで良いッスねー(棒)
        ほんじゃあ“格好になーんもコダワリ無く「白髪染め」なんぞにリソースを割かない層”は右?左?

  • 最後のとこをちょっと改変してみたのです♪

    ・『反省に真正性ない』っていうのも一理あるけど、日本には日本の理屈がある。(中国や米国との関係も踏まえ)やっぱり日韓は仲良くしない方がいい

    ちょっと主客を入れ替えるだけで、意味合いががらっと変わるのです♪
    言葉って難しいのです♪

  • 韓国には韓国に理屈があるのでベトナムに住民の虐殺や強姦の賠償も謝罪もしない、加害者と被害者の関係は0年間だ、というわけですね。

  •  1995年11月、当時の江藤隆美総務庁長官が記者とのオフレコ懇談で、「植民地時代に日本は韓国に良いこともした」と発言しました。これを韓国メディアが報じたことで、一気に外交問題に発展しました。オフレコだったこともあり江藤氏は当初、発言を認めず辞任も拒否していましたが、結局は辞めざるを得ませんでした。
     江藤長官が辞任せざるを得なかった理由は、当時の日本の社会には、日教組やマスコミの太平洋戦争を絶対悪とする歴史観の影響が色濃く残っており、「日本は太平洋戦争で周辺国に悪いことばかりした」という空気が支配的な時代だったからです。
     その当時と比べれば隔世の感があり、「本当に良い世の中になった」と心の底から思います。
     日本人の韓国に対する認識をこれ程まで(正しい方向に)変えたことについては、インターネットの影響が大きかったと思いますが、私は、それ以上に、文在寅大統領の貢献度が飛び抜けていると思います。冗談ではなく、文在寅大統領には「世界を正しい方向に変える」能力や才能が通常人の何百倍、何千倍もあると評価すべきだと思います。本人がその能力に気が付いていないことが非常に残念ですが。

    • 名無しの権兵衛様

      そんな事もありましたね。
      確かに政治家等は昔より韓国を批判することができるようになりましたが、一般社会ではまだなかなかハードルが高いです。

      会社や学校、地域社会等のコミュニティの中では、中国の事は批判できても、韓国の批判はタブー感が強いです。
      実際下手に批判すると、どこからか情報が漏れたのか、差別主義者等のレッテルを貼られかねません。

      なので、こういったブログで普段は言えない溜まった不満をぶつけることになるのでしょう。

    • 名無しの権兵衛様

      多分ですが、昔はマスコミしか声を出せなかったので、マスゴミ左翼の声が全てでした。
      その当時も一般の普通の感覚を持った人が多数いたとしても、声を出せなかったので居なかった様に見えるだけかも知れません。
      確かに韓国の悪行が寄与してるでしょう。
      それよりも、ネット環境で普通の声が見えやすくなった影響があると思います。

  • テレビ、メディアの驕りと言えば、昔、記者会見で「記者は国民を代表として質問している」とした、バカがいましたが、それと同じ感じでしょうか。
    日本国民として「お前(記者)に思いを託した覚えはない」と言いたい。

    何だったかなーって思って調べてみたら、ありました。

    ・「記者が国民の代表とする根拠を示せ」官邸側が東京新聞に要求(西日本新聞)
    https://www.nishinippon.co.jp/item/n/488501/

    内容は、記事を読んでいただくとよくわかりますが、どなたかが仰ってましたが、一昔前だと、政治家が新聞記者にこのように言うことは、政治家生命に係わったとか。

    時代も変わったものです。

    • 自己レスです。例えが違っている気がしました。

      青木理氏の発言、K国に忖度している、と言う意味では、以前の記者会見では「ミサイル配置に中韓の理解を得られるのか」と質問した記者がいましたが、例えとしてはそちらの方が適切かもしれませんでした。

      「なぜ中韓の了解がいるのか?」と言い切った河野防衛大臣(当時)は男前だな、と思った記憶があります。

      まぁ、どちらの記者も東京新聞ですがねw

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