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    Categories: 金融

維新の会が「消費税5%」を提言

日本にとっての本当の脅威は中国共産党でもなく北朝鮮でもなく財務省だ

報道によると、日本維新の会が本日、消費税等を一時的に5%に引き下げることに関する要望書を菅義偉総理大臣に提出したそうです。日本維新の会に対しては個人的に言いたいことがないわけではないものの、こうした前向きで建設的な提案自体は歓迎すべきです。ただ、日本にとっての本当の脅威は、中国共産党でも北朝鮮でもなく、財務省なのです。

コロナ減税が必要

以前から当ウェブサイトでは、コロナ禍のもとでの正しい経済政策は「減税」である、と申し上げています。

これらの議論、数字的な裏付けなしに展開しているものではありません。

いや、話はむしろ逆で、数字的に日本全体の資金量を積み上げて行ったところ、国債の大幅な増発が必要だ、という結論が、必然的に導き出される、と申し上げた次第です。

資金バランスをちゃんと見ましょう

これについて、当ウェブサイトで論拠として注目するのは、「ストック」の概念、すなわち日銀が公表する資金循環統計をもとに、家計、企業、政府などの経済主体を左右に、金融仲介機能(預金取扱機関、保険・年金基金、中央銀行など)を中央に配置した図表です(図表1)。

図表1 日本全体の資金循環(2020年12月時点・ストック、速報値)(※クリックで拡大、大容量注意)

上記のPDF版

(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工。なお、「自社が発行する株式」は企業会計上、資本・純資産などにカウントされるが、資金循環統計上は時価ベースで負債に計上される点に注意)

大雑把にいえば、日本国内に現金・預金をはじめとする金融資産が有り余っており、国内で使い切れなかった分が海外に投資、貸出などの形で流れ出している、というわけです。この金融資産と金融負債の不均衡を埋めない限り、デフレギャップは解消しません。

そして、個人や企業と異なり、国、とくに中央政府の場合は、「自国通貨でおカネを借りている」という状況にある限り、基本的にはデフォルト(債務不履行)を起こすことはありません。財政破綻するかどうかは、基本的に国内全体の資金バランスの状況で検討する必要があります。

くどいようですが、国債がデフォルトするためには「国債デフォルト3要件」のすべてを満たさねばなりません。

国債デフォルトの3要件
  • (1)国内投資家が国債を買ってくれないこと
  • (2)海外投資家が国債を買ってくれないこと
  • (3)中央銀行が国債を買ってくれないこと

現在の日本国債についてはデフォルト要件の1番目を満たしていないため、日本国債がデフォルトする確率は、いまこれを読んでいるあなたの頭上に隕石が降ってくる確率より低いでしょう。

現在の日本の状況に照らすと、政府が積極的にカネを借りるのがもっとも手っ取り早いソリューションであり、そして、この30年間で上げ過ぎた税金を国民や企業に還元するために、数年間は法人税、所得税、消費税などの税法を凍結し、国債のみで歳出を賄っても良い、というのが当ウェブサイトの持論です。

ただし、当ウェブサイトとしては、「自国通貨建ての国債を発行している国は、(過度なインフレが起きない限りは)通貨を自由に発行して返済に充てることができる」とする思想には同意しません。

あくまでも、「現在の日本の問題点であるデフレギャップを解消するためには大幅な減税や国債の大規模な増発などが必要だ」とするものであり、「日本国債は自国通貨だからいくら発行しても構わない」というものではないのです。

維新の会が「消費税5%」を提言=時事

こうしたなか、時事通信によると、日本維新の会が消費税の税率を現行の10%から5%へ時限的に引き下げることなどを求める提言書を作成し、今日、菅義偉総理大臣に手渡したそうです。

消費税率、5%へ引き下げを 維新がコロナ対策で政府に提言

―――2021年06月03日11時22分付 時事通信より

日本維新の会という政党に対し、個人的にはいろいろ申し上げたいこともあるのですが、この提言に関しては非常に前向きなものであり、歓迎したいと思います。

もっとも、この時事通信の記事だけでは要望書の中身まではよくわかりませんが、やはり、消費税(と地方消費税)の引き上げは、明らかに失敗だったことを、そろそろ自民党としても認めるべきでしょう。

とくに、『日本経済、正しくは「コロナ・消費税局面」と呼ぶべき』でも指摘しましたが、日本経済の停滞局面は、コロナ禍が本格化した2020年第2四半期以降ではなく、すでに2019年第4四半期、消費税等の税率を引き上げたことで顕在化しています。

財務官僚という、べつに日本国民が直接選挙で選んだわけでもない人たちが、国家のサイフの入口(国税庁)と出口(主計局)を一手に握り、政治家を大きく凌駕する政治権力を不当に握り、財政再建という誤ったプロパガンダを垂れ流し続けている状況は、本当に危機的です。

その意味で、日本にとっての本当の脅威は、じつは中国共産党による軍拡でも、北朝鮮による核開発でもありません。財務官僚とその取り巻きの御用学者、御用メディアによる「日本経済破壊活動」です。

私たち日本国民は、コロナとの戦いに打ち勝つだけではなく、財務省との戦いに打ち勝つ必要があるのです。

いずれにせよ、この資金循環統計を用いた議論はほかにもさまざまなポイントがありますので、今後とも随時、当ウェブサイトで何度も触れていくつもりです。

新宿会計士:

View Comments (15)

  • 消費税の税率下げや将来の廃止に関しては日本共産党も一貫して主張しておりました。
    民主党以来の消費増税を継承しているのか居ないのか?国民民主は消費税軽減や廃止には反対だと思うが、立民はどうなのでしょう?
    また、政策の一致点でその政策が本気だというのならそれでは日共と維新とが連立政権を組んで反自公に動くか?というと現実問題としてそれは考えられない様に思います。

    •  でも共産党の主張なんて口先だけでしょ。あそこも税務関係では後ろめたい事があるみたいなので財務省に正面から対抗する気なんて端から無いでしょ。

      • ありがとうございます。私は政党の主張としてはそうだ、その主張だけを見るならそうなる、と言う話をしているのであって、日共を推して褒めているのではありません。その政党の信頼性やその政策の現実可能性を傍に置いて政党の公約や綱領、打ち出した主張の一部分を評価した場合に、今回新宿会計士さまが取り上げた日本維新の主張「消費税5%」がたまたまあったと言うのであるから、それなら日本共産党も、と言ったのであって、この文脈はお分かりいただけるでしょうか?そして実際にそれを可能にするロジックとしてならば現に消費税を護持している自民や公明、「三党合意」の一角であった旧民主のカラーの濃い国民民主は無理であろう、立民も消費税制で何か言った話は聞かず(社民はもはや略)比較的一貫性を持って頑強に消費減税や廃止を主張し続けて居るのが日本共産党で有る事、ならば消費減税連立政権を目指して維新と日共が組めるのか?と言う話をしているのです。
        少なくとも「消費税減税や廃止の政策」にかけては日共こそが既存政党の中で一番一貫性を持って主張し続けており、認めたくなくてもそれは事実として見ておく必要があるという事です。

  • 日本の本当の敵は財務省というご意見に基本的に賛成ですが、やはり財務省に力を与えているのは、マスコミであると思います。

    いわゆる新聞とTVが、きちんとした報道機関として機能していないため「国民一人当たり借金が○○万円ある」などというトンでもない話がまん延しています(とくに高齢者)

    コロナワクチン関連でも、ネットを見ない高齢者の層では、「自国民にワクチンが行きわたらないのに外国=台湾に提供するとは何事だ」とか「国民の数よりたくさんのワクチンを何社も重複して確保して無駄金を使っている。余った分は捨てるのか!」と怒っている人も多いです。

    まだまだマスコミの力は大きく、油断ができない状況ですね。

  • 日本維新の会は、「時限を設けて消費税10%→5%」を直接菅義偉総理に片山虎之助代表が提言を手渡してます。

    れいわの山本太郎氏や立民の馬淵澄夫氏が、消費税減税研究会とか作って減税せよと言っても、「ポーズだけだろ」「政府の脚を引っ張るだけ」と聞き捨ててましたが、日本維新の会なら、与党とある程度裏で繋がっているかも。手交しているのもやる気を感じさせる。

    5%。コレは大きいと思います。半分ですからね。0パーが本来希望ですが、5%が実現したら日本の景気は良くなると思います。財務省が潰しに来ないか、気になりますが是非「2021年の目玉政策」として実現して欲しいです。

  • 財政論だの難しい話は分かりませんが、コロナ禍の中、給付金云々と言う前に、消費税減税あるいは廃止論が一向に出てこないのが不思議でした。仮に維新の会の選挙対策としても、賞賛に値する行為だと思います。多分、財務省はありとあらゆる方策で維新の会をつぶしにかかるでしょう。国民がどれだけこういう議員たちを支持できるかが重要で、もっと政治家を強くさせなければならないと思います。

  • 消費税減税の提案は良いと思うのです♪
    これに財務省とかは、「コロナ禍で休業要請してる企業への補償をしなきゃいけないのに、減税したらその財源がなくなる」って反論するんだと思うのです♪
    そうすると業界団体なんかを背景にしている議員からは「減税すべきではない」って意見が出てくると思うのです♪
    休業とか外出自粛やらでダメージを受けてるところは、消費税減税の恩恵はなく、休業補償の有無や多寡が死活問題になるから、その声はとても大きいんだと思うのです♪

    そのときに、「休業補償は国債で賄うので財源は心配しない」みたいなことを言えるかどうかが肝になるように思うのです♪

    「消費税減税で景気を良くするから、その波に乗れない企業は潰れておっけー」とは、政治家には言えないんだと思うのです♪

    • 自己レスだけど・・・・

      新宿会計士さんの理屈が良いのは、無制限の国債発行じゃなくて、いくら位なら出せるはずって、上限を設定してるとこだと思うのです♪

      難しい理屈はわからないけど、「国債発行しよう」って言ったときに、必ず「無制限の発行は良くない」って言う、ある意味素朴な反論は必ずあると思うのです♪

      新宿会計士さんの言い方だったら、今は「原則0円で、特別に毎年国会決議を経て○円まで出してる」ってのを「原則○円まで。特別な発行はなし。」みたいな、財政規律も考えてますよって議論になると思うのです♪

  • 自分も昔、国債発行が増加すると税収で利子が払えなくなり破綻すると思ってました。
    年末に増える道路工事も無駄だと思ってました。
    地方交付税なんか無くして、税金は地方の努力でなんとかするべきと思ってました。
    しかし、今は違います。
    国債発行で破綻なんてしないし、年末の道路工事も必要なもの。地方交付税が減った事で、地方と都市の分断が起こりました。
    何故間違えてたか?
    それは、例えるなら一つの式だけで、一生懸命連立方程式を解いてたからです。
    連立方程式で、xとyがあれば、2つの式を見て考えないと解けません。
    国債発行の増加でも、増加した後の税収の増加、国債を誰が買ってるのか?日銀の役割、など様々な事象を考えなければいけないのに、借金の増加はいずれ返せなくなると一面だけみて判断してたからです。
    財務省もマスコミも、見せたいものだけ見せて、見せたくないものを隠して、真実から目をそらさせて来ました。
    維新が消費税減税を唱える事は、その嘘が効かなくなってきた証拠では無いでしょうか?

  • >法人税、所得税、消費税などの税法を凍結し、
    税の所得再配分機能を考慮すると、法人税、所得税の凍結は、社会の混乱を招く可能性があるのではないでしょうか。(当面、税は所得再配分機能に特化しても良いのでは?)
    消費税については、消費(需要)抑制→投資・雇用・研究開発抑制効果、国内資金需要の押し下げ効果、対外純資産の押し上げ効果(円高効果?)等の日本経済破壊効果は絶大なものがあり、永久凍土とするべきと思います。

  • お金を配っても貯蓄にたくさん回されるだけで、効率が悪いです、消費税を下げると、企業やお金持ちが土地や不動産、車や価格の高い物が売れて、土地の価格も上がり始めれば、どんどん投資に回る様になり経済が大きく動き、だんだんと色々な所の経済も回る様になってくるでしょう、100兆ばら撒くより何倍も経済効果あると思います、2%以上インフレになってきたら、少しずつ様子を見ながら、消費税を戻せば良いと思う、そうか、初めから、インフレ連動で消費税を上げれば良いかも、だから10%を一旦やめた方がいいと思います

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