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朝日新聞社説「判決を機に日韓両政府は対話本格化を」

朝日新聞が言い出したということは、やはり現在の日本政府の姿勢が間違っていない証拠と見るべきなのでしょうか。朝日新聞は本日の社説で、「日本政府の主張にも沿う韓国の司法判断を契機として、日韓両政府は速やかに本格的な対話に乗り出すべきである」と述べたそうです。

4月21日に韓国のソウル中央地裁が出した、自称元慰安婦が日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟の判決では、原告側の請求が却下された、という話題については、当ウェブサイトでもいくつかの稿で取り上げました。

この点、当ウェブサイトとしては、「却下」という結果だけに着目すれば、この判決は国際法の常識に照らして当たり前のものであり、べつに韓国が日本に対し何らかの「譲歩」をしたと見るべきものではない、と一貫して申し上げてきたつもりです。

ただ、それと同時に、この判決などを契機に韓国側で「わが国も譲歩したのだから、日本も歩み寄るべきだ」とする主張が出て来るのではないかと考えていたところ、『慰安婦「韓日外交で解決を」=予想どおりの韓国紙主張』で報告したとおり、あまりにも予想どおりの反応が出て来ました。

正直、予想どおり過ぎて、やや反応に戸惑っているというのが実情です。

以前から何度も報告し、拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』にも転載した論点のひとつが、「ゼロ対100理論」です。

これは、日韓間に何らかのトラブルが生じ、かつ、韓国側に100%の責任がある場合であっても、韓国側が「日本が歴史を正しく教えないのが悪い」などと言い募り、少しでも「日本も悪い」ということにしようという屁理屈のことです。

当たり前ですが、1月8日の主権免除違反判決自体が韓国による国際法違反行為であり、そのような非常識な判決を出した責任は、100%、韓国の側のみにあります。

しかし、4月21日の判決は、韓国が「国際法違反の判決を下さなかった」という話であり、韓国が日本に対して何らかの「歩み寄り」をしたわけではありません。

こうしたなか、久しぶりに、「豪快な」社説を発見しました。

(社説)慰安婦訴訟 判決を機に本格対話を

―――2021年4月23日 5時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より

社説の冒頭の記載のみ、紹介しておきます。

日本政府の主張にも沿う韓国の司法判断を契機として、日韓両政府は速やかに本格的な対話に乗り出すべきである」。

おそらく朝日新聞の主張は、これに尽くされているのでしょう。

それにしても、国際法違反ではない判決を出しただけで「日本政府の主張にも沿う判決」とは、なかなかの驚きです。「国際法違反の判決を出すな」という要求は法治国家として正当なものであり、それが通ったからといって、「韓国が日本に歩み寄ったこと」にはならないのですが…。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、インターネットの良いところは、同じ事件を調べるにしても、「タテ軸」「ヨコ軸」「ナナメ軸」で自由に検索することができる、という点にあります。

ただ、インターネットが出現する前であれば、朝日新聞の報道や事実関係などについてすべて調べ上げるのは大変な労力だったに違いありません。その意味では、桜井よしこ氏や西岡力氏らの献身的な調査については、高く評価されるべきでしょう。

【正論2月号】司法も事実認定した 元朝日記者の「ねつ造」 本誌編集部 安藤慶太

―――2021.1.1 02:00付 産経ニュースより

そして、慰安婦問題が日韓間で外交問題化したキッカケのひとつが、そもそも朝日新聞による吉田清治の虚偽証言などに基づく記事などであり、朝日新聞社自身が2014年8月5日にこれらの記事の一部を「取り消す」と発表しているとおり、これらの多くは虚報であったことが判明しています。

それだけではありません。朝日新聞社は慰安婦問題に関する英字版ウェブサイトに “noindex” タグを仕込んで検索エンジンへのインデックスを回避していた、などの問題を発生させています(この「タグ除け事件」を暴いたことについては、ケント・ギルバート氏らの貢献が非常に大きいです)。

ちなみに、朝日新聞社はこの “noindex” 事件に関連し、「記事を最終確認するため社内のみで閲覧できる状態で配信し、確認を終えてから検索可能な状態にした」「その際に2本のタグ設定解除の作業が漏れてしまった」などと説明しているそうです。

朝日新聞、慰安婦報道取り下げ英文記事で検索回避の設定 指摘受け解除、「作業漏れ」と説明

―――2018.8.24 22:42付 産経ニュースより

いずれにせよ、朝日新聞が慰安婦問題に言及したところで、「まったく心に響かない」と感じている人は多いのではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • 朝日はしれっと慰安婦報道やってるけど、冒頭に「これは朝日新聞が捏造により日本にご迷惑をかけている案件です。申し訳ございません」と書いて、記事を書くべきだと思います。そうでなければ、自主廃業すべき。本当に面の皮が厚すぎます!

    • いつもお世話になっております。

      ジロウ様 
      それよりアサヒ新聞が自称慰安婦問題を政府や個人・団体等に質問する際
      「捏造記事によりいわゆる従軍慰安婦問題として全世界に波紋を広げた
      アサヒ新聞ですが」と質問する毎に言わせる方がよろしいかと思います。

  • 毎日の更新御疲れ様です。最初の見出しを【対話】ではなく【対決】と見間違えました。その方がいいなとの願望でしょうね。

  • 若い人は、特定野党やマスゴミが「日本より中韓を優先する」感覚が、信頼、支持できない理由になっているんだと思います。
    良く日本の新聞社、国会議員と思えないという意見が、ここでも出て来ます。
    シンプルに家族や友人を大事に考えれば、当たり前の感覚だと思います。

  •  早速、獅子身中の虫、日本のマスコミが動き始めましたね。(中の人は日本人でないのでしょう。)本当に分かりやすい。ここまでは予定通り。あとは、この社説を叩き潰すだけですね。

  • 同じ様な政党やマスゴミが多すぎると思います。
    選挙が行われる毎に、似た様な政党が政権放送したり、似た様なマスゴミが同じ様な論調の社説を論じたり(これTVなどを見ていると似た様な野党の多さに嫌気がさします)・・・
    選挙協力するのであれば、共産、立憲、社民、れいわなどは、れいわ共産党とかになって欲しいし、同じ様な論調ならば、赤旗、朝日、毎日、東京などは、赤日新聞とかになって欲しいと思います。
    厳しい競争にさらされている企業なら、間違いなく合併している(させられている)はずで、さすがに、独占禁止法違反にはならないだろうと思いますね。

  • 朝日は、判決に依らないで日本に話し合いと譲歩を促しているのでしょうね、慰安婦不利の状況を鑑みて。。
    もし日本政府敗訴の判決だったなら、「日本政府は司法の判断を尊重せよ」という記事になっていたに違いありません。

    朝日は捏造の反省もなく、どうにかして日本に罪を着せ、補償させたくて必死ですね、ここまであからさまとは、実に解りやすいです。

    安倍元首相の言う通りです。

  •  日本は粘り強く対話しています。「そうですか、でもまず条約と国際法を守ってください」と何度も回答しています。無視などしていない。もはや言うまでも無く、本当に無視していたのは韓国側ですね。
     朝日は正確に「判決を機に日本政府は譲歩本格化を」と書けばよろしい。私はシャルリーエブドが大嫌いですが、テロを受けた後でもまだ相手を侮辱する根性だけは認めています。二の舞になりかねないという自覚がおありなのか、朝日には無理なようですね。
     そんなだから「捏造体質がかわらない」と言われるのです。

  • あれ?まだ地裁なんでしょ?
    慰安婦の方はおそらく控訴されるんですよね?
    ということはまだ未確定なわけで。1月の慰安婦勝訴が最新の判例のままですよね。
    何も変わってないので日本が態度を改める必要など1ミリもないですね

    • 朝日新聞は焦りすぎです。上級審で確定して、更に韓国政府のコメントを待ってから社説を出すべきです。
      誰かから勢子をかけられているのでしょうか? 
      エイジェントとして役目を果たせていませんね。

  • 更新ありがとうございます。

    朝日新聞らしい記事ですな〜。今更何を言うか!ですし、韓国が掌返ししたから、これまでの関係改善をって、また譲歩しろ、未来志向で、と空念仏唱えるだけです。損するのは日本です。何も歩み寄る必要無し。

    米国バイデン大統領が日米韓の三カ国同盟の再結集を言って来るかもしれませんが、韓国と協同はあり得ない、米国も痛い思いしただろう、だから「切る」事を進言、「日米台」「クアッド」「FOIP」に方針を切り替える事を真剣に伝えるべきです。半島の盲腸は要らない。

    次に朝日とは直接関係は無いですが、日韓関係に於いて、韓国側の反日姿勢が急展開しています。最近の判決など、あり得ない結審です。

    元駐韓大使の武藤正敏氏が「現代ビジネス」に寄稿してます。先月か先々月には、武藤氏の事を韓国に長居し過ぎて、判断がおかしくなったのではないか、と失礼な事を書きましたが、そうでは無いようです。読み応えありました。

    全文のコピーは駄目なようなので、諸兄でググって下さい。
    4月23日発信です。

    • めがねのおやじ様

      読みました。
      最後の以下の文章が秀逸でした。

      「韓国が反日政策を続ける限り、日本は韓国無視でよかった。しかし、韓国が敗北を認め、日本に歩み寄りの姿勢を示してくれば、日本は米国の主導する日米韓協力にどう臨むか新たな戦略が必要になってくるかもしれない。日本にとってはむしろ難しい状況となったともいえる。」

      新宿会計士様のこのブログで、皆さまが、用日派&アメリカの日米韓連携派に対してどう挑むのか、散々議論しているところですね。
      武藤氏、その難しい状況を日本としてどう対処すべきなのか、ぜひご教示頂きたいものです。
      それにしても、もしかしてこの武藤氏、このブログにペンネームで参加しているのかもしれないと、ふと思った次第です。

  • 昨日、
    「朝日新聞やその他の知的左翼老人が、本当の総括をやって真実を隠し、新たな工作を企ているのなら要注意です。」
    などと寝ぼけたコメントをしたことが恥ずかしい。 

    朝日新聞さんは御健在でした(笑) 朝の会議で社内にいる朝鮮日報の記者と打合せをしたのでしょうか?
      

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