ウェブ評論サイト『デイリー新潮』に、待望の鈴置論考が公表されました。個人的な理解に基づけば、今回の論考は、先週の記事に対し、この1週間における新たなファクトを付け加えたものです。そして、結論的に申し上げるならば、現在の韓国が西側陣営に残るのか、中国圏に向かうのかという重大な岐路に立っているという点は間違いないでしょう。
鈴置氏の優れた論考
日本を代表する優れた韓国観察者といえば、鈴置高史氏です。
その鈴置氏がデイリー新潮に寄稿した論考と、これを基にした当ウェブサイトなりの雑感については、先週の『鈴置論考から考える「米国は文在寅政権を除去するか」』に触れました。該当するリンクは、次のとおりです。
「バイデンから電話が来ない」と気を揉む韓国人 原因は「習近平コール」か、それとも――
「バイデン(Joe Biden)新大統領から電話が来ない」と韓国人が焦る。日米首脳は電話協議を終えたのに、それから5日たっても文在寅(ムン・ジェイン)大統領には音沙汰がないからだ。韓国観察者の鈴置高史氏は「電話協議の遅れ」に米韓の亀裂を見る。<<…続きを読む>>
―――2021年2月2日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
ここで、注目していただきたいのは、記事の日付です。
2月2日といえば、米国のジョー・バイデン大統領と韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領の電話首脳会談がまだ開催されていなかったタイミングです。実際、電話首脳会談が行われたのはこの記事から2日後、日本時間の2月4日(米国時間の2月3日)のことです。
この鈴置論考を読むと、読者としては、「これから行われるであろう米韓電話首脳会談では、米韓の亀裂が明らかになるのではないか」という予測を立てることができます。
予測はドンピシャリ、そして…
そして、驚くべきことに、現実に行われた米韓電話首脳会談では、米韓双方の報道発表内容に深刻な齟齬が生じていることが判明したのです。まさに、鈴置氏の予測は、ドンピシャリ、というわけですね。
(※なお、僭越ながらいちおう宣伝しておくと、これについては当ウェブサイトでも『電話首脳会談に関する米韓両国の発表内容が違い過ぎる』で指摘した次第です。)
こうしたなか、本日は同じくデイリー新潮に、鈴置氏の最新稿が掲載されています。
「文在寅外し」に乗り出した米日 「中国べったり」と見切り、政権交代待ち
バイデン(Joe Biden)大統領と菅義偉首相が「文在寅(ムン・ジェイン)外し」に動く。いくら説得しても離米従中路線は変わらないと見切った――と韓国観察者の鈴置高史氏は解説する。<<…続きを読む>>
―――2021年2月8日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
今回の鈴置氏の記事については、先週の記事と比べ、内容としては重なっている部分もあります。
たとえば、米韓電話首脳会談に先駆けて中韓電話首脳会談が1月26日に実施されたこと自体、韓国の中国への擦り寄りを象徴するものであり、米国の不興を買う行為である、といった指摘は、すでに前回の稿でも触れられていたものです。
しかし、逆にいえば、今回の最新稿は、前回の鈴置論考が正鵠を射たものであったことの証拠だ、という言い方もできます。鈴置論考の全文をこちらに引用・転載することはしませんが、ここでは気になった部分をいくつか紹介してみたいと思います。
「脅さないと付け上がる韓国人」
最初の指摘は、米国が韓国を「格落ちの同盟国」として扱っている、というものです。
「――韓国は『格落ちの同盟国』に転落した、ということですね。
鈴置:自然の成り行きです。バイデン大統領は就任するや否や、中国と立ち向かうと表明しました。米中二股に励む韓国をまともな同盟国と見なすわけがありません。」
ここでいう「米中二股外交」とは、たとえば、文在寅氏が習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席に対し、「中国共産党創建100年を心から祝う」と述べたことなどを指しています。いちおう形の上では米国の同盟国である韓国の国家元首として、さすがにこの発言はマズいでしょう。
さらには、朝鮮日報ワシントン特派員が民主党のロバート・メネンデス上院議員に対して実施したオンラインインタビューについて、鈴置氏は「米国は文在寅(氏)とは価値観を共有していない」と述べたようなものだ、と評します。
「――『米国は文在寅とは価値観を共にしない』と宣言しましたね。
鈴置:その通りです。さらには、価値観を共有しないなら韓国との同盟は打ち切るぞ、と示唆したのです。」
毎度ながら、鋭い指摘と言わざるを得ません。
ただ、米国側の政治家が韓国に対し、ここまで厳しい発言をし、それを「保守系」とされる朝鮮日報が嬉々として報じたことに対しては、やはり「何らかの狙い」を感じるのもたしかです。
鈴置氏はこれについて、次のように指摘します。
「韓国には『見捨てるぞ』と通告した方が効果的なのです。この辺はメネンデス上院議員も十分に分かっているのでしょう」。
なんとも困った話です。
メネンデス議員の「米韓は価値観を共有しない」発言は、本心から出たものというよりも、韓国を脅すことで、米韓同盟に回帰させるためのものだ、という可能性が出てくるからです。そして、韓国の保守派も、こうした発言を利用しようとしているフシがあります。
韓国の「保守派」による「バイデン抱きつき戦略」
実際、鈴置論考には、こんな指摘もあります。
「こうなったらバイデン政権と組んで血路を開くほかない。『左派政権が続けば韓米同盟が消滅する』と国民に訴えれば、大物候補者がいない不利をある程度克服できるでしょう。韓国人は米国に反発することはありますが、多くはこの同盟を続けたいと願っています」。
つまり、韓国の「保守派」が「バイデンへの抱きつき」により、文在寅政権(あるいは左派政権)を倒し、米韓同盟を維持させようとして巻き返しを図る、というわけですね。
お叱りを覚悟で申し上げるならば、米国民主党に対しては、「余計なことをするな」と言いたい気持ちでいっぱいです。というのも、「日米韓3ヵ国連携」は、日本にとっては百害あって一利なし、というのが当ウェブサイトとしての意見だからです。
もっとも、外交の世界において、相手を「脅す」ということはできるかもしれませんが、相手を「根本的に変える」ということなど出来っこありません。米国がいくら韓国を脅したところで、韓国が自由・民主主義を尊重し、法律を守る国に変容するかといえば、それはまったく別問題でしょう。
実際、今回の鈴置論考では、韓国メディアに掲載された記事に対して書き込まれた、韓国人読者の相反する2つの主張が紹介されています。
- (A)韓国排除は日本の指導者として当然のこと。日本から見れば韓国は信じられない国になった
- (B)日本など信じるな。北韓、中国と共に行こう
西側に残るのか、中華圏に入ってしまうのか。
結局のところ、それらは韓国の人々の決断と覚悟にかかっているのであり、私たち日本人の側が「韓国さん、自由・民主主義陣営に残って下さいよ」と彼らにお願いするのは筋違い、というわけでしょう。
ただし、「西側に残りたい」と思うのであれば、しかるべき行動を取らなければならないことは、わざわざ指摘するまでもない話ですが。
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韓国って、いつだって崖っぷちで、いつだって瀬戸際で、いつだって岐路に立ってきたのです。そして、自らの判断により毅然と決断したこともありません。今後も、あっちへふらふらこっちへふらふらしながら、ちゃっかりおいしいとこ取りして生きながらえていくと思います。
阿野煮鱒様
>ちゃっかりおいしいとこ取りして生きながらえていく
さすがにコレやり過ぎて
おいしいとこ取りどころか
ロシアンルーレットだか、黒ひげ危機一発
みたいな状態になってる気がしますが(笑)
あとは死んだフリ、ですかね。
まるで寄生虫のようで虫唾が走りますね。
エスぅ様
寄生虫そのものです。
おそらく、人類のDNAとは、かけ離れた遺伝子構造を持つ人擬きです。
サイト主様が仰るように
> 「西側に残りたい」と思うのであれば、しかるべき行動を取らなければならない...
それが普通です。
当然、中華圏に入るにも踏み絵があるでしょう。
しかし、韓国は、どちらもしないと思いますよ。
ずぅーーーーと、決められない。
決めようとすると、内ゲバがはじまるんですから。
結局は、他国からどつかれるのです。
それが米中の違い。
それでシュンとするのです。
そして、時は流れて、数百年。
後に、当時を振り返って「千年の恨み」と寝言をほざくことでしょう。
彼の国は、この繰り返しが自称半万年続いています。
テロリストは英雄、売春婦は性奴隷、同族の独裁者は信用に足る人物で、恩人は道徳的に下位に犯罪者。
正常に思い返せばあまりにも恥ずかしいことの数々で、ファンタジーにしないと耐えられないのです。
窮地もファンタジーで乗り切ります。
速報レベルではありますが、時事通信が豪のオーストリアン紙の報道を紹介する形で、韓国や豪そしてインドの3ヶ国を、次回のG7招待を欧州諸国からの懸念により、先送りされることとなったと報じました。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020800629&g=int
一応欧州諸国となっていますが、ひょっとすると米国の意向もあるのかもしれません。ご紹介の鈴置氏のお見立ての如く、「韓国は『見捨てるぞ』と通告した方が効果的」と米国も判断したとすれば辻褄も合いそうです。
あくまでも速報ですので、詳細な続報を待って判断したいと思います。
ブルームバーグによれば、日仏独伊が懸念を表明していたそうで、英国がそれに従った格好ですね。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-27/QNLCXLT0AFBC01
ええ話ですな。
G7のメンバーを増やして、得をする国は無いんだと思います。
G7サミットへの招待は日常的に行われていたけれど、それを単なるオブザーバー参加ではなくG7拡大と捉えてしまう国が現れてしまったのが大きいのでしょうね。G7拡大はどのような形式でもヨーロッパの発言力低下になりますし。
あとFOIPに対するイギリス除くヨーロッパの国々の拒否反応もあるかもしれませんね。
G 様
2019年に仏はインド洋に空母を派遣し日米豪と演習していますし、ドイツも艦船派遣を計画している様で、英と温度差はあっても、拒否反応は無いようですよ。
G20があるのにGなんちゃらを増やしても
意味はないですよね
南朝鮮は中国の省扱いで十分だと思います
又は自治区かな
そうすれば大使館も要らないでしょう
北京で代行します
青いAの薬を飲んで利益を取るか赤いBの薬を飲んで正義を取るかという問題ですね。
韓国人の性向を考えると利益も大好きですが、それ以上に自身のアイデンティティである、Bをより重要な価値観だと考えていると思います。反日のない韓国などは魂の抜けた存在で、もはやそれは韓国人とは呼べません。
バレバレのポーカー、ブラックジャックかと思います。
K国にとっては青も赤の薬も致死に至る劇薬です。 それで半分づつ飲んで中和しようとしているのかも。
彼らの現況は、かろうじて青っぽいリトマス紙。
強酸性(共産制)に触れて赤くなるのか?
アメリカに叩かれて赤くなるのか・・?
匿名29号さま
半分だけ飲む、飲んだフリをするということをされると途端にゲームが複雑になりますね。のらりくらりと判断を留保するでしょうけど最終的には赤の薬を飲んでくれると、私は韓国人に全幅の信頼を寄せています。反日のない韓国は酸味のないキムチ、それはキムチではなく浅漬けだと思います。
カズ様
朴大統領のキレイな黄色の服が立ち位置を示しているような、pH5.0、立派な酸性でした。今後も韓国の大統領の服はリトマス紙で出来ている方が外から状態が分かりやすく便利なのですが。
> 青いAの薬を飲んで利益を取るか赤いBの薬を飲んで正義を取るか
その度に大人になったり子供になったりするんですかねえ。
夢の世界に留まってスミスと戦うか、不思議の国に行ってウサギの穴の奥底を見るかではないでしょうか。
青いクスリを削り損ねてヘソガエルに・・。?
あゝ、彼らの場合は「茹でガエル」でした・・。
さすがに反応できる年齢層の範囲がキツイネタですねw
手塚治虫全集DVD-ROMを購入した私にはわかります。
青い薬、赤い薬の話は不思議の国のアリスやマトリックスで有名だそうですが今回はマトリックスから拝借しました。(1年に一度くらい韓国。マトリクス論がこのサイトでも出てきますが)
青い薬を飲めば話は終わる。ベットで目が覚めいつもの暮らしが待っている。アメリカに制御された偽りの法の支配の世界が、韓国にとっては監獄に居るような気持ちであると思います。
赤い薬を飲めば中華の夢と共に歩むとが出来る。真実に満ちた反日の世界です、韓国はもうだいぶ前に選択を済ませており、最近は覚醒しかかっているように見えます。
かの国は棒で叩いて従わせるのが正しい対応法と
日米両国でマニュアル化できるなら
それはそれでありな気がしますが、どうなんでしょう?
韓国を無力化しておき、先に中共を倒す。
それが一番国益に沿うと思うなあ。
これまで、アメリカ政府が、韓国政府の我が儘を見逃してきたのは、東アジアの安全保障上の最大の脅威が北朝鮮の核開発計画であったため、38度線で北朝鮮と対峙する韓国を見捨てる訳にはいかないという事情があったからです。
しかし、現在、東アジアの安全保障上の最大の脅威は、中国の覇権・拡張主義になってしまったため、アメリカ政府も、これ以上韓国政府の我が儘を見逃す訳にはいかなくなったということを、韓国政府はまだ気が付いていないようですね。
さあ、小早川秀秋の立場になった文在寅大統領の運命や如何に。「東軍に付くべきか、西軍に付くべきか、それが問題だ!」と悩んでみたものの、「将来の北朝鮮との統一や中国との経済関係を考えれば、東軍に付くという選択肢は無い。かといって、西軍に付けば、これまでアメリカをはじめとする自由主義諸国から受けていた恩恵が受けられなくなる。どうしたものか。」
悩んでみたものの、結局、「ツートラック外交(二股外交)」を選択する文在寅大統領でありました、とさ。
> 脅さないと付け上がる韓国人
脅すだけではダメでしょう。棒で殴らないと。
いや、シティハンターでないと耐えられない重量級ハンマーで、脊髄との接続部を狙って後頭部を力一杯殴って欲しいですね。
> あたかも地球上に存在しないかのように扱ったのです。
日本国民の率直な意見としては、本当に地球上に存在しなくなって欲しいのです。
> 西側に残るのか、一気に中国圏入りするのか
是非中国圏入りを。法則発動はあちら側で。
===
文大統領閣下に進言します。
米国のこけおどしに屈しては偉大な大韓民国の恥です。
米国に屈することは、日本に屈することにつながるのですよ。
決してビビったり日和ったりせず、我が道を進んでください。
イーシャ様
〉文大統領閣下
追加で一言
ケンチャナヨ!
更新ありがとうございます。
韓国の文大統領は特に極端な『離米反日侮日親北従中』戦略ですが、次期大統領も(韓国自体存続すればですが)進歩系なら大して変わらないです。また文氏について、何ら確証はありませんが、丸5年の任期は持たないのではないかと思います。
理由は、あまりにも国際関係に疎すぎる点。米中を二股にかけ過ぎた点。北朝鮮との核付き統一を謀っている点、そして一番の友邦国であるはずの、日本が徹底的に嫌悪感を感じる迄、反日を続けた事。朴槿恵、李明博、盧武鉉も酷かったが、文は根っから腐っている(笑)。
また進歩系の中でも独裁者的な行動が多く、党内に支持する人がどれだけいるのか、極めて不安定です。クーデターも無いとは言えません。
文氏の責任は重い。僅か4年足らずで自由陣営の『格落ちの同盟国』に転落。本人は、してやったりのつもりかな?
民主党のロバート・メネンデス上院議員に対してのオンラインインタビューも、鈴置氏は「米国は文在寅とは価値観を共有していない」と述べたと。
米国が韓国を脅したところで、文は『朝鮮半島という水爆に匹敵する地政的優位は動かない』と、ふんぞり返っていると思います。今のように、都合の良い時だけ日米に擦り寄る気は変えないです。寄って来たら「いい加減にしろッ」と肘鉄かエルボードロップが敵性国・韓国には相応しいです。
つまり自由主義民主主義陣営から無視される立場、「縁切り」「損切り」です。
韓国っていつもピンチな感じするんですよね。今回は結構厳しい感じもするのですが、でも多分切り抜けるんですよ。我々には全く理解できない仕組みでもって。まあ、この程度でダメになるようなら、そもそもこんなチャランポランな政治体制維持できず淘汰されてます。
多分彼らのしぶとさは我々には真似できず、理解不能です。断片的にそれが理解できたとして多分『そんなことするくらいなら死んだ方がマシ』レベルかもしれません。
半島の無力化の簡単な方法があります。
北による半島の統一です。
北が統一したあと、経済的援助がなければ 半島は世界の最貧国に一直線。
サムスンがあるじゃん?
その時には米国企業となって、資本工場移転してるでしょう。
半島が無力化すれば、どっちに付こうが変数として無視できます。
どうせ、国民としての性格は変わらんのです。なら、1965年以前の状態に戻した方が楽ですよ。
say g様
〉北による半島の統一
文様もジョンウン様も同じ事を
考えてるかもしれません
但し、核を持たせたままでは
いけません
あいつらイカれてるので確実に
使いよります
半島を殲滅した後でならご自由に
です
H様
もちろん統一を邪魔しないのと交換に核はボッシュート。
約束は守らない奴らなんで、確実に無くなったのを確認してからの統一で。
ちなみに21と統一が半島では同じ発音なので、向こうの会社は名前に21を使い勝ちです。
sey g様
トゥ イル=トンイル
ですね
分かりやすい奴ら(笑)
先程の宛名がsayと間違って
おりました
失礼いたしました
お詫びいたします
北が民主主義の味をしめた南の甘やかされたコドオジなど欲しがるはずもない。