先ほど『【速報】日本政府が韓国で敗訴、主権免除違反確定へ?』で「速報」的に取り上げたとおり、本日、韓国の裁判所で「主権免除」に反する判決が下されました。これに関する加藤勝信官房長官の発言の要旨を確認しておきましょう。結論的には日本政府は控訴せず、国際法違反の判決が確定することになりそうです。
加藤勝信官房長官の発言要旨
慰安婦訴訟を巡っては、加藤勝信官房長官が先ほどの記者会見で、日本政府の立場を説明しました。加藤官房長官の発言の要旨は次のとおりです(※なお、重複した回答についてはできるだけ整理し、順序については一部変更したうえで、小見出しを付しています)。
判決の受け止めと日本政府の立場
- 韓国・ソウル中央地方裁判所の訴訟において、同裁判所は国際法上の主権免除の原則を否定し、原告の訴えを認める判決を出したと承知している
- わが国としては、国際法上の主権免除の原則から、日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められず、本件訴訟は却下されなければならないとの立場を、累次にわたり表明して来た
- さらに、慰安婦問題を含め日韓間の財産請求権の問題は1965年の日韓請求権経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みであり、慰安婦問題については2015年の日韓合意において最終的かつ不可逆的な解決が日韓両政府のあいだで確認されている
- それにも関わらずこのような判決が出されたことは極めて遺憾であり、日本国政府としては断じて受け入れることはできないとして、先ほど秋葉外務次官から南官杓在京駐韓大使に対し極めて強く抗議をしたところである
韓国政府に対する要求
- 韓国が国家として国際法違反を是正するために適切な措置を講じることを求めていきたい
- 1月13日に予定されている類似の訴訟においても、国際法上の主権免除の原則から、日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められず、本件訴訟は却下されなければならない
- 韓国政府が日韓合意に従って適切な行動を取ることを強く求めていきたい
日本政府の今後の方針
- 国際法上の主権免除の原則から、日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められないため、日本政府が控訴する考えはない
- わが国は主権免除の原則に立っており、日韓間の問題は請求権協定や日韓合意で解決済みと認識している。これについて関係国に対し引き続き説明を行っていきたい
新大使の任命について
- 今朝の閣議決定を受けて、本日付で相星孝一駐イスラエル大使を駐韓大使として任命した
- 相星大使はこれまでも在韓大使館での2度の勤務を通じて韓国との間で強いパイプを築いている
- 旧朝鮮半島出身労働者問題や今の判決などにより、日韓関係は大変厳しい状況にあるが、健全な日韓関係に戻すべく、わが国の一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を引き続き強く求めていきたいし、相星大使がその経験と人脈を駆使して、そうした対応をしていただくことを期待している
ICJへの提訴、大使召還などには言及せず
加藤官房長官の発言のうち、「日本政府に控訴するという考えはない」というものについては、当ウェブサイトの『主権免除違反判決は一審で確定してしまう可能性がある』で述べた内容とほぼ一致しています。
日本政府が韓国国内の裁判で控訴してしまうと、国連国家免除条約第2条1の規定からも、国家免除から外れてしまうからです(※ただし、国家免除条約自体は未発効であり、韓国は同条約に加入していないという点にはご注意ください)。
ただし、日本政府が講じ得る対抗措置については、加藤官房長官は明言しませんでした。
とくに、対抗措置としての国際司法裁判所(ICJ)への提訴や大使召還などの可能性を尋ねられた際、加藤官房長官は「(日韓間の問題は解決済みとの)日本政府の立場を関係国にも説明する」などと述べ、日本政府としての方針を明示しませんでした。
また、「相星孝一氏を駐韓大使任命した」ということは、おそらく相星氏に対するアグレマンが韓国政府から下りた、ということでしょう(※バーターで姜昌一(きょう・しょういち)前韓国国会議員に対するアグレマンも下りている可能性は否定できませんが、この点については余裕があれば別稿で触れます)。
自称元徴用工問題とまるっきり同じ展開に!
さて、今後の展開を考えるならば、おそらく最も可能性が高いのは、原告側が日本政府の在韓資産(大使館の用地などでしょうか?)を差押え、現在の自称元徴用工問題と同じような「売却スルスル詐欺」を行う、といったところでしょう。
というのも、自称元徴用工判決と今回の判決、「韓国の裁判所が国際法に違反する判決を出した」という意味では、構造がまるっきり同じだからです。
したがって、おそらく韓国や北朝鮮の特質に照らし、彼らが本気で日本政府の資産を売却しようとする可能性は、さほど高くありません。おそらくはいつもどおり、「売却するぞ、売却するぞ、今度こそ本当に売却するぞ~」とやるのだと思います。
ただし、今後、日韓交流については政府間でも企業間でも滞り始めることでしょう。
考えてみればわかりますが、民間企業にとっては自称元徴用工問題、政府にとっては自称元慰安婦問題で、いつ韓国で資産を没収されるかわからないという状態に陥ったわけであり、韓国自身がこの状態を是正しようとしないなら、自然と日韓関係も疎遠になるしかありません。
いずれにせよ、今後、日本政府に求めたいのは、現在できる対韓制裁に着手しつつ、韓国に対する対抗措置の発動を可能にする立法を急ぐことです。
当面は「サイレント型経済制裁」としての入国管理の徹底、検疫の強化、ビジネストラック・レジデンストラックの停止に加え、「消極的制裁」として「韓国を絶対に助けない」という姿勢を貫くことなどが考えられると思います。
また、当ウェブサイトでも今後、対韓経済制裁論についての議論をもう少し深めていきたいと考えていますので、引き続き当ウェブサイトのご愛読をお願い申し上げたいと思います。
View Comments (59)
韓国マスコミによると今日韓国外交部から姜昌一が大使に任命されたという発表があったようですね
今日慰安婦判決が出るとわかっていたのに、なんで今日なんだろ
もっと戦略的に駒を使えばいいのに
仮にアグレマンを出したとして、その目的は不明だが、徹底的に韓国をぶっ叩くのが目的なら納得するかな。そこまで日本政府が覚悟を決めたと思いたい。
公務員はバカです。
ホントにこれでいいの?
日本政府のコメントは要するに「遺憾表明」でしかないですね。ハッキリと韓国政府が○月○日までに何も対応をしなければ制裁措置をとる、と言っても良いのではないでしょうか?
ただ制裁も韓国みたいにスルスル詐欺にならないように、確実に実行しないとなめられますよ。(その可能性高いなぁ)
この段階で制裁しちゃうとICJで負けかねないから我慢しかないんだよね。
WTOでも訴える前に相殺関税書けたら負けたし。
国際協調を重視する以上はそれなりの手順を踏まないと寝首をかかれる。
国際機関での勝負は日本にとっても危険だと思うんですよね。
言ってしまえば、どっちが正しいかの世界じゃなく、
どっちがロビー力で優ってるかの世界なので。
極端な話を言ってしまえば、
関係当事者全員に手を回して買収するなりすれば
どんなに無法もまかり通せてしまう。
『姜は何しにニッポンへ?』
1)天皇陛下を「日王」と侮蔑するため
2)北方領土をロシア領だと喧伝するため
3)SecondFloor幹事長とよろしく(利権漁り)するため
4)日本観光
外務省って、連絡係でしかないので、こんなもんですよ。
やはり、内閣が動いて、経産省あたりが動き出さないと。
せっかく、韓国の国益を一切無視できる状況が出来たのですから、
そこに乗っていくべきだと思います。
K国利権でうまい汁を吸っている政治家も多いとかなので、何もできないかもしれませんよ。
無視するのが一番との意見もあります。 自分は釈然としませんが。
結局は南北朝鮮お得意の瀬戸際外交(チキンゲーム)に日本が屈せずに耐えれるかどうかの問題。
少しは日本も反撃しても良いのではないかというジレンマを感じつつ、見守るのが最善という事ですね。
控訴しないのは正解ですが、選挙までには必ず報復すべき。企業、政府の次に標的となるのは民間人かもしれないのだから。
日本政府がかつての事なかれ外交に戻っているように見えます。
菅さんを首にしたところで、彼以上の人材は安倍総理以外に見当たりません。
野党に政権を委ねるなどもっての外です。
そして米国はバイデン政権。
ため息しか出ません。
>菅さんを首にしたところで、彼以上の人材は安倍総理以外に見当たりません。
残念ながらそうなんですよね。
それにしても、菅さんは目が泳いで、声が震えていたねえ。
全く使えねえ奴だな、と思いました。
今月下旬に来日するとも報道されている次期駐日韓国大使・姜昌一氏は本日の判決について
「この判決が持つ意味は非常に大きい」
と述べたとのこと。ヤレヤレ。。。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/01/08/2021010880162.html
日本政府バカなの?
強く求めて「わかりました」って言うとでも思ってんのかね。
交渉にもならない。
日本政府には「池乃めだか」賞をお送りさせて頂きたいと思います。
ボコボコにやられているのに「今日はこれくらいにしといたるわ」
っていう感じの対応ですね。
アホくさ。
ボコボコにやられてます?
それにしては、ちっとも効いてませんけど
一定の界隈には大打撃かもしれませんけど
貴方は「池乃めだか」さんです。
そういえば,官房長官,クリソツかも(笑)
しかしまぁ,あのいつもの「…受け入れられない…」って,他に言いようがないのか。「まことに遺憾…」も迫力無いが,次回選挙は相当危ないと思う。