昨日の『王毅氏、康京和氏との会談に「25分遅刻」=中央日報』でも述べたとおり、さっそく、中国の王毅(おう・き)外交部長(※外相に相当)は韓国に対し、一種のマウンティングを行ったようです。さしずめ、「日本で塩対応されたきばらしに、韓国の政治家をいじめることで発散する」ようなものでしょうか。あるいは「東京の恨みをソウルで晴らす」、といったところなのかもしれませんね。
王毅氏に塩対応の日本
王毅(おう・き)中国外交部長(外相に相当)の訪日については、『菅政権、来日した中国外相に要求ばかりの「塩対応」』、『王毅氏の日韓訪問から垣間見える「日>中>韓」の力学』、『王毅氏を熱烈歓迎する韓国の望みは習近平氏の訪問か』などでも詳しく取り上げました。
中国側では王毅氏の訪日で、あたかも大きな成果が上がったといわんばかりの報道をしています。たとえば新華社が配信した次の記事でも、茂木敏充外相と王毅氏がさまざまな事項で合意した、などと報じている状況です。
王毅氏、日本の茂木敏充外相と会談 五つの重要な共通認識達成
―――2020年11月25日 10:31付 AFP BB Newsより【新華社配信】
しかし、現実に外務省の『日中外相会談及びワーキング・ディナー』や『王毅中国国務委員兼外交部長による菅総理大臣表敬』などを眺めていると、香港情勢や東シナ海・南シナ海の海洋安全保障問題などで、日本側が王毅氏にしっかりクギも刺していることがわかります。
また、大きく報じられている情報によれば、会談らしい会談といえば、訪日初日の24日、茂木外相と夕方5時半から会談を実施したくらいであり、それ以外は25日に加藤勝信官房長官と30分、菅義偉総理と20分会談した程度です。
また、王毅氏が自民党の二階俊博幹事長や野田聖子氏らと昼食会を実施したという記事を発見することができたのですが、それ以外に日本側の要人と面会したという情報はあまり存じ上げません。
もしかして探したりないだけかもしれませんし、二階氏らとの昼食会が終わったあと、あるいは菅総理への表敬訪問のアポイント時間が到来する夕方5時まで、東京都内のマ●クド●ナルドあたりでコーヒーでも啜っていたのかもしれませんが、このあたりはよくわかりません。
いずれにせよ、王毅氏が菅総理への表敬と称した20分の会談を終えたあと、専用機で25日夜10時に韓国・仁川(じんせん)国際空港に到来し、(本人曰く)翌・26日の康京和(こう・きょうわ)韓国外交部長官(※外相に相当)との会談に25分遅れたことが判明しています。
まさか王毅氏は、日本で「塩対応」を受けた腹いせに、属国である韓国で偉そうに振る舞ってストレスを発散したのでしょうか?このあたりは、正直、よくわかりません。
「習近平主席年内訪韓」はどうなった?
さて、王毅氏は昨日、韓国大統領府に文在寅(ぶん・ざいいん)大統領を訪ねたようですが、これについては韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)などに報道が出ています。
習主席「条件整えば訪韓したい」 文大統領にメッセージ
―――2020.11.26 20:34付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによれば、王毅氏は文在寅氏に対し、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席の「国賓訪問の要請に感謝し、条件が整えば訪韓したい」とのメッセージを口頭で伝えた、としています。
ただし、王毅氏は文在寅氏との会談に先立ち、記者らから「習近平氏の訪韓を実現させるための具体的条件」を尋ねられた際、記者団に対し、記者が着用しているマスクを指さしたのだそうです。要するに、「コロナウィルスをコントロールできる状態になることが必要」、ということですね。
これを受けて聯合ニュースは、『』「両国は習主席の年内訪韓を推進していたが、感染が再び拡大したことで不透明な状況になった」として、事実上、「習近平氏の年内訪韓は難しくなった」と結論付けているのです。
自国の外相が25分も待ちぼうけを食らったにしては、韓国にとってはまるで手土産なし、といったところでしょうか。
「日>中>韓」の構図ができがっているのだが…
さて、先日からしばしば言及しているとおり、少なくとも王毅外相の今回の日韓両国訪問では、「塩対応」の日本に対し、韓国では王毅氏と会談したいという政治家が列を作って並んでいる状況です。このため、当ウェブサイトでは「日>中>韓」という不等式を提唱した次第です。
ただ、こうした状況をまったく理解していないのが、韓国政府です。
昨日、大統領補佐官である文正仁(ぶん・しょうじん)氏がこんな寝言を言い出したのだそうです。
韓国大統領補佐官「韓日が協力すれば米中の仲裁可能」
―――2020.11.26 19:49付 聯合ニュース日本語版
文正仁氏は、ウェブ開催されたセミナーのなかで、米中新冷戦の状態が生まれつつあるなか、「韓日両国が協力すれば、米中双方を仲裁することができるだろう」、などと述べたのだか。
正直、「大統領補佐官」という立場にあるはずの人物の認識としてはお話になりませんし、お粗末です。
日本は現在、同盟相手国である米国と一体化して、中国の海洋進出などを止めるように警告している最中です。これに対し、同じく米国の同盟国である韓国は、中国のさまざまな違法行為に対してダンマリを決め込んでいますが、こうした韓国の無責任さは、米国がフラストレーションを感じる原因でしょう。
くどいようですが、韓国は米国から同盟国として庇護を受けているという立場にあります。
経済的には中国に深く依存してしまっているという事情もあるにせよ、米国から国土を守ってもらっていながら、米中が対立する局面において旗幟を鮮明にしないということ自体、米国から不信感を持たれるところでしょう。
また、今回の王毅氏の訪韓でもわかるとおり、中国はそのことを十分に理解しているとみえます。だからこそ、文正仁氏としては、「中国に対して強い立場を得るためにも、日本との協力を必要としている」と認識しているのかもしれません。
実際、文正仁氏の寝言は、見方を変えれば、米中間のどっちつかず外交に日本を引きずり込もうとするものでもあるからです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
もっとも、日本は別に韓国を必要としていません。
また、たしかに米中が極端に対立する局面になれば、日本企業にも打撃はゼロではありませんが、それと同時に日本は米国とともに「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を主導的に提唱している当事国のひとつでもあります。
日本が韓国とタッグを組んで米中二股外交に手を染めるというのは、ストーリーとしては最も考え辛いものであるとともに、最もあってはならない選択肢のひとつであることは間違いありません。
それに、そもそも韓国の不法行為によって、日韓関係は破滅しそうになっています。日韓関係の破綻を本気で避けるためには、『菅総理「日韓関係健全化のきっかけ要求」の本当の意味』でも述べたとおり、国際法違反の自称元徴用工判決問題などを韓国が総合的に立案し、実行しなければなりません。
といっても、それが韓国にできるとも思えないのですが…。
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「日>中>韓」については、「日>中」が事実なのかと、「中>韓」が「中∋韓」では無いかとを個別に考えています。
「日>中」について中国は日本を取り込みたい一方、尖閣の領有権を強く主張しましたので疑問に思っています。
「中∋韓」については、昨日の文大統領のコメントを見ても、そうだと思います。
上下を抜きにして単純に「日米韓VS中」が、現在か近いうちに「日米VS中韓」の構図になると考えた方が、良い様に思います。
文正仁氏の発言の意味を考えてみましょう。
韓国人が考える日中韓にアメリカを加えた4ヵ国のベストが、「米中韓VS日」なのは間違い有りません。
文正仁氏の「日韓が協力して米中の仲裁をする」というアイデアは、現実的では有りませんが、もし米中が争わない状況になったと仮定した場合、韓国は日本を切り離し、それと同時に日本を米中から遠ざけよう(告げ口外交)として、米中に接近すると思います。その結果韓国としては、めでたく「米中韓VS日」となる訳です。
かように日本を利用して、日本を孤立させようとしていますので、何を言われても相手にしてはなりません。
お説御尤も。
この文正仁氏の発言は「沖縄と朝鮮半島をテーマに自由言論実践財団が主催したオンライン国際セミナー」の場であったようですが
そこには鳩山元首相も出席していたようですよ
日本から他に誰が出ていたのか調べていませんけど、鳩山が出るような会議での発言です
それを言うなら、"まず、Quad に参加してください"という話になりますね。
まあ、中国の TOP に対し、今の文大統領が宥めるような発言ができるとは思えないのですが。
> 日>中>韓
というブログ主の見解は、言い過ぎだろうね。19世紀末に清が日本に負けたことが現代中国の心の傷であるように、日中条約締結時に1/100のGDPしかなかった中国が日本の3倍になったことは、多くの日本人の心の奥底に「くやしさ その他もろもろ」の傷を付けているのだろう。冷静にならないと評論が曇るぜ。
といっても、中国の公式発表には多くの「盛り」がなされているのは常識であるから、無用な委縮は禁物。
それはさておき、韓国の「仲介の申し出」とやらは真偽不明だし、これまでの行状からみて悪意が潜んでいると考えた方が間違えるリスクが少ない。これも無視だな。
相手の立場と彼我の状況を考えずに、自分の都合と主張だけを発信するK国の外交オンチぶりは今に始まったことではないので驚きませんが、日本側が黙っていると国際社会においてはK国の言うことが諸外国に本当のように受け取られてしまう残念な状態にあります。
これに対して他国と波風を立てないことを信条とする外務省は今の時代にそぐわない役所になりつつありますので、期待薄です(和を以て貴しとなす奈良時代から変わってないような)
この際、外務省を分割して海外発信を主業務とする内閣直属の部局を作ったら如何ですか。
K国の寝言に対していちいち大臣様がSNSに実際はこうとか投稿する必要がなくなります。
学術会議の事務局に50人もの役人を割り当てるよりよほど国益に通じると思いますが。
K国大統領補佐官の発言にたいして、「先ずはFOIPに参加してから言えよ」と発信することで諸外国にK国の二枚舌を知らしめることになります。
>「韓日が協力すれば米中の仲裁可能」
連携することで日本側にメリットがあるのでしょうか?
当事者意識のない人たちから、やる(騙す)気ムンムンでそんな言及されても、彼らの無責任主義が改まらない限り現実味がありません。
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韓国は赤い鳥かごのなかで欲張り過ぎたヘビなんです。
お腹が膨らみすぎて、今さら外には出られないのです。
文ざいいんが、アメリカの頸木から脱して朝鮮統一をやりたいのは明らか。別の陰謀もたくらんでいるようだが、それはさておき。
中韓VS日米 という構図にはならないんだね、これが。
中VS米日ロ韓 ってのが、アメリカ財界の思い描く形さ。韓国はその足場なのだから、手放すわけがない。これは20世紀初頭から狙いっているからね。
トランプがああいう人だから、文ざいいんは、揺さぶればアメリカが韓国を手放すと思ったんだな。それはあながち間違いではなかったんだが、アメリカ政治が伝統路線に回帰するんだから、韓国はあわてているわけよ。
この後におよんで韓国がアメリカ離れを続ければどうなるか。
アメリカは、韓国が「北朝鮮封鎖国連決議」を破っているのを知っていて、いざというときには韓国が封鎖の対象になる。もっとも、これには中国が反対するから決議はまとまらないが、そこで「踏み絵」がでる。
火葬フィクション「韓国処分 202Z 年」
日米が中国と手を結んで韓を孤立させる。事実上の中国信託統治状態とし、工業力は三ヶ国で山分けとする。難民発生の節は、対馬海峡・日本海は渡らせない。露の協力を得てサハリン開拓民となっていただく。
連投すみません。
改名します「朝鮮動乱 202Z」
米中共謀による韓国傀儡国家樹立計画を察知した北朝鮮は迎撃不能の最新型ミサイル数発を放って韓国国内交通に打撃を与え、同時に38度線を破って南進。首都で警察軍隊に潜んでいた呼応勢力が政府中枢に叛旗。半島は事実上内戦状態へ。米中日露は現況が著しく変更されることを望まず、異なる形の半島統一を目指して派兵。事態が不測展開することを警戒した豪州軍カナダ軍艦艇が援軍に駆け付ける一方、台湾海峡監視のため米海軍インド海軍が南シナ海でにらみを利かせる。
私は近頃日本と韓国の間には「価値観の違い」などと言う生易しいギャップではなく、「現状認識能力の違い」と「思考回路の違い」と言う絶望的な絶壁が立ちはだかっているのではないかと考えるようになりました。
個人はいざ知らず、集団としての韓国の現状認識は「”予断の確認バイアス”のかかった妄想」
に近いと思います。
予断の主なものは以下:
1)韓国と韓国人は世界で最も優秀であり、他国の人々は我勝ちに韓国に色々なモノを貢たがっている。
2)韓国と韓国人は優秀であるから、他国に出来る事ならば何事も出来る。韓国と韓国人に出来ない事はなく、韓国がやらない事は出来ないのでは無く、する必要が無いモノである。
3)韓国と韓国人が欲しいけれども持っていないモノ(技術、文化、芸術、歴史)は、悪者が韓国から略奪したモノに違いない。
3)韓国と韓国人は道徳と友愛に充ち満ちた君子であるから、世界中の羨望と憧れの的である。
4)韓国と韓国人はかように素晴らしい国家・民族であるが、世界の舞台で悪の権化である日本の隣国であるために未だに一流国になれずにいる。
5)日本は絶対悪の野蛮な国であり、ナムであり、格下でもあるので、絶対善である韓国と韓国人は日本には何をしても(約束を破っても、嘘をついても、讒言や根拠のない悪い噂を広めても)構わない。
ここ3年間の韓国政府の言動を眺めていると、K-FXのアメリカからの技術移転問題にしろ、ホワイト国リストからの切除にしろ、哨戒機レーダー照射事件にしろ、欧州首脳陣を訪問した文大統領の北朝鮮制裁の緩和の要請にしろ、南北連絡事務所の北による爆破にしろ、客観的事実関係からして、とても正気の沙汰とは思えない「韓国式現状認識」をしている。
(”また後頭部を殴られた”を参照)
しかもその「歪んだ現状認識」を基に、更に「予断バイアスのかかった思考回路」で考えた結果を行動に移してしまい、その異常性を徐々に世界に拡散し始めている。
このような集団として現実と乖離した「予断確認バイアス的現状認識」しか出来ない民族国家は、単なる「価値観の違う国」ではなく「思考が未熟で未開であるばかりでなく、予測不可能で感情的で危険な行動に出る恐れがある国」ですので、絶対に戦略的パートナーにすべきではありません。
1)から5)に示された韓国人の思い込みについて、全面的に同意します。それを踏まえた上で、現在の韓国の、少なくとも文在寅政権の自己認識は「韓国は既に世界をリードする大国であり、先進国である。日本はもとより、中国とだってアメリカとだって対等の立場で話をすることができるのだ」というものです。ただし、中国に対しては、それこそ歴史的経緯から、些細なことで「属国根性」に本卦帰りしたりするようですが、膨れ上がった自己認識(彼らが言うところの自尊心)をすでに彼らは確信しており、すべての議論はそれを大前提としてしまっています。
もちろん、外部から見れば彼らの自己認識は根本的に間違っており、夜郎自大の典型としか見えません。しかし、彼らはそれを認識することなく、「大国として扱われること」「大国然として振舞うこと」のみを望んでいますが、誰一人そのように扱ってはくれないため、不満を拗らせる一方になっています。
かねてから文正仁特補の発言は文在寅大統領の心の声と言われてきました。おそらく今回の発言もそうなんでしょう。つまり、韓国の錯覚っぷり、夜郎自大っぷりは、悪化しこそすれ、何も変わってはいないということです。
傍迷惑なことに、朝鮮式朱子学は精神勝利法だけは発達させてきたので、いよいよ破滅的な状況になったとしても、夜郎自大っぷりは直らないだろうと思います。
龍様
>膨れ上がった自己認識(彼らが言うところの自尊心)をすでに彼らは確信しており、すべての議論はそれを大前提としてしまっています。
その膨れ上がった自尊心も、セウォル号事件の顛末を知れば、でペシャンとなるかと思ったんだが、どうも今の極左政権の連中にしてみれば、自国にとって嘉するできごとと捉えてるようですね。
恐らく韓国式思考回路によると韓国人は絶対正義の具現化であり、間違いをしでかさないので、一人の「絶対悪の悪党」をでっち上げて、全ての責任を都合よくその一人に押し付けて生贄にし、「韓国人は世界一優秀な民族である」と言う「韓国教の原理」を維持しようとしているのでしょう。
かわいそうに「生贄指定」された人物は韓国の前大統領であった方です。
選ばれた民族のつもりなんでしょうね。
エラばれた民族のくせに。
あっ、発音記号じゃ区別できないか。
エラそうにしているふりがバレちゃった民族ですな!
話が逸れますが、GoogleTranslate によると
放火 → 방화
防火 → 방화
だそうです。
ハングルで書かれた消防士マニュアルを読んでみたい!
頼んでもいないのに勝手に他国を巻き込む言動は韓国の正常運転ですね。まあ、言えば言うほど日本側は醒めるので、有難いですが。