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菅総理、インドネシアで「海洋安全保障」にコミット

菅義偉総理大臣は本日、訪問先のインドネシアで内外記者団の会見に応じ、みずから首脳外交を展開する意思を強く示したほか、インドネシアの記者の「日本は海洋安全保障にどうコミットするのか」との質問に対し、「インドネシアとの連携を強化する」などと明確に言い切りました。心強いことです。ただ、それと同時に痛感するのは、日本のメディア記者の質問レベルの低さでもあります。

菅総理の内外記者会見

就任後初の外国訪問中の菅義偉総理大臣は本日、訪問先のインドネシアで内外記者会見に応じました。

ベトナム及びインドネシア訪問についての内外記者会見

―――2020/10/21付 首相官邸HPより

総理大臣自身がの発言がインターネット上で直接視聴できるというのも、なかなか興味深い話です。

動画は30分弱と少々長めで、また、現時点でテキスト版はアップロードされていないようですので、少々引用し辛いのですが、個人的に感心したのは、菅総理自身が次のような趣旨のことを述べたことです(動画の10:04~)。

今後とも、私みずから首脳外交を展開し、ベトナム、インドネシアを始め、ASEAN各国と緊密に連携をしながら、自由で開かれたインド太平洋を着実に実現していくとの決意を新たにいたしました。

事前の観測だと、「菅総理自身の英語力に難がある」などの理由で、安倍晋三総理と比べれば首脳外交はずいぶんと交代するに違いない、と述べていた人もいたのですが、少なくとも菅総理この発言を聞く限りにおいては、菅総理みずからが首脳外交を積極的に展開しようとする決意が見て取れます。

この点、冷静に考えていくと、菅総理は前政権下で一貫して官房長官を務め続けていた人物でもあります。

安倍外交自体、諸外国の首脳と直接積極的に話しかけに行くという積極性を安倍総理が持っていたことで実現したという側面があったのは間違いないにせよ、こうした安倍総理の積極的な動きを緻密で冷静な戦略で支えていたのは、じつは菅総理その人ではないでしょうか。

個人的には、以前から菅総理についてはいわゆる「参謀」タイプではないかと感じていましたし、その意味で、菅総理が「矢面に立てる人物なのかどうか」という点についてはなお見極めが必要と思っていますが、それでも現在のところ、総理のスタートダッシュはなかなかのものだといえるでしょう。

なぜそこに注目する?~日本・インドネシアの記者のレベルが違いすぎる~

こうしたなか、日本のプレス関係者は、せっかくベトナム・インドネシア訪問に帯同しているにも関わらず、「なぜインドネシアでそこに注目するのか?」と思わざるを得ない質問を投げかけているようです。

質問自体は日本とインドネシアの報道が2社ずつ交互に実施したのですが、最初の質問ではフジテレビの記者が、「自由で開かれたインド太平洋構想に中国が反発している」、「日中韓首脳会合に菅総理が参加しない可能性があると報じられている」という2点について質問を行っています。

また、日本の2社目では、朝日新聞の記者が例の「日本学術会議の任命拒否」について質問をしているのですが、これなど正直、インドネシア滞在中の菅総理の貴重な時間を潰してまで実施すべき質問なのか、大いに疑問です。

ただし、これらに対する菅総理の回答は、べつに新しいものではありません。

たとえば、日中関係に関しては「自由で開かれたインド太平洋は考えを共有するいずれの国とも協力が可能」、「特定国を念頭に置いたものではなく、インド太平洋版のNATOという考え方は一切ない」と従来の見解を繰り返しました。

また、日韓関係を巡っても「日中韓サミットの日程について何ら決まったことはない」、「日本企業の差押資産が現金化される事態が生じれば、日韓関係に極めて深刻な状況を招くため、絶対に避けなければならない」、と述べましたが、これも従来とまったく同じ見解といえるでしょう。

その意味で、先ほどの『茂木外相、記者に対し「それはあなたの意見でしょ?」』でも報告したとおり、どうも日本のメディア関係者の質問パターンは、答えがわかりきっているものを何度も尋ねる、という傾向があるように思えてなりません。

その一方で、インドネシアの現地メディア2社については、片方はインドネシア語、片方は英語で質問がなされましたが、最初の質問に関しては菅総理の回答から判断する限り、おそらくいずれも「日本は今後、ASEANとどのような関係を構築するか」といった点に見解を求めるものと考えて良いでしょう。

また、2つめの質問については英語でなされ、ジャカルタポストの記者が「南シナ海の海洋安全保障にどのようなコミットをするつもりか」という点について菅総理の見解を尋ねたものですが、菅総理は「同じ海洋国家であるインドネシアとの海洋安全保障の協力を拡充する」との方針を答えました。

本来、記者の質問とはこうあるべきではないでしょうか。

(なぜか)韓国メディアが注目

ついでに、日韓関係について言及があったので、こんな記事についても紹介しておきましょう。

菅首相が「日本企業資産現金化」関連発言…「絶対に避けるべき」

―――2020.10.21 14:07付 中央日報日本語版より

韓国メディア『中央日報』(日本語版)のつい先ほどの記事で、この菅総理の発言が取り上げられています。といっても、記事自体は300字あまりの短いもので、菅総理がフジテレビ記者に答えた内容を抜粋・要約したに過ぎないものです。

しかし、これをわざわざ記事に起こすというのは、それだけ菅総理が年内に予定されているという日中韓3ヵ国首脳会談に参加するかどうかが韓国国内で強く意識されている証拠、ということかもしれません。

ただし、先ほども申しあげたとおり、菅総理の発言内容自体、日本政府の従来の見解を繰り返しただけのものであり、なんら目新しいものはありません。それを韓国メディアがわざわざ報じたという点こそが、この記事の最大のメッセージなのかもしれませんね。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

そういえば、「押すなよ、絶対に押すなよ」というセリフは、某著名芸人グループが編み出したものだとされているようです(※事実関係を確認したわけではありませんが…)。

これは、わざと危ないことをしながら「押すなよ、絶対に押すなよ」と言っている人を、わざと押して水に落とすという鉄板ネタですが、現在、韓国がやろうとしている日本企業の資産売却手続を見ていると、まさにこの「押すなよ、絶対に押すなよ」を思い出してしまうのです。

これを「売るなよ、絶対に売るなよ」と読み替えたら、やっていることはなんだかチープな猿芝居にも見えてならないのです(もちろん、猿芝居をしているのは韓国の側ですが…)。

新宿会計士:

View Comments (20)

  • 朝日新聞の記者がどんな方なのか存じ上げませんが、
    人様の地に出向いて、公式の場でその人様とは全く関係のない話をする行為が
    如何に無礼に映るか、全く理解出来ない方なんでしょうね。
    そういう価値観を理解しないからこそ、朝日新聞の記者を続けられるのかもしれませんね。

    • 仰る通りですが、穿った見方をすると
      韓国の国際法違反、条約踏み倒しを世界に広報しようとしてくれているのかもしれません。
      KFX共同開発分担金の値切りだけでなく、益々インドネシアは韓国に対して無理難題を突き付けるようになるかもしれませんね。
      菅総理には、日本に対して信義にもとる行為をするとどうなるかをインドネシアに示す意味でも韓国には甘い顔をしてほしくない。一方、ODA供与の裏でしっかりインドネシアにくぎを刺しているのか心配。

      • 農家の三男坊 様

        >菅総理には、日本に対して信義にもとる行為をするとどうなるかをインドネシアに示す意味でも韓国には甘い顔をしてほしくない。一方、ODA供与の裏でしっかりインドネシアにくぎを刺しているのか心配。

        その通りだと思います。
        ODA等を「三方よし」で運用すれば、諸国はイイ顔して振り向いてくれるのでしょうが、信義に反した行為を”なぁなぁ”で済ませてるようじゃ日本は諸国から「都合のいい財布(ATM)」としか見なされなくなるんですものね。

        *強い絆は成功体験の共有によって培われるのだと思っています。そのためには親しき仲にも最低限の礼儀は必要なのかと・・。

        *言葉わるく言えば、日本は「諸国を札束で懐柔してるだけ」だから”難癖怪獣”が生まれてしまったのかと・・。いまは示しをつけるためにも、毅然とした対峙(退治?)を貫かなければならない時なのだと思います。

  • 更新ありがとうございます。

    フジテレビと朝日新聞の記者は、インドネシアのマスコミ、政府、国民の皆様に失礼だろう。質問の程度が低すぎる。

    何でインドネシアに来てまで、「日本学術会議の任命拒否」や「日中韓首脳会合に菅総理が参加しない可能性がある」という愚問を聞くのか?

    これなど所属する企業自体大いに問題あり。高い交通費払ってまで、そんな事聞きに行かせる理由はない。まともな経営者なら、あの質問をした時点で「帰国を命ず」だ。

    特に韓国の件などいつも飽きるほど質問しているではないか。「日中韓サミット」。それは消えたの!(笑)現金化しないとの南朝鮮からの返事は聞いてない。だからナシ。韓国の事など、どうでもいい。

    インドネシア政府は日中の天秤外交が得意で、今一つ政権によって安定しませんが、記者の質問は納得です。「南シナ海の海洋安全保障にどのようなコミットをするつもりか?」。
    菅総理「同じ海洋国家であるインドネシアとの海洋安全保障の協力を拡充する」。見事です。ホンマは外交が得意では?(笑)

  • 確か、レッツゴー三匹でしたね。
    「落とすのは水じゃない、熱湯だ。俺たちは身体を張って生きているんだ。韓国と一緒にするんじゃない。」
    は、置いといて。

    菅総理、初の外国訪問で順調に成果を出したように、お見受けします。
    両国の会見では、最初に「自由で開かれたインド太平洋」を語り、目的を明確に伝えたかったんだと思います。
    とりあえず解散は、年明け以降になりそうです。
    一度大きく勝ったら、菅政権も長いかもしれません。

  • 本日の変換誤記、発見。

    > 倍晋三総理と比べれば首脳外交はずいぶんと交代するに違いない

    首脳外交は他の大臣と交代して内政に専念する、の意味。
    いやいや、文脈からすれば「後退」の意図だと推測します。

  • 12時からのNHKニュースでは、菅総理のジャカルタでの記者会見内容をかなり詳しく報じていました。
    ライブでそのまま報じていましたので、日本の記者がインドネシアの話題を振らずに、韓国の話題を振ってしまうおバカな光景もそのまま報じられました。
    これは菅政権も予想のうちだったようで、菅総理は慌てることもなく対応しております。

    インドネシアが内々、中共を裏切ってこれからは日米側に着くことを期待させる内容でありました。これから、インドネシアでの高速鉄道の受注(ジャカルタースラバヤ間)が日本有利で進んでくることも期待できるでしょう。
    地政学的にインドネシアがおさえているマラッカ海峡、ロンボク海峡の両海峡を封鎖されると、日本はシーレーンを寸断されてしまいます。こうなると、日本に勝ち目はかなり薄くなってしまいます。
    まあ、インドネシアは韓国ほど重症ではありません。ですが、最後まで中共とインドネシアを取り合う攻防を繰り広げることになるのでしょうね…

  • もしトランプ大統領が来日しQUADについて菅首相と会談したと仮定して、随行してきた米国の記者がQUADそっちのけで大統領選の見通しについてばかり聞いたとすると、我々はどう思うでしょうか?
    日本の記者は客観視が出来ないとは思っていましたが、自分たちの行為がどう映るのか、考えることもできないとは情けないです。

    • 確かこの本が出典だったと思うのですが、

      『ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争』 高木徹 (著)
      https://www.amazon.co.jp/dp/4062750961

      この本(単行本)が出版される頃までの日本の首相が訪米すると、米国のマスコミは完全無視だったそうです。(以下「そうです」自粛)

      首脳会談が終わったあと、ホワイトハウスで記者会見があるとします。TVやプレス記者が会場に押し寄せ、TVのライブ中継が始まります。

      まずは米国大統領のターン。大統領に対するTVレポーターや記者の質問は国内問題ばかりで、日米関係についての質問は一切ありません。

      次は日本の総理大臣のターン… になる前にTV画像が切り替わり、フットボール、バスケットボールなどスポーツの話題や、ちょっとした国内ニュースが挟まります。総理大臣へ質問するのは随行した日本の記者ばかり。

      また大統領のターン。先ほど同様、質問は国内問題だけ。
      総理大臣のターン。TV画面は、またスポーツの話題。

      こんな感じで視聴者は、日本の総理大臣が訪米しているとは微塵も認識せず、大統領が臨時の記者会見を開いたものと思い込みます。

      まあ、細川、羽田、村山、小渕、森あたりの歴代総理大臣では、そういうあしらいも仕方がない気もします。

      毀誉褒貶ありますが、小泉元総理は、日本の国際的プレゼンスを高めたと思います。そして安倍総理がそれを決定的にしました。管総理がその遺産を食い潰すのか、さらに高見へと押し上げるのか、その評価を下すのは時期尚早ですね。

      • プレスリーのモノマネのインパクトが大きかったそうですね。
        男芸者だと批難されていましたが、幇間は本来ちゃんとした芸人です。

        安倍首相もマリオの格好のインパクトが相当でかかったらしいです。あれで覚えた外国人は多かったそうで。
        菅首相はキャラ的にそこまでは突き抜けられないだろうなあ。

      • ちょっと違う
         なるほど良く知ってるなあ~と思いますが、比較の対象がまるで違う!
         アメリカでアメリカ人記者が(日本の首相を無視して)アメリカ大統領にアメリカのことを質問した。

        ↑←当時のアメリカ人は日本に全く興味がなく撮す価値なしと判断されたのでしょう。
         一方、外遊した首相に随行した記者(朝日)が、外遊先インドネシアで報道中の記者会見でインドネシアと全然関係のない日本、China、Korea三国首脳会談について質問した。
         これは、アメリカ人記者がアルゼンチンで報道中の記者会見でアメリカ大統領にアルゼンチンとは関係のないアメリカ、ブラジル、ヘネゼイラの三国首脳会見でついて質問するようなもの。極めて無礼。日本の礼儀を知らない朝日は日本と人種が違いすね。

  • 私は昼の「エール」を楽しみにしているので、12時からNHKを見るのですが、日本の記者の質問には呆れました。国内の官房長官会見と同じ質問をしていたからです。
    同行記者としてわざわざ渡洋した意味が全くありません。いろいろな場面での感想や会談での手ごたえ位は聞いてほしいものです。具体的な防衛協力とはどんな形になるのかとかいくらでもあるでしょう。能力がないんだなと思いました。私が上司なら左遷ですね。二度とこんな大事な役目には付けません。
    上司からの指示なのだとしたら、組織として終了しています。

    • 上司も同レベルなんですよ。
      日本のオールドメディアがオワコンであるのも当然ですね。

    • くろくま さま

      日本の記者の仕事が、こんなに楽なものなら私もやりたいです。
      昼寝しながら報告書が書けそう。(最初から返答がわかっている質問ですから)

      • 老害様

        >日本の記者の仕事が、こんなに楽なものなら
        いや、見たとおり聞いたとおりに書いてはいけないのは逆につらくないですか。マスコミ社内的な正解を毎回うまく作文しなければならないのです。社内の政治力学・貸し借り関係・根回し・すり合わせを把握し、高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する能力が求められます。非常に難度の高いミッションだと思います。

        報道の社会的使命?そんな社内貢献度ポイントに関係のないことなんて気にしている暇なんてないのですよ。

  • 逆に記者に中国はどうして自由で開かれたインド太平洋構想に反発しているんですかと質問返ししてあげればよかったのにw

  • いつもお世話になっております。

     同行記者問題は、今回が最初でも最後でもありません。
     何故なら、記者が条約締結等重要な会議で大臣等に同行しても、会議の内容や何故条約を締結するのかという最低限の知識が無いので、その問題に対し質問ができないんです。 内容は解らないし、質問しなければならないから、その場にふさわしくない不急・不必要な国内の自社で問題としている(実際は大した事ではない)のを質問しているんです。 国内の例として種子島でのロケット打上げでさえ、そこに行った記者が何の衛星を打ち上げるのか、衛星にどのような機能があるかが分からないんです。 その為担当者に紙の説明書を要求しているんです。 誰かは忘れましたが、記者はヤギみたいだと言っております。 未だ幼児や小学生の方が記者より、良い質問をしています。