何やら不思議な記事を発見しました。産経ニュースに昨日掲載された記事によると、立憲民主党の枝野幸男代表を本部長とし、日本共産党の志位和夫委員長らを副本部長とする、「投票率10%アップを目指す署名運動」というものが始まったようです。地元の寂れた商店街が「買い物10%アップ署名運動」をやって商店街が復活するはずがないのと同じく、何を不毛な運動をなさっているのかと呆れる次第です。
商店街再生事業の限界
詳細は明らかにしませんが、著者は過去に、ある地方都市の商店街の再生事業について、小耳にはさんだことがあります。
あるコンサルタントによれば、商店街が栄えるか寂れるかについては、その都市圏における人口だけでなく、①商店街全体が買い物客を呼び込むだけの魅力的な空間となっているか、②商店街の個々の店舗の品ぞろえやサービスが良いかどうか、という2つの要素が重要なのだそうです。
このうち、商店街全体としては、たとえば買い物客が雨風を気にしないで自由に回遊できるようにアーケードを設置しているというケースも多いと思いますが、それだけではありません。定期的な清掃などの維持管理も必要ですし、積極的なバリアフリー化、駐車場や駐輪場の整備も望ましいです。
さらに、抽選会を実施したり、近所の小中学校と協力してお絵かきコンテスト、書道コンテストなどを実施したりするケースもあるでしょうし、最近だと広場にストリートピアノを設けたり、路上アーティストを呼んだりして話題を作る、という努力をしているケースもあるようです。
しかし、商店街全体がいくら努力をしたところで、個々の店の営業時間、品ぞろえ、接客、専門知識などが伴っていなければ、結局、人々は商店街ではなく、もっと効率よく楽しく買い物ができる場所(たとえば郊外のイオンモールなど)に逃げてしまいます。
商店街の場合、どうしても「地権者である個人商店などが集まって商売をする」という性質があるため、この「個々の店舗の魅力を高める」というのが、各店舗の自助努力に委ねられてしまう、というわけです。
署名活動で人は来るのか?
こうしたなか、個々の店舗がどうやって魅力を高めていくか、経営努力を続けていくかについては、行政側の努力を含め、いろいろと面白い論点があるのですが、本稿ではとりあえず割愛したいと思います。
それよりも、ここでは簡単なクイズに付き合っていただきたいと思います。
「寂れている地元商店街が『今よりも10%多く買い物をしましょう』という署名活動を始めました。果たして買い物客は戻って来るでしょうか?」
な~~にをバカなことを聞いているのですか、と呆れずに、次の記事を読んでみてください。
野党議員が「投票率10%アップ」運動 共闘狙い…冷ややかな声も
立憲民主党など野党の有志議員が「投票率10%アップ」を目指す署名運動を展開している。<<…続きを読む>>
―――2020.7.20 17:16付 産経ニュースより
最大野党である立憲民主党を中心に、なにやら理解に苦しむ運動が展開されているようです。
産経ニュースに昨日掲載された記事によると、立憲民主党などの野党有志議員を中心に「投票率10%アップを目指す署名運動」なるものが、中村喜四郎・元建設相(※現在は無所属)の呼び掛けで始まったのだそうです。
また、本部長には枝野幸男・立憲民主党代表、副本部長には志位和夫・日本共産党委員長と福島瑞穂・社民党党首がそれぞれ就任し、昨年末時点の自民党の党員数に並ぶ108万6000人の署名獲得を目指しているのだとか。
いろいろ意味がわかりません。そんなことをやるよりも先に、個別の議員が法令や有権者のニーズといった政策課題をちゃんと勉強し、有権者が自党に投票してくれるような魅力的な政策を打ち出す方が先でしょう。
政党が商店街、政治家が個々の店舗
先ほどの商店街の論点、じつは、政党や政治家(とくに国会議員)の話とよく似ています。
当たり前ですが、人々が郊外のイオンモールではなく、地元の商店街に積極的に出掛ける理由があるとしたら、「そこでなければ手に入らないものがある」、といった「売り」が必要です。
そのためには、個々の店舗が品ぞろえ・接客の仕方などに加え、商品に関する最新の専門知識を学び、研究し続けるなど、「他には負けない」という努力をしなければなりません。
国会議員などの政治家もこれとまったく同じで、「私に投票して下さればこれを実現します」という、魅力的な約束(公約)なり、ビジョンなりが必要です。当然、政治家は現状の政策課題(現場の問題点と実際の法制度の違いなど)について猛勉強しなければなりません。
また、商店街側も、個々の店舗が安心して自店舗の営業に専念できるよう、定期的な清掃活動、街路の点検、バリアフリーといったインフラを整備するなどの地味な努力が必要ですが、政党もこれと同じで、個々の議員・候補者を集めて勉強会を開くなどの地味な努力をしなければなりません。
そんな努力をすっ飛ばして、「10%アップ署名」などを展開したところで、消費者が10%余分に消費してくれるという保証などありませんし、ましてや10%余分にモノを買ってくれたとしても、それを「地元商店街で」買ってくれるという保証はありません。
むしろ、「な~~にをバカなことをやっているのか」と冷ややかな目で見られるのが関の山ではないでしょうか。
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先ほどの産経ニュースの記事によれば、くだんの「投票率10%アップ署名運動」、「運動を通じて支持基盤を広げるとともに、共闘の機運を高める狙いもある」としたうえで、立憲民主党の枝野幸男代表が
「野党の連携を強め、若い議員の選挙の足腰を強くする大変有意義な活動だ」
と期待感を示した、などとしています。代表ご自身がこんな認識では困りますね(笑)。
内閣不支持率≠野党支持率
さて、衆議院の解散総選挙は早ければ秋口にも予想されますが、数日前に報じられた時事通信社による7月の世論調査によれば、内閣支持率は35.1%、不支持率は46.2%で、依然として不支持率が支持率を上回っている状態です。
内閣支持35%、不支持46% コロナ対応、5割弱「評価せず」―時事世論調査
時事通信が実施した7月の世論調査で、安倍内閣の支持率は35.1%、不支持率は46.2%だった。<<…続きを読む>>
―――2020年07月17日17時01分付 時事通信より
個人的には時事通信を含めたマスメディアの世論調査に全幅の信頼を置いて良いのかという疑問はありますが、この点を無視するとして、記事を読み進めると、興味深い記述があります。野党への支持率をすべて足しても8.5%で、自民党への支持率26.0%の3分の1に過ぎないのです。
- 自由民主党…26.0%
- 立憲民主党…3.3%
- 公 明 党…2.8%
- 日本維新会…2.2%
- 日本共産党…1.3%
- れいわ新選…0.7%
- 国民民主党…0.6%
- 社会民主党…0.2%
- NHK国民…0.2%
- 支持政党無…60.5%
(※足しても100%にならない理由は不明)
理屈のうえでは、もし安倍政権を支持しない人全員が次の総選挙で必ず自民党以外の候補に投じれば、政権交代が発生するはずです。しかし、実際には投票率は100%ではありませんし、野党は共闘し、候補者を調整するなどしているにも関わらず、自民党に惨敗し続けています。
正直、もしも自分自身が「野党連合」に身を置いているとしたら、一刻も早くそこから抜け出し、「政治家の本業であるところの『政策』で自民党に勝負する」ことを目指すと思うのですが、いかがでしょうか。
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びっくりしました。
「投票率10%Upさせるための政策指示」の署名活動ではないのですね。
具体的な施策案があって、それの支持を求めるのかと思いました。
目的を達成する為のプロセスが丸ごと抜けてる。。。
バカ殿やドリフのようなコントですね。
余談ですが
中村喜四郎議員は圏央道を引っ張ってきてくれたので地元では絶大な人気を誇ります
毎週末のように車で地元を周り情に訴えるうまいです w
地域の最前線こと商店街で握手のついでに一票投票は若者には興味を持たれないかもしれませんがお年寄り世代には効果的なマーケティングかもしれませんね。
ついでに言えば白河の関より北、東北や北海道などいつも選挙で自民と民主が血みどろの激接戦を繰り広げている地域はほんの少しの差で当選が覆る可能性があるので効果的だと思いました。
しかし、立憲とか社民、共産の連中が薄笑いの顔でアーケードを練り歩かれてしまうと酒が不味くなりますな。
効果的な政策提言・支持が十分でないでない現況で投票率だけがアップしてしまうと労働組合等の組織票に支えられてる諸野党は相対的に獲得議席数を減らしてしまうだけなのでは?
投票率のアップを焦点にするのであれば、日当を5000円くらい支給すればいいと思います。
そもそもパーセント上昇なのかパーセントポイント上昇なのかはっきりせーよともやもやしますが、投票に行かない人限定での支持政党調査からした方が良いんではないですかね?普通に考えればせいぜい同じ比率で票を分配するだけ、現状でいいやという層を想定すれば与党がより多くとりますし。奇跡的に野党支持層が大半だったとしたらなぜその人たちは投票しないのか…しかも逆転までいくには、その奇跡の上に投票率が100%付近までいかないと単純計算でムリゲーですし。
この程度の計算が誰一人できないなんて可能性は皆無なはずで、分析もしないわ、10%だのと少ない割に実現性もないうえに目標達成に対して及び腰だわってのは、結局はいつまでも民主党、共産党を支持していられるよーな方々に「我々は潜在的には勝てるのだ!だが投票に行かない人のせいで…あーあー惜しいなー」という茶番を見せるだけという、ただの身内エクスキューズかなと。いい迷惑で。
それなりに良い手のような気がします♪
いきなり党員になってくれっていうよりも心理的なハードルは少ないだろうから、署名に住所や電話番号を書いて貰えば、そのまま個別活動用の有権者名簿が出来あがる訳なんだと思うのです♪
ついでに、集めた署名の数を実績として扱えば、候補者調整のときの材料にもなりそうに思うのです♪
署名活動に立憲とかの政党名を出しておけば、出来上がる名簿に乗っでいる人は、相対的に拒否感の低い人だろうと見込むことも出来ると思うのです♪
ただ、惜しむらくは、そういった努力をしてても、政党にとっての商品である政策がグダグダなとこかなって思うのです♪
(*゚▽゚ノノ゙☆モウヒトクフウ,ガンバッテ☆パチパチ☆
彼らの行う署名活動に、普通の人は住所・記名はしませんよ。
彼らが今まで行ってきた反社会活動の実績を見ると、何が切欠で危害を加えられるか判りませんのでw
伊達に公安にマークされてはいません。
でも、仰る通り「相対的に拒否感の低い人」を焙り出すのには有効かもしれませんね。
そういう警戒感の低い人をターゲットに、何か(反安倍教の布教?)をしていくのですね。
政策では勝負出来ないのでw
共産党や公明党にとっては、むしろ投票率が下がってくれた方が都合が良いはずなんですがねぇ......
龍 様
そうですよね。
共産党・立憲民主党・社民党、、、。 それぞれのカルト集団政党ですが、共産党はこの手のキャンペーンを使い収入が減って「赤旗新聞購入を止めた貧困層」「収入7%?の年貢を納められなくなった元党員」の再勧誘とかや 組織引き締めを狙っているのかもしれませんね。
後の2つは「政党支持率無し」の人々が これによって自分たちに向くと能天気に勘違いしているか、労働組合や市民団体への「見え透いたアピール」なのかもしれません。
日本共産党は これを使って新たな支持者、組織乗っ取りをジワジワ目指いしていると思います。 公安白書では 各テロ組織(オウムとか)の次に出て来るのはこの組織。
「政策」で自民党に勝負する
ハッハッハ、これはまた無理難題を(笑)
投票率アップということは無党派層の取り込みが目的かと思いますが、政治に無関心なのかそれとも既存政党に嫌悪感をもっているのかとか理由は色々あると思います。
具体的にどの層をターゲットにどんなアプローチをするのでしょうか。
まさか労組とかの支持団体に組合員一人あたり何名のノルマを課して署名を集めさせてそれで終わりとか。
それで政権交代が成ればお手軽でいいですねw
買い物10%アップ署名運動で商店街は再生する
如何にも特定のイデオロギーに毒された方達らしい頭の悪い発想ですね。
野党(というかこれは自民党の諸氏の中当てはまるかもしれませんが)の皆さんは実際のビジネスに携わった経験のおありの面々はあまり多くはいないのではないか、等と考えてしまいます。発想があまりにも浮世離れしすぎていますので。
というか、署名集めで集客効果があると考えているのなら、音頭を取ってる各政党の委員長なり党首自身が自ら街頭に立って道行く人に声がけをやってみればよろしいのではないでしょうか。その上で一ヶ月後なり二ヶ月後に、実際に10%売り上げが向上したかどうかを検証してみればいいのです。
買い物客を集めるには新宿会計士様の仰る通り、品揃えとか商店街環境の整備等何らかのインセンティブが必要なことぐらい、社会人一年生の新人君でも分かることではないかと思うのです。そのインセンティブがなんなのか、そしてそれがどれほどの効果を生み出せるのか、を見つけることこそが商売の王道と云えるのではないでしょうか。
署名活動を行い一定数の署名を獲得すれば事足れりとするような安易な政治活動とは違い、そこにはいわゆる泥臭い営業活動や地道な日々の努力や信用力が求められるということは、長年商売を続けてきた商店街の店主の方がアマチュア政治家の野党諸氏よりもよほど身に染みて理解してると思われます。
いい人を演じたいという安易なアマチュア政治家らしい野党の諸氏は、どなたかの投稿にあったように圏央道を引っ張ってきた中村喜四郎氏の政治手腕を見習うべきなのかもしれませんが、コンクリートより人、がモットーの彼らには逆立ちしたって真似できることではないのでしょうね。