土曜日に公表された毎日新聞の世論調査では、安倍政権への支持率が一気に27%に下落する一方、不支持率は64%にまで達したそうです。この調査結果だけを見れば、まさに内閣支持率は「危険水域」です。ただ、そもそも論として内閣支持率というものにどの程度の信憑性があるのか、あるいは「なぜ調査が土曜日に公表されたのか」、「検事長が賭けマージャンをしたことでなぜ朝日新聞や産経新聞の関係者が追及されないのか」など、疑問はいくらでも湧いてきます。
目次
RDDの限界
電話帳方式からRDD方式へ
「内閣支持率調査」と呼ばれるものがあります。
これは、おもに新聞社やテレビ局などが毎月1回ほど実施しているもので、「ランダム・デジット・ダイヤリング」(RDD)と呼ばれる方法で番号を無作為に抽出して電話をかける、などの方法で行われるのが一般的だそうです。
では、この「RDD方式」とは、いったいどういう方式でしょうか。
これについては株式会社日経リサーチの『RDD』というページから、その概要を紹介しておきましょう(詳細についてはリンク先をご確認ください)。
- RDD(Random Digit Dialing)は電話調査のための無作為標本抽出法である
- 「稼働している電話番号」は総務省から公開されているので、その情報を母集団として利用する
- ただし、「稼働している電話番号」は約2億あり、実際に使用されている番号はこれより少ない
- 標本抽出をしたあとは、使用されていない番号を検出する装置を使い、調査前に除去する
- 事業所か世帯かは電話をかけて確認しなければならない
…。
いやはや、じつに大変な作業ですね。
リンク先記事によると、世論調査方式は報道機関などにより細かい違いもあるようですが、それでも「細部の相違」に過ぎず、いずれも大きなカテゴリーではRDDに含まれているそうです。
また、このRDDは比較的新しい調査方法であり、昔は電話帳から電話番号を抽出していたのだそうですが、電話帳に番号を記載しない世帯が年々増加したことから、1997年の毎日新聞社を皮切りに、現在は多くの大手メディアがこのRDDで世論調査を実施しているのだとか。
RDD方式には限界もある
ただ、このRDDについても、最近限界を迎えつつあります。
株式会社日経リサーチのページに記載されている内容を要約すると、だいたい次のとおりです。
- ①そもそも固定電話を契約しない世帯が増加している
- ②知らない電話には出ないという行動をとる人も増えており、調査協力率は低下傾向にある
- ③「有権者個人」を対象とする世論調査において、固定電話RDDはさらに電話口で世帯内の有権者個人を無作為抽出しなければならない
- ④携帯電話をRDDの対象とする場合、固定電話との重複抽出の確率を考慮する必要がある
…。
つまり、RDDは、理論的には厳密な無作為標本抽出方式として有効ではあるものの、経済社会の諸条件が変わることで、そもそも固定電話を持つ世帯が減っていること、固定電話を対象としたRDDでは恣意性が入る可能性があること、携帯電話だと回収率が減る可能性があることなどが課題だそうです。
方式の問題ではないような気がするが…
ただ、こうした技術論はさておき、そもそも世論調査自体が信頼に値するのか、という問題があります。
実際、「過去に世論調査の電話を受けたことがある」と述べる人からは、「電話口で特定の回答を誘導させるような質問を受けた」、などとする苦情が寄せられることもあるようです(※このあたり、当ウェブサイトととして検証可能な議論ではありませんが…)。
もしこうした指摘が事実であれば、せっかく無作為に標本を抽出したとしても、質問の仕方により、回答結果をある程度、世論調査の実施主体の思い通りに捻じ曲げる、ということも可能かもしれません。
さらに、各メディアが実施している「世論調査」は、そのプロセス(質問設定、実施、集計など)において、外部の独立した検証機関などによる監査を受けているわけではありません。極端な話、メディアが調査結果を「捏造」することだってできてしまいます。
今から約8年前、『週刊ポスト』にこんな記事が掲載されていました。
鳥越俊太郎氏 若者ら除外する世論調査結果の信憑性に疑問
「小沢新党、期待せず79%」「消費増税法案可決を評価する45%」――と大々的に報じられる世論調査の結果に違和感を覚える人が多い。周りの人々と話しても、とてもそんな結果になるとは思えない。世論調査の数字は、本当に“民意”といえるのだろうか。<<…続きを読む>>
―――2012.07.20 07:00付 NEWSポストセブンより
リンク先記事が執筆された当時は野田佳彦前首相が率いる民主党政権がまだ存続しており、また、安倍晋三総理大臣は当時、まだ自民党総裁ですらありませんでしたので、「小沢新党」だの「消費税増税法案」だのと言われてもピンとこないという人も多いでしょう。
ただ、重要なのは当時の時事的な話題ではありません。
毎日新聞の記者出身者でもあるジャーナリストの鳥越俊太郎氏が記事の末尾で、
「(担当者が取材で掴んだ選挙区情勢と違うという理由で)選挙に関する世論調査の結果を発表する前に選挙の担当者が数字を“調整”するのをしばしば見てきた」
などと述べているのです。
この鳥越氏の証言が事実ならば、これはとんでもない話です。毎日新聞は「取材している記者の感覚と違う」という理由で、せっかく実施した世論調査の数字を「調整」している、という意味だからです(いや、「調整」というよりも「捏造」でしょうか)。
もちろん、鳥越氏が事実を述べていないという可能性もある点に加え、こうした「調整」がいかなる場面で行われているかについての詳細な証言もないことから、この鳥越氏の「証言」だけをもって「毎日新聞は世論調査を捏造している」と断言するのは尚早でしょう。
世論調査とどう付き合うか
首をかしげる世論調査結果
ただ、そもそも世論調査には「RDD方式としての限界」に加え、「独立第三者が適切に検証している数値ではなく、そのメディアが勝手に『こういう結果になった』と主張している数値に過ぎない」、という限界があることは事実でしょう。
この点、当ウェブサイトとしては、ときどき、内閣支持率や政党支持率に関する世論調査を引用し、これに基づいて議論を展開することがあります。
たとえば、政党支持率に関する話題は、ここ1~2ヵ月で、『内閣支持率の逆転と無関係に「ズッコケ」る立憲民主党』や『立憲民主党・福山氏「支持率低下はセクキャバが原因」』、『共同通信の調査でも維新と立民の政党支持率が「逆転」』などでも取り上げています。
しかし、こうした調査を調べていくと、どうも首をかしげてしまうことが多々あるのも事実です。
その典型例が、2017年7月、2018年4月の内閣支持率です(図表1、図表2)。
図表1 主要メディアの世論調査(2017年7月)
メディアと調査日 | 支持 | 不支持 |
---|---|---|
読売新聞(7/7~9) | 36% | 52% |
朝日新聞(7/8~9) | 33% | 47% |
毎日新聞(7/22~23) | 26% | 56% |
日経・テレ東(7/21~23) | 39% | 52% |
NHK(7/7~9) | 35% | 48% |
共同通信(7/15~16) | 35.8% | 53.1% |
産経・FNN(7/22~23) | 34.7% | 56.1% |
ニコニコ動画(7/20) | 51.7% | 24.1% |
(【出所】当時の各メディア報道より著者作成)
図表2 主要メディアの世論調査(2018年4月、カッコ内は前月比増減)
メディアと調査日 | 支持率 | 不支持率 |
---|---|---|
共同通信(4/14~15) | 37.0%(▲5.4) | 52.6%(+5.1) |
NNN(4/13~15) | 26.7%(▲3.6) | 53.4%(+0.4) |
朝日新聞(4/14~15) | 31%(±0) | 52%(+4) |
毎日新聞(4/21~22) | 30%(▲3) | 49%(+2) |
読売新聞(4/20~22) | 39%(▲3) | 53%(増減不明) |
ニコニコ動画(4/17) | 54.6%(▲1.6) | 22.6%(+1.9) |
(【出所】各種報道より著者作成)
もりかけ虚報事件の影響を受けたのだが…
ネット中心のニコニコ動画による調査を除けば、いずれのメディアの調査でも、内閣不支持率が内閣支持率を上回っていることが確認できると思います(※もっとも、このニコニコ動画の内閣支持率調査については、非常に残念ながら、現時点では実施されていないようですが…)。
カンの良い方ならお気づきかと思いますが、この2つは、ちょうどメディアが一斉に「もりかけ問題」で安倍政権を叩きまくっていた時期です。
「もりかけ問題」とは、
「安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、個人的な友人が経営する学校法人に対し、違法な便宜を提供していた疑惑」
のことだそうですが、マスメディアや特定野党が重要な政策課題などをそっちのけにしてこの「もりかけ問題」を舌鋒鋭く追いかけまわしていたのが、ちょうどこの「安倍内閣支持率危機」の時期と重なっているわけです。
当ウェブサイトとしては、べつに「ニコ動の調査が正しくて、マスメディアの調査が間違っている」と決めつけるつもりはありません。ニコ動を除く各メディアの調査は、いずれもRDD方式で実施されているのでしょうから、これはこれで「一定の方式で継続的に実施されている調査」だからです。
ただし、「これらのメディアの調査が総選挙の結果を予測する手段として役に立つのかどうか」と問われれば、そこは大いに疑問です。
なぜなら、2017年7月のケースでいえば、各メディアがいっせいに出した世論調査結果で安倍政権への支持率が大きく落ち込んでいたにも関わらず、そのわずか3ヵ月後の2017年10月22日に実施された衆議院議員総選挙では、自民党が2012年以来、3度目の圧勝を果たしているのです。
とくにわが国の場合、衆議院の解散は総理の大権です。
極端な話、安倍総理が「いま衆院解散する」と決めれば、各政党はすぐに総選挙モードに入らなければならなくなります。その意味で、与野党ともに常に緊張感を持たなければならないはずですし、老婆心ながら、各メディアも世論調査を「調整」するのはあまり良いことではないと思う次第です。
もりかけの「本質」
さて、少しだけ脱線しておきます。
肝心の「もりかけ問題」を巡っては、各メディアがいっせいに報じ、安倍総理を大々的に叩いたわりには、いまひとつ、論点が見えません。
たとえば森友学園問題で大阪航空局が保有していた土地の払い下げに安倍総理が口を挟んでいて、その見返りに安倍総理が寄付金を受け取っていたら、それはケースによっては贈収賄が成立する可能性もあるのですが、「贈収賄」という話はいっさい出てきません。
また、加計学園「問題」に至っては、加計学園による獣医学部開設手続において、じつは行政のプロセスを歪めていたのは、むしろ許認可権を握っていた文部科学省の側だったのではないかとの疑いも出てくる始末。
とくに、安倍政権を攻撃する側がしきりに重宝している前川喜平・元文科省事務次官は、東京・歌舞伎町の繁華街にあるいかがわしい店に出入りするなど(※これは本人が「貧困調査の一環だった」と認めています)、非常に素行の悪い人物であったことは間違いありません。
なぜ前川さんは「出会い系バーで貧困調査」という苦しい釈明をしたのか
先週、日本中がなんとも言えないモヤモヤした空気に包まれた。国会で大騒ぎになっている「総理のご意向」文書を本物だとぶちまけた、前川喜平・前文科省事務次官が「出会い系バー」に通っていたという読売新聞の報道を事実と認めつつも、その理由を「女性の貧困について、ある意味実地の視察調査の意味合いがあった」と釈明したのである。<<続きを読む>>
―――2017年05月30日 08時00分付 ITmediaビジネスONLINEより
ちなみに余談ですが、その前川氏は、わずか半年前に国家公務員法違反(天下りの違法斡旋)の疑いが持たれ、依願退職しています(そういえば「反アベ」派の人たちは当時、「前川(氏)が退職金をせしめるのはケシカラン」などと大騒ぎしていたような気もしますが…)。
天下り斡旋で辞任、文科省前事務次官の「華麗すぎる人脈」
文部科学省が、リクルート事件以来の激震に見舞われている。リクルート事件当時は事務次官が収賄容疑で逮捕され、今回は前川喜平事務次官(依願退職)が、審議官時代に自ら天下りの斡旋に口利きをしていたことが発覚した。<<…続きを読む>>
―――2017/02/09付 現代ビジネスより
それなのに、この「もりかけ問題」を巡って「安倍は説明責任を果たせ」などと主張している人たちは、具体的に何という法律の第何条にどう違反していたのか、指摘しようとしません。それどころか、酷いケースになると、「無実である証拠を安倍が出さなければならない」などとムチャクチャなことを言い出す始末です。
つまり、「もりかけ事件」の本質とは、特定メディアが自分たちにとって気に入らない人物・政権を「印象操作」だけで倒そうとした、一種のメディア・クーデターだったのです。
ただ、2017年7月当時は、最大野党だった民進党を率いていた謝蓮舫(しゃ・れんほう)代表(=当時)が自身の二重国籍問題を巡る釈明に追われるあまり、「自爆」したという事情もあり、結局、当確は失敗に終わったのですが…。
最新世論調査
安倍総理への支持率は拮抗
さて、中国・武漢発の流行病「COVID-19」(当ウェブサイトの呼称は「武漢肺炎」)を巡り、早ければ本日にも、首都圏の「緊急事態宣言」の解除が見込まれているようです。
あくまでも個人的な印象ですが、さまざまなしがらみ、法的な制約に縛られるなかで、「防疫」という観点だけで見るならば、安倍政権の対応は非常に素晴らしかったと考えています。
これについては『【読者投稿】日本政府の対応はシナリオに沿っている』などに代表される、当ウェブサイトに掲載させていただいた読者投稿を是非ご参照いただきたいと思う次第です(読者投稿一覧については『当ウェブサイトの基本方針(2020/05/25版)』の末尾あたりもご参照ください)。
ただ、非常に残念なことに、新聞、テレビなどでは安倍政権の対応が「稚拙だった」ということにされてしまっているらしく、実際、最新世論調査を眺めると、次の図表3で示したメディア5社の世論調査では、日経・テレ東と産経・FNNを除き、どれも不支持率が支持率を上回ってしまっています。
図表3 主要メディアの世論調査(2020年5月、カッコ内は前月比増減)
メディアと調査日 | 支持率 | 不支持率 |
---|---|---|
共同通信(5/8~10) | 41.7%(+1.3) | 43.0%(±0) |
読売新聞(5/8~10) | 42.0%(±0) | 48.0%(+1.0) |
日経・テレ東(5/8~10) | 49.0%(+1.0) | 42.0%(±0) |
産経・FNN(5/9~10) | 44.1%(+5.1) | 41.9%(▲2.4) |
朝日新聞(5/16~17) | 33.0%(▲8.0) | 47.0%(+6.0) |
(【出所】各種報道より著者作成)
いかがでしょうか。
朝日新聞の5月16日から17日にかけて実施された調査では、とくに大きく支持率が落ち込んでいるのが確認できると思います。これは「調査を実施した主体が朝日新聞だから」なのか、それとも「調査実施時期が5月16~17日だから」なのかはわかりませんが…。
黒川検事長辞任と毎日新聞世論調査
さて、こうしたなか、もうひとつ一部のメディアを賑わせている話題が、黒川弘務検事長の辞任でしょう。
安倍首相、黒川氏辞職「責任は私に」 処分内容は検事総長が判断(2020年05月22日16時26分付 時事通信より)
黒川検事長を巡ってはもともと、国家公務員法に基づく定年延長が「検察法違反ではないか」との指摘が、一部特定野党・特定メディアから上がっていました。
ただ、立憲民主党などの野党が、これを「人質」にして安倍政権を追い込もうとしたものの、安倍政権側が国家公務員の定年延長を盛り込んだ公務員法改正法案を撤回したことで、野党側が「自爆」した格好になったことは、『検察庁法改正案で大騒ぎした挙句に自爆した立憲民主党』で取り上げたとおりです。
しかし、先週、この黒川検事長が「賭けマージャン」を行っていたことが週刊誌報道により判明したことで、事態が急展開し、結局黒川氏は先週、辞職してしまいました。
ちなみに野党やメディアがなぜか一緒に賭けマージャンをしていたはずの朝日新聞職員、産経新聞記者について、一切追及しようとしないのも謎ですし、朝日新聞が問題の職員の実名を報じないのはダブルスタンダードの極みです(※このあたりは余裕があれば別稿で議論したいと思います)。
ただ、本稿で取り上げたいのは、このタイミングにあわせて公表された、毎日新聞の世論調査です。
内閣支持率27%に急落 黒川氏「懲戒免職にすべきだ」52% 毎日新聞世論調査
毎日新聞と社会調査研究センターは23日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は27%で、今月6日に行った前回調査の40%から急落した<<…続きを読む>>
―――2020年5月23日 21時53分付 毎日新聞デジタル日本語版より
毎日新聞によると、5月23日に実施した内閣支持率は27%で、前回(5月6日実施)の40%から一気に13%ポイントも低下。不支持率も64%で、これも前回の45%からじつに19%ポイントも上昇している格好です。
これが事実なら、安倍政権に対する支持率は一気に下落した格好であり、まさに危険水域という言い方をしても良いのかもしれません。
少し気になる点も
ただ、少し気になる点がないわけではありません。
記事を冷静に読んでみると、こんなことが書かれています。
<おことわり>
毎日新聞の全国世論調査は4月まで家庭の固定電話と個人の携帯電話に調査員が電話をかける方式で実施してきました。しかし、コールセンターで多数の調査員が作業する環境は新型コロナウイルスの感染リスクが指摘されるため、感染終息が見通せない中でこの調査方式を続けることはできないと考えています。
毎日新聞が社会調査研究センターと23日に実施した全国世論調査は4月8日、5月6日に続き3回目となります。こちらは自動音声応答(オートコール)と携帯ショートメールの機能を使うため「3密」環境での作業は生じません。
コンピューターが無作為に数字を組み合わせた番号に電話をかけるRDS法を用いる点は従来調査と変わりません。回答者の年代構成など安定したデータを得られることが確認されたので、今後は社会調査研究センターの調査方式に切り替えていきます。
…。
「社会調査研究センター」とありますが、これについて調べてみると、「株式会社社会調査研究センター」という会社がみつかります。これは2020年4月1日に設立された会社であり、代表取締役社長は埼玉大学社会調査研究センター長の松本正生氏で、本社の所在地は埼玉大学の構内だそうです。
つまり、埼玉大学内に「社会調査研究センター」という組織が存在し、埼玉大学とは別法人の「株式会社社会調査研究センター」という会社が埼玉大学構内に存在している、ということのようです。また、同社の調査研究部長である平田崇浩氏は、毎日新聞社の世論調査室長兼論説委員だそうです。
なお、「株式会社社会調査研究センター」の株主構成は明らかではありませんが、社長が埼玉大学職員であり、職員が毎日新聞論説委員であるという点に照らせば、もしかすると毎日新聞社と埼玉大学が共同出資した会社なのでしょうか。
いずれにせよ、毎日新聞の調査は今後、この「株式会社社会調査研究センター」が担当するようです。
土曜日に公表して注目される?
それはさておき、この毎日新聞の記事を読んでまっさきに疑問に感じたのは、「なぜ土曜日に公表されたのか」、という点です。
というのも、これまで毎日新聞を含めた世論調査は土日を挟んだ週末に実施され、日曜日の夜から月曜日の朝(あるいは連休明け)にかけて公表されることが多いのに、この「株式会社社会調査研究センター」の調査については、日曜日・月曜日以外の日付で公表されているようです。
ためしに同社の『調査結果一覧』で確認すると、4月8日(水)に『緊急事態宣言発令後の世論調査結果』、4月24日(金)に『寄付型SMS調査結果』、5月7日(木)に『緊急事態宣言延長に伴う世論調査結果』というものが公表されています。
5月7日(木)は連休明けであるという事情もあるので、「休日明け」という点では不自然な点はないのですが、それ以外の3つの調査はいずれも月曜日(あるいは日曜日夜)以外の日付で公表されています。
この狙いについては、よくわかりません。
しかし、ひとつ間違いなく言えることは、他メディアが公表していない曜日に世論調査を公表すれば、「株式会社社会調査研究センター」の調査結果に注目が集まりやすいはずだ、という点でしょう。
毎日新聞と「株式会社社会調査研究センター」が「注目されやすい曜日」を狙ってこの世論調査を公表した、などと決めつけるわけにはいきませんが、それでも「安倍政権の支持率が27%という低さだった」という衝撃的な調査結果と照らし合わせれば、たしかにツイッターなどで注目を集めやすいでしょう。
ポイントは2つ
ただし、これについてはポイントは2つあると思います。
1つ目は、他社の世論調査などでも内閣支持率が急落するか、支持率低迷が長続きするかどうか、という点です。
とくに図表1でも示した2017年7月の世論調査では、毎日新聞の世論調査が実施タイミングとしていちばん遅かったのですが、その後、謝蓮舫氏率いる民進党が「ズッコケ」たことなどもあったのでしょうか、毎日新聞の調査が「底」となり、内閣支持率の低迷は長続きしませんでした。
毎日新聞があまりにも極端すぎる調査結果を出したものの、その後、世の中の傾向が反転する、というパターンが、今回も繰り返されるのかどうかを巡っては、注目に値します。
2つ目は、内閣支持率の低迷という報道自体、安倍政権の身体に影響を与えるかどうか、という点です。
2017年7月の世論調査からわずか3ヵ月後の2017年10月の衆院選で自民党が圧勝したこと、2018年4月の世論調査から半年後の自民党総裁選で安倍総理が3選を果たしたことなどを思い起こすと、個人的には世論調査と政権の寿命にはあまり関係がないように思えてなりません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
さて、百歩譲って、私たち国民の多数が安倍政権に「退陣して欲しい」と願ったとしましょう。
では、具体的に誰を次の首相にするのでしょうか?
「コロナより桜」で国民の顰蹙を買った立憲民主党の枝野幸男代表でしょうか?
獣医師会の関連団体から100万円という寄付を受けとりながら、獣医学部新設に反対する立場から国会質問を行ったことでも知られる、国民民主党の玉木雄一郎代表でしょうか?
あるいは民主的プロセスによらず20年間日本共産党のトップの地位に留まっている志位和夫委員長でしょうか?
どうもイメージが湧きません。
もちろん、当ウェブサイトとしては、安倍政権のすべてを無条件に認めるつもりはありません。むしろ、安倍政権が消費税の増税を筆頭に、おもに経済政策の分野でいくつかの致命的な過ちを犯していると考えているほどです。
しかし、もし安倍総理が政権を投げ出すようなことでもあれば、日本の今後に与える悪影響は決して小さくありません。
また、コロナ対策では経済政策などを中心に疑問に感じる点もあるものの、防疫という観点からは決して致命的な失策をしたわけではありません。コロナによる死亡者数が世界各国と比べても非常に少ないことは、その典型例でしょう。
(※なお、国ごとの感染者数が多いか少ないかについては、PCR検査の実施件数などにも依存するため、単純比較はできないかもしれませんが…。)
このため、安倍政権が「コロナの責任を取り、いますぐ退陣すべき」、という主張には、説得力はありません。
さらには、黒川検事長の退任について安倍政権が何らかの口出しをすれば、それは「検察人事に介入している」ことにもなりますし、官僚の不祥事でいちいち責任を問っていたら内閣総理大臣の首などいくつあっても足りません。
それよりも、マスメディアの皆さんはむしろ、検察や官僚機構との癒着構造を私たち一般国民から追及されることを覚悟した方が良いのではないかとすら思う次第です。
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反日三羽ガラスの一角を占める毎日か。
この新聞社は寄生虫入りの中国産キムチを「かえって免疫」がつくと何の根拠もなく、何も取材せずに記事を書く新聞社ですね。
今回もコロナより如何に内閣支持率を下げるかだけなんでしょう。
多分、この新聞社にデカデカと、内閣支持率が低いと書いてあっても大体の日本人は「そうなんだ」ってはなりません。「世論調査ってどこの国の世論を調査したんだろう?」ってなります。
最近、新聞•テレビはタッグを組んでコロナウイルスや検察庁に関連で事実をねつ造し、安倍内閣に対する心証を悪化させ、倒閣運動を激しくしています。
週末、何気に思ったのですが、安倍内閣の支持率27%の毎日新聞の記事についてヤフートップページの1番目立つ最上位に掲載されていました。注意深く他の見出しを確認すると、朝日新聞、毎日新聞の安倍内閣に批判的な記事が散りばめられていて、政権を擁護する記事は皆無でした。
よくオールドメディアはネットに敗れつつあると言われますが、ネット最大の検察サイトであるヤフーがオールドメディアと結託してると仮定すれば、ネットもオールドメディアの意のままかもしれません。
ヤフーは、ソフトバンクグループです。ソフトバンクは中共との関係が噂されている会社です。中共の意図する世論形成の一翼を担っている気がしてなりません。
平日は基本的にテレビでニュース見てる暇ないのでわかりませんが、週末のテレビは安倍政権批判多かったですね。あと中国韓国に旅行行きたいていう大物芸能人達。
この流れはかつての政権交代を思い出します。
確かにコロナ対策では上手くやれてないとは思いますが、他の人なら上手くやれんの?経済回せんの?外交できんの?不祥事起きないの?と考えたら安倍さんにはまだ頑張って欲しい。
誰がやっても同じではないんです。
RDD世論調査を受けた側で、「RDD世論調査体験記」をもっと公表すべきなのでは?
私の数少ない体験では、(前にも書きましたが)
音声合成:「第一問:あなたは安倍内閣を支持しますか?」
私:「支持します。」
暫く間があって、
音声合成:「御協力有難う御差居ました。」
第一問で「支持しない」と回答しない限り、第二問以降に進めないのかどうかは判りません。
私の回答は、有効回答になっているのだろうか? それも全く判りません。
あまり軽視するのもいかがなものかと言う気がします。
コロナ禍で安倍政権の危機管理能力に疑問符が付いたのは確かです(私だけかも知れませんが)。これが背景にあつての検察人事問題ですので、相乗効果が出ました。
モリカケなどは平時に乱を起こそうと言う物だったので、「安倍政権はまあまあ良くやっている」という背景があって盛り上がりに欠けました。
水に落ちた犬は叩けという諺があるそうですが、「水に落ちた」という背景が大事なので、当たり前ですが背景次第で叩いて効果があるかどうかが決まるようです。水に落ちていなければ逆に噛まれてしまいますからね。
今回はウエブで「意識高い」芸能人などを動員した効果も大きいと思います。メディアは自分たちの力を自画自賛していますが、逆にオールドメディア単独では怖くないいうのも見えて来ました。
ただ、インフルエンサーとのタイアップが今後の戦略になるかもしれません。誰が考えたか知りませんが、要注意です。
更新ありがとうございます。
件の代表取締役松本氏は一連のハッシュタグを使った運動?で率先して拡散役をやられていたようですね。…大学教授に偏見持つのは駄目でしょうが教員の濃さはやはり上に行くほど濃いのはあると思います……
ヤフー、憂国の無名様のご指摘通り作為的な話題取り上げはありますね。また最近はコメントも工作舞台がいるようで内政の話題では早いうちに下げるコメントに圧倒的いいねが付いて表示欄を独占します。最新、のタブにすると意見の雰囲気の違いで驚くこと暫し、です。
更新ありがとうございます。
支持率27%なんて、、ATM如きの発表は信用出来ません(笑)。今迄もモリカケや桜やいろんなでっち上げ報道で支持率は落ちましたが、直後の総選挙は大勝。野党・マスコミの思惑は大いにハズレ、ブーメラン炸裂ッーーで自分の船が転覆してます。
方法が固定電話だなんて、もし自分に知らない人からかかって来たら、ナンバー見て出ません。知人ならスマホにかかって来る。固定電話に出るとロクな事がない(爆笑)。
更にアナログで密なやり方、大勢が一室に集まってかけまくるとは、コロナ以後なら時代錯誤だ。
今回の原因は黒川検事長の賭け麻雀でしょう。爺さんが何時間も座り込んで、密な部屋でジャラジャラやってるのは、そらアンタ30年前なら許せるだろう。しかし、年老いた私でさえ、周りの知人、若者で4人麻雀やる人いませんよ。
それと新聞記者らとやっていた?脇が甘過ぎだ!こんな人がトップにならなくて良かった。安倍総理の疲れた顔、見てみろ。何ヶ月も休み無し。やっぱ法曹出身者は頭でっかちで、若い頃遊んでない、つまり人間としての幅と奥行きが足りないと思う。
まずは、ATMの信頼度調査を行って欲しいですよね。
そもそも、公正、公平、中立が担保されてない。
虚報、妄言でも誰も責任を取らないし。
それでも商業紙ですから規制は難しいですね。
問題は犬アッチ行けーだと思います。
少なくともここ1年の阿倍さんの施政をみれば、過去の柔な指導者とは違い特に隣国問題では十分及第点がとれています。
それに引き換えマスゴミはどいつもこいつも武漢肺炎以前からもポスト阿倍の流れをつくろうとしていて、武漢肺炎ではそれが国民を脅すことにもなった。こんなマスゴミは要らないとほんとに思う。
当方は25年も前から新聞は取っていません。旭日旗マークの旭日新聞、リストラに余念が無い毎日新聞も要りません。
20年ほど前からはパソコン通信に代わってインターネットが普及し始め情報を十分得ることができるようになった。これで十分。
「安倍」です。
阿野煮鱒 様
お読みいただき、ご返信ありがとうございました。
そうです「安倍」です。
反安倍・反日勢力が攻勢を掛けている…解散総選挙に追い込むつもりはない(できない)けれど、世論誘導で支持率を下げて解散時期のフリーハンドを奪い、総裁任期延長&4選を阻止するのが最低ラインか。石破も元気になってきたし、逆張り電波芸人橋下徹も政権叩きに余念がない。
次は野党とメディア、リベラル勢力が毎日の数値を基に喚き出す…いつもの光景が見られそう。
あの会社、社員3人なのに主なスタッフは7人という、よくわからない会社なんですよね。1億人の日本人の意見をたった7人で吸い上げられるのかな?ピックアップするぐらいならできそうだけれど
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
fcr様へ
>あの会社、社員3人なのに主なスタッフは7人という
7人のスタッフで調査した内閣支持率世論結果を、全国紙で発表したと
知ったら、「新聞の世論調査は信用できない」と言って、(トランプ大統
領をはじめ)喜ぶ世界の指導者が多数いそうです。
駄文にて失礼しました。