当ウェブサイトでは「読者投稿」を常設化しており、読者の皆さまからの寄稿をお待ちしています。なお、(投稿要領につきましては、『必ずご確認ください(2019/12/16日版)』にまとめて掲載しています)。さて、今回は初のご登場です。「イーシャ」様というペンネームの方から、「韓国政府がイランのダヤニ一族に対してISD敗訴し、賠償金の支払い義務を負った」という話題をお届けしたいと思います。
目次
今回は「転載」です
当ウェブサイトでは昨年以来、「読者の皆さまからの記事投稿窓口」を常設化しました(『お知らせ:読者投稿を常設化します』参照)。
この試みが大成功し、「韓国在住日本人」というハンドル名のコメント主様からの「在韓日本人から見た韓国」というシリーズが大好評を博しているほか、医師の方からの医療現場に関するご投稿や、弁護士の方からの国際条約に関するご投稿など、多数の秀逸な記事を頂いて来ました。
(※ちなみに、過去の読者投稿については、下記ページから一覧をご確認いただくことが可能です。)
過去の読者投稿
こうしたなか、今回はこれまでとは少しパターンが異なり、「イーシャ」様というペンネームの方が大手ブログサイトに開設されている『夏は涼しく過ごそう ~快適節電ライフ~』というブログに公表した記事を、そのまま転載して欲しい、というご依頼を頂いたので、試験的に転載をさせていただきます。
転載元と記事原題は次のとおりです。
韓国政府はダヤニ一族への賠償金を支払い可能(2020.01.08 21:44:08付 楽天ブログより)
今回の投稿テーマとは、個人的にも少し前から気になっていた「イランのダヤニ一族に対する750億ウォンの損害賠償の支払い問題」に関するもので、さまざまな意味で、まことに興味深い内容です(※ただし、主張内容は当ウェブサイトとしての意見ではなく、あくまでもイーシャ様の見解です)。
なお、転載に当たってはできるだけ原文の文体を重視しつつも、原文の意味を変えない範囲で、記事タイトルや本文の細かい体裁(改行、装飾、漢字仮名遣いや「てにをは」、htmlタグなど)などを、当ウェブサイトの基準にあわせて部分的に変更していますので、ご了承ください。
また、もしイーシャ様の執筆された他記事にもご関心があれば、ぜひ、直接『夏は涼しく過ごそう ~快適節電ライフ~』(※個人ブログ)をご一読ください。
(※これ以降がイーシャ様からのご依頼に基づく転載記事です。)
韓国政府はダヤニ一族への賠償金を支払い可能
普段の軽い調子で昨晩から今朝にかけて投稿した2件
を、真面目に加筆・整理し直してみました。
韓国政府が、「ISD敗訴でダヤニ一族へ750億ウォンを支払いたいのだが、米国のイラン金融制裁規定のせいで支払うことができない」と主張しているようです。
しかし、実際には金融制裁規定に抵触せず支払いを行う方法があります。同様に、イラン産原油の未払い代金を支払うこともできます。
核開発疑惑があり、現在米国との緊張が高まっているイランへの事実上の資金提供には異論もあるでしょうが、ここでは、韓国政府による支払いが可能か否かについてのみ考察したいと思います。
韓国政府のISD敗訴確定
昨年末に報じられているように、イランの家電メーカー所有主のダヤニ一族が韓国政府を相手取って起こした投資家対国家間訴訟(ISD)で韓国政府の敗訴が確定し、約730億ウォンの支払いを命じれています。
(※後に記す最新のニュースでは金額が750億ウォンに増えていますが、これが為替レートの変動に伴うものなのか、他に理由があるのかは不明です。)
韓国政府がISDで初めての敗訴確定…ダヤニに730億ウォン賠償
英国の高等裁判所が大宇エレクトロニクス買収合併事件の投資家対国家間訴訟(ISD)敗訴判定を取り消してほしいという韓国政府の請求を棄却したと金融委員会が21日<…続きを読む>
―――2019.12.23 07:45付 中央日報日本語版よりそもそも論として、韓国政府が契約金を没収したこと自体が問題ですが、ここでは、この判決に対する韓国政府の対応と支払い方法について考えます。
米国のせいにして支払いを渋る韓国政府
これに対して韓国政府は、米国のイラン金融制裁規定を口実にして支払いできないと主張し、ダヤニ側に韓国国内に韓国ウォン口座を開設し、韓国内での投資に回すよう提案しようとしているようです。以下、元記事は長いので、一部抜粋して紹介します。
韓国政府、イランに支払う750億ウォン「ISD敗訴金」…米国の制裁のため方法なし
韓国政府が先月、イランのダヤニ一族が提起した国家・投資家訴訟(ISD)で敗訴した後、750億ウォン(約69億円)を支払う方法がなく悩んでいる。消息筋によると、米<…続きを読む>
―――2020.01.06 10:17付 中央日報日本語版よりいかにも韓国らしいと言うか、
- 為替介入などで底が見え始めた外貨の流出を恐れてのことだとか
- あわよくばポッケナイナイしようと画策しているとか
いった憶測もできますが、どんなに善意に解釈しても、真摯な対応とは言えませんね。
昨年「物々交換」でイラン原油を輸入する方法を開発したように、抜け道を見つけるなど小狡いことにかけては一流の韓国さんなら、他の方法を見い出せそうに感じます。やはり本心では返したくなく、米国に責任をなすりつけているようにしか思えないのは私だけでしょうか?
金融取引外での支払いは可能
米国のイラン制裁は、「米国の金融機関を通じてイランと金融取引をしてはならない」というものであり、米国の金融機関を通じた金融取引でなければ、何ら問題は生じません。
換言すれば、米ドルを介さなければ構わないわけです。
現実的にそんなことは不可能だと思われる方が大多数でしょう。
ですが、可能な方法があるのです。それも、韓国が保有する外貨準備を用いて。
韓国の外貨準備高 3カ月連続で最高更新
韓国銀行(中央銀行)が6日に発表した昨年12月末の外貨準備高は4088億2000万ドル(約44兆1403億円)で、前月に比べ13億6000万ドル増加した<…続きを読む>
―――2020.01.06 06:00付 聯合ニュース日本語版より韓国の外貨準備には、金(Gold)が47億9000万ドル分含まれていますね。
第2次ニクソンショックとして知られる米ドル紙幣と金との兌換停止以来、制度的には金は通貨としての地位を失いました。現在、金は単なる商品に過ぎません。
しかし現実には、国際的な緊張が高まったりすると金が買われることからもわかるように、金は今でも事実上の国際基軸通貨であり、最終通貨(最後の価値の拠り所)としての輝きを失ってはいないのです。
「現金では支払えないから、金地金で支払う」言われて拒む国はあるでしょうか?
「韓国国内でウォンで運用/消化するのと、金で支払うのとどちらがいいですか?」と訊かれたら、ウォンを選ぶでしょうか?
私なら金での代替支払いを受け入れます。金での支払いには、米国の銀行も米ドルも関与しないので、米国の制裁を恐れる理由はありません。韓国の外貨準備に含まれる金は、新たに購入するものではなく以前から保有しているものなので、なおさら、米国が口出しすることはできないでしょう。
同様にして、イランへの未払いの原油代金7兆ウォン(約60億ドル)も、金で支払うこうとが可能かと思います。
この場合、韓国の外貨準備に含まれる47億9000万ドル相当の金では不足するので、新たに金を購入するとなると、その分は米国の制裁に触れるかもしれません。しかしながら、すぐにでも8割方を支払うことができれば、イラン側の怒りをある程度緩和できるでしょう。
残り2割についてはどうなるかわかりませんが、日本が助けることはありません。韓国が自国の問題として、責任を持って解決すべきことですからね。
韓国の外交では「政治と経済は別」なんでしょう?
仮にも自由主義陣営に属する韓国が、ISD敗訴が確定した賠償金や、輸入代金の支払いを渋るのは、あってはならないことです。
韓国政府がよく口にする「政治と経済は別」という所謂ツートラック外交の立場を主張するならば、米国とイランとの緊張という政治とは別問題として、自ら招いた経済問題の解決を急ぐべきでしょう。
世界中を敵に回し孤立無縁の韓国にとって、潤沢な外貨準備の一部として長年保有している金を使ってイランの怒りを少しでも緩和できるなら、安いものではないですか。<了>
読後感
…。
いかがでしょうか。
「イランのダヤニ一族への支払いを金地金で行う」という提案自体、米国法や国連安保理決議、国際法などに照らして本当に問題がないのかどうか、などについては、当ウェブサイトでは検討していませんので、何とも申し上げられません。
というよりも、金地金で支払いを行うのか、韓国ウォン資金口座を通じて韓国ウォンで支払を行うのかは知りませんが、いかなる方法で損害賠償金の支払いが可能であるかについて、法的側面から検討し、決断する義務を負っているのは、韓国政府です。
そして、韓国という国が自由主義陣営に所属することで最大限の恩恵を受けまくっていることを考えるならば、イーシャ様の
- 「仮にも自由主義陣営に属する韓国が、ISD敗訴が確定した賠償金や、輸入代金の支払いを渋るのは、あってはならないこと」
- 「韓国政府がよく口にする『政治と経済は別』という所謂ツートラック外交の立場を主張するならば、米国とイランとの緊張という政治とは別問題として、自ら招いた経済問題の解決を急ぐべき」
というご指摘については、全面的に同意せざるを得ません。「禁反言の原則」ではありませんが、自分で普段から都合よく「政治と経済は別」と言っておきながら、いざ自分自身が作り出した問題点に直面したときに「米国のせいだ」、「仕方がない」、では許されません。
なお、イーシャ様のブログについて気になる方は、ぜひ、『夏は涼しく過ごそう ~快適節電ライフ~』をフォローなさってください。
View Comments (12)
タイトル見て、「韓国人が過去ダヤニー族を虐殺したが、賠償すべき」とかいう話だと思いましたw
韓国人から借金・売掛金を回収するのは、難事なんだろうなあとは思っていましたが。
私も同じことを考えていました。
物々交換が是ならば、決済できない訳はないんですよね。
けれども、韓国銀行保有の金〔ゴールド〕は、売買目的保有ではないからならなのか評価替処理の対象ではないようですので、帳簿上の残高が大きくても実態はショボかったり、すでに流用されてて存在しない可能性も否めないんですけどね。
彼らは、小さなことを大きく見せたいお国柄ですので・・。
私の意見としてはISD訴訟で敗訴した「裁判所」にGOLDのインゴット(物納)で供託に差し出せば良いと考えます。制裁違反だからカネはイランに渡せないが、イランに敗訴したのだからカネを払う義務を負う。ならば支払えと命じたのは裁判所であり裁判所こそは法に則ってイラン側に支払うなり支払う時期を決めるなりすれば良い。少なくとも支払う(敗訴を認めルールに従う)態度をとったと言えるのは裁判所への供託ですね。
この件や石油関連の未払いでイランが怒っているのは、屁理屈を述べて韓国政府に支払いの意思が全く見えないからではないでしょうか。
イランと韓国は国交を樹立しているようですから その気になれば外交特権(外交官が無審査で入国できる)を使い現金を持込めるはずです。一度に全額を持込むのはさすがに無理でしょうが、少しずつ支払うことは可能と思います。
それとも 韓国は政府系を含め金融機関のお金の流を海外から相当見張られているのでしょうか。要注意国として。
何とかして払おうと考えず、言い訳があれば払わずに済むという考えしかできない国ですね。
至極正論だと思います。
一方、原油代は既にナイナイされているであろう事、ISD判決のお金は払いたく無い気が、満々だったと思います。
韓国が、約束やルールを守らないのが、普通です。
払う気が無いから、言い訳をしているだけで、払う方法は考えもしませんでした。
韓国政府よりも、イランに教えてあげた方が良いでしょう。
支払う方法はあるのでしょう。しかし要は支払う意思があるか否かという事ですね。勿論この記事の裏側にもそういう事が含まれているのだと思いますが。
この点に関しては断言できますが、支払う意思はありませんし、支払わない方法としては当事者の破産と言う奥の手も使えます。
破産・倒産で逃げ切るというのは国を挙げての常套手段ですから。
更新ありがとうございます。
イーシャ様
興味深く読ませていただきました。
小狡いこと考えさせたら天下一!さすが韓国です。米国のせいにして、払いを先延ばしにする。或いは忘却の彼方へ、、。そんな命に次いで大切なカネを貸した方が忘れるはずがありません!
これとは別に、石油関連の未払いでイランが怒っているのは、屁理屈を述べて韓国政府に支払いの意思が全く無いからです。
イランさん、こんな国と国交結ぶなよ(笑)。日本も出来る限り仲悪くは避けたいが、同じになるだろう。
更新、ありがとうございます。
韓国・中国では、支払いを遅らせる事に対して“悪い事をしている”との認識が希薄であると考えて下ります。
特に、中国では“支払いを延ばす経理担当者は優秀”とされています。(20年ほど前に旅行屋にいた時に立替え金の回収に偉く苦労しました)
そんな、中国と付合いが長い韓国ですから“遠いイランとの事”で、速やかに支払う事なんて心の片隅にすら考えちゃいないのでは…と考えて下ります。
以来、日本では長く商売する場合には売掛金や立替え金等が発生しない安全な取引を編み出して関係を保っている様です。
損得勘定には、目聡い人達なので“この金額を得すると、大きな金額を失う”と考えさせる事が重要かと思います。
イランの人達が、それを知っているかは分かりませんが、人が良い様な契約をすると“間違いなくヤラれます”から…
どこで読んだものか覚えがないのですが、アメリカがイランに賠償金を支払えという、国際判決だかを受け、仕方なしにスイス?第3国の銀行を通して、自国の制裁法案に触れない形で、イランに送金をしたという事案があるはずです。再度その記事を探そうとしても見つけられず、代わりにイギリスが同様な形でイランに送金したという記事を見つけましたので、ご参考まで。https://parstoday.com/ja/news/iran-i56096
日露戦争の借入金を82年かけて完済、第二次世界大戦中でも、アメリカに借金を返済していた日本、第一次世界大戦の賠償金を92年かけて全額完済したドイツ、借りた金は返すのです。
アメリカの制裁があるから払えないだのグダグダ、踏み倒す気満々。ホントに腐り切った国と国民。国と国との条約も守れないのですから、金銭上の信義なんぞ、ある訳もなく・・・。払おうと思えば、いかようにしても払えるのです。アメリカもイギリスも払ってます。韓国も払うべきものはキチンと耳をそろえて払いましょう。イランに対してだけでなく、韓国政府がポッケナイナイした自称徴用工への賠償金も払って下さいね。この件、日本はとっくの昔に支払い完了してます。
ドイツ在住のおばさんへ
>第二次世界大戦中でも、アメリカに借金を返済していた日本、第一次世界大戦の賠償金を92年かけて全額完済したドイツ、借りた金は返すのです。
円が有事に買いだとされるのは、大した軍事力も無く米に頼っている「どう見ても有事に弱い国」なのに、おかしいですよね?
これは小母さんがお書きのように、「律儀に借金は返す」から、円を持っていても踏み倒される恐れは無いという信用があるのだ、と聞いたことがあります。
ドイツのことはよく分かりませんが。