昨日から本日にかけて、習近平中国国家主席と文在寅韓国大統領との中韓首脳会談、安倍晋三総理大臣と習近平氏の日中首脳会談、安倍総理、李克強中国首相、文在寅氏の日中韓サミット、さらには日韓首脳会談などが行われています。これについて、現時点における報道などを「メモ」としてまとめておきたいと思います。
安倍・習会談
安倍晋三総理大臣が昨日から中国を訪問しています。安倍総理は本日の日中韓3ヵ国首脳会談に先立ち、昨日は北京に立ち寄り、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席と会談しています。
こうしたなか、次の産経ニュースやAFPBBニュースの記事などによれば、「安倍・習」会談では、安倍総理から「二国間関係での日本側の懸念」が習近平氏に伝えられたそうです。
首相、習氏に懸念伝達 「国賓待遇」国内に説明必要 北京立ち寄り会談(2019.12.23 22:32付 産経ニュースより)
安倍首相が訪中、習氏と会談 香港やウイグル問題に言及(2019年12月24日 0:26付 AFPBBニュースより)
産経ニュースの記事によれば、今回の日中首脳会談では、安倍総理からは尖閣周辺での中国公船の挑発や人権問題にも言及があったらしく、また、会談に同席した岡田直樹官房副長官は記者団に対し、「率直かつ建設的な議論を行うことが可能になった」と述べたのだとか。
また、AFPは大鷹正人報道官が会談内容について、次のように述べたと報じています。
- 安倍総理は民主派の抗議活動で揺れる香港を巡って「自由で開かれたものであり続けるべき」としたうえで、「引き続き自制を求め、事態の早期収拾を望む」と表明した
- 安倍総理の発言に対して習近平氏は「香港は国内問題である」との立場を繰り返した
- 安倍総理はまた、新疆ウイグル自治区における人権問題にも言及し、「中国政府が透明性をもった説明をすることを望む」と述べた
- 両首脳は北朝鮮と朝鮮半島の非核化についても協議し、習近平氏は対北朝鮮制裁緩和を提案する中露による国連決議案への支持を求めた
…。
いかがでしょうか。
もちろん、個々に掲載されている情報は、日中首脳会談のごく一部に過ぎないと思いますし、詳細な内容について、現時点で完全に明らかになっているわけでもありません。おそらく、今回の首脳会談の内容については、少し時間を置いてから、さまざまな裏話などが出てくるのだと思います。
日中関係の変質
ただ、これを読んだ感想を端的に申し上げるならば、明らかに日中は「対等」、いや、むしろ「日本の方から言いたいことを言う」という関係に変質したと思います。
むろん、現在、尖閣諸島などの公船挑発など、中国が日本に対して仕掛けているさまざまな不法行為をそのまま是認することはできませんし、また、現在の状況で習近平氏を国賓として訪日させることについても適切とは思いません。
しかし、一部メディアの報道によれば、習近平氏の来春の「国賓訪問」を希望したのは中国政府の側であるとの情報もあります。副主席時代の2009年、天皇陛下(現在の上皇陛下)に強引に面会した習近平氏としては、メンツにかけてでも「今上天皇との拝謁」を実現したいのかもしれません(※)。
(※なお、2009年に発生した、小沢一郎・元民主党代表による「天皇の政治利用」事件と習近平氏の「弱み」については、可能であれば近日中に、どこかで執筆したいと思っています。)
さらに、米中貿易戦争や、米国における「香港人権法」の成立など、最大の貿易相手国である米国との関係悪化に苦しむ中国にとっては、ドナルド・J・トランプ米大統領の「盟友」である安倍晋三総理大臣との関係は、本当に大切なのかもしれません。
こうした特殊事情はあるにせよ、日本が中国に対して「上から目線」でモノを言うことができる(しかも、その状態で習近平氏は日中首脳会談に応じざるを得ない)という状況が生じたことは、素直に日本の状況が良くなっている証拠でしょう。
一方、日中首脳会談と対照的なのが、中韓首脳会談ですが、これについては先ほどの『「米国を裏切る韓国」の姿、中韓首脳会談から明らかに』で言及していますので、本稿では割愛します。
日韓首脳会談
さて、本日は日中韓3ヵ国首脳会談のあとで、日韓首脳会談も行われたようです。
日韓首脳が会談 首相「重要な隣国、関係改善したい」(2019/12/24 16:09付 日本経済新聞電子版より)
日経電子版によると、日韓首脳会談は午後に行われ、会談時間は約50分であり、冒頭で安倍総理が
「日韓両国はお互いに重要な隣国同士であり、北朝鮮問題をはじめとする安全保障にかかわる問題について、日韓、日米韓の連携は極めて重要だ/この重要な日韓関係をぜひ改善したいと考えており、率直な意見交換を行いたい」
と述べたところ、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は
「地理的にも歴史的、文化的にも最も近い隣国であり、貿易や人的交流でも極めて重要な、共に生きて繁栄するパートナーだ。一時期ぎこちないことがあっても決して遠ざかることのできない仲だ」
と応じた、などと報じていますが、肝心の会談の内容自体については、現時点ではよくわかりません。
もっとも、安倍総理自身は昨日、中国訪問を前に、韓国については次のように述べています。
中国訪問等についての会見
日韓関係は、依然として厳しい状況にありますが、現下の東アジアの安全保障環境を考えれば、日米韓、日韓の連携が重要であると認識しています。他方、国と国との約束は守ってもらわなければなりません。日韓請求権協定は、日韓国交正常化の前提であり、日韓関係の根本を成すものであります。今回、文在寅大統領と首脳会談が予定されておりますが、文在寅大統領に対して、朝鮮半島出身労働者の問題も含めて、日本の考え方をしっかりと伝えたいと考えています。そしてまた、文喜相議長が提出している法案についての質問でありますが、この法案については、他国の立法府の議論でございますのでコメントは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、日韓関係を健全なものにするために、韓国側に行動をとってもらいたい、きっかけをつくってもらいたいとこう考えています。
要するに、「日韓関係は大切だが、だからといって自称元徴用工問題などにおいて日本が譲歩するつもりはない」、「まずは韓国が(約束を守るなどの)行動で示してほしい」、という、いつもの安倍総理の主張とまったく同じですね。
実際、とくに昨年秋口の自称元徴用工判決問題などで、日本が譲歩できる余地は皆無です。
だからこそ、「(軍事的にも経済的にも)日韓関係は大切だ」という表面的な原則論だけでなく、「韓国が国際的な約束を守れ」とくぎを刺すことが大事なのです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
この首脳会談の「続報」がないか、この時間まで待ってみましたが、残念ながら現時点において日韓首脳会談の具体的な中身がほとんど報じられていません。
ただし、韓国メディアのことですので、安倍総理が何か少しでも韓国にとって有利なことを述べた(あるいは韓国政府がそう勘違いした)ならば、主要メディアが一斉に、嬉嬉としてその内容を報じるはずです。
こうした状況から邪推するに、おそらく日韓首脳会談では、韓国メディアが期待する「成果」はほとんどなく、安倍総理が文在寅氏に対し、原則的な立場を述べてお終いだった、といったところが真相に近いのではないかと思います。
(※もっとも、日韓首脳会談などを巡って何か新しい話題などがあるようでしたら、また紹介したいと思いますが…。)
View Comments (11)
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
日韓首脳会談で、成果がなかったことを日本マスゴミ村のATMが、代理人
に安倍総理批判を代弁させるでしょう。
駄文にて失礼しました。
習近平主席とテーブルの下でフルスイングで蹴りをぶち込み合ってきたのは予想出来ますが、
南北のアノ国の扱いがどうなったかは明らかにして欲しいですね。
毎日の更新お疲れ様です。先日の管理緩和もどきを受けておかわりを要求してくると予想出来ましたが安部氏のゼロ回答も見事です。南朝鮮側は不満全開でお笑いを取りに来るかと。また文氏演説垂れ流しを遮断したから外交無礼で攻撃かな?どの様に戦果ゼロをすりかえるか楽しみです。
ブンブン大人しくて気持ち悪いですね。
ご主人様が側にいるからでしょうか?
そうだと思います。所詮、そんなところでしょう。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
匿名様へ
>ご主人様が側にいるからでしょうか?
ブンブンのご主人様は、何人いるのでしょうか。ご主人様同士が目の
前で対立したら、どのご主人様に従うのでしょうか。
駄文にて失礼しました。
元祖ご主人様、前ご主人様、現ご主人様の間をうまく立ち回っている「つもり」なんでしょうねww
案外面と向かったら何も話せないタイプと見ています。印象薄いですけど彼は前任者と違って来日すらしてますからね。内弁慶タイプ
G7、G20など首脳級が集う国際会議の大筋は、事前の事務方の折衝でほぼできあがっていて、いかに見栄えのする共同宣言を仕上げるかは、彼ら裏方の手腕にかかっている。本番の会議は半ば顔見世興行、なんてはなしを聞きますが、こんな中身スッカスカ、事前の予想通りと言えば予想通りの会議。ホスト国の中国はもちろん、日本の関係官庁の役人も、よっぽどヤル気なかったんでしょうね。来春の習近平訪日に全力注入ってところでしょうか。先日のラグビーW杯で韓国が居なければこんな爽やかな大会になるなんて言われてましたが、こういう見方、どうやら国際常識になりつつあるようですね。
今回の日中韓サミットで唯一面白かった話題と言えば、「香港・ウイグル事案は中国の内政問題」と、ムンちゃんが口走ったとかでっち上げだとかの、日韓の対話・協議ではお約束の言った言わない論争。事実どうこうはともかく、事前折衝もまともに出来ない韓国の外交ライン崩壊のひとつの証ではあるんでしょうね。こんな体たらくでは、もうどんな国もまともに相手にしてくれないわな。
「文大統領の発言が3分を超えた時に、日本の外務省職員がしびれを切らしたかのように韓国側通訳の発言中に報道陣に退席を求めたのだ。」ってところが興味深いですね。
無駄に長くて中身が無いと評される韓国の記事を連想します。
日韓首脳会談現地報告…進展は無く新たな波乱要因も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191224-00010015-fnnprimev-int
相変わらず、自分が難癖つけているに関わらず、手ぶらで会って日本にお土産を要求する韓国。例えると無銭飲食しておいて、逆に金銭を要求するが如し。結果は火を見るより明らか。