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経産省のオフィス施錠に逆ギレするマスコミ脳

本稿は、ちょっとした「小ネタ」です。機密情報満載のオフィスに施錠するのは、民間企業であれば当然のことですし、また、泥棒からすれば、「施錠して欲しくない」と思うのは当然のことといえるかもしれません。さて、梶山弘志経産相の17日の記者会見を眺めていると、ある記者の極めて低レベル、高圧的かつ無礼な質問が目に留まりました。「経産省のオフィスの施錠をやめてくれ」、という要求です。なぜ、そんな非常識な要求が通ると思っているのでしょうか?

自宅にも職場にも施錠しないのですか?

皆さんは、自宅にカギを掛けていますか?

地域によっては「自宅にカギを掛けない」という人もいるかもしれませんが、東京の場合だと、たいていはカギを掛けます。自宅に居るときはもちろん、少なくとも外出するときには必ず施錠するという人が多いのではないでしょうか(もちろん、なかには施錠しないという人がいるかもしれませんが…)。

その理由はもちろん、泥棒をはじめとした、さまざまな犯罪の防止にあります。

また、会社(とくに金融機関など、さまざまな情報が集まっている会社)で働いている人は、オフィスの執務室には施錠するというのを徹底しているケースが多いでしょうし、なかには個人携帯の持ち込みすら禁止されている企業もあります。

某金融機関の知り合いに聞いたことがあるのですが、その会社ではとくに情報管理体制が厳しく、来客は必ず応接室に通され、直接、執務室に入ることはあり得ないのだとか。ましてや、社外の不特定多数の人々が日常的に執務室に入室することは、絶対にあってはならないのだそうです。

もちろん、地域や業種によっても温度差はあるのですが、東京に本拠を置く大手企業(とくに金融機関やシステム会社、コンサルティング会社など)であれば、たいていの場合、社外の人が執務室に入室することは、厳しく制限されているようです。

民間企業の常識が通用しない社会

ところが、この常識が通用していなかったのが、役所であり、マスメディアです。

聞くところによると、これまで多くの官庁では、執務室に施錠せず、不特定多数の部外者(とくにオールドメディア関係者)が日常的に出入りしていたのだそうです。

民間企業出身者としては、ちょっと考えられません。

なぜなら、霞が関の中央省庁ともなれば、執務室には、それこそさまざまな機密資料なども転がっているはずだからであり、場合によっては事前に報道発表や政省令改正案、告示案などが漏れる、というケースもあり得るからです。

金融規制の世界だと、金融庁の自己資本比率告示や監督指針などの内容が事前に漏れれば、それをいち早く入手した金融商品取引業者が、その新規制に対応した商品の開発に着手する、といったことが、(理屈の上では)考えられます(もちろん、そんなズルをしている業者はいないと思いますが…)。

低レベルな記者の逆ギレ

こうしたなか、17日の梶山弘志経産相の記者会見が、なかなか興味深いです。

梶山経済産業大臣の閣議後記者会見の概要(抄)

―――2019/12/17付 経産省HPより

経産省、外務省、防衛省などは近年、新聞記者などの記者会見の模様を文字起こししてウェブサイトに掲載してくれるので、ウェブ評論家にとっては、非常にありがたい限りです。

この日の記者会見では、びっくりするような低レベル、高圧的かつ無礼な質問が出ています。

世耕元大臣在任時の2017年2月に始まった庁内管理の強化について、経済産業記者会は13日、執務室の施錠措置の撤回を求める通算5回目の申入れを行いました。経産省は2017年の施錠措置の導入後、コミュニケーションが後退することはないようにする、というふうに説明をしていましたが、今回の申入書にも明記されておりますが、報道各社からは、頻繁に居留守が使われる、経産省にとって都合のよいときだけ話をする、取材内容により、取材を受けるかどうかの選別が行われているなど、コミュニケーションが後退していることを指摘する意見が出ています。経産省の報道対応が悪化しているという指摘が多くあることについて、御所見をお伺いします。

世耕弘成・前経産相の2017年2月に経産省の執務室への施錠措置が導入されたのだそうですが、驚くことに、それ以前は施錠措置すらなされていなかったということですね。

しかも、この低レベルな記者(あえて「低レベルな記者」と書きます)、その施錠措置を「撤回しろ」と要求しているのです。

この低レベルな記者の高圧的で無礼な質問のうちのいくつかを、そのまま転記しておきましょう(矢印以降は個人的な感想です)。

先ほどの施錠の関連なんですけれども、大臣、機微に触れるような文書もあるとかということをおっしゃいましたけれども、そもそもそういう文書を管理できないような方々がこの庁内に揃っておられるんでしょうか。

(→そういう文書を盗み見る人間を排除するためですよ。それとも何ですか、あなた、「文書を盗むことができない」と逆ギレしているんですか?)

ただ、私は4カ月、ここを担当させてもらっていますけれども、名前も名乗らないような職員もいらっしゃいますよね。

(→これって単にこの記者が無礼だからじゃないですかね?)

そもそもの国民の知る権利、阻害されていませんか。

(→なんであなたが勝手に「国民」を代表しているのですか?)

「施錠するな」は泥棒の常套句

正直、呆れるしかありません。

この低レベルな記者の質問からすれば、自分たちが「取材」と称して情報を盗んできたのではないかとの疑いを抱くのに十分ですし、先ほどの高圧的で無礼な質問の数々も、「自分たちが好き放題に情報を盗めなくなったこと」への逆ギレとしか思えません。

いずれにせよ、「施錠するな」は泥棒の常套句でしょう。

そして、マトモなビジネスマンであれば、「施錠するな」要求に答える方がおかしいと感じるのではないかと思うのですが、まさにこの低レベルな記者の質問は、新聞、テレビを含めたオールドメディア業界の中にいる者たちの発想が、いかに社会常識からかけ離れているか、という証拠にしか見えないのです。

もし「役所は施錠するな」と要求するなら、まずご自身の会社の施錠を解くほうが先でしょうね。

新宿会計士:

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  • 日本国内には施錠しない日本国民も居るでしょうけれど、其れは盗まれる程の価値があるものがない、或いは有っても「此処にある」と知られている程のものがないからであって、盗む価値のあるものが此処にあると知られている状況で鍵を掛けない日本国民は居ないと考えますけどね。

    特定メディアの常識は世間の非常識、ってところ?

  • 昔見た戦記物で、旧海軍の軍令部(海軍省だったかな?記憶があいまいです)には
    応接室なるものが存在せず、階級が高い者ならば執務者のデスクの傍まで入りたい放題だったとか。
    防諜のかけらもないじゃないか、どうなってんの? と言う内容がありました。

    本文を見る限り現在は色々な面で改善されてるようですが、
    この国のインテリジェンスに対する考え方そのものに重要な欠陥があるような気がしたりしなかったり。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     ネット発展前なら、大手オールドメディア企業の社員なら、その社員の
    能力とは関係なく、一般人よりも先にスクープ情報を知ることができまし
    た。しかし、ネットの発展でオールドメディアに頼らずとも、自分で情報
    発信が可能になったため、下手をすると、スクープ情報を知るのは一般人
    と同じになりました。そのため、前を同じように、オールドメディアだけ
    が先にスクープ情報を知ることができるようにしろ、と言いたいのでしょ
    う。

     蛇足ですが、本来なら公開情報からスクープ情報の兆しを見つけ出すの
    が、これからの姿でしょうが、今までやってこなかったことを、大手オー
    ルドメディア企業の社員だからといっても、誰でも出来るとは限りません
    し、前回は出来たことが、今回も出来るとは限りません。そのため、社員
    なら誰でも、毎回できるように保証しろ、と言いたいのかもしれません。

     駄文にて失礼しました。

  • 記事作成ありがとうございます。ちょっと気になった事で…国民放送の朝ドラではラーメン創業者、アニメの開拓者ときて今季が陶芸の新規開拓者をモデルにしているためか、やたらと主人公の知り合いや身内を職場に連れてくシーンあるんですよね。
    勿論ドラマなのでとすればそれまでですが、特にラーメンの話で企業秘密、ナニソレ美味しいの?
    と言わんばかりにそうしたシーンがあり一緒に見ていた家族もあのような社員いたらヤバいのでは?と言ってました。
    自称情報エキスパートのハズの記者や放送局にそうした事はまさか……ありえませんよねぇ^_^…

  • 昔ウルトラマン等のヒーロー番組で、秘密基地に自由に出入りする子供がよく出て来て、今見返してみると「ずいぶんザルだなぁ」と思うことがありました
    多分視聴者の子供たちを投影したキャラクターとして設置されていたのでしょうか
    フィクションだから成立する設定であって、現実世界の常識ではあり得ないはなしですね

  • うわ、、、(記者が)キモい。

    女子トイレにも入ってるんじゃないでしょうね?!

  • よく9条教の方々が「日本が軍備をやめれば中露韓も対日敵視を辞めるはず!戦争反対!」とおっしゃいますが、「それは『自宅に施錠をしなければ泥棒も入る気をなくす』というのと同列の論理だ」と反論を食らっています。それに対する再反論は聞いたことがありません。

    政府関係機密情報がなぜ年月の経過した後にしか開示されないのか、この記者はわかっておられないようです。学校で歴史を学ぶ際に、年号しか覚えなかったのでしょう。いや、そもそも学校で勉強というものをしたことがあるのか疑問です。

    多分この記者は9条教の熱心な信徒で、もちろん自宅にも自社にも錠はなく、情報セキュリティは他人の善意に任せておけば全て解決するものだと考えておられるのだと思います。自分の拾ってきた大スクープも隠すことはなく、他社の記者にも見せてあげるような博愛主義者に違いありません。知識と知能の欠落はともかく、素晴らしい人格者です。ぜひあやかりたいので、会社名、記者名、それぞれの住所を教えてください。ついでにちょっと貸してもらってもいいですか、社用車とか現金とか有価証券とか…。ああ、火災保険とか生命保険とかもイケるかな。

    次の高尚な質問時には自分から個人情報を開示してくれるものと期待しています。隠してはいけないはずなのですから。

  • どこかの大統領が発した「盗人猛々しい」とは、まさにこういうことを言うのだよ、という見本ですね。

    事実をありのままに伝えず、角度をつけたり恣意的に取捨選択したりしているお前らこそが、国民の知る権利とやらを阻害しているのではないのか、という当然の理屈も通じないのでしょうけどね。そもそも、メディアの偏向した主張や見解を知る権利、なんてものは存在しないわけですが。

  • 記者会見見てると記者の質問が低レベルすぎてウンザリするので見ていないのですが、まさか施錠ごときに文句言い出す人がいるとは驚きましたw

  • 経産省に鍵をかけられると困るのは困るだろうなあ。
    霞が関近くで
    記者「今度の案件に関する大臣のお考えはどうなんでしょうねえ?」
    官僚「今晩僕はこの後、大臣が来週の国会で使う答弁書を書いて
       帰宅するつもりだよ。・・・」  
    記者「ニヤリ。・・・」
    官僚「今晩のお食事はご馳走さまでした。・・・」

    その夜
    コツコツと低く響く靴の音。
    謎の男 「確か課長の机は、ここだったような?・・・
         なるほど、アチャラ国の書記官とキャップに報告だ。」
    なんて事があるのでしょうか。
    高校野球ではない方の野球関係に強い新聞社の編集委員をしていた
    親戚に聞くとマンガ「栄光なき天才たち」に出てきた立松和博は、
    検事総長の検察事務官を篭絡してあったので
    電話一つで取材できたと聞きましたが。

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