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テレ朝は朝生を終了し、田原総一郎氏を降板させるべき

製造物責任という考え方に基づいて制定された法律が『製造物責任法』(俗に「PL法」)です。このPL法では、私たち一般国民が安心して快適な消費生活を営むためのために、製造者などの責任を広く認めています。実際、製造業者の側も、ちょっとしたミスであってもすぐにリコールを行うなどしているのですが、この「製造物責任」と無関係な、治外法権のようになっている業界が存在します。

製造物責任とPL法

「製造物責任」という考え方があります。

これは、製造物の欠陥によって人の生命や身体に被害が生じたり、損害が生じたりした場合に、それを作った製造業者や販売した業者などに責任がある場合に、その業者が特別な責任を負う、という考え方のことです。

日本の場合は『製造物責任法』という法律(俗に「PL法」)で消費者保護を図っているのですが、調べてみると、このPL法に基づいて製造者などを訴える事例は、わりと頻繁にあります。

たとえば、日経電子版に掲載された次の記事(※共同通信配信記事)によると、今年3月19日には、ノートPCのバッテリーが発火してやけどを負ったとして、東京地裁がパナソニックの責任を認めて66万円の損害賠償を命じる、という判決がありました。

PCバッテリーの欠陥認定 パナソニックに賠償命令(2019/3/21 17:12付 日本経済新聞電子版より)

また、次のニコニコニュースに掲載された次の記事(※弁護士ドットコム配信記事)によると、ハロウィンで貼った「タトゥーシール」をはがしたところ、頬に痕が残ったとして、小学2年生の男児が化粧会社を相手取り、1430万円の損害賠償を求める裁判を起こしています。

ハロウィン「タトゥーシール」訴訟、小2男児のほおに痕 製造物責任どこまで?(2019/03/05 09:56付 ニコニコニュースより)

この「製造物責任」は、製品が広く流通する時代にあって、欠陥商品による消費者被害が深刻化するなかで、民法でいうところの「一般不法行為」では対応しきれない、製造者や販売者の責任を問うための特別な法律と見るべきでしょう(※著者私見)。

実際、独立行政法人国民生活センターが公表する『製造物責任の歴史と製造物責任法の制定』(※PDF)などの資料でも、PL法の立法趣旨は「社会的責任の大きさに照らし、製造者や販売者が欠陥商品を販売した場合に無過失責任を負わせること」にある、といった記述があります。

さらに、PL法の元祖である米国では、不良製品の発火による火災を巡って、販売業者であるアマゾンに対する製造物責任を問う、といった動きもみられます。

アマゾンの責任逃れ、不良製品の発火事件で検証(2019 年 12 月 6 日 15:01 JST付 WSJ日本版より)

もちろん、さまざまな事例を集めてみると、「これは消費者の側が権利を主張し過ぎではないか」と個人的に思ってしまうようなケースも、ないわけではありません。

ただ、製品や流通経路が複雑化するなかで、私たち消費者が安全で快適な消費生活を営むうえでは、製造業者、販売業者としては、少しでも欠陥のある商品を作らない・取り扱わないための努力をしなければならないのは、ある意味で当然のことなのかもしれません。

最大のポイントは「挙証責任の転換」

では、このPL法、最大のポイントはどこでしょうか。

それは「挙証責任の転換」です。

一般に、民法の世界では、不法行為は「被害を受けた側」が証明する必要があります。つまり、先ほど挙げた「PCバッテリーの発火」については、「発火した責任が製造者の側にある」と消費者の側が立証しなければなりません。

しかし、多くの場合、私たち消費者にはPCバッテリーの専門知識などありませんから、そんなことを証明する能力などありませんし、「PCバッテリーの発火には製造者の側に責任がある」とする裁判を起こして勝つことは容易ではありません。

そこで、PL法には第3条と第4条が設けられています。

PL法 第3条

製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

PL法 第4条

前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。

一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。

二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。

ここでPL法第4条には、「自分に責任がないことを証明した場合には、第3条の責任を負わない」、とありますが、逆にいえば「自分に責任がないことを証明できなかった場合には、第3条の責任を負う」、ということでもあります。

つまり、このPL法ができたことで、業者にとっては自分たちが作った製品の「品質、安全設計などには問題がない」と証明する義務がある、ということでもあるのです。

マトモな企業ならばどうするか?

したがって、マトモな企業ならば、消費者に安全な商品が届くように、万全の体制を敷くでしょう。

たとえば食品を作る企業の場合、食中毒が発生しないように万全の注意を払うはずですし、家電製品を作る企業の場合は消費者がケガをしたりしないよう、設計段階でもさまざまな配慮がなされていることが一般的です。

これに加えて包丁やフードプロセッサーなどの鋭利な部分を含む製品については、多くの場合、説明書に「子供の手の届くところに置かないこと」などの注意書きがなされていますし、小さな部品を含んだ製品には誤飲のリスクについても注意書きがあります。

さらに、細心・万全の注意を払ったにも関わらず、自社が販売した製品に関連して事故が発生してしまったような場合には、多くの企業はその製品の販売を当面自粛し、販売した製品を回収するはずです(いわゆるリコール)。

消費者庁のウェブサイトには『リコール情報』のページが設けられており、たとえば、

  • 一部の商品から基準値を超える安息香酸が検出されたため、全品目を回収
  • 個包装の箱に誤った製品番号が印字されていたため、該当ロットを回収
  • ケーキにアレルギー物質(卵)の表示が欠落していたため、チョコレート菓子を回収

といった具合に、素人目には「ちょっとした欠陥」であっても、製造業者が非常に神経を使って自主回収をしようとしていることがわかります。

PL法を無視する業界

ただ、わが国では「欠陥のある製品や商品によって人々に損害を与えてしまうこと」について、あまりにも無責任かつ無自覚な業界があるようです。

訂正とお詫び:先月29日の放送で田原総一朗氏が「ベネッセが自民党の下村博文衆議院議員に二千数百万円の献金をしている」という趣旨の発言をしました。しかし、ベネッセから下村議員へのそのような献金はありませんでした。訂正するとともにベネッセならびに下村議員、視聴者の皆様にお詫びいたします
―――2019/12/06 20:37付 ツイッターより

これによると、11月29日に放送されたテレビ朝日の番組で、田原総一郎氏が「ベネッセが自民党の下村博文衆議院議員に2000万円を超える献金をしている」などと発言し、それについて「そのような献金はなかった」と「訂正」し、「お詫びする」というツイートです。

…。

あれ?

これって、ウソの情報を流すことで、ベネッセという企業や下村博文衆議院議員という個人、さらには私たち有権者に対して誤った意識を植え付けるという意味で、明らかに損害を与えていませんかね?

もちろん、テレビ放送の内容がPL法でいう「製造物」なのかどうかはよくわかりません。

しかし、社会常識で考えるならば、「情報」は、テレビ局にとっての「製品・商品」です。なぜなら、テレビ局は情報を電波に乗せて流すことで儲けているからですし、私たち一般国民も、テレビ局が流す「情報」を受け取ることによって、テレビ局を儲けさせているからです。

このように考えていくならば、テレビ局がウソの情報を流すことは、家電メーカーが欠陥商品を作って販売するのと、いったい何が違うのでしょうか。

テレビ朝日はとりあえず当該番組の放送自粛を!

さて、先ほど、「マトモな企業であれば、細心・万全の注意を払ったにも関わらず、自社が販売した製品に関連して事故が発生してしまったような場合には、多くの企業はその製品の販売を当面自粛し、販売した製品を回収するはず」だと申し上げました。

テレビ局の場合、取り扱っている商品が「情報」であるため、それを「回収」するということはできません。

だからこそ、自社が取り扱っている商品が「万が一、誤っていても回収できない」ということを強く自覚し、そもそも虚言癖のある人間を司会者として露出させること自体、控えるのが鉄則でしょう。

また、かかる放送事故を発生させてしまった以上、「なぜ誤った情報を流したのか」、「誤った情報を流したことによって、誰にいかなる損害が発生したのか」、「再発を防止するためにはいかなる対策が必要なのか」について、外部の独立第三者・有識者などを交えて検討すべきです。

さらに、原因究明が終わらないのであれば、まずは当該番組の放送を自粛する(というよりも、テレビ朝日自体が停波する)のが筋ではないでしょうか。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

新聞、テレビなどのオールドメディア業界は、他人を追及するときにはやたらと舌鋒鋭いのですが、自分たちが誤報、捏造報道などを行ったときに、それらを訂正するのに及び腰です。このことは、朝日新聞が長年の慰安婦捏造報道に対して真摯に向き合っていない事例ひとつとってみても、明らかでしょう。

じつに「他人に厳しく、自分に甘い」という、典型的な腐敗した業界ですね。

正直、オールドメディア業界を外から眺めてみると、虚報、捏造報道の類いは横行しており、これらに対する真摯な反省も謝罪も賠償も不十分であると言わざるを得ません。

新宿会計士:

View Comments (31)

  • 今回の件に限らず、今や朝生は田原総一朗の主観や個人的な見解を視聴者や出演者に押し付けるだけの番組に成り下がってしまっている。それが証拠に出演者が田原の見解に反する意見を述べようとすると田原が直ぐに割り込んで出演者の意見を遮ることが頻繁にある。

    討論番組の司会役とはその番組で行われる討議の議長役でもあるのに、その司会役がこういう調子では、討論番組として機能していないどころか、中高生あたりの子供達がこの番組を見れば、「議長は討議に割り込んで自分の意見を押し付けて良いのだ」という大間違いの理解をしかねない。

    テレビ朝日は速やかに朝まで生テレビを廃止し、今や事実に基づかない単なる個人的妄想を公共の電波で垂れ流し視聴者に押し付けるだけの老害でしかない田原総一朗を追放し、同時に、何故、これまでも上に述べたような問題が明らかであった田原総一朗をこれほど長く放置して公共の電波を無駄に浪費してきた番組制作における社内の問題点を第三者機関を設置して徹底的に追及させ、結果を公表すべきだろう。

    • あの方、30年前からそうじゃありませんでしたか?私はあの遮り方が嫌いでした、ずっと。

      • それでも最初のころは自分と異なる見解や意見に対してもう少し我慢出来ていましたよ。

  • 責任をとるのが大人。
    責任をとらないのは子ども。
    子どもの愚行は制限しても良い。

  • 田原総一朗氏という、例えて言えばマスメディアで売りまくる”欠陥商品”を作り出した朝日は、その責任をとって速やかに商品回収すべきですし、これまでまき散らした百害あって一利無しの詭弁については弁済すべきです。

    ホントに、もぉ~う。

  • 朝生はネットのない時代は、希少な政治討論番組だったんですが、もはや役割を終えましたね

  • 鈴置氏の連載があった○○BPに、田原氏の連載がありました。(今もあるかどうかは知りません、興味もありません) 
    この内容が酷かった。 根拠を示さず決めつけを行い、自分が権力者と親しいことを誇示するだけの内容でした。当然コメント欄は酷評だらけでしたが、ある時から担当記者がフィルタリングを行っていたようで、表示される件数が数件なんて回が続いておりました。それまでは、何十件も批判するコメントが出ていたのにです。

    しかし、今回の件で、田原氏が悔い改める可能性は低いと考えております。
    なぜなら、上記の連載中で、田原氏は「自分は酷評されても打たれ強いんだ」と開き直っていたからです。つまり、「反省する気なんて最初から無いよ」と宣言していると感じたからです。

    こんな人物や、それを起用するマスコミに、自浄作用なんて期待してはいけません。
    私のハンドルネームは、「こんな奴みたいになってはだめ」との自戒から付けました。

  • 更新ありがとうございます。

    オールドマスコミのテレビ、ラジオ、新聞社、週刊誌などPL法を忘れ去っているか、無視してるんじゃないですか?

    田原総一朗のような有名人ジャーナリストが他人の事を嘘をテレビで言い放つとは、もう引退勧告ですヨ!番組中止、ディレクター減俸、停職でしょう。迷惑受けた方には賠償金!

    しかしPL法とはまた懐かしい、とにかく私には思い入れじゃない、怪我に塩を塗るような古傷です(笑)。

    今やご承知の通り、製造者責任、販売者責任を守る、遵守することは当然です。しかしそれが出来る以前から、消費者を守る為に「消費者センター」「生活センター」というのが、意識高い系の住民が多い地域、生協活動等でスタートしてました。

    私はそれを踏まえて、遵守させる立場でしたが、中には酷いメーカー、商社等もありました。ほったらかし、催促しても待たすだけ。ただ「異常なし」のみ。

    本来、不良品と同じ品番の正常な品とを比較して、何処が駄目なのか、単品不良なのか、オールなのか、製造過程の問題か。全品なら撤去、リコールが必要ですが、なんとも言えない、ボーダーラインの品もあるわけです。

    中にはベルギー本社まで掛け合ってくれて、公式の文書とテスト結果まで、日本語訳してくれて被害を受けた消費者に渡した事もありました。

    ここまでやってくれる取引先は感謝の念でいっぱいなのですが、消費者はそうは行きません。自分の思う通りの結果を出さなかったら、へそを曲げるだけ。何回も話し合い、交渉してもラチが行かない時もある。

    すると「訴訟するから弁護士を立てる!」(笑)となる。私達は「分かりました。残念ですがそれなら私共もそれなりに対応します」とワンランク上の対応になります。

    いわゆる、言いがかりや金品を要求する輩も多い事から、会社には顧問弁護士が東京に2人、大阪に1人付いてます。それ以上は私も関わらない(関わりますが)。何かと権利をふりかざす市民が多いので、防弾は年々強くしております。

    ジャーナリストやマスゴミは、そういう一般人の変化、誰でもモノ申す世の中を全く理解出来てない。だから、つまらない、マンネリ、嘘を言う、で大衆が離れて行ってるのだと思います。

  • 時折、朝生を視聴しますが、途中でウンザリして見るのをやめることが多いです。
    田原氏は言葉は悪いですが、老害と言っていいレベルで、それ人脈を自慢したいだけではと感じる、くだらない話を延々と続けたり、客観性に欠ける持論を垂れ流すだけ。
    まぁ愛知県の大村知事が出演し、中身のない言い訳をするだけだったり、説明責任を果たしているとは到底思えない、片山さつき議員がほとぼりが冷めたと判断したのか、何事もなかったかのように、相変わらずの上から発言で出演していることからしても、もはや見るだけ無駄というレベルの番組ではないでしょうか。

  • 田原氏は社会人としての基本的マナーから学び直さなければいけないと思います。 相手を指差して高飛車な態度を取ったり、机を叩いたりとか見るに耐えられません。
    既に引退に追い込まれたアマチュアボクシング協会の会長やその他同様の人々のように 早く退場して頂きたい。 まさに不良品ならぬ欠陥人間です。

  • お疲れ様です。

    付け加えると、例えば朝日新聞のサンゴ礁記事捏造事件は1989年4月20日なので、毎年4月20日には「私共朝日新聞の何々記者は1989年4月20日にサンゴ礁記事捏造事件を起こしました」云々と書いて、謝罪と反省、再発防止の誓いを1面に掲載する事を義務付ける必要があると考えます。

    業界内の自主的取り組みとして出来ないのであれば、法律を制定して義務付けても良いレベルだと思います。

    新聞は世論形成能力を有しますが、世論形成能力の誤用・乱用をしない・させない事が大事だと思います。

  • 田原氏はもう誰が見ても既に老害と認識されているので、実害は少ないのでは無いでしょうかw
    むしろ最近問題な御仁は、池上彰だと思います。一見客観的に見えるようにしている分やっかいです。

    • ご賢察のとおりで、完全に同意します。
      テレビで池上氏本人は無自覚に神様ポジションを演じているのだろうと思いますが、あのような立ち位置は議論の雰囲気が損なわれるので、やめた方が良いと思います。

      • 池上彰の本は、最寄りの市区で単純検索で400超出てきます。

        小説家の赤川次郎は、800。

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