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中央日報「もうすぐ判決から1年 日本が譲歩せよ」

本日のショートメモです。韓国メディア『中央日報』(日本語版)では、私たち日本人の目から見て、あまりにも非常識かつ突拍子もない意見が頻繁に出て来ます。本日も量産型の「日本が謝罪することで自称元徴用工問題を解決せよ」といった意見が多数出ているようですが、そのなかで気になったものを2つだけピックアップして紹介したいと思います。

リセットコリアは相変わらず

普段から当ウェブサイトで公言しているとおり、私自身にとって韓国メディア『中央日報』(日本語版)は、「愛読紙」のひとつです。

といっても、その理由は「中央日報を読んで参考になるから(勉強になるから)」ではありません。(とくに日韓関係において)あまりにも非常識かつ突拍子もない意見が、頻繁に出て来るからです。

一般に、あまりにも私たちの一般常識から外れた記事を読むと、どうしても不安になってしまいます。

ちなみにそのような記事を読んだときには、どうしても、「この記事をどう解釈すべきか」に関する解説が欲しくなるものですし、また、「この記事について、ほかの人はどう感じているか」、という点について意見交換したくなるのが人情というものでしょう。

だからこそ、あまりにも酷い記事に対しては、冷静で的確なツッコミが求められるのであり、中央日報に掲載された記事をどう捌くかについては、ウェブ評論家としての腕の見せ所のひとつでもある、ということではないでしょうか。

さて、前置きはどうでも良いとして、中央日報に掲載される「非常識かつ突拍子もない意見」の典型例が、『リセットコリア』というシリーズです。

【リセットコリア】韓国は賠償要求撤回し、日本は植民地支配の謝罪を(2019.10.29 09:19付 

中央日報日本語版より)

本日の『リセットコリア』、記事の末尾には「鄭在貞(チョン・ジェジョン)/光州(クァンジュ)科学技術院招へい碩学教授」という署名があります。

この『リセットコリア』シリーズで鄭在貞(てい・ざいてい)氏という人物は初めて見かけましたが、結論からいえば、この記事もいつもながらの韓国メディアにありがちな、「日韓双方が譲歩せよ」とする、典型的なご都合主義的主張です。

鄭在貞氏は先週・24日の安倍晋三総理大臣と李洛淵(り・らくえん)韓国首相の「日韓首相会談」で、現在の日韓対立について「早期収拾を図ろうとの意見で一致した」とする点を「決断の必要条件は用意されたようなもの」だと主張。そのうえで、

韓日首脳が大乗的次元で懸案解決と関係改善の勇断を下して、心から説得すれば、国民多数の支持を受ける公算が大きい。韓日首脳が危機を機会として活かし、両国はもちろん世界の歴史和解に新たなマイルストーンを建てることを期待する。

などと結論付ける、まことにご都合主義的な議論です。

韓国メディアの共通認識

この議論に限らず、最近、中央日報をはじめとする「保守系」の韓国メディアに共通する事実認識は、

韓日関係は韓国の「強制徴用判決」(※自称元徴用工判決のこと)をきっかけに悪化し始めたが、これに日本が「輸出報復」(※輸出管理適正化措置のこと)で対応したため、韓国はやむなく韓日GSOMIA(※日韓包括軍事情報保護協定のこと)の破棄で応じた

といったものです。

したがって、このような視点から出てくる結論は、

韓日が双方、譲歩し、韓国は韓日GSOMIAに復帰する代わり、日本は輸出規制を撤回し、強制徴用判決においては日本が過去について真摯に謝罪し、韓国は賠償要求を止めて、韓日双方が資金を出し合うのが良い

となるわけです。

実際、先ほどの『リセットコリア』の記事も約1500文字の記事ですが、その主張内容については、正直、100文字で済む話だと思います。

そして、こうした「韓国メディアの共通認識」を代弁したもののひとつが、次の記事でしょう。

韓日葛藤起こした強制徴用の解決法は…「文大統領-安倍首相、政治的決断を」(2019.10.29 08:19付 中央日報日本語版より)

これは、28日にソウルの延世大学校・金大中(きん・だいちゅう)図書館で開かれた会議の模様をレポートした記事です。発言者には韓国側の教授や日本の朝日新聞などのソウル支局長などが含まれていたようですが、気になるものをピックアップしてみると、

  • 「両国間政治的妥結を通した解決法を導き出す必要がある/韓国政府が提示した『1+1』(韓日企業の自主的な参加で慰謝料を支給)に基づいて追加措置を通じて具体化する過程が必要だ」(韓国の大学教授)
  • 「強制徴用、輸出規制、GSOMIA問題はすべて連動されており、今は政策的判断のレベルを越えたと見られる/両国指導者間に政治的決断で解決するほかはない」(朝日新聞の神谷毅ソウル支局長)
  • 「日本政府から植民支配と強制徴用に対して謝罪し、反省する立場を受けなければならない/金大中-小渕韓日パートナーシップ宣言のように両国政府間合意の形態で韓国人に明らかなメッセージを送らなければならない/両国指導者の決断が重要」(中央日報主筆)

といったものですが、ハッキリ申し上げて「お話にならない」というレベルです。

もうすぐ1年ですね

さて、先ほどの『改めて「日韓共同経済基金案構想」について考えてみる』の繰り返しですが、自称元徴用工判決から、明日でちょうど1年が経過します。

読者の皆さまは意外と思われるかもしれませんが、じつは私自身、この自称元徴用工判決については、日本にとっては結果的に良かったと考えています。その理由は簡単で、「どんなに誠心誠意対話を尽くしても、絶対に解決できない問題がある」という当たり前の不条理に、日本国民が気付くことができたからです。

以前、『韓国首相来日を「日韓関係破綻」の布石と見る理由』に対し、読者の方からコメント欄で「ネセサリーロス」という考え方を教えて頂いたことがあります。

韓国メディアから出てくるソリューションが、いずれも著しく偏った歴史観に基づいて、日本に対して一方的で理不尽な譲歩を迫るものばかりであるという点を踏まえるならば、日韓関係とは日本が理不尽な譲歩を強いられてまで改善すべきものなのか、という議論が出て来て然るべきでしょう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、現在、自称元徴用工判決からの1年間について、簡単に経緯をまとめた原稿を準備しています。これについては、間に合うようであれば、明日にでも公表したいと思いますので、どうかご期待ください。

新宿会計士:

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  • 『菅義偉官房長官は29日の閣議後の会見で、元徴用工問題を巡り、日韓が協力基金を創設する案が浮上しているとの一部報道について、そのような事実はないと否定した。』とロイターが報じています。

    共同通信の誤報、または、何らかの意図をもった記事だったみたいですね。

    • 通りすがり様

      報道機関が誤報をすることは、野球選手がエラーをするのと同じで、絶無にはできません。ただ、いつもエラーをしている選手は、自然とポジションを失うものです。ポジション争いが健全性を担保しているのです。

      報道機関にも競争原理を導入するために、1年間で何回か誤報を繰り返した報道機関には、一定期間の出版禁止あるいは誤報内容お詫び版の発行を義務付けることはできないものでしょうか。

      どうもマスコミは「報道の自由」は声高に唱える割に「報道の責任」というものは無視したがるようですので、なんらかの規範があるべきだと思います。

      • 医療の世界でも明らかな誤診から、診断が確定しなくて恐る恐る診断的治療をすることがあります。
        ヒドイ誤診は民事訴訟で、負けて高額の賠償金を取られますし、あまりにもレベルが低いと医道審議会から行政処分を受けます(滅菌をちゃんと行わず死亡例まで出した開業医など)。
        刑事事件になったときがありましたが、さすがにこのときは大騒ぎ。
        弁護士も懲戒処分でよく騒いでいますね。

        それに比べたら、マスコミ様(ここではゴミとは言いません。良心的なマスコミ関係者も含むからです)のお気楽なことよ。

    • 通りすがりさま、

      >共同通信の誤報、または、何らかの意図をもった記事だったみたいですね。

      今回の共同通信の記事をヤフートップで見た瞬間、日本国民に対して譲歩も已むを得ないのかと思わせる(洗脳する)こと、つまり対日謀略が目的の記事であり、ヤフーも(孫氏が親会社SBのトップなのだから当然ですが)その共同通信の謀略に加担する気なのだと、思いました。

      従って、安倍総理や菅官房長官ら日本政府は直ちに否定するだろうと思ってましたが、韓国政府までも否定するとは少し予想外でした。韓国政府は共同通信やヤフーの「『(韓国に対する)親切心』あるいは『反日心』からの対日謀略という意図」を理解できなかったのでしょうね。

  • ありがたいコトです。

    私が一番危惧していることは、日本も受け入れてもいいかもしれないと思うようなリアリティのある提案が韓国側から出て、妥協が成立してしまい、そのあと「用日」のオンパレードとなる、という事態です。

    こういう非現実的な論調が韓国のスタンダードであるとすると、その危険性は下がる一方です。

    日韓の共存共栄はあり得ないことが明白な現在、関係改善ではなく、韓国の壊死を目指すのが日本のとるべき道です。もっと反日が燃え盛ってほしいものです。

  • すごい1年でしたね。
    慰安婦問題では2015年の合意では結局解決出来ませんでしたし同じように自称徴用工も合意で解決できる問題ではないのでしょう。まして国内で求心力を失っているムン大統領と約束を結ぶこと自体、韓国の民意を無視する行為と言わざるを得ないでしょう。

    韓国のパリパリ文化の忍耐はおおむね1年程度と思われますので1年と越えるとどんな異常な反応を示しだすのか来年が楽しみです。もしかしたら南からミサイルが日本海に飛んでくるかもしれませんね。
    解決しないことが次の問題を作らない解決になると思う2019年でした。

  •  以下は、新宿会計士様のご投稿とはまったく関係のない話題で申し訳ありません。

     本日の読売新聞朝刊の国際欄に、WTOの発表によると、韓国政府がバルブ関税に対するWTOの是正勧告を受け入れるとの意思表明をした、との記事がありました。例の、日本政府が勝訴宣言をし、外信も日本の勝訴を報道していたにもかかわらず、韓国の政府とメディアだけが韓国側の勝訴を喧伝していた事案です。韓国メディアによると、韓国政府は12件(?)ある項目のうち9件(?)で勝ったのだから、判定勝ちだという、わけのわからない勝利宣言をしていました。
     ただし、上記の読売新聞の記事によると、韓国政府は是正に時間がかかるとゴネてもいるようです。
     新宿会計士様のご愛読の?中央日報にも記事はないようですが、韓国政府は、敗訴を受け入れたことを国民には隠し続けるのでしょうか。

    • 同業者さま
      読売オンラインでは見つかりませんでした。
      是正勧告を受け入れるのが事実なら、経産省の言っていることが事実だという事で、良かった話です。
      是正に時間がかかるなら、その間は報復関税を掛けたり、もっと韓国人に解る(隠せない)ようにマスコミや経産省WEBに公開して、圧迫してあげればいいと思います。
      関税撤廃の実利を取らなくても、韓国が困る方法をやり返した方が、良いと思います。

  • 更新ありがとうございます。

    韓国の日韓問題は、、、。
    【韓国の「強制徴用判決」をきっかけに悪化し始めたが、これに日本が「輸出報復」で対応したため、韓国はやむなくGSOMIAの破棄で応じた】ブ〜ブ〜。間違いッ。

    まあ日本に責任をなすりつける事、一色ですね。そもそも、この1年でどれだけ韓国の嫌がらせ、嘘、告げ口、侮日があったんですか?

    雪だるま式に積み上げてきたモノでしょう。また、日本にも謝罪や譲歩すべきという考えの反社会勢力が居るのも事実ですし、自民党や保守陣営にも少なからず居ます。

    『日韓は元の位置に戻るべし』という意見を含むリベラル〜左派は、今の韓国見りゃ、もう発言無いはず。『政府筋が』『消息筋によると』と言った嘘話、やめなさい!

  • いよいよ11月14日に李栄薫教授の「反日種族主義」の日本語版が出版されますね。

    ユーチューブの李承晩TVは毎回見ていて、いつも客観的データに基づいた説得力ある説明に
    感心しているのですが、その集大成とも言える本書には期待大です。
    なんせ、例のタマネギ男が「読んで吐き気をもようした」という位ですからインパクトが強そうですね。

    韓国では、出版以来ベストセラーになっていますが、これを読んだ韓国の高校生が
    「全部本当だとは思わないが、今まで自分達が教えられていた内容と180度違い、ショックを受けた」
    と語っていたのが印象的でした。

    多くの人が読んで、議論して(反証も含めて)、より事実に基づいた歴史認識が
    客観的に共有され、それが教育に活かされる様になって貰いたいものです。

    • 加藤 裕さま
      別スレで、投稿済みですが。
      韓国人は、こんなこと考えてます。

      「“日本の植民統治への擁護行為”処罰特別法をつくらねば」=韓国シンクタンク
      https://s.wowkorea.jp/news/newsread.asp?nArticleID=244157
      日本併合時代に関して、事実かどうかは関係無く、日本を擁護すると処罰される法律です。
      反日種族主義は、アウトですね。

      • なんとか教授は、日本の植民地支配とか言ってませんか?🐧
        その段階でアウト。🐧
        所詮は朝鮮人、なんとか教授は下関条約の第一条やポツダム宣言第八条を、ちゃんと読むべきです。🐧
        そうすれば比較的頭のマトモな朝鮮人の様ですから、朝鮮人の世界史における本当の立ち位置が判るでしょう。🐧

  • もはや韓国というか朝鮮半島ごと消したほうが平和が訪れるレベルです
    (とはいえ中国の帝国主義があるのでそっちのほうが脅威ではあるけど)

    あの民族は約束なんぞ破るものって前提で行動しないとダメです!!

  • ご参考までに、李栄薫氏にはすでに2009年以下の書籍が翻訳・出版されています。李栄薫・永島広紀訳 『韓国の「国史」教科書を書き換えよ 大韓民国の物語』文芸春秋社。著者の立場は、決して親日ではありません。しかし公平です。例の共同通信社の「誤報」については、「日本政府の関係者によると」とか「信頼できる××によると」とか「匿名を条件として(笑)」とかの情報源がありませんでした。共同通信社のデスク(副編集長)クラスに工作員がいるようです。

  • 最早、韓国メディアの主張は「笑止千万、片腹痛いわ」といったところでしょうか。(只今、TVで時代劇をやっております。笑)

    ただここで、久しく忘れておりましたが、北朝鮮のことを思い出していただきたいのです。
    先日もご報告いたしましたが、プライムニュースで北朝鮮がテーマになっていました。
    その際、日朝会談の実現性について、反町氏が朝鮮日報の記者について尋ねたところ。
    「北朝鮮政府は、日韓問題の行方を注視している。日本が朝鮮半島占領の賠償や南北分断の賠償を払う気があるかを注視している。」とのことでした。

    南北分断の賠償?日本は関係ないのでは?と思ったのですが(確か米vs中露の代理戦争だったはず)、「米軍の兵站部が日本にあった」とのことです。要は、南北朝鮮とも、取れるところから取るという姿勢は変わらない。日本も舐められたものです。よって、これ以上、半島にたかられないよう、日本はいちぶの譲歩もしてはなりません。

    日本が北朝鮮に頭を下げているのは、拉致被害者を人質に取られているからに過ぎません。
    こういってはなんですが、拉致被害者は軍事侵攻で奪取するしか手がないと考えます。

    • 今すぐ軍事侵攻は出来ないですし、それをしても中露が面子から朝鮮半島の戦役に参戦するでしょう。🐧
      そんな事より、朝鮮半島を丸ごと飢餓半島にしてやる方策を考えましょう。🐧
      何年か掛けて(出来れば私の還暦位迄に)正統な制裁による飢餓からの、如何なる大義も無い暴発に朝鮮人を追込めば、遠慮会釈無しに「最大の日帝積弊」の精算が可能かと考えます。🐧

      • ハゲ親父様 レスありがとうございます。

        >今すぐ軍事侵攻は出来ないですし、

        日本に限れば、軍事行動は自衛のみに縛られておりますしね。
        ただ、半島動乱となれば、各国は邦人救助の名目で半島に入ります。日本も例外ではありません。
        多分、その時が拉致被害者救出の最初の機会になると存じます。次が北朝鮮の核武装解除時です。これは何時になるかわかりません。小泉政権での拉致被害者救出は天恵以外のなにものでもありません。北朝鮮側から言うと二度と繰り返してはならない失敗ですね。

        彼らは手の内の人質でより高い報酬を求める。お金というレベルじゃないと思います。なので、話し合いや交渉による救出は不可能と言っていい。先に述べた邦人救出の機会が最小限の被害で拉致被害者を救出できる機会です。後になるほど被害者たちのリスクが高くなります。

        拉致被害者の救出さえ済めば、半島が燃えようが、海に沈もうが知ったことではありませんのよ。互いに殺し合って下さればよろしいとも思っております。

  • ご意見、まことに正論だと思い、共感いたします。何故にこのようなご意見が、TVや新聞などの大手マスコミから聞こえてこないのか不思議です。

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