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立憲民主党の要求で「セクシー」を議論する日本の国会

正直、あまりにもレベルが低すぎて呆れます。小泉進次郎環境相の「セクシー」発言に対し、立憲民主党の熊谷裕人参議院議員(当選1回)が『気候変動のような問題はセクシーでなければならないという小泉環境大臣の発言に関する質問主意書』なる意味不明な質問主意書を提出し、これに対して内閣が「セクシーの意味」について閣議決定した、という話題については、『セクシーに政権の足を引っ張る男』でも触れたとおりです。こうしたなか、政府の答弁の全文が公表されましたので、あらためてこれを紹介したいと思います。

頭が悪すぎる、熊谷裕人参議院議員の質問

セクシーに政権の足を引っ張る男』の続報(?)です。

先日、立憲民主党に所属する、今年の7月に参議院議員選挙に当選したばかりの熊谷裕人氏が、『気候変動のような問題はセクシーでなければならないという小泉環境大臣の発言に関する質問主意書』なるものを提出した、という話題を紹介しました。

  1. 少なくとも直近5年間において、国務大臣の公式な記者会見のみならず、そのまま報道することを前提としたいわゆるオンの会見で、国務大臣が「セクシー」という単語を用いて日本政府の政策を評価もしくは形容した事例はないと承知しているが、政府の見解如何。
  2. 内閣法第3条第1稿では、「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する」とされているが、そもそも「セクシー」であるべき行政事務は内閣にあるのか。政府の見解如何。
  3. 小泉発言でいうところの「セクシー」と言う単語は、具体的にどのような意味を持つのか。内閣法第1条第2項で示されているように、(中略)各国務大臣は、国会議員に対して自らの言動について説明する法的義務があると解すべきである。小泉発言でいうところの「セクシー」という単語の意味するところは何か。政府の見解如何。
  4. 日本の記者からの「セクシー」という単語の真意を確認する質問に対して、小泉大臣が「それをどういう意味かって説明すること自体がセクシーじゃないよね」と述べたことは事実か。
  5. 前期4の小泉大臣の発言は、報道機関のみならず国民に対してもあまりに不誠実ではないか。政府は、前期4の小泉大臣の発言は妥当なものと考えているのか。政府の見解如何。

この質問は、小泉進次郎環境相が記者会見の場で「セクシー」云々と発言したこと(『例のセクシー大臣、勉強不足過ぎてお話にならない』等参照)に関連するものです。

小泉進次郎氏が「セクシー大臣」ならば、さしずめ熊谷裕人氏は「セクシー議員」、熊谷氏の質問は「セクシー国会」とでも呼びましょうか。

ちなみに熊谷裕人氏のツイッターを眺めてみると、ご本人はこの質問を「至って真面目」などと自賛しているようですが、これに対するリプライは総じて批判的です(ま、当たり前ですが…)。

質問主意書の答弁が報道各社で取り上げられ、お騒がせしています。質問の内容は、至って真面目ですので、ご容赦ください。
#質問主意書 #セクシー発言 #環境大臣 #熊谷裕人
「セクシーには魅力的という意味も」 小泉環境相発言で政府答弁書(産経新聞)

―――2019/10/15 21:15付 ツイッターより

いずれにせよ、小泉大臣の「セクシー」発言もかなりの問題ですが、国会議員という立場からこの「セクシー」を巡り、揚げ足取りの下らない質問を出すというのも、いい加減にしてほしいと思います。

政府答弁書

さて、先日は参議院ウェブサイトの『質問主意書』のページに政府答弁書がアップロードされていなかったのですが、現時点では極めて読み辛い全4ページ・タテガキのPDFファイルを閲覧することができます。

これについて、できる限り原文に沿って紹介しておきましょう。

1について

お尋ねの「公式な記者会見」及び「オンの会見」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、関係省庁において調査を行った範囲では、直近5年間において国務大臣が「セクシー」という単語を用いて政府の政策を評価又は形容した事例は見当たらない。

2及び3について

御指摘の「小泉発言」における「sexy」という語については、文脈によってその意味するところが異なり得るため、ニュアンスも含め、正確な訳出は困難であるが、例えば、ロングマン英和辞典(初版)によれば、「(考え方が)魅力的な」といった意味があるものとされていると承知している。いずれにせよ、内閣として、気候変動対策など多数の関係者の自発的な行動を促進するとともに、理解を得る必要のあるものも含めて、行政事務について、これを適切に行っていく考えである。

4について

お尋ねについては事実である。

5について

政策的な内容に関する質問については、これまでの記者会見においても、可能な限り誠実に応答している。お尋ねの「前記4の小泉大臣の発言」については、当該発言が妥当でないとは考えていない。

このバカな主意質問書でどれだけの人件費が…

…。

いちおう、政府としてはそれなりに形のある答弁を作った格好ですが、このバカな主意質問書で、いったいどれだけの人件費が無駄になったのかと思うとやり切れません。まさかとは思いますが、この答弁を作るために、あの未曽有の台風のさなかにも関わらず、官僚が官庁で残業していたのでしょうか。

ちなみに立憲民主党といえば、今年2月にUFOに関する質問主意書を提出した逢坂誠二衆議院議員というのもいましたが、こういう議員の存在自体、本当に税金のムダだと思ってしまいます。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、繰り返しになりますが、小泉進次郎氏に閣僚としての自覚が足りな過ぎること、何より絶対的な知識量が不足していることを踏まえると、そもそも小泉氏に政治家としての適性があるのかが大いに疑問です。

よく「若さゆえの過ち」などと言って「大目に見ようじゃないか」、「これからの成長を待とうじゃないか」、などとしたり顔で述べる人もいるのですが、諸外国だと30代そこそこで首相や大統領に就任するケースもありますし、彼らのなかには本当に勉強している政治家もいます(そうじゃないポピュリストもいますが…)。

なにより、38歳といえば、多くの組織の「若手」ではなく、もう「中堅層」ですし、早い人だと管理職に就任したりしています。会社で30代の課長や部長が客先で「セクシー」などと発言したら、20代の若手からは白い目で見られるのがオチでしょう。

つまり、小泉氏の失敗は、「若さ」を理由にして良いレベルのものではないのです。

もしかして、小泉氏を早めに閣僚に抜擢したのは、早めに「ボロ」を出させることで、将来、無能なままで要職に就いて国家を傾ける危険性の芽を摘んでおくという、安倍総理なりの深謀遠慮なのかもしれませんね。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 衆院選時の民主党系の政党支持率合計の推移
    (民主・民進・希望・立憲・国民・自由)

    2009.8  29.0%
    2012.12  16.1%
    2014.12  11.7%
    2017.10  10.8% 
    2019.5 5.5% 

    揚げ足取りが仕事と思っている様な民主党残党の政党支持率は、
    この様に激減の一途をたどるしか無い。それでも問題は自分達にあると気付かず、
    何の成長も無い民主党残党は、事実上、安倍政権の最高のサポーターとなっており、
    陰謀論好きの人達によると、自民党の対外部隊と皮肉られている

    民主党残党が沈む事自体は、国民の大多数にとって何の害も無いが、
    あまりにゴミな為に、消費増税しようが、セクシー小泉が炭素税案を出して来ようが、
    それでも「民主党残党よりはマシ」と現政権が安泰で、
    結果として【財務省の思う通り】に筋書きが進んで行くとしたら、
    やはり、まともな野党がほぼ無いという事態は国民全体にとって、
    実損害がある事態である

  • 立憲民主党がこの体たらくだから安倍自民党はまだまだ安泰なんだって事が理解出来ない立憲民主党の議員が居る訳で、安倍政権倒閣を成し遂げれずとも訴えれば満足して終わる程度の意気込みなのだろうな、と思います。

  • 個人的には小泉大臣が曖昧な発言しなければ済んだ話だと思います。
    揚げ足取りもどうかと思うがそもそも大臣という自覚が足りてないのが問題。
    説明は野暮って、今後国民に説明求められても彼ははぐらかす人間だと思ってしまいます。

  • 様々な政策論議を進めなければならない大事な国会の場で、セクシー大臣の言葉尻を捉えた質疑に時間を費やすのは止めてほしい。

    実にくだらん!!!

    当該大臣のキャラクターはそう変わらんでしょうが、政権与党は繰り返し揚げ足とられているので、もうちょうと慎重にならなければならない。が、オツムが弱そうで、おバカな感じがします。

    立憲などアホ野党は、政策提言がまったくできないので、こんなことばっかりやってお茶を濁しているのでしょう。

  • >もしかして、小泉氏を早めに閣僚に抜擢したのは、早めに「ボロ」を出させることで、将来、無能なままで要職に就いて国家を傾ける危険性の芽を摘んでおくという、安倍総理なりの深謀遠慮なのかもしれませんね。

    私も、この新宿会計士さんのご考察を、全面的に支持します。目立って悪い芽は、早い目に摘んでしまえ、と言う事ですね。

    • 稲田朋美議員が今後、冷遇され続ければ、その見方は正解でしょうねえ。

  • 野党がだらしないと、与党の質も低下する危険があり、
    嘆かわしいことです。「セクシー」の説明がないのは不誠実
    ではないか、ではなくせめて「あなたの考えるセクシーな政策の
    具体例を挙げてみてもらえないか」という文脈でセクシーに
    触れたらどうなんだろう。

    小泉さんは今のところ人気だけの人のように見えますね。
    ただ、彼の人気は福島の処理水を海洋放流するときに
    国内の風評被害対策に役立つような気がします。

    海外の風評被害については、韓国の言動を、理性を欠いた
    文政権のなりふりかまわぬ東京五輪ネガティブキャンペーン
    の一環であるとして、旭日旗問題とセットで反論すれば、
    押さえ込みやすいのではないでしょうか。

    腹をくくって海洋放流計画を公表する時期が来ているように
    感じます。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     日本の野党にとって、もはや、安倍総理の足を引っ張ることが目的にな
    っているのでは。(客観的に見て、それが的を射ているのかは別問題です)

     駄文にて失礼しました。

  • 野党議員が国会での質疑応答で「せーくしー せーくしー あーいむ せっくしー」とかって歌ってくれないかなぁ…と期待しているところですw

  • 新宿会計士さま、更新有難うございます。

    >なにより、38歳といえば、多くの組織の「若手」ではなく、もう「中堅層」ですし、早い人だと管理職に就任したりしています。

    昔なら38歳で管理職は早いと言えましたが、大企業の場合、現在では昇進はとても早くなっており、38歳で管理職は普通です。私が勤めていたのは製造業で所謂4ケタ企業(資本金が4ケタ億円)ですが、私の入社したころは管理職昇進は41~43歳辺りが標準でしたが、2000年代には管理職への昇進は37~38歳前後へと5歳は早くなりました。

    この管理職昇進の低年齢化は私が属していた企業だけでなく世界市場で戦う日本の大企業の多くに共通して見られる傾向です。若くて柔軟な感覚と十分な体力がなければ世界の舞台では戦えないという考えから社員に対して優勝劣敗を明確にし業績優秀な者は早く昇進させ逆にそうでない者は昔のような「誰でもいつかは管理職」を止めて終身平社員(だから37~38歳辺りで昇進できない者は昔の41~43歳で管理職に昇進できるのではなく、その後、余程の逆転ホームラン=大きな業績を上げない限り管理職には昇進せずに終わる)とするように人事システムを改めたのだと思われます。

    • 脇道のことばかり書いて肝心のことを書き損ないました。

      >もしかして、小泉氏を早めに閣僚に抜擢したのは、早めに「ボロ」を出させることで、将来、無能なままで要職に就いて国家を傾ける危険性の芽を摘んでおくという、安倍総理なりの深謀遠慮なのかもしれませんね。

      小泉氏は予想通りどころか予想以上に無能だということが露呈しましたね。
      海外の環境問題の専門家に対するオマージュだとしても軽薄に「セクシー」という言葉を使い、取材陣にその意味の説明を求められたら「意味を問うことは野暮」と逃げた上に、肝心の今後の日本の環境政策で自分が発言した政策方針の具体的内容や進め方を問われた途端にしどろもどろとは、政治家として論外としか言い様がない。

      またこの下らない「セクシー」発言に関してわざわざ国会の質疑応答として過去の事例の有無などという国民にとってどうでも良いことを正式に問いただして官僚を無駄遣いする野党議員も論外以外の何物でもない。

      国民にして納税者たる1人としては、こいつら論外レベルは纏めてマウスでドラッグしてTrashに投げ込みたい。

  • このまま立憲民主党が野党第一党のままというのは割と深刻に日本の民主主義を損なうと思います。
    選挙だけで消費税反対を叫んでおきながら廃止法案も出さない野党。
    かといって取って代わるような勢力もなし。
    これではいくら素行が悪いからといってN国党に目が向くのもやむなし。

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