韓国の野党「自由韓国党」の黄教安代表が22日、文在寅政権を舌鋒鋭く批判したようですが、考え様によっては、これは非常に困ったことです。というのも、韓国にとって都合がよい主張というものは、得てして日本にとって都合が悪い主張だからです。
敵ながらあっぱれ?
なかなか鋭い指摘だと思います。
韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事によると、韓国の野党「自由韓国党」の黄教安(こう・きょうあん)代表は22日、日本の「報復性輸出規制措置」を巡って、文在寅(ぶん・ざいいん)政権の対応を「旧韓末の鎖国政策と変わるところがない」と批判したそうです。
韓国党代表「文政権の外交、旧韓末の鎖国政策と変わらない」(2019年07月22日11時14分付 中央日報日本語版より)
「報復性輸出規制措置」とは聞きなれない言葉ですが、『韓国政府の「割当関税」、GATT第13条違反では?』などでも報告したとおり、7月1日に経産省が発表した措置については、韓国国内では自称元徴用工問題に対する「報復措置である」とする見解が一般的であるようです。
ただ、本筋は、そこではありません。
黄教安氏といえば、朴槿恵(ぼく・きんけい)前政権における首相経験者であり、朴氏が2016年12月に大統領としての職務権限を停止されて以降、2017年5月に文在寅氏が大統領に選ばれるまでのあいだ、「大統領権限代行」を務めた人物でもあります。
報道される同氏の発言を聞くと、いわゆる「ツートラック的用日論」(歴史問題で日本を糾弾しつつ、日本を利用してやろうとする考え方)を掲げる人物でもあるため、ある意味では有能ですが、それと同時に当ウェブサイト的には「最も警戒すべき韓国人」の1人です。
中央日報の記事から黄教安氏の発言を拾っておきましょう。
- (文在寅政権には)外交的解決策がなく、(日本政府に)向き合って戦う戦略もない
- 大声だけ張り上げて実質的な対策を出せないでいる
- 韓米同盟が堅固で国際的な支持を受けるならば安倍政権がこのように暴走することはできなかっただろう
- 現政権(の外交政策)は国を崩壊に追い込んだ旧韓末の鎖国政策と変わるところがない
「良いところ取り」が基本戦略
敵ながらあっぱれ、といったところでしょうか。
この発言について考える前に、これまでの韓国の振る舞いを振り返っておきましょう。
韓国は日本の隣という絶好のロケーションをフル活用し、1965年の日韓国交正常化以来、とにかく日本にキャッチアップするということを基本戦略に据えて来ました。
日韓請求権協定に基づく無償3億ドル・有償2億ドルの経済協力を皮切りに、それこそ官民挙げて日本は韓国を先進国にすべく、技術移転、資本移転などを進めて来ましたし、また、日韓両国には軍事同盟こそ存在しないにせよ、防衛面でもかなり深い協力関係を築いて来ました。
1960年代当時といえば、日本はソ連、中国、北朝鮮といった「共産主義国家」の脅威を肌で感じていましたし、もしかすると当時の日本人は、「韓国が先進国となり、日本の友好国となれば、同じアジア人の国として、一緒の欧米主要国に対抗してくれる」という期待感もあったのかもしれません。
また、日韓国交正常化直後、韓国国内では日本統治時代の教育を受けた人たちが普通に現役世代として働いていましたし、日本語もよく通じたので、なおさら日本人としては韓国に対し、「友好国」としての親近感を覚えていた、という事情もあるでしょう。
だからこそ、韓国が歴史問題で日本を糾弾して来たときにも、日韓友好を最優先にするという観点から、「とりあえずは謝っておこう」、「とりあえずは歴史教科書に近隣国条項を入れておこう」、「とりあえずは韓国を刺激するのをやめておこう」、などと考えて来たのかもしれません。
こうした日本の判断が、結果的に正しかったのか、間違っていたのかについては、本稿では敢えて申し上げません。
しかし、韓国の側から見れば、日本は技術も資本も移転してくれるありがたい国であるとともに、自分たちが「歴史問題」を持ち出して大騒ぎすれば謝ってくれるので、本当に気持ちの良い思いをしてきた、というのが実情ではないでしょうか。
文在寅氏こそ「真の親日派」といえる理由
よく「用日派」の韓国人が「韓日友好が大事だ」と主張するときには、「世界でアジア人どうし助け合わねばならない」、「韓日は切っても切れない関係にある」、などと口にするのですが、これも1960年代あたりの日本であれば、心の底からうなずく人も多かったのかもしれません。
ただ、現在でも日本国内には、少なくない日韓友好派が残っています。以前から当ウェブサイトでは、「日韓友好派」を次の①~③に分類して考えています。
- ①対等関係論:日韓両国は対等な主権国家同士として、お互いに尊重し合い、ともに手を取り合って、未来に向けて発展していけるような関係を目指すべきだ。
- ②対韓配慮論:日韓両国は対等な関係だが、過去の一時期に不幸な歴史もあったことを踏まえ、日本がある程度、韓国に配慮することで、「名よりも実を取る」ことを目指すべきだ。
- ③対韓追随論:日韓友好はとても非常に大切であり、韓国が「もう良い」というまで過去の不幸な歴史を反省し、謝罪し続けるべきだ。
③の典型例は日本共産党ですが、これはもう論外なので、この際無視しましょう。
本当に問題なのは、②の考え方です。
ここで、「名よりも実を取る」というのは、韓国が「謝れ」と言ってきたら、日本としては国としての名誉、尊厳をある程度捨てて、韓国に謝ることで彼らのご機嫌を取り、経済、防衛協力などを進めましょう、という考え方です。
先ほどの中央日報の記事から、黄教安氏の発言の続きを確認しておきましょう。
「われわれに必要なことは感情的対応ではなく未来に進む克日。栗谷(ユルゴク)が十万養兵説を主張したように韓国経済を守る10万優良企業が必要だ」。
この「未来に進む克日」、実に無礼な表現ですが、これこそまさに「ツートラック」の究極的な表現です。
要するに、猫なで声で日本に近付き、技術や資本を吸収する一方で、日本が嫌がる「歴史問題」については絶対に手放さない、という戦略こそが、韓国国内の「用日派」の主張なのです。
そして、非常に困ったことに、日本国内の対韓配慮論者が韓国国内の用日派と結託し、日本の国益を韓国に売り渡してくれています(あえて実名は挙げませんが、自民党内にもこうした「親韓派」政治家がたくさんいます)。
その意味で、黄教安氏には申し訳ないのですが、韓国で文在寅政権が長続きし、韓国が国を挙げて進めてきた対日ツートラックの矛盾を、日本国民に徹底的に見せつけてくれることこそが、本当の意味で日本の国益にかなうように思えてなりません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ところで、日韓両国がこれから日韓友好関係の修復に向かうのならば、そのための条件としては韓国が①に応じる以外にはありえませんし、韓国が①の形での日韓友好に応じるとも思えません。その意味でも、やはり日韓関係についてはいずれ清算を余儀なくされるように思えてならないのです。
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わざわざアメリカまで行って韓国と打ち合わせを実施しようとしている議員がいますが、ビデオ録画・IC録音等の対処は行われるのでしょうか?
ワシントンで韓日米の議員が会合、対話の糸口? 依然として神経戦?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00000020-cnippou-kr&pos=4
>日本側は知韓派として知られる無所属の中川正春衆議院議員が団長を務める。彼は日韓議員連盟運営委員長を務めた経験があり、「日韓両国は対立を政治化してはならない」と話してきた人物だ。日本議員団で目につくのは安倍晋三首相の側近に挙げられる自民党の山本幸三元地方創生・規制改革担当相だ。大蔵省官僚出身である山本議員との水面下の対話が安倍内閣に伝えられる可能性もある。竹本直一議員も日韓議員連盟出身で、日本の輸出規制前まで韓日の直接対話を促していた。日本側共同団長である自民党の猪口邦子参議院議員は2005年に日本の初代少子化・男女共同参画担当相を務めた。2月には文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の天皇謝罪要求発言と関連し発言撤回を強く要求した。
俺の衆院選挙区何とかならないもんかねぇ。同じ県内でも格差があり過ぎる。
隣の市の人々が威張って「安倍晋三」と書けるのが羨まし過ぎる。
日韓議連幹事長ですね。ワロタ
日韓議連は永遠の監視対象ですね。
多分、帰国するなりバカなこと言い始めるでしょう。
徹底的に叩いてやりましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=cfDQbAIPdes
ビザの復活が望まれる。
最近は言われなくなったそうだが、
反日でない在日朝鮮人は土台人と呼ばれ、韓国、北朝鮮が日本に潜入する時の
まさしく土台となるそうだ。
反日でなくとも、在日朝鮮人に悪意がなくとも、日本に損害を与える。
貿易管理で韓国に指摘されたことを理由として、在日朝鮮人・韓国人の優遇を少しずつ無くしたらいかがでしょう。
最終的には韓国・朝鮮以外の在日外国人と同程度にまで落とさないと、世界に示しがつかないです。
韓国では、親日派狩りが峻烈を極めているとのことじゃなかったのかしら?黄教安氏、まだ投獄もされずご健在なのですね。残念(笑)。
なりを潜めておりました用日派(親日派)の「韓国の理性教授」「韓国の鈴置氏」など、息を吹き返きかえしたようにご活躍のご様子。この上、黄教安氏ですか。
文在寅政権の皆さん。少しは仕事をなさったらどうですかね。
文大統領の談話に対し、一言、言いたい
文大統領の談話:
「これまでわれわれは家電・電子・半導体・造船など多くの産業分野で日本の絶対的優位を一つずつ克服し、追い越してきた」と述べた。さらに、「国際分業システムで、平等かつ互恵的な貿易を持続するためには、産業競争力優位の確保が必須だと改めて認識した」
朝鮮日報の記事 2019/07/22 17:36
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/22/2019072280212.html
1) この言葉の意味を本当に解っているのか? これは、日本のビジネスマンに対する戦線布告であり、少しだけ優しさを示そうとしていたビジネスマンをも敵に回す発言になった。
2) 韓国が日本を追い越したのでなく、不法に日本から技術を略奪した成果。加えて、日本が更なる先端技術を求める過程で、棚ぼたで拾った地位である。韓国が望むなら、いつでも転落させてあげる!
3) この「思い上がり」が世界から嫌われる理由だ。この自己自賛を止めないと、国際分業の仲間には入れない!
4) 韓国発の発明を数えてみろ! 日本丸の後を追うだけで、航海術も学ぶ事なく過ごしたこの50年。海図無しでは自力航海も出来ない己を思い知る事になる。
5) 産業的には組立産業であり、部品を買ってくれば誰でも作れる商品を、バナナの叩き売り商法で伸して来ただけ。気が付けば、中国の足音が気になる状況。
6) 得意のICも、同じで、日本の製造設備と原料が無ければ何も出来ない。産業構造の薄さは、どうしようもない状態を思い知るべし!
7) フッ化水素などの3品目は、韓国が最も不得意の「装置産業」である。騙し取った図面でハード(工場設備)は作れても、ソフト(製造技術)が無いと一流品は作れない事は韓国の産業史が、すでに証明済み。
8) 日本に対する窃盗行為の反動で、日本はもう二度と同じ手は喰いません。技術者の使い捨て(知識を取るだけ取って、残りが無いと捨てた)が仇となり、日本での技術者狩りは出来ないと思え! 政府の厳しい監視もあるし。
現実を客観的に理解出来ない韓国人を、嘘と妄想でまとめて騙すための発言だと思います。
本気かどうかは、わかりませんが、過剰な自己評価で、韓国人の優越感を満足させるんでしょう。
最近あまり言いませんが、所詮韓国は、日本の劣化コピーで、それ以上には、なれないと思いますけどね。
日の出ずる国に「劣化コピー」は要りません。🐧
そもそも、住人が人間の劣化コピー「角無し人食い鬼」「山姥」「餓鬼」なのですから、人間の振りをして世界に迷惑を掛けるだけの国が何故「日本の劣化コピー」になれるのか意味不明です。🐧
文大統領については、現状支持率も上がる位だから、任期中は、大丈夫だと思ってます。ロウソク革命のようなデモを韓国の保守側が起こす事は、現実的ではないと思っているからです。対日本において、親日的(全然違うんだけど)な発言は、これから制裁が始まるし、現政権の言論統制で、広がる事は無いでしょうね。
韓国が保守政権に戻る事は、難しいんじゃないかな。韓国経済が破綻しても、日本が悪いニダになって、ソウル視聴あたりが、つぎの大統領になってより日韓関係が悪化して行くんじゃないかと、思いました。
これから考えが変わるかもしれませんが、韓国人が学習しないのと、物事の本質を理解して解決出来ない国民性から、そう思います。
ここまでの文政権、ナポレオンもビックリでしょうか。
ボンクラな身内が韓国の大統領ですから、国民もすべてボンクラだったんですね。
日本にとって最大の味方が文さんですから、このまま、政権維持でお願いしたいです。
さて、ところで信用保証解除は何時になるのでしょう、ウオン安も、中国の投資ファンドのデフォルトもあるようですが、ボルトンさんとその辺の日程調整終了したのでしょうか?
韓国の場合国民もボンクラなので、日本に用韓の選択肢はないと思いますが。
ただ、今回の参院選で2/3に足りなかったことが、ホルムズ海峡への派遣。。。
ボルトンさんに回答しづらくなりました。
安倍さんは改憲へ厳しい道のりが始まりますね。
久しぶりにコメントします。最近あまり拝読出来る余裕がなく、こ投稿されてから3~4日後にようやく読んでいた状況でしたが、ようやく追いつきました。
日本政府の対韓国対応ですが、報復措置を発動せず、国内法に基づく輸出厳格化措置のみにとどまっていることについて、私は、新宿会計士様が常々主張されていたとおり、「時間稼ぎ」ではないか、と考えています。ただ、その理由については、勿論進出日系企業に対するビジネスリスク認識の浸透を待っているというのもあると思いますが、安倍総理周辺ブレーンの意図は、むしろ米国の対中経済戦争の推移及び対北朝鮮対応の推移を睨んでの「戦略的忍耐」ではないかと。米朝交渉が破綻し、北朝鮮が暴走するか、又は大幅な景気後退により中国共産党独裁政権が崩壊するか、あるいは数年後に迫る在韓米軍の撤退による米韓同盟が破棄されるか、それらの「Xデー」までは日本からの報復的アクションを決して起こさず(さりとて韓国からの無法行為を放置もできないと思いますが)何とかやり過ごすのではないかと思います。日本にとって、主敵はあくまで中国共産党独裁政権であって(少なくとも安倍総理と周辺ブレーンはそう認識していると信じたいです)、彼らを利する行動は極力控えめにすると予想しています。今、米国の意図に反して日本から決定的な日韓関係断絶の動きは不可能ですが、ホワイト国除外やビザ厳格化措置ならあくまで国内法の措置であり、少なくとも制裁や報復措置ではないため、国際社会への明確な説明さえ行っておけばいくらでも実施可能であり、「国際社会の一員として責任ある措置を講じている」旨主張すればいいわけです。ましてや、韓国での日本製品不買運動のような「セルフ経済制裁」が少しずつ顕在化しており、極端な話が、放置しておいても勝手に「経済焦土化」が少しずつ進行する可能性が高いです。
今回の韓国との軋轢も、ドイツ中央銀国のデフォルト騒ぎも、すべて米中経済戦争の一部だと思っています。
トランプ大統領とイスラエルの関係、この組み合わせにEUのドイツも敵わなかったということが真相だと。。。ドイツが中国に浮気した制裁?。。。
安倍政権の今回の措置もすべて米国の手のひらの上での事象ではと思います、韓国の半導体産業が伸びたことも、その前に米国に逆らったため<調子に乗った?>国内の半導体産業がつぶされた後のことです、当時の日本が正に今の韓国だと。。。
サムソンの生き残る道は米国本土の事業所と、中国の施設の分社化だと、サムソンが生き残るには米国の会社になるしかないと思います。
ホワイト国解除で中国のサムソン工場への半導体原料を日本が制御、悲しい事ではありますが資源のない日本が生き残るには米国の番頭さんしか選択肢がないと思います。
よくもまあいけしゃあしゃあと「ツートラック」とよく言えるな〜と。
よく言われる「日韓で知恵を出し合おう」の場合の知恵も=韓国に日本が譲歩するって事ですよね。
もう騙されてはいけないとつくづく思う。