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韓国政府、今さら「徴用工静かに対応」 北朝鮮との共闘も?

本日も「徴用工判決」の続報を掲載しておきます。最新の話題は「▼韓国首相が『静かに対応を練る』と述べた、▼よりにもよって北朝鮮との共闘を考え始めた」、とするものですが、いずれも現状で見る限り、日韓関係の将来については悲観せざるを得ない情報ばかり紹介することになりそうです。

2018/11/14 15:40付 追記

愚塵」様からのご指摘により、本文を一部、修正しております。

  • (修正前)北朝鮮の高官7人が14日から17日までの日程で訪韓し、徴用工問題で日本と共闘するために韓国政府と話し合う
  • (修正後)北朝鮮の高官7人が14日から17日までの日程で訪韓し、徴用工問題で日本を相手に共闘するために韓国政府と話し合う

修正前の文章だと、「北朝鮮が日本の味方をする」かのような誤解を与えかねない記述ですので、「北朝鮮が味方をする相手は韓国である」という点を明示するために、文章を修正することにしました。

愚塵様、この度は貴重かつ重要なご指摘を賜り、大変ありがとうございました。

「嬉しい悲鳴」:知的格闘はしばらく続く

最近、当ウェブサイトでは

  • 米韓関係の急速な悪化と北朝鮮に呑まれる韓国
  • 10月30日の徴用工判決の余波

という、2つの話題を日々、取り上げているような気がします。

現実に評論が追い付かない!米韓関係と日韓関係崩壊が加速?』のなかで申し上げたとおり、現実の動きが急激すぎて、日々、この話題を取り上げていなければ、すぐに現実に取り残されてしまいかねない勢いです。

もっとも、私が「嬉しい悲鳴」という言葉を使っているのは、現実が大きく動いているときに、「個別の話題を取り上げながらも少しずつこの先の動向を読むことが楽しい」、という意味であり、いわば、「知的格闘」の機会が続いている、という意味です。

別に他の国の不幸を願っている、という意味ではありませんのでご注意ください。

おっとり刀の韓国政府

また出た!「静かに対応を練る」

それはさておき、「2つの話題」のうちの1つである「徴用工判決」を巡り、少しだけ韓国政府が動きを見せているようです。

徴用工判決で委員会設置へ=韓国首相「静かに」対応検討(2018/11/13-19:07付 時事通信より)

時事通信によると、韓国の李洛淵(り・らくえん)首相は昨日、「日韓関係の専門家」ら12人を首相官邸に招き、この徴用工判決への対応を検討するための委員会を設置する方針を固めたのだそうです。また、李首相は席上、「政府は当面、水面下で静かに動く」と述べたのだとか。

徴用工判決から2週間以上が経過しているにも関わらず、何が「水面下で静かに動く」、ですか。そして、今さら何を「検討」するつもりなのでしょうか?いや、これだけの時間を掛けておきながら、逆に今まで何も対応を検討していなかったのでしょうか?

そういえば、ちょうど1週間前、当ウェブサイトでは『都合悪いと相手を批判?徴用工判決巡り韓国大統領府が初反応』のなかで、「韓国政府は静かに対応を練っている」とする韓国メディア・聯合ニュースの報道を紹介したことがありました。

当時、私は「韓国政府が静かに対応を練っているようには見えない。ただ単に慌てふためいているだけではないか?」と申し上げたのですが、その確信を強めてしまいました。

徴用工判決が出ることは分かっていたはず

徴用工判決が出されたのは先月30日のことです。

ただ、徴用工判決が出される以前から、日本政府は国際法違反の状態が出現した際には国際司法裁判所(ICJ)への提訴も辞さない姿勢を強く警告し続けていましたし、韓国政府としても、判決が出されるまでかなりの時間があったのですから、その気になれば、対応を検討することはできたはずです。

それなのに、徴用工判決直後にコメントを出したのは首相であり、韓国の大統領府は徴用工判決以降、ただのヒトコトもコメントを出さずに沈黙を守り続けています。いわば、大統領府は本件についての対応は首相に丸投げしているようです。

これに対し、日本政府側は、安倍晋三総理大臣が判決直後に「国際法に照らしてあり得ない判決」などのコメントを発したことを皮切りに、河野太郎外務大臣、菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官らが、相次いで韓国政府に対し、国際法違反の状態を解消するように強く求め続けています。

韓国政府は本件について、日本政府がここまで強く反発すると想定していなかったのでしょうか、判決以降、しばらく「フリーズ」した状況が続き、今月に入り、6日に外交部(外務省に相当)、7日に李首相本人がそれぞれ日本を批判するコメントを発表。

しかし、こうしたコメントはすぐに日本政府によって否定され、韓国政府はほぼ完全に沈黙してしまった格好です。

「日本も悪い」「ともに知恵を出そう」

韓国政府は何を考えているのか?

さて、先ほどの時事通信の記事によれば、韓国首相が主催した会議の参加者の1人は、「対応策取りまとめには時間がかかりそうだ」と述べたそうですが、何に対してそんなに時間を掛けるつもりなのか、私には今ひとつ、わかりかねます。

というのも、先ほども述べたとおり、韓国の外交部は先週、こんなコメントを発表したからです(※情報源は韓国メディア『中央日報』(日本語版)の11月7日付の記事)。

  • 最近、日本の責任ある指導者が問題の根源を無視したまま、我々の国民感情を刺激する発言をしていることを非常に懸念している
  • 特に、我々の司法の判断に対して節度もない言葉で評価をするなど、過剰対応していることは、極めて遺憾だと言わざるを得ない
  • 三権分立の基本原則に則り、行政府は司法府の判断を尊重するのは当然で、これは日本を含めてどの自由民主主義国家も例外であるはずがない
  • 今回の事案を政治的に過度に際立たせることは、韓日関係の未来志向の発展に何の役にも立たないことを、日本政府ははっきりと認識しなければならない

端的に言えば「逆ギレ」ですね。

ただ、この韓国外交部の見解には、深刻な誤りが含まれています。

韓国も法治国家である以上、「三権分立」の基本原則を尊重しなければならないことは事実ですが、それはあくまでも「国内問題」の話であり、外交の世界にまで三権分立の原則を押し付けることは適切ではありません。

とくに、1965年の日韓請求権協定は国同士の約束であり、司法府も拘束されます。外国の司法府が国同士の約束を反故にするような非常識な判決を下した場合には、その判決が外交関係に影響を及ぼさないよう、その国の政府や議会が適切な措置を講じなければなりません。

日韓「両国」が知恵を出す?甘えるな!

もっとも、韓国政府にそのような措置を講じることができるのかどうか、私には大いに疑問です。というのも、これまでの報道から確認する限り、徴用工判決を巡る韓国側の基本認識は、だいたい次のようなものだからです。

  • ①徴用工判決は日本の植民支配の不法性を認めたという意味で、画期的で素晴らしい判決だ。
  • ②この判決を下さざるを得なかったのも日本の反省と謝罪が足りないからであり、日本のせいだ。
  • ③ただし、今後の韓日関係に悪影響を与えないようにするために、韓日両国はお互いに知恵を出し合い、解決策を考える必要がある。

はっきりいって、お話になりません。

とくに③については、日韓関係に悪影響を与えかねない材料を出してきたのが一方的に韓国の側だということを踏まえれば、「お互いが知恵を出す」べき筋合いのものではありません。全面的に韓国だけが責任を負うべき筋合いのものです。

よりによってその国と共闘しますか?

その一方で、北朝鮮高官が韓国を訪問し、徴用工に対する賠償問題で南北共闘を議論するのだそうです。

強制徴用:北朝鮮高官が14日に来韓、賠償問題での南北共闘を議論(2018/11/13 22:51付 朝鮮日報より)

私が探したところ、現時点においてこの話題を報じている日本語版メディアは『朝鮮日報』(日本語版)だけだと思いますが、これによると、北朝鮮の高官7人が14日から17日までの日程で訪韓し、徴用工問題で日本を相手に共闘するために韓国政府と話し合うのだそうです。

これが事実であれば、南北の対談内容次第では、たんに日本にとって「受け入れられない」という状況が生じるだけではありません。場合によっては、日本にとって、韓国が本格的に北朝鮮と同一の敵対国であるというステータスが発生してしまうかもしれません。

余談ですが、朝鮮日報の記事では京畿道関係者による

学界では、植民支配によって苦しめられた国に対し、日本は一度も正式に謝罪したことがないという意見が多い

という発言を紹介しているのですが、正直、この手の発言こそが韓国の基本認識となっているのであり、私に言わせれば韓国との友好など成立し得ないことは明らかだと思うのです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

いずれにせよ、本件を巡っては当面、本当に目が離せない展開が続きそうです。当ウェブサイトでもこの話題が続いてしまうと思いますが、どうかご了解くださいますと幸いです。

新宿会計士:

View Comments (44)

  • 韓国は100年に一度のチャンスを潰しました。
    トランプが誕生し、
    北への圧力が最大限に高まり、
    中国の影響力が低下し、
    韓国さえ世界に同調すれば、金体制を崩壊させ、北上して韓国主導の朝鮮半島統一が可能でした。

    しかし、この100年に一度のチャンスで逆を行った…。
    最高のタイミングで最悪の選択を犯した。

    • たけ様
      韓国国民としては、そうなりまね。
      しかし文大統領は、韓国を赤化し大統領の思う方向(金王朝と主体思想へ同化させる)文化大革命を実行中ですので、進路・進行具合は順調順調と見ているんじゃないですか。
      離れた所にいる私の偏見に満ちた判断ですが。
      次のターゲットは、日本なので対応が必要。国会で自衛隊強化を議論していただきたい。

  • まさにハイエナですな。お金の臭いを嗅ぎつけた北と共同で獲物を狙う作戦ですか。

    日本も襲われる前に韓国だけでも早急に撃退する必要に迫られて来ました。

    実写の「動物の世界」がこれから繰り広げられそうな気配です。

  • 毎々の執筆、ありがとうございます。

    自分達の過去を忘れて、北と共闘する(=日本にたかる)となった場合、
    当然、現政権なら様々な処置(経済制裁や入国時にVISA必須等)を履行するものと思いますが、
    そのような状況になった場合、海を自らの力で渡り政治的避難(難民)が現れる事が予見されます。

    そうなると、海保だけではなく、海上警備行動が発令されたとしても、
    全員を見つけて確保する事は難しいのではないかと思うのです。
    現に北朝鮮と思わしき木造船は日本海の海岸線に着いていますしね。
    また、海上で確保できたにせよ、臨時に収容する施設やその警備員が
    足り無いのではないかとも思えます。
    (現在の入管施設も既に満員と聞いた事があります。)
    結果的に不法入国者が増える事にけねんをもっているのですが、
    果たして、何処まで事前に対処できるのか、懐疑的にならざるを得ません。

    ちょっと先走り過ぎているかもしれませんが。

  •  韓国では首相というの韓国人の大好きな序列順位で行くと上の方ではありません。憲法裁判所長官や大法院長官などが上におり、正確には記憶してませんが5番目か6番目程度だったと思います。その割には大統領が不在の時には大統領代行となりうるなど、序列好きの韓国人からすると序列が低いわりにハードワークという認識があると思います。首相指名を拒否する人がいるくらいです。朴槿恵元大統領のころは首相がコロコロ変わって、誰がどこまでやったのか記憶がありません。確か5人くらいだったような気がします。従って小生から見ると韓国の首相はトカゲのしっぽ切りに最適なポストであり、スケープゴートにしやすい立場です。
     以前にも書きましたが、今回の韓国首相が民間人から意見を募るというのは単なるパフォーマンスです。韓国ではよくTF(Technical Force)を作って対応するってことを言います。日本人には馴染めない呼び名ですが、Projectとに近いものです。TFリーダーなるものがおり、この人の意見で関係部署から徴収された参加者全員が動きます。リーダーには逆らわない文化なので、リーダーがアホだと明後日の方向に進んでいきます。最終的に訳の分からない解決法や結果を出して、「よくやった今日は宴会だー」となります。今回の首相の諮問会でも同じだと思いますが、恐らくまともな考えは出てこないでしょうし、出てもそれを政府見解とするかどうかは別の話です。
     小生の予想は日本企業を含めた基金を立ち上げて対応することだと思います。しかし、韓国の考え方は斜め上を行きますので、日本企業はこの基金に参加してなりません。これはあくまで韓国国内の問題とし、仮に基金を立ち上げるとしても、韓国政府と韓国企業が立ち上げればよいのです。下手に参加すると、それに関してまた文句を言われてたかられます。
     日本は日本国に害を及ぼす相手を殴りつける拳は持っていません。しかし兵糧攻めは可能です。韓国は兵糧攻めがどれだけ辛いものなのか分かっている人が殆どいなくなりました。1997年のIMFの時から僅か20年しか経過していないのに、もうその時の苦しさを忘れています。本当に韓国人を見てると鶏頭(3歩歩けば忘れる)だなと思います。これもある意味金泳三、金大中大統領が責任を日本に擦り付けた御蔭で、韓国人が日本は何も支援しないどころから、日本のせいでIMF行きが決まったと本気で信じている韓国人が多いからでしょう。
     いずれにせよ、今回の出稼ぎ労働者の件は韓国国内で韓国自ら解決するしか方法がありません。今現在、裏では日本にすり寄ってきていると思いますが、日本国内の企業はどんどん資産を引き上げていって欲しいものです。日本人は契約や約束は死んでも守ろうとする気質がありますがそれに値しない国です。小生は韓国を一度潰して、自らの力で歩ける国になるのが一番だと思っています。ただし、二度と立ち上がれないかも知れませんが、それはそれで仕方ないでしょう。

     駄文にて失礼します

    • >韓国ではよくTF(Technical Force)を作って対応するってことを言います。
      >日本人には馴染めない呼び名ですが、Projectとに近いものです。

      いやあ、そのころには日本を離れておられたのかもしれませんが、なにかというとTFを作るのが大好きな政党があって、一時期は与党にまでなったんですよ・・・。
      311のあとはそんなの作りすぎて、復興の邪魔になりましたっけ。

    • 鶏頭(とりあたま)の十四五本もありぬべし (子規)

      何万件の訴訟が起こされるかわかりませんが、文の仲間の弁護士や、日本の人権派弁護士は大喜びでしょう。この弁護士日照りに降って湧いた朝鮮訴訟特需。訴訟団会員詐欺犯も再び暗躍するやもです。元朝日の某うえむらねつぞう氏の義母にも大きなビジネスチャンス再来ですね。
      連中が何考えようが勝手ですが、日本企業は早々に撤退すべきかと。

      鶏頭の自由日本は去りぬべし (せんべ)

    • 鶏を飼ってますが、鶏に失礼な気がします
      雄鶏はとても勇気があるものです
      常にめんどりをしっかり守っていますし

  • 「徴用工問題で日本と共闘する」
    https://shinjukuacc.com/20181114-04/#i-8

    「徴用工問題に関して対日本で共闘する」
    というような表現の方が
    「日本と手を組み一緒に闘う」意味に誤解されなくて良いでのではないでしょうか?

    • 愚塵 様

      いつもコメントありがとうございます。
      貴重で重要なご指摘、大変ありがとうございました。早速修正いたします。
      引き続きのご愛読ならびにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

  • 「学界では、植民支配によって苦しめられた国に対し、日本は一度も正式に謝罪したことがないという意見が多い」
    植民地支配は英を筆頭に仏、独、米、オランダ等欧米のほとんどの国が行いましたが、謝罪した国はありません。逆にインフラ整備をしたからとお金をもぎ取るぐらいです。正式では無いにしても謝ったのは律儀な日本ぐらいでしょう。
    日本は大韓帝国の高宗の玉璽がある正式な要請を受けて、したくも無いのに併合し、さらにその朝鮮人を守るために日中戦争に深入りしていきました。併合後の優遇措置を見ても逆に慰謝料を貰いたいぐらいです。

  • 韓国も法治国家である以上、「三権分立」の基本原則を尊重しなければならないことは事実ですが、(https://shinjukuacc.com/20181114-04/#i-6)
    「三権分立」の基本原則を尊重していないのは韓国大統領府(https://shinjukuacc.com/20181028-02/)
    じゃないんですかっ?

  • この問題は1965年の請求権協定で完全に最終解決しています。日本から5億ドルの支援。5億ドルの中にダムや高速道路の建設費だけでなく慰安婦問題や被徴用者への補償も「包含事項」として含まれています。条約文は簡潔、明瞭に書かれますが、交渉過程や議事録は残ります。1962年の大平外相(のちの首相)と韓国中央情報局との会談では元慰安婦や被徴用者への補償、その他も含めて「一括して」という韓国側の要望も有り両国で合意もされました。 請求権協定の締結後は1975年~1977年までの間に韓国政府は8万3千件の被徴用者へ賠償を済ませています。2005年のノムヒョン政権時も請求権協定を再確認しており、2008年から7年間、被徴用者への追加の補償を行っています。よって、もし韓国人で不服があるのなら請求先は韓国政府です。「個人請求権は消滅していない」と司法府や弁護士が主張しても、請求先は韓国政府です。韓国でひ孫や孫の世代がこういう賠償金に「たかる」という行為は見ていて恥ずかしい。

  • この事態を予想と言えば、大法院の判決に韓国ヲチャーの間では、別に誰も驚きはしていないんですよね。

    せいぜい隅田川花火大会で見事な打ち上げ花火を見て「たーまーやー!!」と叫んだり歌舞伎の見得に「成田屋!!」と声を上げる様なもので、まったく驚きではない。
    こんな見世物がしかしいつまで続けられるものか・・・。

    • 政府が英語で情報発信、素晴らしいですね。

      でも、これまでは政府は何もしてこなかったんだなぁ、としみじみ思います。安倍総理の決意が官僚の動きを変えたのですね。
      まあ、過去の不作為に憤るより、これが前例となり、今後はこうした対応が普通に行われる事を期待します。

      > 14日にも海外メディアや政府関係者へ配布し、対外発信を強化する。

      この結果が韓国で報道されるときの、彼らの発狂ぶりが目に浮かびます。

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