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ラオスダム事故巡るハンギョレ報道が事実ならば、許されない

当ウェブサイトでは以前から何度も取り上げているのが、今年7月に発生したラオスのダム決壊事故です。50億立方メートルという流出水量の大きさもさることながら、各種報道で見る限りは、どうも工事を施工した韓国企業「SK建設」がかなり杜撰な工事を行ったのではないかとの状況証拠が多数あります。こうした中、本日、「SK建設の杜撰な工事が事故原因ではないか」との説を補強するような報道を発見しました。

ラオスダム事故と韓国

ラオスダム事件の振り返り

東南アジアのラオスで7月23日、東南アジアのラオス南部で韓国企業などのコンソーシアムが建設中だった「セピアン・セナムノイ補助ダム」が決壊。50億立方メートルもの水が周辺の村落を押し流し、公式発表では約40人の犠牲者と約100人の行方不明者、そして6000人もの罹災者を発生させました。

ただ、その後、現地から報じられるさまざまなレポートを眺めていると、どうも私自身は、この被害状況に関する公式発表値が少なすぎるのではないかとの疑念を抱いています。これに加えて、事故の規模の大きさ、悲惨さにも関わらず、続報の少なさも非常に不自然です。

一方で、この事故を巡っては、扶桑社系のウェブサイト『ハーバービジネスオンライン』にフリージャーナリストが「決壊したラオスのダムは日本の資金で作られていた」とする珍説が掲載され、次のような記事のなかで、私なりに反論を試みたりもしました(ご興味があればご一読下さい)。

日本のメディアがなぜか韓国を擁護?

一方で、『ラオスの事故「日本が救いの手」というスクープ記事の信憑性』でも取り上げたとおり、この事故を巡っては、日本政府が水面下でラオスに対して支援を行おうとしているという情報もないではありません。

ただ、日本のメディアの報道を見ていると、「韓国企業が関わった(可能性がある)不祥事である」という点を、正面から取り上げているメディアが実に少ないのも事実です。

たとえば、次の朝日新聞の報道だと、「ダム事業に出資した韓国のSK建設が、仮設住宅を建設中だ」と述べていますが、「そもそもダムの決壊の原因が韓国企業の杜撰な工事にあったのではないか」との可能性が、少なくとも無料版の下りには一切出て来ません。

ラオスダム決壊から2カ月 テント暮らし続く被災者(2018年10月4日17時11分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

これだと、「朝日新聞は意図的に韓国の不祥事を隠している」と批判されても仕方がありません。また、こうした報道を読めば、私がなぜ、普段から朝日新聞を「国民の敵」と呼んでいるかという理由の一端がおわかりいただけると思います。

ハンギョレ新聞が衝撃報道?

「SK建設の内部文書を確認」

ところが、追加情報は、意外なところから出て来ました。それは、韓国企業の足元である韓国本国のメディア『ハンギョレ新聞』です。問題の記事が、これです。

ラオスダム崩壊、SK建設が利潤増やすために設計変更した疑い(2018-10-15 10:12付 ハンギョレ新聞日本語版より)

ハンギョレ新聞の記事を、大意を変更しない範囲で要約し、日本語表現を整えて紹介すると、だいたい次のようなものです。

  • ダムの施工会社であるSK建設が、ダムの形式などの設計を変更し、利潤を増やそうとしていたことが、「ともに民主党」議員を通じてハンギョレ新聞が入手したSK建設の内部文書から確認された
  • SK建設は2012年8月時点でコンソーシアムとの間で12.2%まで利潤が保障されることで合意していたが、基本設計変更権限が付与されている点をもとに、2012年11月時点で「管理費および利潤を工事費の15%まで確保する」という方針を決定していた
  • 実際、SK建設は利潤を確保するためにダムの形式と築造材料の変更、斜面の傾斜調整などで工事費を節減し、着工を遅らせることで他の出資者の金融費用負担を圧迫し「早期完工インセンティブボーナス交渉」で有利な位置を占める内容が含まれた「細部計画」を策定していた
  • SK建設が実際に施工した補助ダムの高さは、基本設計図面上と比べて平均6.5メートル低くなっていた
  • もともとこのダム建設事業は政府開発援助(ODA)案件であり、国会予算審議などの過程が無視されたまま、2015年5月に企画財政部が決定した借款支援方針に基づき約69億円が支給された
  • SK建設幹部はハンギョレ新聞の電話取材に対し、「基本設計とはスケッチであり、それを(変更された)実際の施工図面と比較するということ自体が矛盾している」「当初から利益率を15%に決めたのは事実だが、予想外の理由で利益率が悪化し、実際の利益率は5~10%の間」などと説明した
  • 一方で内部文書をハンギョレ新聞に提供した議員は「ラオスダム事故は設計まで変更し、過度に利潤を得ようとするSK建設の欲と、手続きを無視し借款を執行した前政権が生んだ総体的な人災だ」と指摘した

いろいろとツッコミどころ満載の記事です。

だいいち、ハンギョレ新聞が問題にしているポイントは、「ダム建設が韓国政府の資金も投入されるODA事業であったにも関わらず、韓国国会の予算審議を経ずに支援され、結果的に政府がSK建設に利益を与えた形になったこと」であり、「SK建設が設計変更で利益を不当に確保したこと」です。

「韓国企業がラオスで多大な迷惑を掛けたこと」について咎める下りは確認できません。これだと、怒るべきポイントが違うと思うのですが…。

SK建設のとんでもない不法行為

むろん、今回のハンギョレ新聞の報道は、国会議員の協力があったとはいうものの、あくまでも1つの新聞社が内部文書とインタビューをベースに報じているだけのものであり、この内容が100%正しいという保証はありません。

しかし、ハンギョレ新聞が報じた内容が事実だとすれば、SK建設という会社はとんでもない不法行為をしたことになります。

まず、SK建設側はコンソーシアム(特別目的会社の「PNPC」)側との間で、当初、12.2%という利益率の保証を受け(※利益率保証を受けるのは別に悪いことではありません)、社内的に15%の利益目標を掲げたということです(※目標利益率を掲げることも、別に違法行為ではありません)。

しかし、問題は、その利益率を達成するために行った行為です。ハンギョレ新聞によると、少なくとも次の2点が行われたとしています。

  • 設計変更権限などを悪用し、ダムの高さを平均6.5メートル低くするなど、ダムの設計そのものを変更したこと
  • 着工をわざと遅らせることで他の出資者の金融費用負担を圧迫し、あわせて「早期完工インセンティブボーナス交渉」で有利な位置を占めようとしたこと

とくに後段については、やくざのやり口とそっくりです。商道徳にも反しており、誠実さのかけらも見当たらないどころか、ズルをしてでも儲けようとする意図が見え見えです。また、不自然な決壊事故についても、前段の指摘でほぼ説明が付くように思えてなりません。

さらに、ハンギョレ新聞が取材したという同社の担当者のコメントも、明らかに常軌を逸しています。「基本設計とはスケッチであり、それを(変更された)実際の施工図面と比較するということ自体が矛盾している」という説明を、ラオス政府が設置した第三者委員会が納得するとも思えません。

何でも政争の材料に利用する卑劣さ

何より、私がこのハンギョレ新聞の記事を読んで、一番悲しくなったのは、「前政権批判のために使えるものなら何でも使う」というハンギョレ新聞の報道姿勢です。

自分の国の企業が施行を請け負ったプロジェクトで、あれだけの大事故を発生させたのですから、犠牲者にお悔やみの言葉1つ、被災者にお見舞いの言葉1つもないという姿勢には、私個人的には強い違和感しかありません。

このSK建設の電話インタビューに答えた担当者の、木で鼻を括るような誠意のない回答も異常ですが、ハンギョレ新聞の記事の「怒るポイント」もずれているように思えてなりません。

もちろん、SK建設の誠意のなさや、ハンギョレ新聞の歪んだ報道を、「韓国という国が抱える一般的な欠陥」だとまで拡大して考えるのは尚早です。

ただ、この報道記事から離れて、ラオスのダム事故発生以後の韓国政府や韓国企業などの対応を見ていると、韓国政府と韓国企業に「誠意がない」ことは間違いありません。そして、「日韓両国は果たして分かり合えるのか」という以前からの私個人的の疑問は、最近になってますます拡大しているというのが実情に近いのです。

新宿会計士:

View Comments (12)

  •  予想通り、SKの手抜き工事の可能性が高くなってきました。こんなことは韓国では日常茶飯事なので何も驚きません。小生が以前に暮らしていたマンション(韓国ではアパトゥと言います。Apartmentの韓国式英語発音です)は、20階建てで築20年物でした。小生の部屋は12階にあり、部屋の中のコンクリートの壁に3cm程度の亀裂が入っており内窓はちゃんと締まりません。冬は寒いので隙間にスポンジを挟む等の工夫が必要でした。御かげで冬の光熱費がバカ高くなります。小生は韓国内で5回ほど家を変わりましたが(韓国では結構な頻度で引っ越しをします。これはチョンセのためです。)、満足のいく家などありません。最近はましになってきましたが、2000年以前の建築物件は、はっきり言って怖いです。

     駄文にて失礼します。

    • 韓国在住日本人 殿

      密かにファンです。ビビッドな韓国の生の姿を見れるのが楽しみ。いっそのことブログ立ち上げて欲しい。アメブロとか。絶対見る。

      この新宿会計士のブログのテーマに合わせて記事を更新して、更新したらこのブログのコメント蘭で知らせてよ。

      そーだなブログ名は「韓国在住日本人の憂鬱」、なんていかが?

      • 祖師ヶ谷大蔵の住人 様

         お返事ありがとうございます。小生はずっとROM専で無精者なので、自分でブログなど大それたことはご辞退申し上げます。それと、以前にも書きましたが、小生は自分の目標のために、現在韓国で仕事を続けているため、目標達成または心が折れた場合は速やかに脱出する所存でございます。脱出してしまえば、小生はただのジジイに成り下がってしまうので、それでは面白くもなんともありません。折角「韓国在住日本人の憂鬱」というお名前を頂いたのに、ご期待に沿えず申し訳ございません。ちなみに「パンドラの憂鬱」は常にcheckしております(笑い)。
         話は変わりますが、ブログ主様はハンギョレも目を通してらっしゃるんですね。ハンギョレは左性向がかなり強く、この手の話題はあまり上がらないので、小生は時間がある時に軽く目を通す程度です。今回の記事は恐らく前政権を叩くためのものだと思われますが、実際には韓国の恥部(思考、実力)をさらけ出しているに過ぎません。そこが分からないのが韓国らしいところです。ちなみにTVでは小生の知る限りこの話題は取り上げられていません。

         駄文にて失礼しました
         

        • 日本でも、SK建設に関係の韓国紙を調べても、日本語版、English Editionでも、
          検索結果がありません。
          プライム経済 取材陣に「当社の立場」
          「事故原因調査結果発表が出るまでに関連のすべての事項について、
          ラオス政府と株主社の、発注先であるPNPCはPFの契約は、
          保険契約等に基づく対外インタビューをすることが出来なくなっています。」
          https://ameblo.jp/yukibakda/entry-12412370317.html
          やはり、他紙でも日本語、英語の報道は見当たりません

  • 韓国の紙面には目を通して、居られるのですね。
    韓国政府と韓国企業に「誠意がない」ことは間違いありません。
    事故の起こった、ラオスだけでなく、被害のあった、カンボジア、ベトナムには、
    一切、支援、対応をしていません。
    メコンで韓国政府,SK建設の責任、輸出入銀行と国会議員面談
    https://ameblo.jp/yukibakda/entry-12408070328.html
    5Chでは 責任を日本にすり変えようとする韓国 VANKと思われる活動も、
    https://ameblo.jp/yukibakda/entry-12408081614.html
    韓国という国、そのものが信じられません。
    真実の韓国の姿を、世の中に知らせ続けて下さい。
    楽しみにしてます。

  • < 更新ありがとうございます。日本のマスゴミは今日、夜になってもラオス「セピアン・セナムノイ・ダム」の件で、マトモに報道しているメディアはありませんね。

    < 出所がハンギョレとそれを引用した他社ネット系しかないので、確定的な事は申し上げれませんが、韓国在住日本人様のコメント通り、『大して驚く事ではない』かもしれません。でもそれは韓国内だけで通じるローカルルール(ホントにそれで良いのか?笑)であり、他国に詐欺的行為を韓国政府も絡んで行なうなど、言語道断です。

    < 私は2か月前のこの第1報を聞いた時から『まず施工が怪しいな』と思いましたが、確証も、日本のマスゴミも何故か扱いを遠慮して小さく、逆に異常な気がしていました。

    < 韓国絡みの不祥事は、できる限り報道を小さく、周囲には迷惑を掛けなかったというように報道せよ、というプレスコードでもあるのか?と思ってしまいます。これで疑いどころか、組織的犯罪が明らかになりました。なぜって?出どころが「ともに民主党」系左派紙の『ハンギョレ』だからです(ここも確証は無いですけど)。

    < しかし、安全性無視して安く上げてなおかつ、工期をわざと縮小でボーナスを貰う。こんな企業は少なくとも日本の1部上場建設会社いや中小工務店でもありません。完工時のパースを見ても『これが大型ダムか?』と思うぐらい堤は貧弱でしたが、案の定工程や材質をヌキまくってますね。『パリパリ』精神で乾かす間も無く突貫工事したんです。

    < 悲しいかなラオスは東南アジア最貧国です。日本の高度な設計施工のダム、使い方次第では100年は持つという「芸術品」は買えなかった。

    < 勿論、今後第3者委員会等で厳粛にSKや韓国政府に詳細を明らかにし、代償は払わすべきですが、水が引き工事再開まででも数年後になるという。韓国の国家ぐるみでの愚連隊行為、糾弾されるべきです。で、日本政府、設計コンサル、建設会社、JVなどは援助を是非お願いしたい。

  • 特亜特性常套手段
    中国企業のチャンピオンサンプルに要注意!?
    根本隆吉 2018/7/16
    サンプル品と納入品の品質差

    • 私が過去に所属していた企業における体験ですが、中国から輸入する鋳物で、サンプル品の品質が良好だったために、全品一括納品させたところ、納入品のほぼ全てが巣だらけだったことがあります。
      その時は、国内の協力工場のお陰で、最終納期が守られて事なきを得たのですが、特亜の彼らのやっていることは、今も同じなんですね。