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【夕刊】災害支援の在り方を考え直そう

西日本を中心とする広い範囲で豪雨の影響により、河川の氾濫、土砂崩れなどが相次いでいます。被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福、行方不明の方々のご無事と、被災地の一刻も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

歴史的豪雨に想う

災害には優先順位というものがある

梅雨前線の活発化を受け、週末にかけて西日本を中心とする広い範囲で河川の氾濫や土砂崩れが相次いでいます。多数の死者、行方不明者も出ている状況であり、死者数はすでに100人を超えたとの情報もあります。

被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福と行方不明の方々のご無事、そして被災地の一刻も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げたいと思います。

ところで、地震にしろ、豪雨にしろ、災害が発生した際には、優先順位というものがあります。

まず最も重要なのは、初動です。地元自治体や要請を受けて出動した自衛隊の活動により、行方不明者を捜索しなければなりませんし、被災地に取り残されていて避難所に向かえない人々がいれば、救済しなければなりません。

次に、災害がひととおり収まった段階でも、地元自治体はまだ対応に追われます。というのも、あらためて被災地の片づけや避難所の運営などでてんてこ舞いになるからです。さらに、復旧から復興というプロセスに向かううえで、国からの予算措置などが求められます。

民主党政権は最悪の選択肢の典型例

その意味で、最悪の教訓をもたらしたのが、民主党政権下で発生した、東日本大震災と福島第一原発事故でした。菅直人(かん・なおと)内閣の対応は、まさに「最悪」というのにふさわしく、とくに福島第一原発は、菅直人首相(当時)本人の現場視察の準備をしている間に事態がどんどん悪化しました。

私は、菅直人・現衆議院議員こそ、日本を大混乱の底に叩き込んだ張本人だと考えていますし、ある意味で「殺人犯」のようなものです。

しかし、その後、退陣した菅直人政権に代わって政権を取った野田佳彦首相(当時)のもとで、民主党政権は東日本大震災からの復興財源を、なんと、増税によって賄うという決断を下し、復興税を導入しました。

病み上がりの日本経済に、復興増税や消費増税などの負担を課したのは、民主党政権です。そして、民主党政権を裏から操っていたのは、間違いなく、財務省です。民主党とその後継政党である立憲民主党・国民民主党、あるいは財務省こそ、「国民の敵」と呼ぶにふさわしいでしょう。

ツイッターに見る災害対応

「倉敷市からのお願い」

ちょっと脱線しましたので、豪雨災害に話題を戻しましょう。

私はツイッターに「新宿会計士(@shinjukuacc)」というアカウントを持っていますが、最近だと、先日の大阪北部地震も含め、さまざまな災害でSNSが威力を発揮しているということが、非常に良くわかります。ツイッターなどで情報を眺めていれば、新聞・テレビと違い、リアルタイムで情報が得られます。

こうした中、「現地からの切実なお願い」が、倉敷市が開設する公式アカウントに投稿された、次のツイートです。

倉敷市からのお願いです。現在、倉敷市では個人の方からの救援物資を受け付けていませんが、真備町川辺橋前に沢山の支援物資が置かれており、自衛隊の通行の妨げになり困っています。お気持ちは大変ありがたいのですが、支援物資を川辺橋前に置かないようお願いします。2018年7月8日 16:38付 ツイッターより

個人が支援物資を橋の前に置いている、ということですが、本当に何も学んでいないと感じざるを得ません。地図で調べてみると、この橋は高梁川に架かる交通の要衝であり、こんなところに大量のモノを置かれると、本当に必要な車両の通行ができなくなるのは当然のことでしょう。

しかも、倉敷市のツイッターは、「お気持ちはありがたいのですが」と断っていますが、こういうのを「ありがた迷惑」と言います。考えてみれば当たり前の話ですが、今は災害が発生している最中であり、支援物資の受取や仕分けをしている場合ではありません。

それなのに、市役所の貴重なマンパワーが、こんなことに割かれるのは大変な迷惑です。

マスゴミは災害時にもマスゴミだ

一方、私が目にしたツイートのなかでも、とくに酷いと思ったのは、洪水で助けを求める人のツイートに、NHKが「この映像が欲しい」とリプライを送ったというものです。これについては、該当するリプライをNHK自身が消去してしまったので、現時点において、ツイッター上で確認することはできません。

しかし、たとえば報道ヘリが爆音をとどろかせながら被災地上空を飛行し、助けを求める人々を上空から撮影して、そのまま去っていく、ということが、普通に行われています(たとえば次の朝日新聞社の映像などがその実例です)。

今になって思い返せば、阪神淡路大震災の時は、報道車両が自衛隊の通行を妨害しましたし、また、生き埋めになって助けを求める人の叫び声を報道ヘリの爆音がかき消しましたが、いい加減、災害時に自衛隊が障害物を強制排除することを容認する立法が必要ではないかと思います。

ちなみに、「ゴミのような情報ばかり垂れ流すメディア」のことを、ネット・スラングでは「マスゴミ」と呼びますが、災害に苦しんでいる人たちの様子を撮影し、それを全国に流すという所業などは、まさに「ゴミ」と侮蔑されるべき行為です。

私は、NHKや朝日新聞社を含めた「マスゴミ」諸君に、謹んで、「恥を知れ!」と申し上げたいと思います。

千羽鶴を送らないで!

ところで、この手の大災害が発生したときに湧くのが、「要らぬ善意」です。その典型例といえば、千羽鶴でしょう。

もともと、折鶴といえば、色鮮やかな折り紙で鶴を表現する、日本独特の文化です。そして、千羽鶴とは、その名のとおり、折鶴を1000個連ね、紐などでまとめたものであり、うまく作れば非常にきれいな芸術品ですが、しかし、現代社会ではこの「折鶴」が「暴走」しているのです。

その直接の原因となったのは、おそらく、「原爆の子の像」です。広島市のホームページに掲載されているエピソードによると、2歳のときに広島で原爆に被爆した佐々木禎子さん(当時12歳)が原爆の後遺症である白血病を、突然発症し、恢復を祈って千羽鶴を折ったのがその始まりです。

「原爆の子の像」は佐々木さんの死をきっかけに、寄付金で建造されたもので、日本各地のみならず、いまや、全世界から折鶴が捧げられ、、その数は年間約1千万羽、重さにして約10トンにものぼる(!)というから凄い話です。

広島市のホームページには触れられていませんが、折鶴は重くてかさばるという事情もあり、定期的に焼却処分されており、おそらく巨額の処分費用が掛かっていると推察されます。私自身、原爆を憎む気持ち、核廃絶を希望する気持ちはありますが、だからといって、これはさすがにやり過ぎでしょう。

「平和を祈る気持ち」を育むという教育上の配慮からでしょうか、小学校で先生に命じられて折鶴を千羽折って広島に郵送した、という経験を持つ方も多いと思いますが、正直、教育上の配慮というだけの効果にも疑問があります。私はもうこんな風習は止めた方が良いと思っています。

しかし、この千羽鶴を巡っては、「病気で苦しんでいる人に千羽鶴を贈ろう」、さらには「災害で苦しんでいる人に千羽鶴を贈ろう」、といった発想も根強いのですが、正直、これは一般論として、やめておくべきでしょう。

もちろん、世の中には奇特な人もいて、「千羽鶴を貰うと嬉しい」と思う人もいるかもしれませんが、それはあくまでも例外的であり、とくに自然災害などの被災地では、避難所などには飾る場所もなければ役に立つわけでもないし、迷惑千万だと思うのです。

かといって、「実用品」が必ずしも役立つとも限りません。使用済みの下着、古着のたぐいは迷惑ですし、生鮮食品などは送り付けたら腐るかもしれません。さらには、手作りの料理などは論外でしょう。

やはり、贈るならば現金が一番。私は東日本大震災では日本赤十字社に現金の寄付をしましたが、現在ならば「ふるさと納税」などの仕組みを使って被災地に納税するのも良い案ではないかと思うのです。

新宿会計士:

View Comments (7)

  • 毎日、更新を楽しみにしております。

    「平成30年7月豪雨」と命名されたのですね。
    今回、直接被災したわけではございませんが、
    広島市在住者として、強く当事者意識をもっております。

    マスゴミの無能エピソードを一つ。
    公務員の家族が、金曜~土曜朝にかけて徹夜で避難所対応行いました。
    一旦勤務終了となった土曜朝、家までの道を自宅からナビゲートしたのですが、
    手元に道路交通情報が無いのです。(車で1時間ちょいの道のり)
    TVをつけても、「雨が~」「浸水が~」「停電が~」「○○世帯が~」しか。
    情報を得られないのです。クソ程も役に立たないんです。
    Twitterで「通行止め]等検索して情報を漁りました。
    ここで、唯一役に立ったのが、広島FMのアカウント(@hiroshimafm)でした。
    道路交通情報、とても有難かったです。ラジオつければよかったかな。

    ※方面は違うのですが、以下のツイートも素晴らしいと思いました。
     https://twitter.com/8zSs3o4RfrdoqOJ/status/1015887735440019458

    そして、昨日(7/10)のお昼に献血行ったんです。
    その時、NHKの大雨豪雨情報の番組やっててぼんやり見てたんですけど、
    「雨が~」「浸水が~」「停電が~」「○○世帯が~」「亡くなった○○さんが~」しか。
    クソ程も役に立たないんです。
    川の氾濫が大変なんてのは、いちいち言わなくてもよくて、
    欲しいのは、今後何に気をつければいいか、とか、
    どこの道路が通れるか、復旧の見込みとかそういう情報ですわ。
    がんばりましょー!とか励ましの言葉の一言でも放送しんさいや、と。

    マスゴミ、マジ無能。

    現地は、コンビニ、スーパーから徐々に物がなくなっています。
    日配品は全滅です。
    物流大事。

    そんな中、今朝見つけた神サイトが以下。
    https://www.toyota.co.jp/jpn/auto/passable_route/map/
    物流大事!!
    あと、ダムとか、道路とか、堤防とか、護岸工事とかもホント大事って思いました。

  • 毎回思うのですが311以降災害の危険をより理解して北九州の豪雨とか経験していて行政も早めの避難勧告を出して居るのに何故皆さん早めの避難をしないのか疑問なのです。高齢者でもテレビは見ていますし行政からの避難連絡は行っているはずです。無論足が不自由だったり目耳など身体的、病的な影響で十分な避難行動が取れないケースがあれば別ですが避難しない理由がわからないのです。
    まして現代社会ではスマホでインターネットが普及して十分な情報発信と受信は出来るのに「こんなに酷くなるとは思わなかった」が何度も繰り返されています。
    いい加減お願いですから皆様最悪を想定して事前の避難をして下さい。そうすれば死者数と悲しむ人が一桁は変わります。(被害が減るとは言ってない)

    復興には金が入り用ですから赤十字に募金かふるさと納税の利用以外に、復興後の被災地の旅行は大変有意義です。食べて旅行して応援するのがいいかもしれません。

    あと毎回の事ですけどこんな時に田んぼ行かないでくださいw

    • 最近は行政側が後の対応を責められないように、早め早めの警報&避難勧告出していく運用になってるみたいで、これがオオカミ少年の様に悪い方に作用していることもあるとかないとか。悩ましいところですね。
      でも、土砂災害警戒指定区域とか事前にわかるんだから、対象者はさっさと逃げて欲しい…

      • 行政が悪く言われない様ではなく行政が市民の生命と安全を考え避難情報やハザードマップを公開しても市民側がそれに応えず被災後に不満を口にするのだと思います。その例が狼少年のたとえ話でしょう。
        case-by-caseではありますが上記の例で被災された方は他者の所為にするのではなく自身の行動に落ち度が無かったを考え直すべきです。

        とは言え今回の記録的豪雨とその被害拡大のスピードは被災者の想定を超えるスピードで進行しました。
        今後二度とこの様な被害を合わない為にも教訓のすべき事は以下だと私は思います。
        ・行政又は気象庁、政府に市民の強制避難を実行させる事。
        ・水害では足場が無くなる為短時間で避難するためのルート作成、移動手段の確保と支援。
        ・市民が情報の受信を積極的に行い適切な避難を行う。
        ・こんな時は田んぼ、畑に行かない。
        以上の4つで運が左右する事を除けばそれなりには生命は助かるはずです。(財産が助かるとは言っていない)今回の豪雨では助かる命が助からず悔いが残る結果になりました。どうか自身の死で悲しむ人達が出ないように命を最優先に避難してください。

        取り敢えず今後は被災者の復興政策案が議会で早期可決する事を願うばかりです。
        また遅れながら行方不明者の早期発見、救出と犠牲者のご冥福をお祈りします。

  • 豪雨の犠牲者のご冥福をお祈りします。
    先日、去年の豪雨の被災地自治体がボランティアに復興をやらせている広報を見ました。あまりにも残念という気がしてならない。年度が変わり予算も組めないのかと。10人近いボランティアを使役していると広報していましたが、それが復興事業なら20数万程度の仕事になる。被災地自治体の経済を回すことになる。もっとも、年金医療介護の必要な方ばかしが被災地にはいないため、担い手もいないのでしょう。
    年金、次世代のための結婚をするさせるモチベーションを下げる、働き盛りで子育て可能世帯の経済を奪う。
    医療介護、生活習慣を見直すべきなのに安易な投薬に頼る。高血圧症とし低血圧の動けない人々を作り出す。早寝早起き朝ごはんという官の嘘を信じ込む国民。
    これが、文明の破滅に至る定められた道筋かと思います。

  • 熊本大地震のとき、ボランティアで避難所に寄りました。炊き出し目当てで地域住民でない浮浪者が全国各地から押し寄せていたことや小学生位の少女がトイレに行く途中でレイプに遭う被害が多発したために男の子の恰好をさせている等、あまり報道されない話を聞くことが出来ました。
    報道と言えば、私が4才のときに親戚が事件に巻き込まれて亡くなった際に葬式まで報道陣が押しかけたことは、幼心ながら忘れることは出来ません。