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「利上げしても地獄、利下げしても地獄」の韓国

現在の韓国経済が直面している窮状を経済や金融の知見から眺めてみると、どうも近い将来、韓国が再び何らかの危機(通貨危機か社会不安か、あるいはその両方)に見舞われるような気がしてなりません。そのときに日本はどうすべきなのでしょうか?

不思議な経済記事

経済・金融の専門家という立場から見れば、ときどき、韓国メディアには不思議な記事が掲載されます。昨日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、『韓国経済新聞』による次の記事も、その典型例です。

韓経:韓米金利差さらに広がれば…韓国から資本流出の可能性高まる恐れ(2018年06月11日10時28分付 中央日報日本語版より)

米韓両国の金利差が広まれば、韓国からの資本流出の可能性が高まる、という記事です。

経済学的に見れば、金利が低い国と金利が高い国があった場合、とくに短期資金・投機資金は、金利が低い国から金利が高い国に流れます(もちろん、金融市場のボラティリティやインフレ期待、経済成長見通しにも影響を受けますが、こうした議論はここでは割愛します)。

そうなれば、自国通貨の為替相場が切り下がり(通貨安になり)、輸出競争力が高まります。韓国のように輸出の比率がGDPの4割に達するような国だと、自国通貨安に振れやすいという現在の状況は、好ましいはずです。

それなのに、中央日報の記事は、まるで米韓の金利差が開くことが、なにか問題があるかのような書き方になっているのです。

経済学と通貨危機

何のための外貨準備なのか?

米韓金利差が開き、韓国ウォンの価値が下落すれば、輸出競争力が高まるという好ましい影響が生じるはずなのに、どうしてこんなに問題があるのでしょうか?これに対する私の一貫した仮説は、「外国から借りたおカネが返せなくなる(あるいは借り換えできなくなる)」、という問題点があるからです。

韓国自身が主張する外貨準備高は4000億ドル近くに達していて、韓国が外債などの形で外国から借りているおカネは、せいぜい1200~1500億ドル程度に過ぎません。もし、韓国が外債の返済や借り換えなどに窮しても、外貨準備で十分にカバーできるはずです。

それなのに、なぜ韓国は外貨流出に怯えているのでしょうか?その理由について、端的に申し上げれば、韓国はさまざまな統計で大きなウソをついている可能性があるのです。ただし、詳しくは『【準保存版】韓国の外貨準備統計のウソと通貨スワップ』で指摘したので、ここでは繰り返しません。

ここでは、次の仮説だけ指摘しておきたいと思います。

  • 韓国が保持している外貨準備高は、多くても実質2000億ドル弱である
  • いざという時の韓国からの外貨流出額は3000億ドル以上である
  • よって、韓国は常に1200億ドル程度の外貨不足に苦しんでいる状態にある

余談ですが、韓国が日本に対し、しつこく「500~1000億ドル規模の通貨スワップを締結して欲しい」と要求して来ている理由は、まさにこの「1200億ドルの外貨不足」という点にあるのだと思います。

利上げが難しい理由

さて、韓国が常に外貨流出リスクにさらされていること、米国が利上げモードに入っていることなどを踏まえるならば、突発的な通貨危機が、いつ韓国を襲っても不思議ではありません。これに加えて米朝首脳会談が決裂し、米軍が北朝鮮攻撃に踏み切れば、地政学リスクから韓国の通貨は暴落しかねません。

こうした中、経済学のセオリーに従うならば、外貨準備を使って外貨を売り、自国通貨を買い入れる以外にも、通貨防衛をする方法はあります。そのもっとも簡単な方法とは、「利上げ」です。

韓国の中央銀行である韓国銀行が、現在1.50%とされている政策金利を、たとえば10~20%(!)などに引き上げれば、高金利をエサに、世界中から韓国に資金が向かいます。そうすれば、わざわざ外債でおカネを調達しなくても、外国人投資家が韓国ウォンで債券を買ってくれるはずです。

そして、その過程で、市場でウォンが買われ、ドルが売られます。当然、ウォン高になり、通貨は安定します。通常の先進国であれば、通貨が安定すれば、経済も安定します。

ところが、韓国の場合、こうした「通常の先進国であれば当然成立するロジック」が成り立たない理由が、大きく3つあります。

1つ目の問題は、家計債務比率が高すぎ、利上げできない、という事情です。韓国の家計債務は、住宅ローンなどの長期性借入金だけでなく、銀行やノンバンクからの短期借入金、つまり日本でいうところの消費者ローンをかなり借り入れています。

2017年9月末時点で、借入金の総額は1554兆ウォン(約155兆円)、うち短期借入金が374兆ウォン(約37兆円)にも達しており、韓国銀行が利上げをすれば、これらの個人債務者が債務負担の増大に苦しむことになります。

2つ目の問題は、通貨が切り上がれば、輸出競争力が大きな打撃を受けることです。韓国のGDPは2015年で約1.4兆ドル、輸出高は約5600億ドルです。つまり、GDPに占める「輸出依存度」は4割に達しており、ウォン高になれば、韓国経済が大打撃を受けるのです。

そして3つ目の問題は、韓国の通貨・ウォンが世界で通用する通貨ではないため、韓国の輸出企業にとっては、自国通貨で債券を発行するという需要は乏しい、という点にあります。実は、この点が韓国の金融にとっては最大の問題点であり、韓国企業が外貨でおカネを必要とする最大の理由でもあります。

一般に企業は、生産活動を行うために、設備資金や運転資金を必要とします。そひて、韓国の製造業は設備や棚卸資産を日本企業などから購入しているため、外貨(米ドルや日本円)がどうしても必要であり、必然的に、ウォンではなく外貨でおカネを借りなければならないのです。

フィリップス曲線

もう1つ、客観的な統計からは確認できないのですが、韓国の場合、実質失業率がかなり上昇しているのではないかとの疑いがあります。

OECDに提出しているデータで見ると、韓国の失業率は4.5%、若年層失業率は11.6%(いずれも2018年3月の速報値)ですが、この数値自体は、OECD加盟国の中でも決して高い方ではありません。失業率が高い国は、むしろ欧州に集中しています。

しかし、どうも韓国のデータについては、失業率を計算するときの計算方法に問題があるのではないか、という疑いがあります。これについては私自身は確たる証拠を得ているわけではありませんが、失業率については2~3%、若年層失業率については5~10%は過少申告されているのではないかと疑っています。

それはさておき、経済学の知見に基づけば、インフレ率と失業率の間に、負の相関関係があることが知られています。そのロジックについて、定説はないのですが、インフレ率が上昇すれば失業率が低下し、インフレ率が低下すれば失業率が上昇する、という関係が存在している、というものです。

日本で「アベノミクス」が「デフレ脱却」を旗印に掲げている理由の1つは、デフレを脱却し、インフレ状態になれば、失業率(とくに若年層失業率)を押し下げることができる、という考え方があるのだと思います。実際、日銀の金融緩和が5年以上継続していますが、日本の失業率は史上最低水準です。

当然、失業率が上昇していけば、ますます利上げし辛くなります。

先ほど、韓国が「利上げしてウォン高誘導する」というインセンティブを持たない、韓国独特の理由を3つほど列挙しましたが、この3つに加えて、失業率がじわじわ上昇し、社会不安が増大しているのではないかとする要因についても指摘しておく必要があるでしょう。

経済学と社会不安

クネノミクス、チョイノミクス、ムンジェノミクス

「アベノミクス」が日本と世界の流行語になったのは、2012年から2013年のことです。この「アベノミクス」とは、①拡張的な金融政策、②機動的な財政政策、③構造改革という3本の矢からなるものであり、理論上は、このうち①と②の政策だけで、十分に日本をデフレから脱却させることができたはずです。

しかし、現実には財務省という「国民の敵」が掲げる増税原理主義に抵抗できず、安倍政権は2014年4月に消費税率(と地方消費税率の合計値)を8%に引き上げてしまいました。いわば、第2の矢が反対方向に向けて放たれ、アベノミクスを完全に失速させたのです。

(※余談ですが、こうした苦い記憶を踏まえるならば、解体すべきは財務省であり、廃止すべきは消費税法である、というのが私の持論です。)

さて、こうした「アベノミクス」にあやかろうと、韓国が打ち出して来たのが、2013年2月に政権を引き継いだ朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領(当時)が掲げた「クネノミクス」です。「クネ」とは、「きんけい」の朝鮮語読み(クネ)をもじったものです。

また、その直後には崔●煥(さい・きょうかん)(●は日の下に火)企画財政部長官(当時)の名前を取って、「チョイノミクス」というものも提唱されました。ちなみに「チョイノミクス」と名付けた人物は、もしかしたら私かもしれません(笑)。

「崔(さい)」の朝鮮語読み「チェ」を、なぜか韓国人は “Choi” と表記しており、次の英フィナンシャル・タイムズ(FT)に “Choinomics” という単語が掲載されました。普通に考えて、「チョイノミクス」としか読めません。

S Korea investors eye dividend windfall(2014/08/12(火) 09:01付 FTオンラインより)

韓国人はこれを「チェノミクス」と読ませたかったのかもしれませんが、私が当時、執筆していたブログサイトで、2014年8月13日に、大々的に「チョイノミクス」と書いたのですが、大手メディアが「チョイノミクス」と書き始めたのはそれ以降のことです。

だから、「チョイノミクス」という間の抜けた単語の発明者は、実は私かもしれないのです(笑)

という冗談はさておき、現在の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領も、自身の経済政策を掲げていて、それを「ムンジェノミクス」などと読んでいるようです。

なお、クネノミクス、チョイノミクス、ムンジェノミクスがどのような政策なのかについては、正直、いまだによくわかりません。

社会不安が高まれば極論が台頭する

ただ、事実として、現在の韓国が外貨流出リスクに怯えている(らしい)こと、失業率が上昇している(らしい)ことなどを見ると、韓国の金融政策は「どん詰まり」状態にあります。

予防的な通貨防衛を目的に利上げしたら、家計債務の金利負担が増大し、多くの韓国国民の生活が破綻状態になりかねませんし、ウォン高になれば韓国の輸出企業が困ります。一方で失業率を下げることを目的に利下げしたら、外貨流出リスクが顕在化しかねません。

現在の韓国が本当に必要としていることは、日本に土下座して、1000億ドル規模の通貨スワップ協定を結んでもらうことです。そのためには、ウソの歴史教育をやめ、慰安婦合意を誠実に履行し、日本大使館前と日本総領事館前の慰安婦像を直ちに撤去しなければなりません。

しかし、それとともに、現在の韓国のように、失業率がじわりと上昇し、生活苦に陥る人が増えて来れば、社会全体で極論が台頭します。いわば、「貧すれば鈍する」、という状況であり、これは古今東西の鉄則でもあります。

たとえば、2017年3月に大統領を罷免された朴槿恵氏に代わり、同年5月に韓国大統領に選出されたのは、極端な親北派で極端な経済オンチ、極端な反日派である文在寅氏でしたが、「ムンジェノミクス」のもとで、現在の韓国経済は順調に破綻に向けて突っ走っています。

文在寅政権のミスを1つだけ指摘しておくと、最低賃金を日本円で約1000円にまで引き上げたことが挙げられます。韓国のような極端な輸出立国がわざわざ労働コストを引き上げれば、輸出企業は製造拠点を韓国国外に移し、ますます国内の雇用が失われるのは目に見えています。

そして、生活が苦しくなればなるほど、韓国国民はますます「反日」にはけ口を求め、それを見た日本国民のあいだで、ますます韓国への感情が悪化し、韓国と距離を置きたがる日本人が増える、というメカニズムです。

南北統一は韓国破綻への近道

韓国国内では、北朝鮮との統一により韓国が経済大国として浮上するのではないか、といった、現実離れした期待感があることも事実でしょう。親北派の文在寅氏が韓国大統領に選ばれた背景には、北朝鮮の工作だけではなく、韓国国民がこうした「幻想」に浸っていた、という要因もあるのかもしれません。

なかには、「日朝国交正常化の過程で、日本が巨額の戦後賠償を北朝鮮に支払うから、そのカネを当てにすれば良いではないか」、といった、いわゆる「漢江の奇跡」の再来を期待する意見もあるようです。

もちろん、1965年の日韓基本条約以降、日本は北朝鮮の分も韓国に支払い済みですし、また、北朝鮮が日本人拉致問題の完全解決を図らない限りは、日本が北朝鮮に1円たりとも支援金を支払うことは絶対にあり得ません。

しかし、現在の韓国に、こうした冷静な意見は見当たらず、「北朝鮮と統一すれば安い労働力と日本の支援が手に入る」という、半ば妄想じみた観測を見掛けてしまうのです。

ただ、冷静に考えてみればわかりますが、北朝鮮は70年以上前の大日本帝国時代に整備された莫大な社会インフラ(道路、鉄道、上下水道、電力など)にタダ乗りして来た国ですが、それらのインフラも老朽化しています。北朝鮮が近代国家として機能するためには、これらのインフラの再整備が必要です。

それだけではありません。日本がせっかく整備したさまざまな法制度も、70年の金王朝支配を通じてすっかり失われ、忘れ去られています。私有財産制度、民法・会社法、学制、さらには証券・銀行などの金融インフラ、マス・メディアなど、近代国家としてのさまざまな機能が失われているのです。

2000万人という北朝鮮の人民が金王朝の支配から解放されたとしても、老朽化したインフラを再建し、人民を再教育し、生産拠点を整備するためには、莫大なコストが必要であり、現在の韓国がそのコスト負担に耐えられるはずはありません。

南北統一は、韓国経済破綻への第一歩なのです。

日本は韓国を助けるべきか

さて、経済・金融の専門家という観点から眺めると、韓国経済とは、非常に分かりやすいモデルです。人口5000万人そこそこの小国で、東に日本という超大国、西に中国という超大国が存在していて、東からガラス基板を輸入して切って加工して西に輸出するだけだという、極めてシンプルな経済だからです。

ただ、これまで自力で国を開き、運営して来たという歴史があるわけではないためでしょうか、現在のような隘路(あいろ)に迷い込むと、あっというまに国の運営に行き詰まってしまいます。しかも、頼みの綱となる日本は、反日という自らの過失により、敵に回してしまっているのです。

さて、従来の日本だと、そんな窮状を見かねて、手を差し伸べていました。古くは明治維新直後、まだ弱小国だった頃の日本は朝鮮を一生懸命助けようとしましたし、最近だと1997年のアジア通貨危機や2008年のリーマン・ショックなどでも、韓国に救いの手を差し出しました。

その結果が、次の記事です。

「韓国が厳しい時、日本が最も遅く外貨融通」(2009年07月07日08時07分付 中央日報日本語版より)

李明博(り・めいはく)政権時代の韓国の尹増鉉(いん・ぞうげん)企画財政部長官(=当時)は

  • 韓国が最も厳しい時に外貨を融通してくれたのは、米中日の中で日本が最後だ
  • 世界第2位の経済大国なのに、日本は出し惜しみをしている気がする
  • 日本は周辺国が大変な時は率先し、積極的に支援の手をさしのべてほしい。アジア諸国が日本にふがいなさを感じるゆえんだ

と、日本に対して恨み節をぶつけて来たのです。

これからごく近い将来、韓国はおそらく、かなりの確率で再び、通貨危機か社会不安のいずれか(あるいは双方)に見舞われます。そのときに日本は韓国の窮状を目撃し、どのように行動すべきなのでしょうか?その答えを、本日、私は申し上げるつもりはありません。

言いたいことはただ1つ。「私たち日本国民ひとりひとりが適切に判断しなければならない」、ということです。あとは皆様がお考えください。

新宿会計士:

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      当ウェブサイトではたいていのスパム・コメントを弾き飛ばすのですが、ごくたまにこの手のコメントが残ってしまいます。
      日本語がおかしいのはともかくとして、コメントに含まれていたメールアドレス、電話番号、URLはすべて削除した上で、このコメントは典型的なスパム・コメントの事例としてわざと残すことにしました。

      スパムとして晒し挙げておきます。

  • 一番早いレスポンスでしょうか。

    https://jp.yna.co.kr/view/AJP20181220001000882?section=politics/index
    米利上げ 韓国政府「影響持ちこたえられる水準ながら備えを徹底」

    >その上で李氏は「緊張感をもって、緊密に対応する」と述べた。24時間体制で海外投資家の資金の出入りを綿密に点検し、必要ならコンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)に従い対応するという。
    > 国内の金融市場に対しては「外国人資金の流出が懸念されたが、純流入を維持している。海外投資家の信頼が反映された結果と評される」と、自信をにじませた。外国為替市場も安定しているとした。

    ところで、海外投資家によるキャピタルフライトが発生したとして韓国の当局者が取れるオプションって何なんですか?
    ローンスターみたいな?w