本日2本目の記事です。先週、『【夕刊】580億円窃盗事件:暗号通貨を金商法の対象にせよ』で取り上げた、暗号通貨窃盗事件を巡り、気になる続報が出て来ました。
目次
NEM窃盗事件の続報
NEM窃盗犯、やはり北朝鮮だった?
私は匿名で、この『新宿会計士の政治経済評論』というウェブサイトを運営していますが、その一方、本業では金融規制の専門家という立場から、銀行法、金融商品取引法、外為法などを深く研究しています。
こうした中、最近私が深い関心を抱いているテーマが、「現行の法規制の穴を突いた、テロリストに対する資金流出について」、です。
おりしも先週、『【夕刊】580億円窃盗事件:暗号通貨を金商法の対象にせよ』のなかで、「暗号通貨」の脆弱性について議論しました。
これは、時価580億円相当の暗号通貨・NEM(ネム)が、「仮想通貨取引所のコインチェック」から盗まれた事件について取り上げたもので、私はこの記事の末尾で、
- ブロックチェーンの脆弱性を突く形で、インターネット上で暗号通貨の窃盗(あるいはその未遂)という行為が、今後も相次ぐことは間違いない
- 大小さまざまなテロ組織が資金調達手段を求めてうごめいている
- 国連安保理の制裁を受けている北朝鮮も、インターネット上のさまざまな詐欺(マルウェアを含む)に関与していることが疑われる
と申し上げました。
この私自身の指摘を裏付けるような報道が、複数のメディアから出て来ました。
【仮想通貨流出】/仮想通貨580億円流出 北朝鮮の犯行か 韓国情報機関「韓国から26億円奪う」(2018.2.6 07:16付 産経ニュース)
韓経:「日本の仮想通貨580億円ハッキングは北朝鮮の仕業と推定」(2018年02月06日08時18分付 中央日報日本語版より)
情報源が韓国の情報機関だということで、信頼性としては多少、眉唾物ですが、それでも私は最初から、暗号通貨の窃盗犯が北朝鮮当局である可能性が高いと考えています。
暗号通貨の特徴と問題点:システムの脆弱性
これについて考える前に、あらためて暗号通貨の特徴と問題点を考えてみましょう。
もともと、暗号通貨の多くは、「ブロックチェーン」という技術を利用しています。たとえば、暗号通貨の1つである「ビットコイン」の場合、「ある取引の正当性」を裏付ける「台帳(ブロック)」を作るという作業を、複数の「マイナー」が行うことで成り立っています。
このように、「ブロックチェーン」という技術自体は、決済システムの未来図として非常に興味深いものですが、ここで大きな問題があります。それは、多くの場合、「通貨を発行している責任者」というものが存在せず、民間のコイン取引所がこれを仲介しているに過ぎない、という点です。
そして、これらの民間のコイン取引所は、日本の場合、現在のところは「資金決済法」による登録制が取られていますが、「免許制」ではないため、ずさんな業者が暗号通貨取引業に参加してしまうことができる状況にあるのです。
金融商品取引法の規制と免許制が必要
暗号通貨が「ブロックチェーンの試験的なシステム」に過ぎない段階では、こうした緩い規制でも問題ありませんでした。
しかし、ハッキングだけで580億円という巨額の資金を窃盗してしまうことができるのであれば、経済社会への影響は甚大であり、さすがに一企業の問題と考えることはできません。
さらに、暗号通貨は国境を越えた送金にも利用できますが、電子データで日本国内のサーバから暗号通貨のデータを盗み取り、それを法規制の緩い国でハード・カレンシー(米ドル、ユーロ、日本円など)の現金や金地金などの有価物に交換して万景峰(ばんけいほう)号などに積んで持ちかえれば、北朝鮮はまんまと巨額の現金をせしめることができるのです。
したがって、少なくとも暗号通貨自体、金融商品取引法第2条において規制対象として明記するとともに、星の数ほどある「仮想通貨取引所」についても金融商品取引法に基づく免許制が必要です。
マフィアの北朝鮮をいつまで放置するのか?
ところで、核開発にはカネがかかります。自然に考えるならば、世界の最貧国レベルの北朝鮮という国家が、巨額の資金を要する核開発に手を染めるのも不思議です。
そのカギを握るのが、どうやら「39号室」という秘密部署です。
金正恩委員長の資金管理の秘密部署「39号室」、国連制裁で打撃か(2017年8月11日 15:15付 Bloomberg Newsより)
この「39号室」、たとえば世界最大の国際保険市場であるロンドンで保険金詐欺により毎年数十億円規模の外貨を詐取しているほか、通貨偽造や麻薬製造で年間5~10億ドルを集めているとの情報もあります。
北朝鮮が国家ぐるみで保険金詐欺、毎年数十億円を稼ぐ(2017年1月16日(月)15時39分付 Newsweek日本語版より)
【北朝鮮情勢】/核・ミサイル開発で金正恩氏の秘密資金枯渇か 米ラジオ報道(2018.1.27 23:47付 産経ニュースより)
当然、今回の暗号通貨詐取が北朝鮮による犯罪だったとしても、なにも不自然な点はありません。
それだけではありません。
北朝鮮が現在、開発を進める核兵器、ミサイルなどの大量破壊兵器は、イランなどの「ならず者国家」やテロリストの手に渡り、それにより北朝鮮が巨額の資金を稼ぐ可能性もあります。
保険金詐欺、通貨偽造、麻薬製造、ハッキング、大量破壊兵器開発――。
北朝鮮は明らかに、犯罪国家であり、世界のガンです。これ以上、北朝鮮という国家と金正恩(きん・しょうおん)の犯罪を許してはなりません。
そのことを、私は何度でも申し上げたいと思います。
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毎日の更新ありがとうございます。
BITCOIN他の暗号通貨にとどめのようです。
VISA and Mastercard make it harder to buy Bitcoin and other cryptocurrencies
https://techcrunch.com/2018/02/05/visa-and-mastercard-make-it-harder-to-buy-bitcoin-and-other-cryptocurrencies/
前回の投稿で暗号通貨はあずきのようなものという表現をしましたが、先物相場のあずき、買い方は現受といって小豆を引き取ることができ、売り方は受けわたし義務があり、現物の裏付けがありますが、暗号通貨は裏付けがない点においては妖怪ウォッチコイン以下ですね。
< 夕刊配信ありがとうございます。
< やっぱり北朝鮮か!第一報を聞いた時から、怪しいなと思ってましたが、コメントにはしませんでした。でもブロックチェーンの脆弱性を突き、インターネット上の暗号通貨を盗み取るのは、真っ先に考えられるのは資金枯渇の北朝鮮でしょう。栄養不良からの若死、餓死、病死、奇形児、発育不良児などが世界平均よりもはるかに高いと聞きます。それでも核開発や軍備には力を注ぎ(食費は注がないが)、世界の愚連隊国となっています。
< 麻薬製造密売、ニセ札発行、偽造パスポート作成、ヤミタバコ、ヤミウィスキー、保険金詐欺、、国家ぐるみでやってます。そんな超悪質国に五輪を共同参加にした韓国も同罪。過去、いろいろ橋渡ししたんじゃないですか。同胞だから。
< 失礼しました。
>でもブロックチェーンの脆弱性を突き、
ブロックチェーンの脆弱性ではなく、運営していたサイトの脆弱性をついて、管理の甘いウォレットから
送金したに過ぎません。ただのサイトハッキングです。
ブロックチェーン自体の信頼性は揺らいでいませんが、暗号通貨自体への不信感が広がった事件でした。
通りすがりさんに同意。
サイト内のデータ管理が不適切だったのが直接原因のようです。(顧客の印鑑を預って店頭に無雑作に置いていたような状態)
お疲れ様です。
善意の被害者を装った共犯者・使い走りの集金人。日本円での弁済を語るが期日を明言せず、事業を継続させてその利益より弁済・・・突然のシャッターガラガラで終了。ところで入金済の日本円は何処へ?・・・自分の口座に0が一杯・・・すみません、妄想でした。