本日は、最近経済誌等で話題になっている「暗号通貨」について、じっくりと考えてみたいと思います。
目次
「暗号通貨」が紙面をにぎわす
最近、マス・メディアの報道を見ていると、「仮想通貨」、あるいは「暗号通貨」という用語が頻繁にメディアに出てきます。
これは、ビットコインなどに代表される、ブロックチェーンのテクノロジーを使った「通貨」のことであり、つい先日も暗号通貨の取引所から巨額の資金が盗まれた事件についえてゃ、『【夕刊】580億円窃盗事件:暗号通貨を金商法の対象にせよ』で取り上げたばかりです。
ところで、この「暗号通貨」と呼ばれるものは、いったい何なのでしょうか?そして、「暗号通貨」はどこに行くのでしょうか?
本日はこれについて、「通貨の専門家」としての立場から、通貨の基本機能と絡めて整理してみたいと思います。
通貨の本質
通貨とは何か?
これについて考える前に、まずは「通貨」そのものについて考えてみましょう。
サイフの中にはお金が入っています。日本国内で暮らす日本人の圧倒的多数は、千円札や五千円札などのお札、百円玉や十円玉などのコインを日常的に持ち歩いているのではないでしょうか?
法的には、お札(紙のお金)のことを「紙幣」、コイン(金属製のお金)のことを「貨幣」と呼びます。
ただ、紙幣は精巧に印刷されていることは間違いありませんが、それでも製造原価はせいぜい1枚20円程度に過ぎません。そんな「紙切れ」が「1万円」として流通しているというのも驚きです。
なぜそんなものが「1万円」として流通するのでしょうか?
日本の場合は、法律によって「1万円」と印刷された日本銀行券が「法貨」として定められているからであり、また、日本国民のほぼ全員が、「1万円」と印刷された紙切れに「1万円の価値がある」と信じているからです。
これらのお金を製造しているのは日本銀行や財務省造幣局であり、何だかんだ言って日本国民は日本銀行や日本政府のことを信頼しているのです。
ただ、全世界で発行されている通貨の全てが日本円ほど深く信頼されている訳ではありません。
そこで重要なのが、「通貨の3つの機能」です。
通貨の3つの機能
拙著からの定義で恐縮ですが、一般に、通貨には3つの機能があります(図表)。
図表 通貨の3大機能
機能 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
①価値の尺度機能 | 財貨、サービスの価値を金額で測定する機能 | 同じ単位で表示することで、財貨・サービスの価値を比較することができる |
②決済・交換機能 | 財貨、サービス、金融商品等を購入、決済する機能 | 貨幣があれば必要なものを購入することができる |
③価値の貯蔵機能 | 貨幣的価値を保存する機能 | 貨幣価値は一定ではなく、インフレやデフレにより変動する |
(【出所】外貨建取引に関する拙著)
このうち①の機能とは、経済社会の根幹をなす重要なものです。
たとえば、いきなり「米と大根を比較しろ」といわれても、たいていの人は、良くわからないと思います。しかし、スーパーで「米5キロは2000円」、「大根1本200円」などと表示されていれば、米5キロと大根10本が同じ価値だとわかります。
江戸時代の日本では、江戸では金貨(小判)が、京・大坂などの上方では銀貨が通貨として用いられていたようですが、国内で異なる通貨が通用しているのも不便極まりないものです。しかし、今日では、北海道から沖縄に至るまで、それこそ日本全国で同じ「日本円」という通貨が通用しています。
また、ひと昔前にヨーロッパを旅行すると、国を跨ぐごとに通貨が変わったため、たとえば三星ホテルの宿泊代金がフランスで500フラン、イタリアで12万リラと言われても、頭の中でパッと感覚を掴むことが難しかったと思います。しかし、現在ではユーロが導入されているため、フランスで75ユーロ、イタリアで60ユーロと言われれば、「フランスの方がイタリアよりも15ユーロ高いんだな」、と、直感的に理解できます(※ただし、値段は物のたとえです)。
このように、通貨をそろえれば、一発で「高い」「安い」という比較ができるのです。
通貨は「ファイナリティ」
次に、2番目の機能とは、「お金さえ相手に渡せば、それで財貨・サービス・金融商品が自分のものになる」、という、非常に便利な機能です。
相手に言われたお金を渡せば、それ以上、何かをする必要はありません。つまり、お金さえ授受すれば最終的に権利義務が確定されるため、これを「ファイナリティ(finality)」と呼ぶことがあります。
たとえば、先ほどのスーパーで米5キロを買おうとすれば、値札に示された2000円というお金をスーパーに支払えば、その米5キロはあなたの物になり、あなたはその米5キロを自宅に持って帰ることができます。そして、後になってスーパーから「2000円だけじゃ足りません」と文句を言われたりしない、ということです。
実は、近代経済社会は、この「ファイナリティ」を前提に構築されています。
その時に取引が終了していたと思ったのに、後になってから「やっぱり米5キロをあなたに渡したくなかった」だの、「払ったお金を返してくれ」だのと言っていれば、収拾がつかなくなるからです。
もちろん、「不良品だったからお金を返せ」、というやり取りが行われることはあります。しかし、正常な品物を受け取ったのに、「やっぱり気が変わったから、米5キロを返すからお金2000円を返せ」というクレームは通用しません。
世界には一度約束したことを平気で反故にする民族もいるようですが(笑)、通常の文明国だとこのようなことは通用しないのです。
労働や財産価値を保存することができるか?
以上、「①価値の尺度」、「②決済・交換機能」については、たいていの通貨に備わっています。
それこそ中国の通貨・人民元だろうが、アルゼンチンの通貨・ペソだろうが、その取引の瞬間、その通貨が通用する法域内では、価値の尺度としても機能しますし、決済・交換手段としても機能します。
しかし、通貨にはもう1つ、重要な機能があります。それは、3番目の「価値の保存機能」です。
これは、いわば、「若い頃に働いてお金を貯め、年を取ってリタイヤした時にその貯金を取り崩して悠々自適で暮らす」、という使い方が分かりやすいでしょう。
この機能は、どんな通貨にも備わっているものではありません。ずばり、信用がない通貨には、価値の保存機能がないのです。また、インフレが激しい通貨も、価値の保存手段として機能しません。
たとえば、わが国の通貨・円は、世界の中でも最も価値が安定している通貨の1つとして知られています。皮肉なことですが、長引くデフレのため、20年前と比べて物価がほとんど変わっていないというのも、「価値の保存手段」としては最適な通貨だったということです。
また、発展途上国などでは、自分の国の通貨よりも米ドルなどの国際的な通貨でお金を貯めようとする人が多いのも事実でしょう。
たとえば、ジンバブエ、ベネズエラなどでは経済が崩壊し、通貨価値が暴落(つまり物価が暴騰)しましたが、これらの国では、人々は自国の通貨ではなく、米ドルなどの外貨を持とうとするのです(北朝鮮もこの部類の国です)。
すべての通貨がすべての機能を備えているわけではない
ところで、地球上のすべての通貨が、図表に示した①~③のすべての機能を備えているわけではありません。
たとえば、③の価値の保存手段として機能しない通貨は、そのうち、取引自体に使われなくなってしまい、②の機能が損なわれ、酷い場合には①の機能すら損なわれることがあります。
ジンバブエ・ドルや北朝鮮ウォンなどがその典型例ですが、経済の崩壊が進行していけば、その国の人々が、自国の通貨を信頼しなくなります。そうなれば、「米5キロ2000円」と表示していても、店の人は米5キロを売るのを渋るようになりますし、「3000円払うから売ってくれ」、「4000円払うから売ってくれ」、という具合に、店頭での表示価格がまったく当てにならなくなります。
また、そこまで酷い状態になっていなくても、たとえばアルゼンチンなどの場合は、人々は受け取ったアルゼンチン・ペソを、できるだけ早く米ドルに変えようとします。つまり、①と②は機能しているのに、③の機能が損なわれている、というパターンもあるのです。
一方で、通貨を発行している当局にとっては、自分たちが発行している通貨の価値が暴落するのは屈辱ですし、まともに中央銀行の独立が機能している場合、中央銀行は本能的に、通貨の価値を守ろうとします。
日本で黒田総裁以前の日本銀行が積極的な金融緩和に消極的だった理由も、こうした「セントラル・バンカー」としての本能に求められるのではないでしょうか?
余談ですが、黒田総裁の元でも、日本は依然として、デフレから脱却できていません。ただ、こうした状況も良いふうに言い換えれば、「日本円の価値は依然として安定している」、ということです。
暗号「通貨」
暗号「通貨」は「通貨」なのか?
これらの議論を踏まえて、暗号通貨の経済効果について眺めてみましょう。
最近、人々を騒がせているビットコインやNEMなどの暗号通貨は、「通貨」と呼ばれていますが、果たしてこれらは「通貨」と呼ぶのに相応しいのでしょうか?
私は、世間一般にこれらを仮想「通貨」、あるいは暗号「通貨」と呼んでいるため、便宜上、本稿でも「通貨」と称することにしていますが、実際には、「通貨」としての機能には何かと疑義があります。
まず、暗号通貨の典型例であるビットコインの場合は、価値が急騰し過ぎ、1ビットコインが100万円を超えている状況にあります。このため、日本円で500円程度のコーヒーを1杯飲むためには、0.0005ビットコインです。
しかも、ビットコイン自体、価値が激しく変動していて、たとえば1ビットコイン=1,064,037円だった瞬間、525円のコーヒーをビットコインに換算すれば、0.000493403895…ビットコインです。小数点以下の桁数も端数も多すぎるため、価値の測定尺度として機能しているかといわれれば、私にとっては大きな疑問です。
ファイナリティというには不安定?
次に、暗号通貨で実際に買い物ができるかどうかという問題があります。
当たり前ですが、仮想通貨自体は日本の法律上は「通貨」ではありません。そして、法律上の通貨(法定通貨)ではないため、ビットコインを初めとする通貨そのものを使って支払いをすることは困難です。
もちろん、最近、一部の店舗が話題性などを狙い、「ビットコインが使えます」などと表示していることもありますが、実際には、ビットコインを使う場合には、たいていの場合、本当にビットコインで受け取っているわけではありません。
新宿にある某店舗の場合は、お客さんが「ビットコインで払いたい」と言えば、そのお客さんのビットコイン口座から取引所にビットコインの引き落としを依頼し、取引所からその店舗に日本円で入金させる、という手法を取ります。
つまり、ビットコインそのものを受け取っているわけではないらしいのです。
考えてみれば当然ですね。ビットコインを期末に保有していた場合、企業会計上も法人税法上も、その評価が大きな問題となるからです。ビットコイン自体、金融商品会計の対象外と考えられ(私見)、また、「取引所」の時価も安定しないことから、信頼性のある会計上の時価を取得することも困難です。
(なお、ビットコインを法人名義口座で保有している場合の会計処理についてのご質問を当社に対して頂いても、ビットコイン自体が金融商品ではないため、責任を持って回答することはできません。)
トランザクションコストが高すぎる(らしい)
それだけではありません。
ビットコインを初めとする暗号通貨は、「権利の移転」自体に電力を使うという欠点があります。
たとえば、現金だったらサイフから紙幣なり、コインなりを出せば済む話ですが、ビットコインの場合は自身の口座にあるコインを取引所に換金依頼しなければならないため、トランザクションごとに電力、通信費などのコストが掛かります。
もちろん、クレジットカードやSUICAなどの電子マネーの場合でも、決済をするためには電力や通信機能を使います。しかし、SUICAなどをお持ちの方ならご存知の通り、電子マネーの場合は端末にかざせば、ほぼ一瞬で決済が終了します。
しかし、一部の暗号通貨の場合は、決済をするために、数秒から数十秒、酷い場合には数分の時間を要するのです。
これだと、迅速な取引などできっこありません。
暗号通貨の多くは「実体がない」
つまり、暗号通貨は法定通貨ではないため、これを「通貨」として使うためには、いちいち日本円などの法定通貨と換算しなければならないという欠点(①価値の尺度機能の不全)、暗号通貨によっては決済に時間が掛かり過ぎるという欠点(②決済・交換機能の不全)、という、通貨としては本質的かつ致命的な問題点を抱えているのです。
さらに大きな問題があります。それは、③価値の保存機能の部分です。
実は、暗号通貨自体、その多くは「実体」がありません。
日本円の場合は日本国という国の法律と日本銀行という組織の信頼に基づいて発行されていて、日本銀行のバランスシートにあるとおり、日本国債や市中銀行からの割引手形などの実物資産で裏付けられています。
しかし、暗号通貨の多くは発行主体が存在せず、ビットコインの場合は「マイニング」という過去の労働の成果がコインとして発行されているに過ぎません。
余談ですが、ビットコインの場合は、「マイニング」を通じてコインが新たに生成されますが、「マイニング」により採掘可能なコインの総量には限界があるそうです。このため、人々がコインを採り尽くせば、それ以上コインの供給量を増やすことはできません。
ということは、コインを採り尽くせばマイニングしてもコインが得られないため、経済実態に応じて通貨の供給量を変更するということもできないことになります。
その意味で、暗号通貨は経済社会の実情に適していないともいえるでしょう。
ブロックチェーンを活用する余地あり
ただし、暗号通貨には通貨の3要件を満たしていないものが多いようですが、それでも新たなテクノロジーの活用は検討の余地があります。
私はむしろ、日本銀行が率先して、ブロックチェーンの研究を行うべきだと思います。なぜなら、ブロックチェーンは、決済も送金も安全・安価に行う仕組みとして機能するかもしれないからです。
仮に日本全体から紙幣や貨幣が消滅すれば、ATM設置費用も紙幣印刷費用も貨幣鋳造費用も節約できますし、警備コストも浮かせられます。
低コストで通貨を流通させる仕組みとして、日本銀行券に代わる決済手段となる可能性すらあると思いますし、極端な話、通貨の発行量を、日銀が直接、操作することができるようになるのです。
私は、現在の「暗号通貨」がそのまま10年後も生き残るとは思えないのですが、それでもブロックチェーンのテクノロジーについてはをうまく活用するチャンスではないかと考えているのです。
View Comments (4)
毎日の更新ありがとうございます。
タイムリーなネタですね、決済関係は昔とったきねづかなのでコメント申し上げます。
技術面でいいますと、新しい技術は、以前の技術より、安い、早い、安全である、環境に良いと
いったメリットがないと通常は、世の中の役に立たないので、普及しません。
ビットコインのマイニングによる消費電力は1t取引あたり国際カードブランドのVISAの60倍あるようです。
マイニングの消費電力はどのくらいか ビットコイン普及の課題
http://www.tottemoyasashiibitcoin.net/entry/2017/12/22/145159
決済センターや、国際ブランドの手数料が高いという文句はあっても
スピードや安全性での問題はほとんど聞いたことはなく、ましてや消費電力が
問題になった記憶は全くありません。
最近、奇跡的に暴落前にビットコインを売り抜けた上念司氏がビットコインは小豆のようなものという
名言をされています。 小豆相場の参加者はあんこを作りたいわけではなく、相場で儲けたいだけです。
一国の消費電力なみの電気を浪費して、小豆の台帳を大汗かいてみんなで計算しているのは滑稽というより悲劇に思えます。 現在の決済インフラは専用回線と電話回線時代のセンター処理を前提としたインフラなので、
大型ジェットとHUB空港のイメージです。ネット社会では、認定金融機関間のいわばクローズドブロックチェーンといった、分散処理と分散台帳はありえそうと思います。 小型機による直接乗り入れですね。その場合も、以前より安い、早い、安全が普及の前提となります。 一度普及したインフラを置き換えるのは相当なリプレスコストがかかるので、格段のメリットが必要です。 国が日本円の電子通貨化を法整備し推進するのが望ましい道かと思います。 テレビのデジタル化や通信回線の光化も国のビジョンと法整備があって達成できたと思います。
< 毎日の更新ありがとうございます。
< 暗号通貨自体、実態がないですね。いったいどこに保存したらいいでしょうか。また法定通貨ではないので、いちいち日本円などに替えなければならない。通貨と呼ぶのは疑問です。しかし日本銀行は、率先してブロックチェーンとしての研究は行なうべきでしょう。極端な話、日本銀行券に取って代わるかも知れない。ATMも無くなるかも。うんうん。でも、将来この暗号通貨が続くか、、、うーん分かりません(笑)。
< 失礼します。
仮想通貨とは、暗号そのものを通貨のように流通させようとした「通貨もどき」であり、バーチャル通貨とか空想通貨と表現するのが良いんじゃなかろうか。
暗号通貨と言い切ってしまうと、通貨と認めてしまうことになる。そんな気がする。
それより通貨でもなんでもないインターネット上の空想上のものとして、バーチャル通貨とか空想通貨とか妄想通貨という表現がピッタリ...と思うのですが、いかがでしょうか。
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仮想通貨はアメリカで発明したものとのこと。とすれば大型間接税(日本では消費税)逃れni(=税金ノガレに)
ドルとかユーロとかの本物の通貨を使わない B to B の決済用に考え出したのではなかろうか。違うか、アメリカじゃインターネットでB to B のやり取りは大型間接税(=消費税)非課税とのことだから。
....兎に角、仮想通貨に飛び付いたのが、支那人。
支那の紙屑通貨「元」の外国への持ち出しを制限された支那人が、支那にて大量の元でビットコインを購入し、アメリカでドルに交換して不正蓄財をドルで保存できた。← 個人の妄想です
(↑アメリカは早々に仮想通貨を規制した)
....ビットコインによる不正蓄財の国外持ち出しに気付いた支那共産党が、支那中の仮想通貨取引所を全て閉鎖した(共産党員が、不正蓄財を充分すぎるほどアメリカ・カナダ・オーストラリア・日本などに蓄財済みの後に閉鎖したんでしょうね)
こうして仮想通貨の最大取引国は、アメリカでも支那でもなく 仮想通貨に関する法整備を始めた日本になってしまったんでしょうね。
多少は暗号回りの知識を持つものです。
主様がおっしゃる通り、ブロックチェーンという考え方はかなりスゴイです。
これは、多数の市場参加者がいて、互いにチェーン交換をくりかえせば、仮にウソの更新を行ったチェーンがあったとしても、多数派にはなりえないので、それで正しさを担保できるという考え方です。
そのため、誰にも独占的なコントロール権を与えず(持たずに)に運用できるリクツです。
これ自体はシンプルな考え方なのですが、さすがにこれだけでは穴だらけなので、ここ数年でいろいろと裏を取るための機能が追加されたようです。(最近2年くらいの進化はトラッキングできてません)
なお、マイナーというのはメジャー/マイナーとは関係なくて、炭鉱とかの採掘士のことで、やたらと計算をさせてある条件に合致する数値を求めるものです。
ハッシュ関数というものを使うのですが、これは一方向性関数と呼ばれるもので、ある値からハッシュ値を計算するのは容易(ごく機械的にできる)のですが、その逆に求められた値から元の計算をするのは非常に面倒というものです(計算できないわけじゃないです)
わかりやすい例としては、素数の掛け算があります。
例えば、17*19=323ですが、323だけを与えられても元の式を得るのはかなり大変です。
ましてやこれが、100ケタとか200ケタの数値ということになると、元の値を求めるのは神業レベルになります。
マイナー(マイニング)というのはこれを行う作業になります。
基本的にはマイニングは除々に難しくなる(=計算量が多くなる)ように設計されています。
こうしておかないと、計算機の性能向上によりタダみたいなコストでコインが発行できてしまうためです。
一方、取引によって、チェインを追加するのはそれに比べれば微々たる労力で行えます。
とはいえ、この場合も各人の持つ鍵をベースにしてハッシュ値を求める(逆方向ではなく正方向)処理は必要になります。また、基本的には全ての取引履歴がついて回りますので、通信データ量は増え続けることが前提です。(古いデータを割愛する方式も開発されています)
ご参考まで。