本日2本目の配信です。逆説的ですが、現在の日本をより良くしているメディアとは、韓国メディアである「中央日報」の日本語版なのかもしれません。
目次
中央日報から日本が見える!
あぁ中央日報、わが「愛読紙」よ(笑)
私が「愛読」しているのは、韓国メディアでありながら日本語版ウェブサイトを持っている、「中央日報」日本語版です。
そして、中央日報には日本の大手メディアにない長所があります。それは、読者コメントを自由に寄せることができるという点です。
日本でも日経、読売、毎日、東京、産経などの主要全国紙がウェブサイトを運営していますが、これらのウェブサイトには、直接、コメントを打ちこみ、表示させるような機能がありません。いちおう、ツイッターなどのSNSと連携する機能はあるのですが、たとえば記事に対してどのような読者の反応があるのかをリアルタイムで知ることは困難です。
しかし、中央日報の場合、コメントを打つためには最初にツイッターなどのアカウントと連携させる必要はあるものの、その登録が済んでしまえば、それ以降はリアルタイムで記事の感想を書き込むこともできますし、書き込んだコメントは記事の末尾にどんどんと表示され、さらに他の読者が「推薦」「反対」という投票をすることまでできてしまうのです。
その意味で、日本の世論を醸成するのに役立っているメディアは、皮肉なことに、韓国メディアである中央日報なのではないかと思います。
もっとも、肝心の記事については、99%はまったく賛同できない代物ばかりであり、「ツッコミを入れながら読む」という「トンデモ本」に似た楽しみ方をするのが中央日報の特徴なのです。
いえいえ、日本は中国に「オールイン」してませんよ?
というわけで、中央日報には思わず「何でやねん!(※)」と突っ込みたくなる記事が豊富に掲載されています(※実は私は関西人です)。
そんな記事の1つが、これです。
「平昌出席」で支持率上昇した安倍氏が中国にオールインする理由とは(2018年01月29日16時06分付 中央日報日本語版より)
記事は日経の世論調査で安倍政権の支持率が55%になったという話題で始まり、平昌(へいしょう)冬季五輪開会式への安倍総理の出席を巡って「出席すべきだ」とする回答が55%となったこと、9月の自民党総裁選での安倍総理の支持率が35%でトップとなったことなどを紹介。
「このようにライバルを締め出し、はるか先を行く安倍首相が9月の総裁選挙戦を控えて特に注力している分野が外交、とりわけ中国との関係改善だ。」
と、いきなり話題が中国に転じます。
そして、次のように、日本に対するやっかみに満ちた文章が続きます。
「「地球儀外交」と呼ばれる大国外交を追求する日本は、外交での成果が政権の支持率に影響を与える相関図が韓国に比べて顕著だ。朝日新聞は、「安倍政権が関係改善に動いたのは、自民党総裁選や憲法改正に備えて政権浮揚を図る狙いがある」としながら「ロシアとの北方領土交渉や北朝鮮の拉致問題の展望が見通せない中、首相官邸は『次は中国』と対中外交重視に転換した」と分析した。自民党総裁選挙はもちろん、憲法改正という一生の事業を貫徹させるためには安倍内閣の支持率を引き上げておく必要があり、これのための手段として「対中国外交」を動員したというのだ。」(下線部は引用者による加工)
「大国外交を追求する日本」とか、「ロシアや北朝鮮の展望が見通せない」とか、こういった無駄に悪意に満ちた記載は、中央日報の大きな特徴です。
まるで安倍政権が窮地に陥っていて、起死回生の策として対中外交に打開策を求めたかのような記載ぶりですが、果たしてこれは正しいのでしょうか?
まったく成果のない日中会談というのも良い
ここで、日曜日の日中首脳会談をめぐって、外務省のウェブサイトで内容を確認してみると、前向きな話とは「日中首脳の往来を着実に進めていくこと」くらいしかなく、東シナ海、北朝鮮、邦人拘束事案などについて、目立った成果が出たようには見えません。
だいいち、河野外相と王毅(おう・き)外相が握手をする際、笑顔の河野外相に対し、王毅外相が無表情であること自体、今回の河野氏の訪中が、「お互いに言いたいことを言っただけ」だということを象徴しています。仮に、中央日報の報道が正しいならば、王毅氏は愛想笑いくらい浮かべていても良いものです。
ただし、王毅氏よりも共産党内の序列が上位にある楊潔篪(よう・けつち)中国国務委員との会談では、楊潔篪氏は笑顔になっているので、総論では友好、各論ではぶつかり合う部分が多い、というのが、現在の日中関係の方向性であると考えて良いでしょう。
そのように考えていくならば、性急な成果を求めず、まずは単純にぶつかり合うだけの日中関係というものも、悪いものではありません。
安倍総理は1月22日の施政方針演説のなかで、中国は「大局的な観点から、安定的に友好関係を発展させる」関係だと説きました。いわば、中国は価値を共有し得ない相手国ですが、いたずらに敵対するのではなく、利害が一致した部分ではむしろ積極的に協力するという関係であり、これこそが成熟した大国間の関係であるといえます。
いや、もっと砕けた表現を使えば、
「テーブルの上ではにこやかに握手をしながら、テーブルの下で相手の足を蹴っ飛ばす関係」
だと言い換えても良いでしょう。
その意味でも、先ほどの中央日報記事の「オールイン」というタイトルには、「韓国が中国に譲歩しまくっているから、日本も中国にオールインしていて欲しい」という、願望とやっかみが入り混じった悪意を感じてしまいます。
しかし、日本は自信を持って現在の路線を突き進んで良いということは、あらためて主張しておくべきでしょう。
脅されれば怖気づく国
さて、「謎の上から目線」で日本に接する韓国とは、どういう国なのか。
それがよくわかるのが、次の記事です。
「金剛山公演中止」 北朝鮮、夜遅く一方的に通知(2018年01月30日06時59分付 中央日報日本語版より)
金剛山(こんごうさん)で行われる予定だった「南北合同文化公演」が、昨夜、北朝鮮からの一方的な通知によりキャンセルされたというのです。
中央日報の孫引きですが、これについて韓国政府統一部は、
「北朝鮮が29日午後10時10分ごろ、2月4日に金剛山で行うことで合意していた南北合同文化公演を中止する(という内容の通知文を送付してきた)」
と明らかにした、というものです。
唐突かつ一方的なキャンセルは、中国や北朝鮮、韓国などにはありがちなことであり、別に驚くに値しません。
ただ、私が「感心」したのは、北朝鮮側の表現のうまさです。
「北朝鮮の公演中止の理由について、統一部は「北朝鮮は『韓国側メディアが平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)に関連し、北朝鮮が取っている真心込もった措置を冒とくするような世論を絶えず広めている』という理由を挙げた」とし「『北朝鮮内部の慶祝行事にまで言いがかりを付けている以上、合意した行事を取り消さざるを得ない』と言及した」と説明した。これは、最近、北朝鮮が平昌冬季五輪開幕式前日に建軍節を移動させて大規模な閲兵式を準備することが平昌五輪に水を差しかねないとする韓国メディアの批判に不満を表わしたものとみられる。」(下線部は引用者による加工)
さすが韓国と「同族」の国ですね。韓国に対する「脅し方」をよく理解しています。
分かりやすくいえば、韓国メディアに対して言い掛かりをつけたうえで、「お前たち南朝鮮(=韓国)側が誠意を示せ」、と、相手に対応を丸投げする形をとるのです。
言論封殺は共産圏や左翼の常套手段ですが、このような表現をすることによって、暗に韓国の政府、メディア関係者に対し、「北朝鮮を怒らせないように報道を自制しよう」と忖度(そんたく)する姿勢を取らせることができるのです。
その意味で、北朝鮮のこうした脅しには、文藝評論家の小川榮太郎さんに対して朝日新聞社が起こしているスラップ訴訟とも似たようなものがあります。
ただ、朝日新聞社に脅された小川榮太郎さんは敢然と戦うことを選びましたが、北朝鮮に脅された韓国は戦わずに屈してしまうのではないかと私は予想しています。
自ら戦う小川榮太郎さんを応援し、ともに朝日新聞社と戦おうとする人は増える一方ですが、仮に韓国が自ら戦うことを放棄したならば、全世界で韓国を応援し、ともに北朝鮮と戦おうとする国はなくなるに違いありません。
日本外交の脱皮の兆候
さて、中央日報の報道の中で、これについても取り上げておきたいと思います。
日本、落ち着いたふりをしていたが…「ティラーソン氏の慰安婦発言」の米国に結局抗議(2018年01月29日07時14分付 中央日報日本語版より)
この、タイトルの付け方自体で、日本に対する悪意を感じるのは私だけではないでしょう。
まるで「表面的には落ち着いているように見えるが、実は慌てて米国に抗議した」とでもいわんばかりの記事です。
しかし、実態はまったく違います。
まず、共同通信の元の記事を読んでみましょう。
政府、慰安婦巡る発言で米に懸念(2018.1.28 19:30付 共同通信より)
共同通信は
「ティラーソン米国務長官が今月16日の記者会見で、従軍慰安婦問題の解決に向け「なすべき事はまだある」と語ったことを問題視し、日本政府が米政府に懸念を伝えていた」(※下線部は引用者による加工)
と報じていますが、「抗議」とはヒトコトも書かれていません。
共同通信はつい先日も、配信済みの記事を改竄した疑いが持たれている(『新聞業界が生き残る方法』参照)など、共同通信という組織自体の記事の信憑性という問題はあります。
しかし、中央日報が共同通信の記事を引用する形で記事を執筆している以上、「懸念を伝えた」を「抗議の意向を伝えた」と捻じ曲げて報じることは許されません。
ついでに、記事そのものについても論評しておきましょう。
ティラーソン長官が発したと伝えられる
「(慰安婦問題をめぐり、両国が)なすべき事はまだある」
との発言は、日韓合意の精神をまったく無視したものだと受け取られかねないものです。
ただ、日本政府が米国政府に対し、きちんと言うべきことを言ったという意味では、日本外交が良い方向に脱皮し始めた兆候といえるでしょう。
その意味で、中央日報が悪意たっぷりに報じているということは、今回の記事が日本にとって良いニュースであるという証拠でもあるのです。
今後、ますます中央日報が日本に対するルサンチマンに満ちた記事を配信するようになれば、それだけ日本が良い方向に向かっている証拠だと見て良いでしょう。
View Comments (3)
< 本日も夕刊の発信ありがとうございます。
< 中央日報のコメント欄、私も利用しています。ただ、前ほど(昨年秋以前)は多くないです。理由は日報さんの記事自体が程度低すぎるから(笑)と、相手に利用されるだけだからです。オモロく、熱心にコメントされている方や、たまに「推薦」わずかで(自分一人でプッシュしてるのか)、「反対」が300ぐらいつくコメントもありますが、あれって煽り?同じHNが多いですね。
< 中央日報は「大国外交(韓国って大が好き。打ってても嫌になる。アンタは小だろが)を追及する日本」とか「ロシアや北朝鮮との展望が見通せない」なんて韓国紙には言われたくない!ほっといて欲しいし、穿った見方です。それを言うなら1年半前まで『韓国は地球地図の半分が版図になったニダ』なんてノーテンキな事書いてましたよね。あの勢いは何処に?(笑)
< 王外相は相変わらずムスッとした感じ、河野外務大臣(専用機のことも中央日報は記事にしてたな)は堂々と、また楊国務委員が出てくるとは、韓国の康長官とは雲泥の差です。仰る通り中国は油断大敵、一筋縄で行きませんが、今すぐケンカはマズイ。泥沼に嵌りこみます。握手で足蹴りあい(潜水艦追い出しなど)でいいと思います。
< 日本国は安倍首相も河野大臣も昔の方と違い、言いたいことを言う。言うべきことを言う。相手を慮って処遇するのは今の韓国。でも北や中国にはいいようにあしらわれてますな。ごくろうはんどす。
< 失礼します。
韓国は属国だった時代が長かったのか脅すと屈服していうことをきくという性質があるようだ。だから日本も韓国に対して強硬に言えば(言うだけで行動はしない)たぶん解決する問題が多いのではと感じる。最近の河野外相はいいね、アメリカにもピシッと言うし。しかも英語がぺらぺららしいから、相手とサシで話せるし。
去年、麻生川静男著『本当に悲惨な朝鮮史』(角川新書)という新書を読みましたが、これは本当にお勧めできる本です。元朝時代の高麗王朝に対する苛斂誅求の数々が述べられていますが、儒教的世界観の中で生きている朝鮮人を支配するには、これが実は最も良い方法なのだと感じました。
対等という関係を理解できず、常に自分を相手より上か下かに位置付ける思考から抜け出せない韓国・朝鮮人(ブログ主殿におかれては、親戚関係から実感がおありだと推察しますが)を、外国人が下手に人道的・温情的に取り扱うと「自分の方が立場が上だ」と韓国・朝鮮人は考えて、増長し、居丈高になります。現代の朝鮮学校が、日本の自治体に対して公金による補助を要求するのも、この一端です。だから、韓国・朝鮮人を支配するには徹底的に搾り上げ、虐げて精神的にも物理的にも反抗する力を奪うしかないのです。それでも、華夷秩序の中に生きる韓国・朝鮮人は決して中国人には逆らいません。現代の韓国大統領が、中国に臣下の礼を取るのも当然の話です。数千年もの間、続けて来ていて、習性となっているからです。
朝鮮総督府のやり方は、全く誤れる温情でした。法治政治や、教育、産業振興、紙幣発行(銅銭しかない李朝時代は、日本で言えば平安時代か鎌倉時代と同レベルであり、紙幣発行によって一気に20世紀にワープしたのです)などなど、日本の近代化政策は、朝鮮半島の住人を増長させるだけだったのです。徹底的に日本人化して、ハングルも朝鮮語も忘れさせ、身も心も皇国臣民にするだけの覚悟がなかったら、逆に中国とまでは行かなくても、英国やフランスのように、抵抗する者には無差別射撃を加えるくらいの徹底的な武断統治で臨むべきでした。その方が、むしろ実際の日本側の謝罪オンリーの戦後史にはならないで済んだでしょう。今からでも遅くないから、日本は韓国にも、北朝鮮にも、上から目線で接するべきなのです。この点だけは、中国を見習いましょう。