本日2本目の配信は、『一帯一路に条件付き協力』とする時事通信の虚報に関する話題です。
時事通信「一帯一路に条件付き協力」
衝撃的な見出しの記事、安倍政権が方針転換か!?
昨日、時事通信はこんなタイトルの記事を配信しました。
一帯一路、条件付き協力=「潜在力持つ」と評価-安倍首相(2017/06/05-20:37付 時事通信より)
時事通信の記事は非常に短く、前半と後半2つの文章で構成されています。このうち文章の前半部分は
「安倍晋三首相は5日夜、東京都内で講演し、中国が進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」について、透明で公正な調達や借り入れ国の財政への配慮が不可欠との認識を示した上で、日本として「協力していきたい」と表明した。」(太字下線は引用者加工、以下同様)
とあります。これがタイトルの「条件付き協力」の意味でしょう。次に、文章の後半部分では、
「首相は一帯一路について「洋の東西、その間にある多様な地域を結び付けるポテンシャル(潜在力)を持った構想だ」と指摘。その上で、「(日本が目指す)環太平洋の自由で公正な経済圏に、良質な形で融合していくことを期待する」とも語った。」
と記載されています。つまり、この記事を読んだ人のうち圧倒的多数が、あたかも安倍総理が従来の方針を変更し、
「一帯一路構想はポテンシャルを持った構想であり、透明で公正な調達や借入国の財政への配慮を前提として、日本としても積極的に参加していきたい」
と述べたかのような印象を抱いてしまいそうです。
では、安倍総理は実際にどのように発言したのでしょうか?
真相は「自由貿易の一環」
便利な時代になったもので、現代では時事通信の報道に疑問を持ったら、すぐに「原典」に当たることができてしまいます。そして、昨日の安倍総理の講演録は、首相官邸のウェブサイトにさっそく掲載されていました。
第23回国際交流会議「アジアの未来」晩餐会 安倍内閣総理大臣スピーチ(2017年6月5日付 首相官邸ウェブサイトより)
リンク先は、都内で開催された「アジアの未来」晩餐会(日本経済新聞社主催)に出席した安倍総理が行ったもので、ベトナムのグエン・スアン・フック首相、ラオスのトルトン首相ら東南アジア諸国の首脳も参加したものです。
時事通信が報じたと思しき部分は、次の下りです。
「今年はユーラシア大陸の地図に、画期的変化が起きました。/本年初めて、中国の義烏(ぎう)と英仏海峡を越えて英国とが貨物列車でつながりました。/一帯一路の構想は、洋の東西、そしてその間にある多様な地域を結びつけるポテンシャルをもった構想です。/インフラについては、国際社会で広く共有されている考え方があります。/まず、万人が利用できるよう開かれており、透明で公正な調達によって整備されることが重要です。/さらに、プロジェクトに経済性があり、そして、借入れをして整備する国にとって債務が返済可能で、財政の健全性が損なわれないことが不可欠であると私は考えます。/国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、一帯一路の構想は、環太平洋の自由で公正な経済圏に良質な形で融合していく、そして、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待しています。/日本としては、こうした観点からの協力をしていきたいと考えます。」
いかがでしょうか?この文章を読んで頂ければ、安倍総理が主張した内容は、むしろ時事通信の報道と真逆であり、私自身の責任で要約すれば、
「一帯一路構想はポテンシャルを持った構想ではあるものの、透明で公正な調達、プロジェクトの経済性などの観点から疑問もあるのが実情であるため、これに国際社会共通のルールを盛り込ませるよう、日本としても協力していく」
といったニュアンスであることがわかります。
つまり、安倍総理としては、「国際社会に対する説明」「プロジェクトの採算性」「融資の透明性」という、以前から要求してきた内容を繰り返しただけの話に過ぎず、あたかも安倍総理が方針を変更したかのような印象操作を行う時事通信の報道姿勢には、強い疑念を抱かざるを得ません。
大手メディアの印象操作も検証される時代に!
時事通信社といえども民間企業ですから、同社が「社の方針」として「中国大好き」を掲げることは否定しません。しかし、だからといって客観的な事実を歪めて報道して良いという話ではありません。そういえば、時事通信は以前も「日本がAIIB(中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」)に参加する」といった「虚報」を流した実績があります(詳しくは『成果に乏しい一帯一路フォーラムとメディアの「虚報」』あたりもご参照ください)。
私は、時事通信を初めとするマス・メディアが、このような印象操作ばかりしている限り、マス・メディアに対する国民の信頼性は、低下することはあっても上昇することは絶対にないと思います。その意味で、今回の時事通信の記事も、長い目で見れば、いわば「自分で自分の首を絞める」ような行為ではないかと思うのです。
時事通信社の猛省を期待します。
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お茶屋の幇間、関取という男芸者などと同じで、オーナーあるいはパトロンの気が向くような提灯記事しか書かない時事通信社。他のほとんどの新聞、テレビ、ラジオも同じです。もちろん一般市民には、この指とまれで、寄って来た奴だけ相手にする。寄って来ない奴にはありもしない デマを導く。およそ地方紙はこんなモノ買わされてるのか、と思うと気の毒だ。
しかし、安倍総理が一帯一路に条件付参加とかの見出しは一般スポーツ紙でもあるまいし、センセーショナル過ぎやしませんか?まるで首相が手のひら返しか、と思う内容でした。安倍首相が言わんとした事は、新宿会計士様の文言通り、AIIBはポテンシャルはあるものの、透明で公正な調達、プロジェクトの経済性の面からも『怪しい國への基金』と言えます。
成程ですねー。私なぞ日経新聞で読む情報が事実だと思ってしまっていますが、ちょっと一手間掛ければ検証出来るんですね。非常に興味深いです。そういえば2Fが此間AIIBに日本が入るとか行ってましたが、真相は違うんですね。ちなみに先生には釈迦に説法だと思いますが企業会計の世界では、開示が大事です。AIIBは決算の開示もなく、東証辺りの開示基準に照らしたら東芝並みの粉飾決算で上場廃止ですよ笑。そんな怪しい組織とは日本は、距離を置くべきです。
日本はADBがあるから、AIIBに出資する理由がない。お金があればADBに出資すればよいだけ。最悪なのが、AIIBがある国に投資したところ、投資したお金が回収できなくなったうえにその国がデフォルトになり、ADBの債務まで返済不能になること。