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「わざと」斜めに撮影して不安を覚えさせるテクニック

映像などの世界に、ダッチアングルという技法があるそうです。これは、あえてカメラを斜めに傾けて撮影し、画面内の水平を崩すことで、視聴者に心理的な不安定さや緊張感を与える映像演出の手法で、映像や画像が不自然に傾いていると視覚的ストレスを覚え、「『生理的な拒絶感』や『不信感』へと無意識のうちにすり替わってしまう」という効果を狙ったものだとされます。

影響力を喪失しつつあるオールドメディア

今月行われた衆議院議員総選挙では自民党が圧勝し、最大野党である中道改革連合が惨敗した件は、著者に言わせれば、時流の変化についていけなかった既得権益層―――とりわけ、左派を中心とする特定野党や新聞・テレビを中心とするオールドメディア―――の敗北だったと考えています。

これについては総選挙後の『自民圧勝というよりも腐敗利権の敗北とSNSの大勝利』でもさっそくに取り上げたとおり、その本質は、左派政党やオールドメディアのダブル・スタンダードぶりや国家観のなさ、あるいはレベルの低さに対する有権者の怒りだったのではないかと思います。

冷静に考えたら、改憲を阻止する勢力が国会から叩き出されたようなものです。見た目は自民党の圧勝かもしれませんが、冷静に中身を見ていくと中道改革連合を含めた左派政党の敗北であり、その左派政党を応援して来た腐敗利権勢力―――とくに官僚とメディア―――の敗北でもあります。そして、自民党は参院側で過半数を持っていませんが、高市早苗総理大臣にはまだまだ時間があることも事実です。自民圧勝/中道改革連合惨敗自民単独で3分の2うかがう勢いも!?まさに、地滑りという言葉がピタリと当てはまります。本稿執筆時点では自民党...
自民圧勝というよりも腐敗利権の敗北とSNSの大勝利 - 新宿会計士の政治経済評論

総務省のデータなどで見ても明らかですが、すでに昨今の世の中では、オールドメディアは利用時間で見て、SNSなどネットに勝てなくなりつつある(図表1)一方、新聞の発行部数も右肩下がりで、最近はつるべ落とし状態に近づいている(図表2)状態です。

図表1 平日のメディア利用時間(2024年)

図表2 新聞部数の推移

「支持率下げてやる」事件

実際、2024年頃から新聞、テレビの報道が選挙結果にあまり影響を与えられなくなってきましたが(たとえば2024年の兵庫県知事選などはその典型例でしょう)、こうしたメディア不信を招いたのは、じつはメディア自身でもります。

たとえば昨年の『「支持率下げてやる」発言を業界はどう考えているのか』などでも触れたとおり、高市早苗衆議院議員(現・総理大臣)が自民党総裁に選ばれた際のネット中継動画で、高市新総裁を待つメディア関係者らが「支持率下げてやる」などと軽口を叩いていたことが判明したことがあります。

そして、マスコミ、マスメディア業界(つまり「オールドメディア業界」)がなぜ信頼を失ったのかのヒントが、ここに詰まっています。

前提として、一部メディアは「報道という権力」を、自分たちにとって気に食わない政治家を不当に貶めるために悪用してきたフシがあり、ネット側では「オールドメディアが不適切な報道を繰り返してきたこと」に対する不信感が根強いことも間違いありません。

ついでにメディア業界に苦言を呈しておきましょう。

例の「支持率下げてやる」発言がネットで大炎上したときには、マスコミ・マスメディア業界を挙げて、こうした報道の在り方を否定しなければなりませんでした。それをやらなければ、一般国民から見てメディア報道は「やっぱり支持率を下げるために角度が付けられて歪んでいる」とする疑念を確信に変えるからです。

それなのに、マスコミ・マスメディア業界は、それをやりませんでした。

これは、いったい何を意味するのでしょうか。

情報はフローからストックに変わった

そもそも論ですが、著者が知る限り、日本新聞協会や民放連、あるいはNHKなどの組織は、このメディア関係者による「支持率下げてやる」発言を特段問題視せず、それどころか黙殺し、時が過ぎて読者・視聴者が本件を忘れるのをじっとやり過ごしているフシもあるのです。

しかし、ネットの出現によって、この「時が過ぎたら人々が忘れる」という現象が生じにくくなってきています。

ネットにより、情報はフローではなくストックの概念に変わったからです。

メディアや特定野党が過去に行った不祥事やダブル・スタンダード的振る舞いは、ネットでは深く記憶され続け、何かあるとすぐに「こんなことがあったよ」と指摘されてしまうのです。

少し余談ですが、中国政府が最近、SNSを使って日本の軍国主義を批判したりしているものの、こうした日本の批判はポストされたらその次の瞬間から、欧米の識者らによってことごとく論破され、場合によっては1989年の天安門事件の写真を貼られたりします。

ネットの出現でウソつきにとってはウソがつけなくなったことは間違いないといえるでしょう。

「ダッチアングル問題」巡る村上ゆかり氏の問題提起

さて、こうした状況にあるにも関わらず、最近だとテレビ局などが執拗(しつよう)に高市総理や高市内閣を貶めようとしているフシがあります。

そのひとつが、「見せ方」にあります。

前参議院議員の浜田聡氏の秘書を務めていた村上ゆかり氏といえば、Xで多くの人から支持・共感を受けているクリエイターとしても有名ですが、その村上氏が19日付で、かなり興味深い論考を発表しています。

そりゃ国民が愛想つかすよ…中道ではない、衆院選「本当の敗者」 海外と比べてもひどすぎる!焦りによる過剰演出の多用で信頼失墜「日本のテレビ会社の問題点」

―――2026/02/19 09:10付 Yahoo!ニュースより【みんかぶマガジン配信】

この村上氏の論考は全体が納得できる文章で構成されており、個人的に納得できた部分を引用するとなると、全文を本稿に転載しなければならなくなるほどです。もし興味がある方は、是非とも原文を直接お読みくださいますと幸いです。

ただ、本稿で注目しておきたいのは、こんなくだりです。

メディアはその信頼性低下による焦りで、新たな問題を引き起こしている。まさに昨今、SNSの一部で話題となっている『ダッチアングル』問題だ」。

「ダッチアングル問題」とは、なにか―――。

これは「あえてカメラを斜めに傾けて撮影し、画面内の水平を崩すことで、視聴者に心理的な不安定さや緊張感を与える映像演出の手法」です。

村上氏によると、私たちの脳には「視覚情報から無意識に『水平』を探し出し、空間の安定を確認しようとする性質」があるのですが、テレビが映し出している映像が不自然に傾いていると視覚的ストレスを覚え、「『生理的な拒絶感』や『不信感』へと無意識のうちにすり替わってしまう」というのです。

本当でしょうか?

ダッチアングル実証実験

実例を見てみましょう(図表3)。

図表3-1 財務省外観

図表3-2 財務省外観

(【出所】著者撮影)

これは、とある日に著者自身が撮影した財務省の外観です。わざと角度を付けて撮影した作品です(画像自体、撮影者は著者自身ですので、引用元である本記事のURLなどを記載していただければ引用も転載も自由です)。

たしかに、これを見ると不安定な心理状態になるかもしれません(題材に財務省を選定したのには特段の悪意はありません、たぶん)。妙な角度で写真を撮るだけで、相手に対する印象を悪くすることができるというのは、個人的には新鮮な衝撃です。

では、これのなにが問題なのでしょうか。

村上氏によると、この手法はここ数年、政治報道や報道番組でも「たびたび使われるようになっている」としており、具体的には最近も2月9日放送の民放番組で「高市総理の衆議院選勝利演説の映像が斜めの画角で映し出された事例」などが挙げられています。

しかもメディアの手法は、このダッチアングルだけではありません。

SNSなどを眺めていると多く観察される事例が、▼わざとピントを合わせない、▼手ブレで不安定さを強調する、▼被写体のブレ(モーションブラー)、▼不安定な構図―――などであり、とくに日本の放送局の事例は華人と思われる在米ジャーナリストからもその意図を指摘されたりしています。

控え目にいって危機感がなさ過ぎませんか?

いずれにせよ、こうした事例を見る限りは、日本のメディアが昨年の「支持率下げてやる」事件のインパクトをろくに研究しようともせず、それどころかこうやって印象操作を続けているのは、控えめに言って危機感がなさすぎます。

先般の選挙も単に野党や左派政党が負けただけでなく、その実態はメディア不信です。

人々がSNSを手にしたことで、オールドメディアの報道が信頼を失い、そのことがまずは投票行動に影響を与えた、というのが現在の実情を最も適切に描写しているのではないか―――。

そう思わざるを得ないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (15)

  • 時事通信の「高市総理の支持率を下げるような写真しか使わないぞ」発言は、このダッチアングルの写真しか使わないとの宣言だったのでしょうか。
    蛇足ですが、そのうち、ダッチアングルの写真をのせると、「カメラマンの腕が悪い」と言われるようになるのでしょうか。

    • >> ダッチアングルの写真をのせると、
      当該ギョーカイ内では『支持率下げてやる画像が撮れる有能なカメラマン』の評価が貰えるのでしょう。

  •  ダッチアングルと言えば、原発事故の時に汚染水が海に流れ込むかどうかと言うとき、カメラを45度傾けて海側が高くなるように報道したNHKのニュースを思い出します。
     何処かからの圧力なのか忖度なのか、それが許されるなら公平な報道など実際には存在しないのだと思い知らされました。それ以来マスメディアの報道は、首を傾げながら見て水平に補正するようにしています。

  • 姑息ですねえ~。

    そのうちに、高市早苗という紙面やテロップには、ホラー系のフォントを使い始めるかもしれませんね。

    照明やSE(サウンドエフェクト)もそうかな。
    お岩さんが登場したら、
    足元からの上向き点光源で、
    ヒュ~ドロドロ系の音楽を合わせる演出が定番ですが、そういう手法も投入してきそうですね。

    ほんと、公共の仕事をしてるという意識がカケラもない人たちみたいですね。

  • 視聴者は知らないとバカにしてるんでしょう。
    自分下げになってるのに気が付かない。
    はたしてバカはどちらでしょう。

  • こういう単純なやり方は、モノを自分で考えなくなった人間には効果的なんですよね。
    だから、オールドメディアはこれらのやり方を今後も続けるでしょう。

  • “メディア人の勘違い特権意識”が“オールドメディア業界を包摂する特権幻想”を造り上げ、昨今の退潮に触れ“現実から目を逸らしかつて編んだ幻”にある者は逃げ込みまたある者は取り込まれたまま“朽ゆくヨルベ”と運命を共にせんとす…かしら?
    まぁ知らんけど

  • 「角度をつけた報道」って、写真に角度がついた報道のことだったんですね〜なるほどなるほど〜。

    山田くん、オールドメディアさんの座布団3枚持ってっちゃって〜。

  • おぎのきんしろう、と言う元中の人であった方が、諸々の偏向報道技術を動画サイトで説明されています。おぎのきんしろう【報道の裏側】というサイトです。実に色々な技術があり職人の世界だなぁと感心する程です。
    正に今回のネタであるダッチロールも取り上げておられます。
    一聴に値します。

    • そういえば、先日実母のところに訪問した時に出た衆院選の話しで聞かされた内容の中に、「中道の斎藤さんは優しそうないい人」「高市さんは目つきが悪い怖い人」と言っていました。
      コレ。正に印象操作されたTV番組の成果なのでしょう。

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