中道改革連合の支持層が高齢層に極端に偏っているとする複数の調査が出て来ました。そういえば、総務省などの調査でも、新聞、テレビというオールドメディアの利用者は高齢層に極端に偏っていたことを思い出しますが、やはり大きな要因としては民意がSNSで自律的に形成される時代が到来した結果、「左派政党」なるもの、あるいは「オールドメディア的」が人々から忌避されるようになった、というものがあるように思えてなりません。
目次
ネットは顔が見えない:説得力で勝負するしかない
長くウェブ評論サイトを運営していると、さまざまな現象に行き当たります。
当ウェブサイトを立ち上げた2016年ごろといえば、まだまだ新聞やテレビの社会的な影響力が大きく、新聞やテレビが「疑惑追及報道」などを仕掛ければ、それによって有権者の投票行動に影響を与える、といったことがよく見られました。
ただ、当ウェブサイトを開始してからの10年弱に関していえば、徐々に新聞やテレビが影響力を喪失し、いつしか彼らは「オールドメディア」などと呼ばれるようになっただけでなく、彼らが不適切報道を行った場合、それが証拠付きであっという間に拡散されるようになったのです。
まさに「炎上」と呼ぶべきでしょうか。
なぜこんな「炎上」が頻発するようになったのかといえば、やはりその最大の原因はインターネット環境が社会のすみずみにまで普及し、人々がオールドメディアに依存しなくても情報の収集と発信ができるようになったことにあります。
ネットの世界は顔が見えませんので、ネット上で発信されている情報は「誰が発信しているか」ではなく、「何を言っているか」で判断されます。
言い換えれば、ネット上で発言するときは、いい加減な内容ではなく、理論的かつわかりやすく書かなければならず、また、発言が批判されたときにはちゃんと反論できなければなりません。これが情報の双方向性です。
古くは匿名掲示板時代からの「レスバ文化」
じつは、「レスバ」(レスバトル)というネット・スラングからもわかるとおり、少なくない日本国民は、某匿名掲示板の時代から、ネットを使った議論には慣れていました。議論の場が『2ちゃんねる』からXに移ったのに加え、ネット人口が急増したことで、国民がすべて議論に参加する時代が到来したのです。
そうなると、限られた情報発信者が自分勝手な理論を展開するだけだった新聞・テレビの存在が否定されるようになるのも時間の問題だったのでしょう。
そして、新聞やテレビが有権者の投票行動に影響を与えて来た時代が、おそらく2024年頃を境に、急に終了しました。
想像するに、水面下ではオールドメディアの影響力はそれまでも低下していたのですが、SNSの影響力上昇が顕在化したのがちょうど2024年頃で、同年行われた衆院選や兵庫県知事選で、メディアがあまり注目していなかった、あるいは好意的に取り上げて来なかった政党や候補などが躍進・当選するようになったのです。
この傾向は2025年の東京都議選や参院選でも続き、今年に入って行われた衆院選では、高市早苗総理大臣が率いる自民党が3分の2超の議席を得るという空前の勝利を収めたのです。
とくに今年の衆院選については『衆院選はSNS時代本格化と護憲リベラル拒絶感の表れ』でも取り上げたとおり、著者としては(自民党勝利という側面よりも)単純に「護憲リベラル」的なもの、あるいはオールドメディア的なものが、有権者から燃やされたものだと考えています。
| 大企業応援の政治から脱却し、アメリカ言いなりをやめ、外交の力で平和な日本とアジアを作る。安保法制を廃止し、憲法9条を守り抜き、改憲策動を許さない―――。これは、今回の選挙で勢力を8議席から4議席へと半減させた日本共産党の公約です。この手の勢力(便宜上「リベラル護憲」とでも称します)が選挙を経るたびに得票を減らして来たことを踏まえると、今回の選挙での中道改革連の惨敗も、結局はリベラル護憲的な考え方がSNS層から拒絶されたという仮説が導き出せるのです。中革連は自民党の5%未満中道改革連は辛うじて最大... 衆院選はSNS時代本格化と護憲リベラル拒絶感の表れ - 新宿会計士の政治経済評論 |
オールドメディア利用者は高齢者に極端に偏る
当然、今回は圧勝した自民党だって安穏とできないわけですが、それ以上に、立憲民主党改め中道改革連合に象徴される「オールドメディア的なもの」が不可逆的に惨敗したのが、今回の選挙だったのではないかと思うのです。
実際、総務省の調査によると若年層ほどオールドメディアよりもネット利用時間が長く、とりわけ2024年時点では10代から40代はオールドメディア利用時間(テレビ視聴時間、新聞・雑誌購読時間の合計)がネット利用時間を下回っていることがわかります(図表1)。
図表1 平日のメディア利用時間(2024年)
同じ調査だと、2013年時点ではまだまだオールドメディアは影響力が大きく、2013年の時点では10代と20代で辛うじてネット利用時間がオールドメディア利用時間と近接していたものの、30代以上だとネットはオールドメディアの後塵を拝していたことがわかります(図表2)。
図表2 平日のメディア利用時間(2013年)
もちろん、メディアの影響力を「接する時間」だけで測れるものではありませんが、それでもこうした調査からもわかるとおり、やはり最近では、明らかにオールドメディアの影響力が低下しているのです。
あくまでも予想ですが、(もし今年も同様の調査が公表されるとしたら)2025年は50代でも両者の逆転が生じ、さらに参院選が行われるであろう2028年には60代においても、ネット利用時間が伸び、オールドメディア利用時間がさらに短くなるのではないかと考えています。
中道改革連合支持者の5割超が70歳以上
さて、この状況も踏まえつつ、本稿で取り上げておきたい話題がもうひとつあります。
中道、「支持」回答の5割超が「70歳以上」 小川新代表選出も「変わらない」が8割超
―――2026/02/16 21:52付 Yahoo!ニュースより【産経新聞配信】
産経が配信した記事によると、産経・FNN合同世論調査で中道改革連合を支持すると回答した人の過半数が70歳以上であったのに対し、40代以下は全体の20%にも満たなかったのだそうです。
産経・FNN調査による中道改革連支持率
- 70歳以上…52.5%
- 60代…11.8%
- 50代…20.8%
- 40代…*4.9%
- 30代…*4.1%
- 18~29歳…5.9%
ただ、それ以上に興味深いのが、弁護士でジャーナリストでもある楊井人文氏のエキスパート・コメントです。
楊井氏はNHKと朝日新聞の2つの調査をもとに、今般の産経・FNNの調査(2月14〜15日、有効回答1008)と「同じような傾向を示している」と指摘しているのです。
NHK調査(2月13〜15日、有効回答1188)
- 18〜39歳 0.7%
- 40〜49歳 3.7%
- 50〜59歳 5.1%
- 60〜69歳 12.1%
- 70〜79歳 11.8%
- 80歳以上 11.3%
朝日新聞調査(2月14〜15日、有効回答1226)
- 18〜29歳 0%
- 30〜39歳 3%
- 40〜49歳 3%
- 50〜59歳 7%
- 60〜69歳 5%
- 70歳以上 14%
楊井氏が引用しているのはおそらく年齢別政党支持率データだと思います。
データの種別は違いますが、それでも中道改革連合の支持率が若年層で極端に低いことは確認できます。
オールドメディア的なものが衰退するのは当然
こうした調査をもって、楊井氏は「中道の支持層が高齢者に偏重している可能性が高い」と述べているのですが、これはまことに興味深いところです。
『衆院選はSNS時代本格化と護憲リベラル拒絶感の表れ』でも述べたとおり、当ウェブサイトとしては、「新聞・テレビが世論への支配力を失ったこと」が今回の選挙で「左派的な政党」の惨敗につながったと考えている次第ですが、たしかにこうした仮説を置くと、さまざまな現象がスッキリと説明できることは間違いありません。
いずれにせよ、この傾向は不可逆的なものであり、今後さらに進むことはあっても戻ることはないでしょう。
一部左派メディアや左派政党などが主張する「護憲論」の非現実さもさることながら、自分たちの思う結果にならなかったからといって「それは本来の民意ではない」、「単なるポピュリズムだ」、などと投票結果を否定するような言動を取れば、ますます呆れられるだけではないか、という気がしてなりません。
今般の自民党の躍進には「サナエ旋風」という側面もあるのかもしれませんが、より大きな要因としては民意がSNSで自律的に形成される時代が到来した結果、「左派政党」なるもの、あるいは「オールドメディア的」が人々から忌避されるようになったに過ぎないのではないでしょうか。
いずれにせよ、私たちがいま、大変大きな時代の転換点にいることだけは間違いないといえるでしょう。
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関東圏のサ高住に住む実母に一昨日話ししました。
行事の無い日の日中はTVをつけっぱなし。番組表の確認して録画する為に購読している新聞は購読料の安い東京新聞。という環境下で生活しています。
なので、車中で聞いた発言を抜粋するとこんな感じ。
選挙当日の午前は雪だったので投票しなかった。午後に雪は止んだが転倒が怖いので投票は諦めた
一生懸命やっているのに落選して中道の人達が可哀想
こんな事になってしまうのなら無理しても投票に行けばよかった
中道の斎藤さんは優しい感じで良かった
高市さんは目つきが怖い
この先どうなるのか不安
…。
ワタシは安全運転に専念しておりました…。
自民党の圧勝には、雪も貢献していたのですね。
日本は、桜田門外の変、226事件と、政変には雪が降ります・・。
島田裕巳氏の
『創価学会消滅が意味するものは何か?』
https://note.com/nice_tulip662/n/nf10352e37dc9
て論考interestやったス
PLとかも退潮著しい通り越してるげに見えるし、久々に通ったほんみち本部前も雰囲気違てたし、まあそーゆーこっかな?とも
知らんけど
若者は政治に興味がない!と「レッテル張り」してましたが、若い世代の方がウクライナとかの現実を見ているという。
"政治"に興味が無いのではなく、"政争"に興味が無いのだろうと考えて(感じて)います。逆に、私より上の世代では政治のことを「席の取り合い」「騙し合い」といった政争中心の捉え方をしていると感じることが多々。
ウクライナにしても日本周辺にしても、専門誌にしか情報が無いだとか理解に専門知識が必要とかというわけでもなく、単なる情報、興味の一部として触れられる環境ですから。小難しい政治というよりは"ただの現実"なんですよね。同様に、物価高も安全保障も経済も諸問題全て"ただの現実"です。ただの現実を視ている時に、非若者の浮世離れした議員が支離滅裂なことをさも若者達の代弁者かのように叫んでいる。そりゃシラけます。そして、シラけたからといって即政治に絶望して無関心になるほど愚かではない。
レッテル貼りする側とレベルの差が広がっていく一方に感じます。若手芸人に論破されるラサール石井氏などを見ていると悲しくなるほどに。(同世代諸兄を氏と同一視する意図は絶対に全く一切ございません。)そこらへんも考えると、"支持が高齢に偏っている"事よりも、"若年に全く支持されない"事こそが致命的ですね、あの所属政党名がもうよくわからない方々は。
農民様
昔週刊現代だかポストだかに「票田のトラクター」なる政局漫画が連載されていたのを思い出しました。確か「政治」漫画と称していましたが。
まだ若かった私は、「ええ歳した大人が『政治』をこのレベルでしか見ていないのかい」と思いましたが、今も中革派を支持する層はあれこそが政治と思っているのでしょう。
調べてもちょっと今購読しようという気にはならない作品ですね。当時そうだったかもしれない、くらいの資料にはなるかもしれませんが。
検索を辿っていくと、データ分析がお得意と仰る政治家の方がこの作品を現在の「政治とカネ」とやらと結びつけるデータが迷子(言ってみれば軸が全く変質した後でデータとやらを等価値の値として扱うかのよう)な無茶なポストと、さらに辿ると「保育園落ちた日本死ね」は世を動かしたなどとのたまうポストに行き当たり、結構ゲンナリいたしました。
まだまだ嘘吐きのデータ、政党ロンダリング、手柄背乗り等々で"政争"を続ける連中は絶えないようです。
せっかくコロナ禍があったのに…
ワタクシ、70代のオールドエイジでございます。
振り返ってみますれば、小中高と、教壇に立った先生方はほとんど日教組の組合員でした。その学習環境の中で教育を受けた生徒たちが、学生運動に染まっていきました。
世の中のニュース、政策などは新聞やテレビ・ラジオといったマスコミからしか受け取ることはできませんでした。そのマスコミは学生運動の支持者(実践者は実社会になじめない)の食っていくための大切な就職先でした。マスコミに就職できるほど賢くないワタクシは、マスコミは善良な日本へと導くオピニオンリーダーであり、社会の木鐸であり、政治的中立な報道をしているといううたい文句を頭から信じておりました。
月日は流れ…
本ブログを読み、そうか、中核支持者は70代が多いのか。
ワシャ違うけど、それはインターネットの世界を知り、新聞を辞め、NHKを解約し洗脳がとけたからなんだろうな、と。