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「最大野党」が非自民の受け皿とは限らない時代が来た

自民党が参院選で大敗したことは事実ですが、それでは参院選で勝ったのはどこの政党だったのかといわれると、最大野党の立憲民主党ではなさそうです。立憲民主党は(見方によっては)むしろ改選前より実質的な議席を減らしたとの評価もできるからです。そして、躍進したのは今回は国民民主党と参政党でしたが、それは今回の話であり、未来永劫これらの政党が躍進し続けるというものでもないでしょう。選挙結果を受けて、政党も変化する時代となったからです。いや、変化しなければ次の選挙で叩き落されるのみです。

惨敗したのは自民だけでなかった!

自民党は過去最悪レベルの惨敗に

参院選後、当ウェブサイトではどうしても石破茂首相の去就に関する話題ばかり追いかけているフシがありますが、冷静に考えると、この参院選の「意味」については、まだ深く考察していませんでした。

参院選の結果自体はすでに『参院選は有権者の絶妙な采配結果』でも取り上げたとおり、結論的にいえば、自民党は「公明党と合わせて50議席」という目標を達成できませんでした。獲得議席数は39議席と、2007年の37議席よりは多少マシだったものの、やはり史上最悪レベルの惨敗です。

著者自身が保持している2007年以降のデータを並べてみると、こんな具合です。

参議院議員通常選挙・獲得議席数(自由民主党)
  • 2007年…37議席(選挙区23+比例代表14)
  • 2010年…51議席(選挙区39+比例代表12)
  • 2013年…65議席(選挙区47+比例代表18)
  • 2016年…55議席(選挙区36+比例代表19)
  • 2019年…57議席(選挙区38+比例代表19)
  • 2022年…63議席(選挙区45+比例代表18)
  • 2025年…39議席(選挙区27+比例代表12)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

比例代表12議席というのは2010年と並んで過去最低ですし、選挙区で27議席についても、2007年と比べて幾分かマシだったものの、やはり史上最悪レベルだったといわざるを得ません。とくに63議席を獲得した2022年と比べると、たった3年で24議席も減らしたというのは深刻です。

いったいどれだけ、自民党が有権者から嫌われていたというのでしょうか。

前回の自民惨敗時と今回の最大の違いは「最大野党のズッコケ」

ただ、本稿の目的は、自民党の惨敗ぶりを論(あげつら)うことにはありません。

じつは、今回の選挙結果からは、大変大きな「地殻変動」が浮かび上がるのです。

そのことがわかるのが、「最大野党」の動きです。

もういちど、2007年の選挙に注目してみましょう。

2007年参議院議員通常選挙
  • 民主…60議席(選挙区40+比例代表20)
  • 自民…37議席(選挙区23+比例代表14)
  • 公明…*9議席(選挙区*2+比例代表*7)
  • 無所…*7議席(選挙区*7+比例代表*0)
  • 共産…*3議席(選挙区*0+比例代表*3)
  • 国新…*2議席(選挙区*1+比例代表*1)
  • 社民…*2議席(選挙区*0+比例代表*2)
  • 新日…*1議席(選挙区*0+比例代表*1)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成)

2007年は自民党が37議席という過去最低レベルの惨敗を喫した回ですが、このときに当時の最大野党だった民主党は60議席と自民党を23議席も上回る勢力を獲得して圧勝しています。

これに対し、今回の選挙は、どうでしょうか。

2025年参議院議員通常選挙
  • 自民…39議席(選挙区27+比例代表12)
  • 立民…22議席(選挙区*15+比例代表7)
  • 国民…17議席(選挙区*10+比例代表7)
  • 参政…14議席(選挙区*7+比例代表*7)
  • 公明…*8議席(選挙区*4+比例代表*4)
  • 無所…*8議席(選挙区*8+比例代表*0)
  • 維新…*7議席(選挙区*3+比例代表*4)
  • 共産…*3議席(選挙区*1+比例代表*2)
  • れ新…*3議席(選挙区*0+比例代表*3)
  • 保守…*2議席(選挙区*0+比例代表*2)
  • 社民…*1議席(選挙区*0+比例代表*1)
  • 未来…*1議席(選挙区*0+比例代表*1)

(【出所】報道)

この2つの結果を並べて気づくのは、そう、「最大野党のズッコケ」です。

社会保険料の恨み?

現時点ではまだ総務省のデータが公表されていないので、あくまでも報道ベースですが、最大野党である立憲民主党は22議席と、自民党を上回るどころか17議席も下回っています。しかも、このうちの1議席は任期が半分の3年ですので、いわば「21.5議席」のようなものです。

そして、ちなみに同党の改選数は22議席であり、今回の選挙によって議席は増えなかったばかりか(意地悪な比喩表現ですが)むしろ0.5議席減ったわけですから、「最大野党」としての立憲民主党は、むしろ大敗北であるといえます。

(※ただし、選挙後の追加公認を考慮すれば、0.5議席増だ、という言い方もできますが…。)

つまり、2007年と25年を比べると、自民党が大きく負けたという意味ではよく似ているのですが、最大野党が自民党を上回る議席を獲得できたかどうか、という点においては極めて大きな違いがあるのです。

その意味では、今回の参院選の最大の敗者が自民党であることは間違いないにせよ、最大野党である立憲民主党も「敗者」という意味では自民党と五十歩百歩なのかもしれません。最大政党にあれだけの逆風が吹いたにもかかわらず、まったく議席を伸ばせなかったからです。

立憲民主党がここまで敗北した理由は、著者に言わせれば、例の「年金流用法案」の影響が大きいのではないかと思います。

これは、厚生年金加入者やその雇用者が支払った保険料を原資とした積立金の一部を、結果的に国民年金加入者の年金給付額底上げに流用するというものであり、あわせて厚生年金保険料の上限負担引き上げや「年収106万円の壁撤去」による社会保険強制加入対象者拡大などが盛り込まれたものです。

自民党・石破茂政権ですら手を付けなかったこの社会保障制度改定が、立憲民主党の賛同を得て一気に衆参両院を可決したことで、少なくない有権者の恨みが立憲民主党にも向かった、といった説明は、さほど不自然なものではないでしょう。

立憲民主が「受け皿」にならなくなった!

ただ、それ以上に気になるのは、立憲民主党が自民党を嫌気した有権者の「受け皿」になっていない、という点です。自民党のみならず、「自民党と立憲民主党以外」が選択肢となった格好です(今回の選挙だと後述する通り、国民民主党と参政党です)。

参議院議員通常選挙・獲得議席数(立憲民主党)
  • 2019年…17議席(選挙区*9+比例代表8)
  • 2022年…16議席(選挙区*9+比例代表7)
  • 2025年…22議席(選挙区15+比例代表7)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

そして、逆にもし自民党に再び大きな風が吹き、2010年のときのように、あるいは2013年、16年、19年の安倍総理のころのように自民党がある程度勝てるようになれば、立憲民主党は埋没し、さらに議席を減らすことになりかねません。

勝者と敗者を決めたもの

公明党と共産党は「組織としての寿命」?

この立憲民主党と同じ文脈で「敗者」を探すならば、今回の獲得勢力が8議席に留まった公明党と3議席に留まった日本共産党、あるいは前回より1議席増やしたものの、獲得勢力が7議席に過ぎなかった日本維新の会もまた「敗者」といえるかもしれません。

たとえば公明党は、2013年から22年にかけての4回の選挙では常に2ケタ台の議席を取っていましたが、今回は8議席にとどまり、これは総務省データが存在する2007年以来で見て最低です。

参議院議員通常選挙・獲得議席数(公明党)
  • 2007年…*9議席(選挙区2+比例代表7)
  • 2010年…*9議席(選挙区3+比例代表6)
  • 2013年…11議席(選挙区4+比例代表7)
  • 2016年…14議席(選挙区7+比例代表7)
  • 2019年…14議席(選挙区7+比例代表7)
  • 2022年…13議席(選挙区7+比例代表6)
  • 2025年…*8議席(選挙区4+比例代表4)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

同じく日本共産党も、2013年に8議席を獲得したのが同党にとってのピークで、2025年はたった3議席の獲得にとどまり、しかも比例代表に至ってはたったの2議席でした(意外なことに、2007年と10年に関しても今回と同じ3議席でしたが、それでも比例で3議席を獲得しています)。

参議院議員通常選挙・獲得議席数(日本共産党)
  • 2007年…3議席(選挙区0+比例代表3)
  • 2010年…3議席(選挙区0+比例代表3)
  • 2013年…8議席(選挙区3+比例代表5)
  • 2016年…6議席(選挙区1+比例代表5)
  • 2019年…7議席(選挙区3+比例代表4)
  • 2022年…4議席(選挙区1+比例代表3)
  • 2025年…3議席(選挙区1+比例代表2)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

公明党と日本共産党の2党の場合は、(これも著者自身の私見で恐縮ですが)「政党としての寿命」ではないかと思います。両党ともに獲得議席数が選挙を経るたびに減っているフシがあるからです(※ただし、前述の通り、今回選挙の公式版得票数データはまだ入手できていませんが…)。

日本維新の会も低調…減税潰しが効いたのか

しかし、公明、共産と比べて比較的若く、一時は立憲民主を上回る政党支持率を記録したこともある日本維新の会については、どうでしょうか。

参議院議員通常選挙・獲得議席数(日本維新の会)
  • 2013年…*8議席(選挙区2+比例代表6)
  • 2016年…データなし
  • 2019年…10議席(選挙区5+比例代表5)
  • 2022年…12議席(選挙区4+比例代表8)
  • 2025年…*7議席(選挙区3+比例代表4)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

維新派2019年、22年の2回の選挙でそれぞれ2ケタ台の議席を得ていましたが、今回の獲得議席は7議席に留まりました(※ただし改選直前と比べれば勢力は1議席増えていますが…)。

維新が伸び悩んだ理由も、著者自身の私見で恐縮ですが、端的にいえば「減税潰し」ではないでしょうか。

日本維新の会が推進した「高校無償化」(※正しくは「高校税負担化」)を実現するのと引き換えに、維新が2025年度の予算案に賛成したことで、少なくない有権者が期待したであろう「基礎控除一律75万円引き上げ」が叩き潰された格好となったのです。

(その意味では、今年3月の当ウェブサイトの『党員減少は「カネの恨み」?これから始まる本当の恐怖』あたりは、図らずも予言の書としては結果的に正確な記事だったといえそうです。)

なお、改選1議席を失ったNHK党も「敗者」は「敗者」ですが、同党の比例候補である浜田聡氏は全国比例で全候補者中7番目の得票数だったとの話もあるなど、NHK党(というか、浜田氏)が本当の意味で「敗者」といえるのかは微妙です。

浜田氏といえば省庁別の有識者会議の数を数え上げて自身のブログで公表するなど、地味に官僚が嫌がる政治活動を行っている人物ですが、あくまでも個人的には、彼のように「官僚が嫌がることをする」のは国民の代表者たる国会議員として正しいといわざるを得ないと思う次第です。

(今だから明かしますが、著者自身が参院選前に各政党の公約集を読み比べ、最も深く同意できたのがNHK党のものだったことについては指摘しておきたいと思います。また、これについてはもし余裕があればどこか別稿で詳しく触れても良いと思っています。)

明確な勝者①国民民主党

さて、その一方で、選挙では毎回ほぼ同じ数の議員が選ばれることを思い出しておきましょう(※とっても細かい話ですが、今回は東京選挙区1議席分の補選を兼ねていたため2022年と比べ選出される議員数は1人多い125人でした)。

ということは、敗者がいれば、勝者もいる、ということです。

今回の「明確な勝者」は、議席を大きく積み増した国民民主党と参政党、参院で初議席を獲得した日本保守党(2議席)とチームみらい(1議席)の4政党です(※なお、社民党とれいわ新選組は前回並みの議席を獲得してはいますが、本稿では議論そのものを割愛します)。

このうちとくに触れておきたいのが国民民主党と参政党です。

国民民主党は(法人格的には2020年以前とそれ以後で別物だそうですが)2019年の6議席、22年の5議席と比べ、今回はいきなり17議席と大躍進しました。

参議院議員通常選挙・獲得議席数(国民民主党)
  • 2019年…*6議席(選挙区*3+比例代表3)
  • 2022年…*5議席(選挙区*2+比例代表3)
  • 2025年…17議席(選挙区10+比例代表7)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

ただ、国民民主党はすでに昨年秋の衆院選で勢力をいきなり28議席に増やしており(選挙前勢力7議席と比べ4倍増、ただしその後1人が離党)、その意味で、参院選での躍進の土壌は十分にあったといえます。

衆議院議員総選挙・獲得議席数(国民民主党)
  • 2021年…11議席(選挙区*6+比例代表*5)
  • 2024年…28議席(選挙区11+比例代表17)

(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果』を参考に作成)

この点、28議席でも大したものと言えるかもしれませんが、ただ、衆院は定数が465議席で、衆院総選挙ではその全議席が争われるため、この465議席中の28議席といえば改選議席数の6%に過ぎません。

しかし、参院通常選は定数248議席のうち改選されるのは半数の124議席であり、その124議席のうちの17議席といえば、最大野党である立憲民主党の22議席に迫るだけでなく、改選議席数全体の14%弱にも相当します。

まさに大躍進そのものでしょう。

明確な勝者②参政党

国民民主党は、しかし、本来であればもっと伸びてもしかるべきだったのかもしれませんが、これが17議席にとどまったのは、やはり同党の比例候補者に大きな問題があったからでしょう。「幕の内弁当」に毒物が混じっていれば、それを食べるわけにはいきません(『問題候補いるなら…その党のあらゆる比例候補を避けよ』参照)。

逆に、幕の内弁当に毒を混ぜた状態で、よくぞここまで挽回したものだと思います。

やはり同党の「手取りを増やす」が少なくない有権者に受け入れられた証拠でしょう(※ただし、同党が「手取りを増やす」を公約に掲げているからといって、同党が「手取りを増やす」を実現できるのかどうかについてはまた別の問題ですが、この点については機会を見て別稿で説明したいと思います)。

その一方で、やはり今回の参院選における「台風の目」といえば、参政党でしょう。

国政選挙・獲得議席数(参政党)
  • 2022年参院通常選挙…*1議席(選挙区0+比例代表1)
  • 2024年衆院総選挙…*3議席(小選挙区0+比例代表3)
  • 2025年参院通常選挙…14議席(選挙区7+比例代表7)

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』、『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果』を参考に作成。ただし2025年に関しては報道ベース)

参政党は2022年参院選で比例代表で党代表の神谷宗幣氏が1人当選したに過ぎませんでしたが、昨年の衆院選では(選挙区の当選者こそゼロだったにせよ)比例で一気に3議席を獲得。

ここから一気に14議席を得ており、しかも一般に新興政党に有利とされる比例代表での7議席に加え、選挙区でもいきなり7議席を得ました。これはシンプルに凄いことです。

ただ、ここで「いきなり」と書いたのは、やや語弊があります。

おそらく参政党は(主張内容のメチャクチャさはさておき)政党としての体裁をちゃんと整え、地方議会で着実に議員を誕生させるなど実績を積んでおり、今回の躍進も(国民民主党の「毒入り幕の内弁当」による自爆もあったにせよ)「非自民、非立民」の票をしっかりと集めたことがその大きな要因だったのではないでしょうか。

著者自身は普段から述べている通り、わが国は税金や社会保険料が高すぎると考えており、また、とくにミドルインカム層以上は、自身が払った税金と社会保険料に見合った給付をまったく受けられていないとも考えています。こうした不満が鬱積し、限界点を超えたのが今回の選挙だったのではないでしょうか。

政治の世界では実務能力が最も大事

ただ、国民民主党と参政党の両党に対して、やや厳しいことを述べておくと、両党が伸びたのはおそらく、自民党に対する失望票をたまたまうまく取り込んだからに過ぎず、未来永劫、両党が支持され続けるとは限らない、という点です。

そもそも政治の世界では、現在の制度をいきなりゼロリセットすることは困難です。政治には志(こころざし)の高さだけでなく、実務能力が必要だからです。

当ウェブサイトでは普段、偉そうに上から目線で「厚生年金は廃止してくれ」、などと論じていたりもしますが、これは著者自身がウェブ評論家という、ある意味では大変自由な(そして無責任な)立場でゼロベースで理想論を語っているに過ぎません。

政治家としての実務能力といえば、まずは折衝能力が挙げられ、日常的に折衝する相手としては官僚機構が挙げられます。官僚機構を時として使いこなし、時として説き伏せ、時として協力しつつ、自身の理想を少しずつ実現しなければなりません。

また、折衝という意味では外国政府、外交の政治家と話ができなければなりません(たとえば米国のドナルド・J・トランプ大統領をうまくたぶらかして言うことを聞かせるなどの才能も必要でしょう)。

それを最もやっていたのが安倍晋三総理大臣です。

安倍総理は経済政策としての「アベノミクス」、外交政策としての「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を掲げ、憲政史上最長の政権を率いた稀代の大宰相でした(※奈良県警というどうしようもない組織の過失で狂人に暗殺されたことが悔やまれてなりません)。

ただ、その安倍総理も、野田佳彦元首相(現・立憲民主党代表)が残した「負の遺産」である消費税等の増税を4年間延期させたものの、やはり財務省が強すぎたのでしょうか、これを撤回することには失敗していますし、安倍政権時代にも年金保険料は上がり続けています(増額を決めたのは安倍政権とは限りませんが)。

このように考えていくと、いかに素晴らしい理念を掲げ、いかに傑出した実務能力を持っていたとしても、その理想のすべてを実現させることは極めて難しいという点については、十分な注意が必要でしょう。

SNS主導の世論で政党も変わっていく

しかし、それでも今回の選挙結果で国の在り方が決まるというものではありません。この選挙結果を受け、有権者の声を聴いたことで、政党だってこれから変わっていくはずだからです(変わらなければ次の選挙で叩き落されるだけの話です)。

今回の選挙で躍進した政党が「期待外れ」だった場合も、選挙のたびに新陳代謝が進み、同じような理念(たとえば「減税」でしょうか?)を掲げる別の政党が出現するかもしれませんし、大敗を喫した政党が心を入れ替え、党首をクビにして党幹部を刷新するかもしれません。

というよりも、『OSINT時代の世論形成は「役所とマスコミ抜き」で』でも取り上げたとおり、すでにネットにおける議論を主導しているのは「OSINT」、すなわち「オープン・ソース・インテリジェンス」であり、Xなどを含めたSNSやネット上の「インフルエンサー」と呼ばれる人たちです。

マスコミ関係者や税調インナー、あるいは彼らに大きな影響を与えている財務省を筆頭とする役所は、これまでわが国における実質的な権力を担ってきた者たちではありますが、それと同時に議論に極端に弱いという特徴もあります(※著者私見)。

オープンベースの議論の場に引きずり出されればエビデンスで殴られるのは当たり前の話でしょう。

なお、今回の参院選に関しては、当ウェブサイトでいつも参考にしている参院選に関する総務省による詳細データが発表された段階で、改めてもう少し深く突っ込んだデータ・レビューを行いたいと思うのですが、想像するに、この得票状況だと立憲民主党は前回と比べ、むしろ票を減らしている可能性はありそうです。

いずれにせよ、総務省データが待ち遠しいところだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • おつむの若々しさが選挙を決定づけた。
    選挙が近づくほどに買票公約を継ぎ足していくぐだぐだ自民党、
    同じく思考硬直・老人の寝言から逃れ得なかった大小オールド野党たち。
    勝敗を分けたのは「組織の賞味期限切れ感」だったと考えます。解党的出直しなんて、耳に TACO ができるようなセリフが出てきたらば、有権者から哄笑を浴びそうです。

  • 非自民、非立憲の受け皿がどこになるのか、ということでしょうか。

  • >国民民主党の「毒入り幕の内弁当」による自爆
    >参政党は(主張内容のメチャクチャさはさておき)

    S藤氏は結局当選しなかったので、マイナスにしか作用しなかった。
    S藤氏よりも非科学的な主張(反ワク、反農薬など)をしている参政党が躍進してしまったのも、なんだか皮肉。
    親中親露という疑惑も出ていて、全然「日本人ファースト」なわけでもない。
    マスコミも、排外主義っぽい主張を攻撃するだけで、そこにはほとんど触れない。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/696997ed62cf3da1914dfb7decf2a0277f7145ca?page=2
    https://www.youtube.com/watch?v=NMhXIywdJa8

  • 自民党案の2&4万円の給付が、案の定で早速なかったことになるようですね。

    勝っても負けても実施するから、
    「政策だあ!」
    と強引にでも言えてたのに、勝ったら配るけど負けたら配らないのであれば、
    「買収だあ!」
    と、論理的に言えるような?

    未遂とか約束だけでも刑事罰ちゃうのん?

    それはさておき、評判悪いのに更に自分で自分を追い討ちするかのようなアクションを、よくもまあ次から次へと。

    マゾなのかしら。

  • 石破「総理辞めたくないもん」
    野田「解散総選挙やりたくないもん」

  • 共同通信が昨日24日付で、こんな記事を公開しています。
     保守系団体「日本会議」は24日、自民党の参院選大敗を巡り「リベラル化した自民に、保守層がノーを突きつけた結果だ」と指摘、体制を一新して保守政党に回帰するよう求める見解を発表した。「新興政党が議席を伸ばした背景には、自民の変質が大きく関わっている。深刻に受け止めるべきだ」と訴えた。

  • まー“保守”がどーだ“排外”がこーだ以前に、「自分トコの子の“衣食住”充たすンもアヤシイのに他所の子連れてきてドヤコヤとかドナイヤネン!?」的な漂う不安感不明感ナンゾが累次濃さ広さを増していると身に迫り感じとりシトル層がボリュームを増してきとると対応したできたと見られた政党が伸びたンデンナ
    知らんけど

  •  私個人の主観ですが、「周囲の若者が政治に関心を持つようになってきた」と感じ度々話題に出すのですが、「◯◯党は税金についてこう言っていた、農業についてはこうこう~」といった、政策内容についてそれなりに触れられている事が特徴に感じています。当然と言いますか、TV新聞からではなくSNSからの情報として。
     勿論、その政策内容についての合理性や実現可能性といった所までは深く踏み込めているとまではいきませんが、私が彼らと同年代の頃の「なんか自民党だとなんかヤバイらしいなんか」「民主党はなんか良いらしい。子ども手当とか。あとえーとなんだっけ、うんまぁ子ども手当とかね。」程度の世間話が若者から老人に至るまで語られていた事に比べれば雲泥の差で。
     その中でもやはり参政党の話題数は群を抜いていました。実際に彼らの「目立つ政策」は耳障りが良いものです(神谷氏の"言行"もかなり伝わっていましたが)。私個人の評価(ボロカス)は捨て置いて、周囲を眺めての印象としては、今回の参政党躍進は現象としては納得のゆくものです。そしてその点で立憲民主党は最悪とも言える評価でこれも納得。「最大野党であることがウリの最大野党」はもはや立ち行かないでしょう。

     玉川氏は「昔は政治が分かる人が投票していたが今はSNSで煽られているだけの人が投票率を上げてしまった」などと述べていましたが、全くの逆に思えます。今はちょっと驚くほど「その党が何を言っていたか」で皆判断しているような。
     であれば、SNSに恨み言など言ってその流れ続ける情報を堰き止めようなどという愚かな事をせず、流れてくる混濁した情報の精査能力、リテラシーを高める事に影響力を行使してほしいものです。する気もなければ出来もしないでしょうけど。

    • >今はちょっと驚くほど「その党が何を言っていたか」で皆判断しているような。

      想像するに、気になる人や党のことを知ろうと思えば、当然にその人達が何を言っているかを知ろうとするし、手軽に知ることができるから自然にそうしている、という感じでしょうか。
      N:Nの情報流通が成立したことで自然とそうなったような気がします。

      私ごとですが思い返せば、若い頃から政治に関心はあったものの、あるべき政策アジェンダとかその実現性などを考えるようになったのは十数年前頃からなんですが、歳を取ったからというより得られる情報が増えたからとの実感があります。判断できるようになった。

      与える情報を制御してあるべき世論を作ろうなどという(ナチスの二番煎じみたいな)浅はかな連中が廃れ、世間の情報リテラシーはより高まる、なんて流れになりそうです。
      少なくとも今の方が健全だと思います。

      •  玉川氏の発言はまさにそれでしたね。アレに反発が殺到したのはむしろ心強いものでした。
         また、(どう見ても中立論客ではない)古舘伊知郎氏が、参政党への批判的コメントを報道番組で発したTVアナウンサーを擁護したようです。曰く、彼女は何一つ悪くない、と。
         "内容が"悪いかとか正義かとかは誰も論っていません。中立を損なうな、の一点のはずです。現に私は参政党を全く評価していないのに実際に躍進している現状を苦々しく眺めている立場にも関わらず、彼女のしたことは一切肯定できません。
         仮に、"浅はかな連中"が勝手に導く「タダシイニッポン」が大繁栄するとして。今の民意が熱望する減税や経済再生が間違っているとして。民主主義国家では、間違いでも後者が門前払いされず"選べる"ことが最重要です。ダメならその程度の国民だったので相応しい結果だという事になりますが、それを悔い改める術も備えている(実例:民主党政権)し、リテラシーが高まるということは間違う可能性も減じていく。健全ですね。

         どこぞのように、民意で選んでおいてダメそうになると政権を火あぶりにするようでは不健全というか民主主義国家失格ですが。

  • 立憲民主党は正直言って国民から見放されつつありますね。若手の小川幹事長やベテラン外交官末松議員みたいないい粒はまだいますが、今回東京選挙区でびり当選塩村議員が立憲のダメぶりを象徴しています。世論では議員としてもっとも人気のないワースト10にランクイン。女性で若手のいい人材をもっと出さないと。

    • 小川某氏もヤミにヤバいと思わんコトもナイかもシレナイ…
      多少ベクトル違えど同門の福山某氏やら米山某氏のより悪い半ばを重合したやうな印象が…
      知らんけど

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