SNSの普及の最大の成果は、政治プロセスの可視化だと思います。著者自身もいちおうは「その分野」の専門家でもありますので、自民党が日本経済にとって正しいことをやろうとしていれば全力で応援しますが、日本経済にとって正しい政策である減税に抵抗するのであれば、全力で批判します。SNSの普及で社会のさまざまな議論が完全にオープン化したのは良い話であり、日本の民主主義をさらに強くすることは間違いない、とだけ指摘しておきたいと思います。
財務省が減税に抵抗するおかしさ
結局は、「可視化」なのかもしれません。
昨日の『政治主導で決まることにイチャモンを付ける財務省職員』では、財務官僚らが国民民主党に譲歩するかどうかを巡って、財務省内で大騒ぎになっている、とする趣旨のテレビ報道を話題に取り上げました。
言いたいことはひととおり指摘しましたが、本来ならば国会の決定に従うべき官僚が、なぜか国会と対等な立場で「協議」しているかのごとき記事の構成と、それを報じるメディアの構成の甘さ、といったところに面白さがあります。
『【総論】腐敗トライアングル崩壊はメディアから始まる』などでも指摘してきたとおり、著者自身は、とくに官僚とメディアが結託して、不適切な報道を利権として繰り返しているところに、現代の日本の「闇」が凝縮されていると考えています。
日本は民主主義国なのですから、本来、国家の最高意思決定機関は私たち国民が支配すべきであって、私たち国民が選んだわけでもない官僚ごときがそれを支配して良いはずがありません。
安倍総理と財務省の「暗闘」はあったのか
ただ、先週金曜日に出てきた、「自民党側がとりあえず控除額について、来年は(現在の103万円から)123万円に引き上げることを提案した」とする話題を見ていて、ふと気付いたのは、「公開・非公開」という論点の重要さです。
故・安倍晋三総理大臣はかつて、消費税の2回目の増税に抵抗した際、財務省との暗闘を繰り広げた―――などとする話題は各所で耳にしますし、田村秀男氏と石橋文登氏が2023年11月に刊行した『安倍晋三vs財務省』と題した書籍も、そうした安藤の存在を示唆するものでしょう。
著者自身は残念ながら安倍総理と個人的な面識はなかったため、こうした「暗闘」が事実なのかどうか、ご本人に確認したことはありませんが、財務省側の知り合いからは2015年頃、「財務省がことあるごとに官邸と対立している」とする省内の雰囲気については頻繁に耳にしていました。
おそらくは、何らかの「暗闘」があったことは事実なのでしょう。
消費税(厳密には消費税と地方消費税の合計税率)を2回に分けて、5%から8%へ、8%から10%へと引き上げる法案を可決したのは野田佳彦首相(※当時)の時代ですが、安倍総理は民主党と財務省が仕込んだ2回の増税に耐えたわけですから、やはり稀有な政権だったといえるでしょう。
ただ、こうした「暗闘」からもわかるとおり、通常、税制を巡る政治側と官僚側のやり取りは、主権者である私たち国民からは、ほとんど見えません。
これは、冷静に考えたらおかしな話です。
私たち国民はこの日本という国の主権者であり、その主権者である私たち日本国民が主権(選挙権)を行使するための重要な判断材料が隠されているわけです。安倍総理と財務省の「暗闘」もそうですし、それを報じないオールドメディアの存在もそうです。
SNSが情報非公開構造をぶっ壊した
この「情報の非公開」という構造をぶっ壊し始めたのが、SNSです。
『「税の取られ過ぎ」に気付いた国民がSNSを手にした』でも指摘しましたが、そもそもこの国の税制や社会保障制度がおかしい、という点に多くの国民が気付き、そして、現状に対する不満を述べる手段として、SNSを手にしたのです。
もちろん、SNSもまだまだ未成熟であり、明らかに誤った情報を垂れ流すインフルエンサーなどもいますし、また、過激な情報発信でフォロワーを獲得しようとするなどのユーザーもいます。
ただ、それと同時にSNSには「誰もが気軽に情報発信できる」という特徴がありますので、それこそ一般大衆のつぶやきを気軽に知ることができますし、また、官僚、政治家などの発信する情報も、専門家から簡単に否定される時代となったわけです。
こうした状況では、少なくともありとあらゆる増税に反対せざるを得ない、というのが著者の立場です(増税して良いのはインバウンド観光客に対する入国税くらいでしょうか?)。
逆に言えば、政府が増税を言い出すのであれば、その増税によっぽどの合理的理由があり、それがSNSなどを通じて多くの人を納得させられるかどうかが、今後のポイントになって来るのではないでしょうか。
ちなみに時々誤解されるのですが、著者自身はべつに「何が何でも増税に反対」という立場を取っているわけでもありませんし、俗にいう「MMT」的な発想に立っているわけでもありません(敢えていえば「リフレ派」の考え方が最も著者自身に近いかもしれないとは思います)。
ただ、少なくとも現在の日本の税制については、「税金の取り過ぎ」だと考えていますし(※その数字的な証拠は『今年度すでに税収上振れも…財務省はなぜ減税を拒む?』などをご参照ください)、国債発行余力も十分だと考えています。
SNSで議論はオープンな時代に!
著者自身もいちおうは「その分野」の専門家でもありますので、自民党が日本経済にとって正しいことをやろうとしていれば全力で応援しますが、日本経済にとって正しい政策である減税に抵抗するのであれば、全力で批判せざるを得ないのです。
いずれにせよ、SNSの普及で社会のさまざまな議論が完全にオープン化したのは良い話であり、日本の民主主義をさらに強くすることは間違いない、とだけ指摘しておきたいと思います。
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毎度、ばかばかしいお話しを。
○○(好きな言葉をいれてください):「議論が非公開だから、その議論の中身を知っている俺は威張っていられたんだ。可視化されたら、威張れないではないか」
議論が可視化されたら、後で問題になった時に、誰が何て発言したか、分かりますしね。
議論が可視化されたら、後で問題になった時に責任を取らされることを恐れて、消極的になるか、何を言っているか分からない発言に終始するのではないでしょうか。
これからの社会は、優しい人がトップになってほしい。
岩屋大臣こそ、適任ではないでしょうか。
野中広務先生のように、弱者に優しく韓国北朝鮮への謝罪賠償を重視するしせいを大切にしてほしい。
岩屋先生には期待しています。
釣り針が大きすぎて・・・
いつも楽しみに拝読しております。
先日地元の飲み屋で、たまたま隣合せた親父2人と意気投合、同じ思春期年代の子どもがいることがわかりました。で、オーストラリアのSNS規制の話題になり、子どもには3人ともが、見せない規制ではなく見た上で判断できるリテラシーを身に着けさせたい、ということでさらに盛り上がりました。
見えないところで落とし所を決めて、それを国民に納得させるような手法は、最初からテレビも新聞も見ていない子どもたちの世代にはますます通用しないでしょうね。
マスコミと特定野党が騒ぎまくった「モリ・カケ・サクラ」のうち、「モリ」は明らかに財務省のチョンボですからね。
財務省はそのチョンボをどうにかして「安倍夫妻のスキャンダル」にすり替えようとしていましたし、「カケ」と「サクラ」も便乗して全部「アベのせい」にしたかったのでしょう。
自分達にとって不都合な事を言ったりやろうとする人間を全力で潰そうとしていたのでしょうが、ネットやSNSによる「情報の可視化」により、これらは「冤罪案件」と判断されました。
それでも未だにこの件を「安倍夫妻のスキャンダル」と騒いでいる人間がいるので、非常に残念です。
何故検証をしないのか、頭のアップデートが出来ていないとしか思えません。
>財務省が減税に抵抗するおかしさ
Zが抵抗するのは解らんでもないが、そこをコントロールするのが国民代表の政治家、123万円提示した宮沢税調会長が記者団に「誠意を見せたつもりだ」と述べたそうで、レベルが低すぎて笑うに笑えないね、こんなレベルの仕事では参議院選挙で票が集まる訳ないよね。
アメリカは今猛スピードで変化してるのにそのスピードに石破ㇾ政権は付いて行けないでしょう。
自民党でも岸田派石破派は政権担当能力は無い立憲民主党の同類だと思います。一度割れた方が良いかな自民党。