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石破内閣発足と解散総選挙…有権者はどう投票すべきか

石破茂内閣は昨日発足したばかりですが、石破首相は今月、さっそくに衆院の解散・総選挙を行うようです。内閣発足直後だけあって、私たち有権者にとっては「石破首相の功績」を投票の材料にすることは難しいのですが、その一方で、私たち有権者にとって重要な判断軸があるとしたら、それは政治家を評価するに際し、その政治家の志(こころざし)と実務能力ではないかと思うのです。こうした観点から、選挙権をどう行使すべきか、少々お付き合いいただけますとさいわいです。

新政権と各党に期待するもの

石破茂内閣発足:与野党ともに健全な議論を願う

昨日、衆参両院で石破茂・自民党総裁が首班指名され、石破茂内閣が発足しました。

総理大臣の指名を受ける石破茂・衆議院議員

(【出所】首相官邸HP)

まずは、石破氏の首相就任をお祝い申し上げます。

そのうえで、内外に山積する諸課題に、石破首相以下、閣僚が一丸となって取り組んでいただきたいと思いますし、そんな石破体制を与党である自民党、公明党の両党はしっかりと支えていただきたいと思います。

また、党代表が野田佳彦元首相に交代したばかりの最大野党・立憲民主党をはじめ、各国政政党の皆さまにおかれましても、政策論争に磨きをかけ、国会を良識のある議論の府にしていただきたいと思いますし、そうすることでより良い日本社会を実現していただきたいところです。

許されぬ議事妨害

と、いちおう表面的なことを申し上げておきましたが、現実問題として、いったいどうなのでしょうか。

非常に残念なことに、昨日の首班指名の衆院本会議では、れいわ新選組の大石あきこ衆議院議員が首班指名と無関係なプラカードを掲げ、衛視から排除されるという騒動が生じました。

れいわ新選組の大石晃子氏、強制降壇 首相指名選挙壇上で「裏金隠しの解散やめろ」掲示

―――2024/10/01 14:01付 産経ニュースより

政治的な主義・主張を持つことは自由です。

しかし、昨日の本会議はあくまでも首班を指名するためのプロセスであり、こうしたプロセスを公然と妨害する行動が許されてはならないことは、いうまでもありません。民主主義の破壊活動そのものだからです。

そして、冷静に考えていくと、最大野党・立憲民主党を含めた複数の野党は、程度の差こそあれ、結果的には議事の妨害を行っているようなものではないでしょうか?

国会論戦の場で週刊誌などが報じた政府閣僚・与党議員のスキャンダル記事であったり、どこかの官庁から入手した怪文書であったり、といったものを片手に、舌鋒鋭く政府・与党を追及し、それで仕事をした気になっているというのは、感心しません。

私たち国民が決して安くない税金を支払い、その税金を原資に歳費や調査研究広報滞在費(旧「文通費」)、最大3人の秘書の人件費などが負担されているわけですから、本来ならば、その国会議員らには国民の代表の名に恥じぬ仕事をしていただきたいところです。

結局のところ、質の悪い議員は私たち有権者がきちんと判断し、落選させていかねばならないのではないでしょうか。

自民党よ、石破体制をしっかり3年支えよ

さて、翻って自民党についても改めて指摘しておきます。

といっても、著者自身が石破茂内閣に対して言いたいことは、『自民党は「石破体制」を挙党一致でしっかり支えるべき』でだいたい言い尽くしているので、要点だけ繰り返しておきます。

著者自身、石破茂氏という人物のことは決して好きではありません。

しかし、自民党が党総裁選という党則に従ったプロセスを経て、新たな総裁を正当に選び出した以上、少なくとも自民党議員は一丸となり、石破首相(自民党総裁)体制をしっかりと支えていただきたいところです。

また、閣僚人事は首相としての、党役員人事は党総裁としての権限に基づいて行われたわけですから、(著者自身もその内容に一部深い疑問を覚えてはいるものの)各閣僚・各役員はそれぞれの職分に応じ、役割を全うしていただきたいところです。

石破首相の自民党総裁としての任期は3年ですので、まずはその3年間、しっかりと任務を果たしていただきたいと思いますし、私たち有権者としても、節目節目の選挙などでは、石破政権、石破体制下の自民党をしっかりと評価し、適切な判断を下せるようにしたいものです。

それに、仮に石破氏という人物の政治家としての能力、適性に不足があったとしても、そこは政権内、あるいは自民党内でしっかりと石破体制を支え、足らぬ部分はしっかりと補足し、おかしな動きをしそうになったときには然るべき立場から諫言がなされるようにしていただきたいと思います。

この点、日本の行政機構は、基本的には「首相独裁型」ではなく、「閣議主導型」であり、また、自民党も党総裁が方向性を打ち出すだけでなく、政調会を通じてボトムアップで意思形成がなされるという政党です(それらが良いか悪いかは別として)。

こうした特性を踏まえると、良くも悪くも「石破独裁」とはなり辛く、また、自民党には政策の継続性もあるため、良くも悪くも前任者(この場合は岸田文雄・前首相)の路線をあるていどは継承せざるを得ません(実際、官房長官は林芳正氏が留任しています)。

以上から、著者自身としては、まずは動き出した石破内閣について、いかなる所信表明を行うのかを見守ってみたいと思う次第です。

我々有権者はどう行動すべきか

解散総選挙で我々有権者はどう判断すればよいのか

ただ、それと同時に、今回に関しては石破内閣が本格始動する前に、解散総選挙が行われる見通しです。

おそらくは今月中旬には選挙が告示され、今月中に投開票がなされるでしょう。

ということは、私たち有権者としては、石破内閣の実績を見て判断する、ということが難しいのです。

「前任者である岸田内閣の事績に対する評価だ」、という言い方もできなくはないのですが、やはり私たち有権者にとって、「本当に石破(氏)で良いのか」、といった疑問が頭をよぎるのも当然です。

とりわけ石破氏は総裁選当時の政策論争で、(一部経済通の間では)ずばり「経済音痴」ではないか、と見られていましたし、石破総裁が選出された翌週月曜日の株式市場が急落し、円高となったのも、市場参加者が「イシバノミクス(?)」に疑義を覚えた証拠でもあります。

やはり、「保守性向」を持つ有権者は、今回に関しては、自民党に投票すべきではないのでしょうか?あるいは日本維新の会や国民民主党、あるいはその他の「保守」を名乗る少数政党などに、私たちは一票を託すべきなのでしょうか?

さらにいえば、「今回の総裁選で敗退した高市早苗氏が自民党を割って立ち上げる」という新党(『高市氏「新党結成」構想の現実性』等参照)に、期待すれば良いのでしょうか?

個別具体的な投票先は、皆さまで考えてください

これについては、当ウェブサイトとして、個別具体的な、明確な答えを呈示することは致しません。

普段から申し上げている通り、当ウェブサイトは単なる「評論サイト」であり、著者も単なる「評論家」であって、政治家や活動家ではないからです。

当ウェブサイトではこれまで、政治に関して「選挙では必ず選挙権を行使してください」と呼び掛けたことはありますが(こうした呼びかけは今後も続けるつもりです)、その一方で、「あの政党に投票してください」、「この政党に投票しないでください」、などと呼び掛けたことはないつもりです(今後も多分やらないでしょう)。

今回の総選挙に関しても、まったく同じです。

当ウェブサイトの読者の皆さまに一番お伝えしたいことは、「棄権しても無意味である」、「白票もまた無意味である」、という事実であり、それから「現在、自分に与えられている選択肢の中で、最善のものを、ご自身でしっかりと考えて判断を下していただきたい」、というお願いです。

少々たとえが下品かもしれませんが、「生ゴミのなかで最もマシなゴミを選ぶプロセス」とでも言えばよいでしょうか。

ただ、それでも毎回、選挙となると、当ウェブサイトには「ウチの選挙区には私が投票したい候補者はいない!」「どうしてくれるんだ!?」といった愚痴ないしはお叱り(?)のようなものが飛んできます。

これについては、どう考えれば良いのでしょうか。

政治家には志と実務能力が両方求められる

ヒントがあるとしたら、やはり、「リアリスト」的な視点ではないかと思います。

当ウェブサイトではかなり以前からしばしば指摘して来た内容の繰り返しですが、政治家には最低でも、志(こころざし)と実務能力が必要です。「志」とは「この社会をより良くしていく」という熱い情熱のことであり、「実務能力」とは、現実に折り合いを付けながらこの社会をより良いものにしていく能力を意味します。

実務能力が十分であっても、そこまでの情熱を持っていなければ、せっかくの実務能力を生かしきれないこともあります。逆に、偉そうに「俺はこの国をより良いものにしてやる」、などと叫んでいたとしても、その人に肝心の実務能力がなければ、この社会を変えていくことなど、覚束ないのです。

したがって、政治家には「志」と「実務能力」の両方が備わっているかどうかを、私たち有権者は見抜かなければならないのであり、少しでもマシな候補者を選び続けることで、この社会を少しずつ良くしていくより方法はないのです。

余談ですが、民主主義とは、コストや時間が大変にかかるプロセスなのであり、だからこそときどき、「いっそのこと強権的な独裁主義でこの世を一気に良くしてほしい」、といった意見を出す人が、(左派、右派を問わず)出現するのでしょう。

(ちなみに余談ついで申し上げておくと、独裁体制の場合、独裁者が有能かつ清廉であれば良いのですが、古今東西の鉄則として、独裁体制は必ず腐敗し、結果的に人々が不幸になる、という絶対に抗えない法則がありますので、著者自身は独裁体制には絶対反対の立場です。)

実務能力とは基礎体力:専門知識や語学力、そして交渉力など

さて、政治家には「志」と「実務能力」という2つの軸がある、という当ウェブサイトの持論については、読者の皆さま方も認識はしてくださっていることと思います(これに賛同するかどうかは別として)。

ただ、多少の批判は覚悟のうえで、敢えて申し上げるなら、この「志」と「実務能力」、どちらの方が必要かといえば、著者としては「実務能力」に軍配をあげたいと思います。理由は簡単で、「志」ばかり立派でも、実務能力を伴わない政治家というのは、得てして害しかもたらさないからです。

ここで「実務能力」とは、いったいなにか―――。

これについて著者自身はこれまで何度も繰り返してきたつもりですが、わかりやすくいえば、政治家としての基礎体力のようなものです。具体的には専門知識や語学力、人脈力、あるいは交渉力といったものが該当します。

たとえば、日本は法治国家ですので、最低限、憲法を筆頭とする統治機構の法体系を理解していなければなりません。

内閣総理大臣は国会議員(慣例上は衆議院議員)から選ばれますし、国務大臣も過半数を国会議員から選ぶことが必要です(憲法第67条各項・第68項第1項)が、大臣に任命されて官庁を任されたならば、その官庁の設置法やその官庁が所管する法律をざっと理解しておかなければなりません。

当然、担当官僚からのレクを受ける必要があるわけですが、それだけでは足りません。大臣であるならば、「現在の法令がどうなっているか」だけでなく、「現在の法令に問題がないかどうか」、「現実にどんな問題をもたらしているか」に関する認識を持たなければならないからです。

そうなると、法律の知識だけでなく、たとえば現実社会の問題点についても、知悉(ちしつ)していなければなりませんし、場合によっては産業構造の問題点、さらには日本全体の貿易構造、税収、資金循環構造などを深く理解しなければならないこともあるでしょう。

また、経済政策を考えるうえで、単なる数字の羅列に意味を持たせるためには、きちんとした経済学・会計学・金融などの知識も必要ですし、外交・安全保障を推進するためには地政学の知識も必要でしょう。

さらには、諸外国のカウンターパートと議論するうえでは、最低限の語学力(できれば英語力)があることが望ましいですし、外交交渉を進めていく上では、国内外のさまざまなキーパーソンとの個人的信頼関係に基づく人脈があることも望ましいです。

具体例を眺めてみる

小林鷹之氏に見る実務能力

こうした観点を持っておけば、意外と政治家のことは正確に評価できるのではないか、というのが著者自身の仮説です。

ちなみに当ウェブサイトでひとつ、自慢できることがあるとしたら、自民党総裁選に出馬した小林鷹之氏が無名だったころから、「この人物はなかなかに凄いのではないか」、という点を見抜いて、しばしば当ウェブサイトにて引用していたことだと思います。

たとえば、自民党の松川るい・参議院議員らが「明らかな物見遊山」っぽい旅行をしたとして批判されていた時期には、当ウェブサイトでは「小林氏のような人物の外国出張は必要だ」と指摘しました(『「専門性が高い政治家」による外国訪問はむしろ必要だ』等参照)。

また、『反スパイ法摘発相次ぐ…脱中国は日本の重要課題に浮上』では、小林氏がすでに昨年の段階で、中国での在留邦人の安全にリスクがあることを指摘していたことを紹介しています(余談ですが、今年に入り、実際に日本人の児童らに危害が加えられたりしています)。

ここで余談ついでにもうひとつ、苦言を呈しておくならば、世間では「小林鷹之(氏)は財務省出身者であり、増税原理主義に染まっているに違いない」、「小林(氏)は財務省の手先だ」、といった批判を目にすることもあるのですが、これらの主張には多くの場合、根拠はありません。

もちろん、小林氏が本心では財務省的な「緊縮財政路線」、「増税路線」を支持していて、現在はそれを隠しているだけだ、という可能性だってありますが、少なくとも小林氏の現時点の言動を見る限りにおいては、「財務省の手先」のような言動を取っているという形跡は確認できないのです。

(※真面目にツッコミを入れておくと、財務省の「聖域」である外為特会を巡っても、小林氏は「米国債を中心とした運用よりも積極運用で利回り向上を図るべき」などとする趣旨の発言を行っているため、むしろ小林氏は財務省から目を付けられている政治家ではないかと思います。)

むしろ小林氏の場合は経済安保法制を作り上げた功労者でもありますが、普段のポストから判断するに、政策をじつによく勉強しており、大変に実務的です。この「実務畑で勉強熱心」というあたりは、高市早苗氏とも通じるところがありそうです。

現実には、憲法改正せずに安保を強化しなければならない

余談はこのくらいにして、本論に戻りましょう。

政治の世界でいう「実務家」といえば、現在の社会の問題点を正確に把握したうえで、それらの課題を現実に即して解決していく能力をもつ人のことです。

これについては憲法を考えてみるとわかりやすいかもしれません。

悪名高き日本国憲法第9条には、こうあります。

日本国憲法第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第1項がいわゆる不戦条約の文言をそのまま引っ張っているものであることは有名ですが、問題は第2項でしょう。

日本語の文理解釈としては、「日本という国は戦力を持たず、戦争も絶対にやらない国だ」、という意味に見えますし、侵略戦争であろうが自衛戦争であろうが、とにかく「戦争」と名のつく行為はいっさい禁止している、という解釈に繋がります(じっさい、特定野党はそのような考えを取っているようです)。

こんなおかしな条項、さっさと改正するのが筋ですし、こんな条項を80年近くも放置してきた日本国民は、いったい何を考えているのか、という気もします。

しかし、それと同時に、改憲は衆参両院で3分の2以上の賛成がないと発議できませんし、また、特定メディアに加え、歴代の野党があの手この手を使い、改憲を妨害し続けてきたこともまた事実です。

そうなると、憲法を改正せずに、この問題だらけの条文でありながらも、実務的にはこの国土をしっかりと防衛できる体制を作っていかなければなりません。日本を取り巻く安保環境が厳しさを増す中で、改憲の実現を悠長に待っていられないからです。

ケンポーキュージョー教とケンポーカイセー教は同じくらいに有害

こうした観点からは、著者自身、日本の安保環境の向上を妨害している勢力が2つあると考えています。

そのひとつは「ケンポーキュージョー教」、もうひとつは「ケンポーカイセー教」です。

このうちの「ケンポーキュージョー教」とは、「憲法第9条を死守すれば日本は絶対に戦争に巻き込まれない」などとする、一種のカルト宗教です。

まともに相手をするのも疲れる相手ですが、ただ、この「ケンポーキュージョー教」、放っておいても、おそらくそう遠くない未来に絶滅に近い状態に追い込まれるでしょう。ウクライナ戦争などの現実が、この「ケンポーキュージョー教」の存続を許さなくなっているからです。

問題は、「ケンポーカイセー教」です。

彼らは「日本国憲法第9条が諸悪の根源」などと唱える勢力で、一見すると「ケンポーキュージョー教」と真逆の主張をしているようにも思えますが、実際のところ、平和安全法制や経済安保法制などを整備するうえでの障害となっている可能性があるのです。

なぜか。

「ケンポーカイセー教」の教徒には、たとえば安倍政権下での特定秘密保護法や安保法制、菅政権下で始まった日米豪印「クアッド」首脳会合、岸田政権下で制改定された安保関連3文書といった、「日本の安保環境を劇的に改善する努力」が目に入らないからです。

それどころか、「自民党政権に任せていたら、憲法改正もおぼつかない」などと叫びながら、自民党政権のやることなすこと、徹底的に足を引っ張ろうとするフシがあるのです。

酷い場合は、「政府は今すぐ日本国憲法の無効を宣言し、大日本帝国憲法の復活を宣言せよ」、といった荒唐無稽な主張をする者もいます(著者自身はこうした主張をする者を「限界右翼」と呼んでいます)。

自民党の政治家のすべてが優れているとは申し上げませんが、少なくとも現在の日本国憲法の制約のもとで、日本の安全保障環境を改善させようと努力している多くの国会議員らの努力をないがしろにするかの動きは、結果的には左翼的な勢力とやっていることがまったく同じだったりするわけです。

その意味では、ケンポーカイセー教はケンポーキュージョー教と同じくらいには有害なのです。

限界右翼に実務能力はない

ちなみに当ウェブサイトにも、一部限界右翼の皆さんが作った政党(どことは言いませんが複数あります)に心酔していると思しき人が紛れ込んでくることがありますし、山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士のX(旧ツイッター)のアカウントに絡んでくることもあります。

しかし、大変失礼ながら、「保守」を自称する限界右翼の皆さまを眺めていると、具体的に何年後にどういうかたちで政権を取ろうとしているなどのビジョンを呈示しているようには見受けられません。それどころか、これらの政党にはそもそも「実務家」が非常に少ないか、あるいは党によってはまったく見当たらないのです。

正直、彼らの多くは行政法規を知悉しているわけでもなく、経済、産業、金融、医療、年金、保険、ITといった専門分野を持っているわけでもなく、外国の政策当局者と英語でディスカッションができるだけの語学力があるわけでもなく、ましてや国内外の実務家との人脈があるわけでもなさそうです。

こうした人たちが万一、当選したとして、いったい何ができるのでしょうか?

たとえば委員会に所属しても、最大野党が質問時間を配分してくれなければ、質問に立つことすらできませんし、法案を提出しようにも、参院で10人以上、衆院だと20人以上の賛同がなければ議員立法すらできません(予算を伴う場合はこのハードルが参院20人以上、衆院50人以上に上がります)。

もちろん、国民民主党のように、野党の立場にありながらも実務的な対案を出している政党もありますし、NHK党の浜田聡参議院議員のように、独自の立場から良い質問を地道に継続している議員もいないわけではありません。

しかし、自民党以外の少数政党から議員が当選したとしても、多くの場合は結局何もできずに終わってしまうのが関の山です(とくに衆院だとその傾向が強いです)。

既存政党を変えていくのもひとつの選択

このように考えていくと、もしもあなたが保守的な政治性向を持っていて、保守のたちがから日本をより良い国に変えようと思っているのならば、一番手っ取り早いのは自民党内で保守性向を持つ政治家を増やすことではないかと思います。

自民党に、青山繁晴参議院議員という人物がいます。

青山氏を巡っては、人によって評価が分かれるのかもしれませんが、それと同時にこの青山氏は2016年と22年の参院選で比例代表で上位当選していますし、また、党員獲得数も3年連続してトップだったことで知られています。

党員獲得1位は青山繁晴氏 自民、トップ10発表

―――2024年06月11日14時59分付 時事通信より

青山氏は昨年のいわゆる「LGBT法」採決時に、和田政宗氏や山東明子氏らとともに退席するなどしたほか、参議院議員でありながら、今回の自民党総裁選に出馬しようとする(※結局、推薦人が足りず出馬できませんでした)など、非常に個性的な動きをしている政治家であることは間違いありません。

もちろん、青山氏がモデルケースになるとは限りませんし、また、参院比例代表と異なり、衆院選の場合は小選挙区比例代表であり、自民党の支持者であっても投票する候補者を選ぶことはできません。

ただ、立憲民主党にしても、たとえば石川3区選出の近藤和也衆議院議員のように、衆院災害対策特別委員会に所属し、地道ながらも被災地支援を継続している人物もいます。

当ウェブサイトはふだん、立憲民主党に対しては非常に厳しい視線を注いでいると思いますが、それと同時に、「優れた政治家を増やしてその政党をまともにしてしまおう」とする理論は、立憲民主党や日本維新の会などに対してもまた成り立つのです。

たとえば、あなたが保守的な性向を持つ有権者だったとし、あなたがお住まいの選挙区で自民党のA候補、立憲民主党のB候補、日本維新の会のC候補という3候補が出馬していた場合でも、極端な話、その3人のなかで主張が最もマトモだと思える候補者がBさんなら、Bさんに投票すれば良いかもしれません。

その際の判断軸は、あくまでもその人が持つ志と、その人の実務能力ではないかと思います。

いずれにせよ、くどいようですが、選挙は私たち国民が自身の選択を下す権利を与えられた、民主主義国において最も重要な手続です。

選挙では必ずご自身の判断において候補者名や政党名を明記し、その一票を明日の日本のために投じていただきたいと思いますし、そのことを重ねてお願い申し上げる次第です。

新宿会計士:

View Comments (24)

  • 石破茂首相、さっそくたくさんのひとを怒らせてしまっています。どうリカバーするつもりなんでしょうか。鈍感力を発揮するのでしょうか。ひらひらと薄っぺらな言葉を繰り出してみせるのでしょうか。

    • 麻生さんが集合写真で退席し、大人げないとい報道もありますが、私は逆に麻生さんの怒りを世間にしらしめたという点ではよかったと思いました。石破さんが社長や上司であれば、社員に嫌われると思います。そんな印象です。

  • >実務能力とは基礎体力:専門知識や語学力、そして交渉力など
    政治家に語学力は必要だけど自慢するのはどうか
    あいさつ程度ならいいが実務では間違いがあったら致命傷
    英語なんて知らないふりしてプロの通訳を介すべきだ
    留学自慢のの二世ボンボンが国益を損なうんじゃないかと思っています

    • >政治家に語学力は必要だけど自慢するのはどうか

      そんなことブログ本文に書かれてましたっけ?語学力のある政治家は語学力を自慢して良いってブログ主言ってました?

      通訳使えるのはキホン政務官以上。コバホークのように議員レベルで外交するなら最低限政策専門用語で世界の共通語である英語で意思疎通できないと話にならない。百田尚樹、河村たかし、桜井誠、神谷宗平にその語学力があるかという問題で。

  • >また、党代表が野田佳彦元首相に交代したばかりの最大野党・立憲民主党をはじめ、各国政政党の皆さまにおかれましても、政策論争に磨きをかけ、国会を良識のある議論の府にしていただきたいと思いますし、

    どうせ特定野党の連中は「時間があったら政策論争」でしょうけどね。

    与党の足を引っ張っていれば政権から引きずり下ろせると考え、自党の足場を固めて高くし、越える事を考えてないのが透けて見えます。

    ま、職場に居たら無能で怠惰な給料泥棒でしょう。

  • 裏切りと味方の背後から鉄砲玉撃ちまくれる無節操さと実務能力にはアタマの下がる思いですm(_ _)m

  • 中東全域戦争も勃発する可能性がある今、日本も総選挙で(無駄になることを覚悟で)有事の際の準備をどうするかを、考えるべできではないでしょうか。

  •  政党や政治家を評価するうえで、①志②実務能力を基軸にする考えに、基本的に賛同します。そのうえで、自民党がその双方をある程度満たす政党であることも、疑いを持ちません。
     しかしながら、今回の裏金事件は、私にはなかなか看過しづらいのも確かです。権力とは腐敗しやすいもの、それを未然防止するために政治家の収支を白日にさらしておこうというのが、政治資金収支法の趣旨です。それが永年にわたって、それに載らない(載せてはいけない)お金があった、しかも一人や二人ではないとしたら、それは自民党の体質と呼ぶしかない、と考えるからです。
     しかも発覚直後からの動きも極めて鈍く、真相究明はなおざりにしたまま、再発防止策に奔走し、あげくのはてにパーティー券公開基準を20万円から5万円に引き下げただけ、というのでは、空いた口がふさがりません。それだけが理由ではないにしろ、岸田内閣が退陣となったのは当然だと考えます。
     岸田政権退陣後の総裁選で、長らく党内反主流であった石破氏が総裁に選ばれ、いわゆる疑似政権交代は実現しております。しかしながら、本問題の再調査はあろか、裏金議員についても「誓約書」の提出条件での落着を目指しているようです。
     国民世論のあれだけの強い反発があるにもかかわらず、変わろうとしない自民党には本当にがっかりです。
     さりとて、民主党に多くは期待できませんし、維新も馬場代表になってからは期待外れの状況が続いております。
     総選挙でどこに投票すべきか、大いに悩んでいるところです。

  • まーヨクモワルクモ石破氏にはその政治的アウトプットに高い可塑性が観られるやうなので、とりあえず解散までに出力されてくる発信内容をヲチっすかナァ…

  • 素晴らしい志と実務経験を兼ね備えた人物、どこかその辺にほっつき歩いてないものでしょうかね。

    衆院選で少し楽しみなのが保守層の闇堕ちといいますか、石破自民に失望し他党に投票する。無論そこまでは理解出来るんですが、愛が深すぎるのか期待が大きかったのか理由ははた不明だが立憲民主支持に回る。右から来て左に突き抜ける、そういう真に覚醒したパワーアップした人を沢山見れそうでして、自分も覚醒出来たらどんなに楽だろうと少し羨ましく思ったり思わなかったりします。

  • しかし安部元総理が無くなっただけでこんなにも堕落するものなんだなあ
    人間って発展途上と言うより出来損ない。これがふさわしい名前だよね
    パー券から始まる騒ぎの本質は「外国人が金をばら撒けるシステム」が出来上がってる
    これが一番の問題だと思うし統一教会問題は「政教分離」が出来ていないことが問題だし
    創価学会やら立正佼成会も同等かそれ以上に問題は大きいはず
    なのにメデアも国会議員も騒がない
    自民党がダメだ。と言っても野党はメデアの甘やかしで更に酷い。
    日本は独裁国家と言われようが党内政権交代しかない。
    *自民党は変幻自在なアメーバ党なのだ
    よく言われる糞の中から少しいいくらいの糞を選ぶのが投票らしい。そうしよう
    追伸 
     日本文化では前任者の事は何も言わず後任者は仕事をする。のが美徳と思っていた
    石破政権は前任者を罵倒しながらスタートしたねえ
    まるっきり韓国を見ているよう
    さてはてどうなるやら

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