日本の「最大野党」といえば、立憲民主党です。ただ、この「最大野党」である立憲民主党が政権交代に耐え得る政党であるかどうかについては、また話は別でしょう。同党は「脱・原子力」などの政策は明確ですが、改憲など重要な国政上の課題を巡っては、態度が曖昧なままでもあるからです。そして、昨日の株価暴落を受け、立憲民主党は政府・日銀に説明を求めているようですが、その立憲民主党自身が「金融政策の正常化」を要求していたという事実についても、また忘れてはなりません。
目次
最大野党は立憲民主党だが…
著者自身が考える「日本の不幸」といえば、少なくとも現時点において、政権交代に耐え得る野党が存在していないことではないかと思います。
政党政治において、第1党が与党として政権を担うのは当然のことですが、第2党は(政権入りしない場合は)「最大野党」として、いつでも与党に代わって政権を担うだけの準備をしておくことが一般的です。
ただ、現在の最大野党は立憲民主党ですが、その立憲民主党の「ネクストキャビネット」には、大きな問題がいくつかあります。
そのひとつとして、「防衛大臣が存在しない」ことが挙げられるかもしれません。
いちおう、「安全保障大臣」というポスト(?)が設けられているので、これのことを同党は「防衛省を管轄する大臣」に充てているつもりなのだとは思いますが、ロシアによるウクライナ侵略戦争、中国による軍拡などが進行するなかで、防衛政策の欠如(?)は心もとない限りです。
脱原発は明確だが…よくわからない「憲法を巡るスタンス」
立憲民主党の問題点は、それだけではありません。
たとえば国家の方向性を決めるべき重要な基本政策・方針が、曖昧なままなのです。
たとえば、改憲ひとつとってみても、同党は「論憲」などと称し、現行憲法の改正の可能性については排除していないように見えますが、現実のところ、同党ウェブサイトを見ても、結局憲法第9条(とくに第2項)をどうしたいのか、同党としての見解は見えません。
同党は「現行の第9条を残したうえで自衛隊を明記する自民党(の改憲)案では<中略>第9条第2項の法的拘束力が失われるので反対します」、などと主張しているのですが、「では立憲民主党としての第9条第2項の改正案はどうなのか」と考えると、それに対する答えは出てきません。
これに対し、はっきりとした政策を謳っている部分があるとしたら、その代表例は、原子力政策かもしれません。
同党は原子力政策などについて、「原発の新増設は認めない」などとしつつ、「2050年自然エネルギー電力100%を目指す」、「原子力発電所のない社会に向けた不可逆的な方針をすみやかに確立し、国の監督と責任の下で廃炉を着実に進る」、などと述べています。
その実現可能性のなさ・具体性の欠如といったツッコミどころは脇に置くとして、おそらくは多くの国民が強い関心を持っているであろう憲法についての議論を曖昧にし、電力供給不安を解消する切り札となる可能性が高い原発については明確に「ノー」を突き付けている―――。
不安を覚える国民も多いのではないか
こんな政党に政権を委ねることができるのかどうか。
2009年の政権交代で民主党政権禍を経験した日本国民が現役世代で残っている限りにおいては、正直、その可能性は低そうに見えてしまうのです。
もちろん、(著者自身の主観的見立てによれば)新聞、テレビを中心としたオールドメディアの社会的影響力は(かつてと比べて低下したとはいえ)依然として一定の強さを保っており、そのオールドメディアが「野党応援団」となっているというフシはあります。
しかし、それと同時に、時代が経過すればするほどに、オールドメディアの社会的影響力は低下が進んでいるはずですし、それに伴い立憲民主党を「直接、自分の目で見て評価する」という有権者が増えてくるはずです。
このように考えると、立憲民主党のウェブサイトに掲載されている「なんとも曖昧な表現」の数々を見て、不安を覚える国民は多いのではないでしょうか。
「外交努力で金利差拡大抑制を」
こうしたなかで、立憲民主党といえば、日銀の異次元緩和政策などを批判していた政党としても知られています。
たとえば、今から約2年前の2022年10月21日、立憲民主党の「ネクスト財務金融大臣」である階猛氏、「ネクスト財務金融副大臣」の末松義規氏、財務金融部門会議事務局長の櫻井周が財務省と日本銀行を訪れ、「止まらない円安への対策」についての申し入れを行っています。
止まらない円安への当面の対策について財務省・日本銀行に申し入れ
―――2022年10月21日付 立憲民主党HPより
申し入れた内容自体、なんだかよくわからないのですが、要約すると次の4点だそうです。
- 実質賃金の引き上げを政府と日銀の共同目標に
- 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化
- 為替介入の実効性を高めるための外交努力
- 内外金利差の拡大を防ぐための外交努力
とくに最後の「内外金利差の拡大を防ぐための外交努力」については、なかなかに強烈です。
当時、米FRBによる利上げが円安を加速させる原因となっているとの認識が一般的だったことは間違いありませんが、これについて「米国の金融引締めペースが行き過ぎたものとならないよう、米国の金融当局とのコミュニケーションを一層強化せよ」、などと要求しているのです。
日本政府や日銀が外交努力で米国の金利水準を操作できるのならば、それこそまさにノーベル賞級の発見でしょう(はたまたイグノーベル賞でしょうか?)。
立憲民主党は「金融政策正常化」を求めていた
また、立憲民主党が日銀の異次元金融緩和(QQE)政策やイールドカーブ・コントロール(YCC)政策、さらにはマイナス金利(NY)政策など「円安・物価高騰を招いている」などと批判し、「金融政策の正常化」を要求していた事実も見落とせません。
階猛氏は今年3月19日、日銀がマイナス金利を解除し、YCC政策を撤廃した際に、こんなコメントを発しています。
【コメント】日本銀行の「異次元の金融緩和」転換について
―――2024年3月19日付 立憲民主党HPより
コメントの中で階猛氏は、QQEを「日本の経済・財政にさまざまな弊害をもたらしてきた」政策であると批判。マイナス金利を巡っても「期待された効果を上げられない」ばかりか「地域金融機関の収益悪化、円安・物価高騰を招く」など「弊害ばかりが目立っていた」と主張しています。
そのうえで、日銀の金融政策の失敗により「財政と地域経済は悪化し」、「急速な円安と物価高騰が生じ、国民生活は窮地に陥った」と主張。「その挙句の果ての撤退戦がこれからも続くことを肝に銘じなければならない」としたうえで、こう述べています。
「立憲民主党は、10年以上の長きに渡る金融政策の失敗を教訓とし、今後も『新しい金融政策』の工程表に基づき、金融政策の正常化と賃金の上がる経済の実現に向けて、取り組みを続けていく」。
この記述を読むと、著者自身のように、「QQEのおかげで失業率が低下し、有効求人倍率が上昇しているなどの事実を無視し、また、円安で多くの企業の業績が向上するなどの恩恵が生じているなどの状況も無視したうえで、よくぞここまで舌鋒鋭く批判出来たものだ」、などと思う人もいるかもしれません。
ただ、立憲民主党が「金融政策の正常化」を要求していたという事実は重要です。
「金融政策の正常化」とは、常識的に考えたら、利上げでしょう。
御党、金融政策の正常化を求めてませんでしたっけ?
こうしたなか、昨日は日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録しましたが(『日経平均の下げ幅は1日で4千円を超えて過去最大に!』等参照)、これを受けて立憲民主党の泉健太代表は「政府・日銀総裁による説明が必要」などと述べています。
株価というものは上がったり下がったりするものですので、株価変動のたびに政府・日銀の説明を求めるというのも、なんだか理解に苦しむ態度です(ちなみに日経平均株価は6日、前日比+3,217円04銭とリバウンドしており、1983年以来のデータで見て、上げ幅としては史上最大だったりもします)。
ただ、それ以上に、「金利正常化」を要求していた立憲民主党が、(一般には)「日銀の利上げを契機とした株安」(と指摘されている現象)に対し、こうやって噛み付くということ自体、なんだかよくわかりません。
このインターネット時代において、オールドメディアの影響力が低下し、インターネット上で直接、立憲民主党の関係者の情報発信を確認する有権者が増えてくれば、立憲民主党が議席や支持率を伸ばすのに苦慮している理由も、なんとなく見えて来るのではないか、などと思う次第です。
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批判をかわすために先手を打ったつもりなのはないでしょうかね。(深読みしすぎかな?)
オールドメディアはツッコまないでしょうねー。
>政府・日銀総裁による説明が必要です。
株価が下がって政府や日銀が何を説明すればよいのやら。
「株価が下がりました」と説明する
に1ウォン
利上げの目的に株価対策は入ってないとは思うけど、それでも利上げが引き金になっのかってことの検証自体はあっても良いのかな?って思います♪
そうすることで、今後、同じような現象の発生を避けることができるかもしれないと思うのです♪
ただ、そのためにはデータを集めて、しっかりと分析をすることが必要だから、今日明日にできることじゃないとも思うのです♪
で、立憲がそこまで考えているのかって考えると、多分考えてなくて、日銀総裁をはじめ担当者の吊し上げ大会を開いて、溜飲を下げる&支持者に良いとこをみせるってことしか考えてない気がするのです♪
色眼鏡がかかった意見だとは思うけど、あたしにはそう思えるのです♪
今回の株安は時差の関係で日本―>アジアー>ヨーロッパー>アメリカの順。
ところが日本の下落率が断トツに大きい。
日銀の利上げ、アメリカの景気後退懸念、中東情勢への懸念等が下落原因として挙げられるが、日銀の利上げは日本以外は関係ない。
したがって他国の下落率3-8%を超える部分は日本独自の理由(日銀の利上げ)によるものかもしれない。
もう一つ、株価の下げが大きいと信用で買っている人(主に個人)に追証が発生して狼狽売りが出てくる。これも日本の下落率を大きくしている原因の1つだろう。
トルコはインフレの激しい国だが、エルドアン大統領は「インフレの時は金利を下げろ」と言って世界を唖然とさせた。このコメントに対してECBもFRBも何も言わなかったと記憶している。
立憲民主党が政権取ったらこういうことが起こりそう。
立憲の場合、良さげなこと言ってたとしても
それをやるかやろうとするかが別の問題
今回は、まずはろくでもないことしか言ってないので安心
>「金融政策の正常化」とは、常識的に考えたら、利上げでしょう。
常識的に考えたらって、新宿会計士さんは立憲民主党の面々と常識を共有しているんでしょうか?
毎度、ばかばかしいお話を。
立憲:「高齢の立憲支持者にとって、立憲が自民党を攻撃するのを見ることは娯楽である。その攻撃を批判することで、お年寄りの楽しみを奪うな」
これって、笑い話ですよね。