当ウェブサイトとしては、岸田文雄政権による対韓外交を「あまり高く評価できない」と申し上げ続けてきましたが、久々に「最低限やるべきことをちゃんとやっている」という事例が出てきました。ベルリン・ミッテ区の路上に慰安婦像が設置されている問題で、ベルリン州当局が解決に向けドイツ政府と協議していることを20日までに明らかにしたというのです。
目次
自称元慰安婦問題の定義
自称元慰安婦問題といえば、「韓国があることないこと捏造し、法的な根拠なしに日本から謝罪や賠償を強要して来た問題」という意味で、当ウェブサイトの用語でいう、典型的な「二重の不法行為問題」のひとつを構成しています。
日韓諸懸案巡る韓国の「二重の不法行為」とは?
- 韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
- 韓国側が日本に対して要求している「謝罪」「賠償」などには、多くの場合、法的根拠がなく、何らかの国際法違反・条約違反・約束違反を伴っている
(【出所】当ウェブサイト作成。詳細は『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』等参照)
ちなみに自称元慰安婦問題、きちんと定義しておくと、次のようなものでしょう。
「①戦時中(1941年12月9日~1945年8月15日の期間)、②日本軍が組織としての意思決定に基づき、③朝鮮半島の少女20万人を、④本人の意思に反して戦場に強制連行して性的奴隷として酷使した問題」。
―――。
あのぉ…彼女がフィリピンに渡ったとき、日本軍はいませんでしたよ?
ただ、この①~④のすべてを裏付ける客観的な証拠が存在するわけではありません。
たとえば、自称元慰安婦が証言する、「慰安婦」として使役されたといわれている時期や場所が、史実と照らし合わせて大きな矛盾を生じているケースも多いようです。
その典型例として、韓国メディアのこんな報道を挙げておきましょう。
慰安婦被害者が死去 生存者27人に=韓国
―――2018.07.01 14:21付 聯合ニュース日本語版より
今から約6年前の2018年7月1日付の記事によると、101歳で死去したとされる「旧日本軍の慰安婦被害者」は、22歳のときに「工場に就職させるとの言葉にだまされフィリピンなどに連れていかれ慰安婦としての生活を強いられた」、とあります。
しかし、2018年7月1日に101歳で死去したということは、(「数え年齢」などを使っていなければ)この人物の生年月日は1916年7月3日から1917年7月2日までのいずれかであるはずです(※法的には、誕生日の前日に年齢が1歳上がります)。
ということは、この人物が「22歳のとき」とは、逆算して、1938年7月3日から1939年7月2日までの期間を指すはずですが、史実に照らすなら、その時期のフィリピンは米国の支配下にあり、日本軍の軍事侵攻は少なくともその1年半後です。
また、(ちょっと考え辛い話ですが)死亡時年齢を「数え年齢」、慰安婦として働いていた時期を「満年齢」で表現していたとしても、生年月日がもう少し遅くなるかもしれませんが、その場合であっても「22歳のときに日本軍がフィリピンに侵攻していた」という可能性は高くありません。
それとも、そこにいないはずの日本軍が1941年12月8日以降にフィリピンに軍事侵攻することを予見し、あらかじめ「慰安婦」としてフィリピンに渡航していた、とでもいうのでしょうか。
矛盾はほかにも山ほどある
いずれにせよ、一事が万事、この調子です。
また、自称元慰安婦問題には、不自然な点がほかにも多々あります。たとえば、次のような具合です。
- 日本軍が命じたはずなのに、日本軍の命令書が1枚も残っていないこと
- 日本軍が慰安婦らを「性奴隷」化した証拠が発見されていないこと
- 「慰安婦被害者」らが「強制連行」される際に村落などで組織的な抵抗が生じた証拠が残っていないこと
- 日本軍と自称元慰安婦らの混血児の存在が報告されていないこと
- 東京裁判などの軍事法廷において(一部の事例を除き)この問題が裁かれた形跡がないこと
…。
これについてはいわゆる『河野談話』が公表される前に日本政府が慰安婦共生性の証拠を探したけれども見つからなかった、といった史実も知られていますが、それだけではありません。米国政府の調査でも、たとえば「性奴隷化の証拠」は発見されていなかったことが知られています。
米政府の慰安婦問題調査で「奴隷化」の証拠発見されず…日本側の主張の強力な後押しに
―――2014/11/27 05:10付 産経ニュースより
また、20万人といえば当時の朝鮮半島の人口の1%に相当する人数ですが、それだけの女性を日本軍が組織的に誘拐したとして、その「被害者」の父親は、兄は、弟は、いったい何をやっていたというのでしょうか?
もちろん、当ウェブサイトとしても、「いわゆる慰安婦が存在しなかった」、などと述べるつもりはありません。
現実に戦場では日本軍が関与した「慰安所」が存在し、そこで慰安婦らが「給与を得て、働いていた」ことは事実だからです。また、インドネシアなどでは「スマラン慰安所事件」なども発生しているため、日本軍がまったく性犯罪を働かなかった、などと述べるつもりもありません。
しかし、ここで重要な点があるとしたら、韓国側が主張する、「女性の強制連行」、「性奴隷化」などを柱とする、いわゆる自称元慰安婦問題自体が、韓国(や一部日本のメディア、日本の自称市民団体らによる)壮大な狂言の体系である、という事実です。
日本政府がベルリン慰安婦像の撤去を要請
この点、故・安倍晋三総理大臣の指示で、2015年12月28日に、当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権との間でのいわゆる「慰安婦合意」が成立したことについても、当ウェブサイトとしては、「そもそものアプローチが間違っている」と批判し続けてきたつもりです。
また、韓国は文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代に、この自称元慰安婦問題を巡り、合意を事実上破棄し、関連する外交文書を勝手に公表したり、と、やりたい放題でしたし、日本政府の自称元慰安婦問題に関する取り組みが十分とは言い難いのが実情でしょう。
ただ、この「慰安婦合意」以降は、韓国側が自称元慰安婦問題を取り上げようとしても、日本政府はこれを相手にする必要がなくなったこともまた事実です。
こうしたなかで、「あの」共同通信が先日、こんな記事を配信しています。
少女像、ドイツが解決図る方針 韓国側、撤去の動きと反発
―――2024年5月20日 21時07分 付 東京新聞TOKYO WEBより【共同通信配信】
共同通信の記事はタイトルの段階で既に不適切です。「少女像」とは韓国における一般的な呼称だそうですが、実態に照らし正しく呼ぶならば、これは自称元慰安婦を象徴している「慰安婦像」、が適切な呼称ではないでしょうか。
(※なお、一説によると慰安婦像のモチーフとなったのは、もともとは2002年に発生した米軍装甲車による女子中学生轢死事件の被害者で、それが自称元慰安婦問題に転用された、とする説明も見かけますが、このあたりの真偽についてはよくわかりません。)
ただ、内容もなかなかに強烈です。
これは、ドイツの首都・ベルリンのミッテ区の路上に慰安婦像が設置されてしまっている問題を巡り、ベルリン市のカイ・ヴェグナー市長が16日、東京で上川陽子外相と会談した際に「解決を図る」と表明し、現在、ドイツ政府などと協議していることを、ベルリン州が20日までに明らかにした、とするものです。
ちなみに設置したのはベルリンの「コリア協議会」なる韓国系の市民団体だそうで、韓国政府当局者も20日、「(慰安婦像の設置は)地域と市民社会が自発的に進めたもので、民間レベルの活動に韓日両国政府が関与するのは望ましくない」などと牽制したそうです。
このあたり、当ウェブサイトとしては、岸田文雄政権の対韓外交については「高く評価することは難しい」とする立場をこれまで示してきたつもりですが、この慰安婦像撤去の一件については、「最低限やらなければならないことはやっている」、という意味では評価できるかもしれません。
特殊なのは「日韓関係」ではなく「韓国」:日韓は「普通の関係」になるべき
ただ、冷静に考えてみると、韓国の「歴史問題」も、第三国を巻き込んだことが「敗因」だったといえるかもしれません。
そもそも2015年12月の慰安婦合意も、裏で米国の「仲介」があったとされていますし、今回もドイツという「無関係の第三国」を巻き込んだことで、少なくとも日韓両国間ではこの問題が最終的かつ不可逆的に解決済みであることが確認されている、という事実が効いてきた格好だともいえるでしょう。
いずれにせよ、たとえば日韓通貨スワップや火器管制レーダー照射事件問題への対応など、日本政府の対韓外交には、まだまだ甘いところが多々ありますが、それと同時にこのインターネット化した社会において、自称元慰安婦問題などで日本政府が韓国に甘い顔をすることを、国民が許さなくなっていることは間違いありません。
そして、いみじくも韓国観察者の鈴置高史氏も指摘する通り、特殊なのは「日韓関係」ではなく「韓国」なのです(『「李朝の世界観」:鈴置論考で考える「韓国の特殊性」』等参照)。
日韓関係も「特殊な関係」ではなく、これからますます、「普通の関係」になっていくべきでしょう。
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>「(慰安婦像の設置は)地域と市民社会が自発的に進めたもので、民間レベルの活動に韓日両国政府が関与するのは望ましくない」
いわゆる慰安婦合意にも、「喧伝活動の粛正化に ”努める” 」旨が謳われてたはず・・!
罰則規定のない努力義務なんて無意味ですね。韓国は元から「不通の国」だってことです。
そもそも被害者の「証言」だけで日本の行いを断罪した事が根本的、絶対的に間違っている。
被害者がいたなら当然加害者も存在したわけで、この問題がクローズアップされ始めた90年代なら、旧日本軍に所属した方々はまだ沢山存命中だった。被害者側から要望があれば、彼らと面会させる事も当然出来たはずである。
まして、悪名高い(笑)皇民化政策によって日本名と日本語の使用を強要された被害者が、当時関わりを持った日本人の名前や特徴を全く覚えてないという事も有り得ないだろう。彼らの主張する加害者が実在したのかどうか、今からでも証言させれば良いのだ。
しかし結局、話に整合性が全く取れない事を被害者側も認識しているから議論から逃げ、、囂しく日本を非難することしか出来ないのだろう。姑息にも無関係の他国を巻き込もうともする。
2013年に橋下徹氏との会談を被害者側がドタキャンした事も、その傍証と言えるだろう。
乱文、お許しください。
>そもそも被害者の「証言」だけで日本の行いを断罪した事が根本的、絶対的に間違っている。
必ずしも間違ってないよ
原告が裁判官と陪審員を兼任して、証言だけで日本の行いを断罪するのが「正義の裁判」だと宣伝されていた
建国間もない韓国が「なるほど、欧米の近代的な裁判というのは、そういう形でやるのか。今までの韓国のやり方はおかしかったので欧米風に変えないといけない」と学習するのは当然の話
>今からでも証言させれば良いのだ。
あまり追い詰めると、
「韓国に愛はないのか?」
ですしね。
ローマ教皇のお言葉が笑えない。
「韓国民がこの事件をきっかけに倫理的・霊的に生まれ変わることを望む」
元々は加害者の証言もあったんですけど、
加害者の証言が嘘だって判明したから、
今現在は自称被害者の証言だけになってます。
加害者の証言、被害者の証言、客観的事実、の三つのうち、
客観的事実は最初から存在しないままですし。
ドイツ人は韓国のことを嫌っているみたいですね。この事実をお忘れなく。あほなことをやっているから、いまだに統一できないと。お持ってるらしい。ドイツがどちらかというと反韓国国家ということは、いがいと知られてない。
今回外務大臣がマスゴミの標的になった最大の原因は明らかにこの件でしょうね。
もしそうなら逆恨みも甚だしいですが。
上川議員も高市議員同様に「アベ度が高い!」と恐れられているのかも知れませんね。
寿命が残り少ない野党やオールドメディアにとって、”安倍政権の再来”は
超がつく程の悪夢でしょうし(今の岸田政権ですら彼らは不満たらたらの様です)。
>日韓関係も「特殊な関係」ではなく、これからますます、「普通の関係」になっていくべきでしょう。
韓国が「特殊な国」から「普通の国」になる事は考えられない以上、
日韓関係は「普通の国」日本と「特殊な国」韓国との「特殊な関係」であり続けるとも言えそうです。
>また、20万人といえば当時の朝鮮半島の人口の1%に相当する人数ですが、それだけの女性を日本軍が組織的に誘拐したとして、その「被害者」の父親は、兄は、弟は、いったい何をやっていたというのでしょうか?
真面目に書くと、特殊な性癖を有する人達がそれだけ居たのではないでしょうか?