日本学術会議の予算が2~3倍に増えたならば、ウクライナ戦争を巡る例の「ペラいち」の声明文も、文章のサイズが2~3倍に増えたのかもしれません。現状、日本学術会議が日本経済にとってどう役立っているのかはよくわかりませんが、一般に利権は自動的に拡大するという側面があることは間違いなさそうです。
ウクライナ戦争巡るペラいち声明文
以前の『ウクライナ戦争巡る日本学術会議の「ペラいち」声明文』では、日本学術会議が公開した、ウクライナ戦争を巡るペラッペラな声明文に関する話題を取り上げました。これが傑作ですので、再掲しておきます(図表)。
図表 日本学術会議が公表した「A4ペラいち」のイメージ図
(【出所】日本学術会議ウェブサイト)
声明文自体、ロシアに対する非難のトーンが極めて抑制的であることもさることながら、A4サイズの「ペラいち」でスカスカの文章という点にも、なかなか驚きます。
もちろん、「文章の分量」が重要だ、というわけではありません。
ちょっとお粗末な日本学術会議
ただ、日本学術会議は「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意のもとに、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」としているわりには、何とも素っ気ない限りです。
日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号) 前文
日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。
しかも、「ロシアが宣戦布告なしにウクライナに侵攻した」といった国際法違反の可能性は当時から指摘されていたにも関わらず、ロシアの無法行為に対する言及もないのは、法学者も抱えているはずの「科学者の集団」にしては、ちょっとお粗末でしょう。
しかも、日本学術会議を巡っては、ほかにも、役割をちゃんと果たしていないのではないかと疑われる事例がいくつも出ています。
たとえば福島第一原発の処理水を巡って、中国共産党や一部の日本のメディア、政治家などがこれを「汚染水」呼ばわりしたことに関し、少なくとも日本学術会議が何らかの声明を出したという事実は確認できません。
しかも、「福島処理水は汚染水ではない」、「処理水に含まれるトリチウムは自然界にも存在するものである」、「中国の原発から排出されるトリチウムは福島第一原発から出て来るものと比べてけた違いに大きい」、といった科学的・統計的事実に同会議が言及したという形跡もありません。
また、「科学者」には経済学者も含まれているべきですが、「円安が進むなか、電力供給の不安と電気代の急騰を抑えるためには、原発再稼働が最善の解決策だ」、といった提言が、日本学術会議から出て来たという事実も存じ上げません。
「予算を2~3倍にすれば」…!?
こうしたなかで、この学術会議を巡って、こんな話題が出てきました。
2~3倍の安定収入必要 学術会議、外部有識者が指摘
―――2024/04/22 19:56付 Yahoo!ニュースより【共同通信配信】
なんだか、よくわかりません。
というのも、「日本学術会議の活動を定期的に評価する外部有識者」が22日、年間約10億円という現在の予算規模では足りず「少なくとも2~3倍の安定収入の確保が切望される」とする報告書を公表した、というものです。
もしも学術会議の予算が今の2~3倍だったとすれば、ウクライナ戦争を巡る声明文の文字数も2~3倍になった、ということでしょうか?
それが何か社会の役に立つともいうのでしょうか?
いずれにせよ、利権というものは自動的に拡大を目指すものであることは間違いなさそうです。
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結局のところ、日本学術会議は、「日本学術会議が成果を出せないのは、予算が足らないせいだ」と言いたいのでしょう。
是非とも立憲の蓮舫議員には「どうして日本学術会議の予算が2倍から3倍なければならないのですか。どうして1/2から1/3に減らしてはダメなのですか」と言って欲しいものです。
選手A:成果を出せないのは、年俸が足らないせいだ!
フロント:じゃ、自由契約で。
独立性は維持するが国は税金を3倍寄越せと。乞食か○○人の言い草ですね。
少なくとも2~3倍。10億円では足りないので20億~30億円必要と。
もし私がこんな"必要額"に1.5倍もの開きのある超絶曖昧杜撰適当な計画書を引っ提げて金融窓口に融資相談に行ったら、「アンタ何がしたいの?その数字の根拠どこ??」で終わると思います。しかもこの場合はあくまで"負債"であるため貸す方は返済の心配をするのみですが、学術会議の政府支援金なんて、負債ではなく純粋に資産に取り込むものでしょう。
民間の技術開発プロジェクトとかであれば、予算の予測に幅が出るのは仕方ない(というか大抵は嵩んで超過する)と思えますが。せめて使途の一例でも挙げたうえで「~なので少なくとも2倍、更に大きな成果を確実にするためには3倍程度は必要。」とかしないと。
こんなの「何に使うか決めてません」と自白しているようなものでは?さらに揚げ足取りが許されるならば、
>学術会議が求められる役割を果たすには、年間約10億円という現在の予算規模では足りず
役割、果たせてないんですね現状。なっとくー。
「2~3倍にしてください。」
みたいにテキトーな表現をしないで、せめて、
「2.71828182845904倍にして下さい」
と学術的な冗句をまじえた表現にでもしておけばよかったのに。
新宿さんが書いてるように、彼らには法学の識者も居てるはずなのに法学的に考察した形跡が見当たらない。
これまでの提言でも、どこの領域であれ識者としての深い洞察だと感心したことはない。
質はさておき量で言っても、ウクライナ戦争みたいにペラ1枚でもアウトプットしたなら良い方で、そもそもなんの提言もしていない。
出羽守「ほかの先進国ではっ!」
多くの先進国では、この手のアカデミックな組織は、税金を使わずに運用されているのですから、自立自活して思う存分に好きなだけ浄財予算を集めて使えばよろしいだけですやんか。
人民元を発行している所から貰えば良いのに。
投稿しても反映される時と弾かれる時がありますが、何故でしょうか?特に過剰な表現でない時も弾かれる時があるのですが。
下記の[重要]注意事項に、
>、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
もう、この組織は不要でしょう。
あなたは何ができますが?
どのような実績がありますか?
予算に見合った仕事をしていますか?
とどのつまり↑の事ができているかどうかが重要です。
なーぜーかー、学術会議が過去にどのような実績があるか言いたくないようです。
素晴らしい提言をしてくれる組織なら2倍でも3倍でも必要でしょう。
実績がないなら潰してしまいましょう。
国家は徐々に利権と言う名の脂肪がついていきます。
最初は高尚な目的でつけられた予算も、時節が変わればただの利権となります。
本来であれば野党はそうした贅肉予算を指摘する必要があるのですが、
なーぜーかー、野党が予算チューチューしている側なので擁護まった無しです。
無党派層が最大派閥、な与論調査を見ていると与党も野党もダメダメ過ぎるのが
日本を悪くしている原因なのでしょう。
新宿会計士様が紹介されてた記事には報告書へのリンクがないし、学術会議のホームページにも該当する報告書は掲載されてないみたいなのです♪
ほんとにそんな報告書があるのかすら疑問を感じるところなのです♪
だいたい年間10億円の予算を2〜3倍にって、その追加する10〜20億円の使い道もよくわかんないのです♪
「A4ペラいち」は、日本学術会議のホームページで、
日本学術会議 トップページ > 提言・報告等 > 会長談話
に掲載されているようです。
https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220228.pdf
すみません。外部有識者の報告書と
「A4ペラいち」の会長談話を
取り違えてしまいました。
>「日本学術会議の活動を定期的に評価する外部有識者」が22日、年間約10億円という現在の予算規模では足りず「少なくとも2~3倍の安定収入の確保が切望される」とする報告書を公表した
金が必要だというならば、まずは予算要求書を提示して査定を受けなさい、と言いたいですね。
外部有識者の言い分は、「日本学術会議に仕事をしてほしければ、まずは金を持ってこい」と言っているに等しく、こんな傲慢な奴に金を払う顧客なんか、この世には存在しません。
こういう傲慢な態度を見るにつけ、日本学術会議というのは本当に既得権にたかるハイエナみたいな奴なんだなぁと、しみじみ感慨にふけってしまいます。
金を払ってほしければ、まずは実力と実績を示さなければなりません。ペライチの声明文を見せられて予算が年間10億円と聞かされると、こんなショボい仕事しかしないのに、予算高すぎだろ、という話になると思います。
自分は面倒なのでやりませんが、もし、ペライチの声明文の1文字当たりの作成単価を試算したら、べらぼうな金額になるんじゃないでしょうか。
(ペライチ声明文の文字数を大体200文字(表題、日付、署名の文字数を含む。)として、この声明文作成に費やしたコストを仮に1000万円とすると、1文字当たりの作成単価はおよそ5万円となりますね。・・・あぁ、面倒だと言っときながら計算しちまった・・・)
emoto
日本学術会議がアホやから研究がでけへん!
日本学術会議は会議とやらをする部署らしく研究費の分配に口は出しますが研究そのものをする機関ではありません。
早い話が項なり名を遂げた高齢研究者の寄合い茶飲み場所です。
学術会議が出す「科学的な事柄について、政府に対して実現を強く勧める」「勧告」は1990年代からめっきり減っていて、今年の4月に出された「日本学術会議のあり方の見直しについて」という勧告は、2010年以来13年ぶりの勧告。なお、1979〜1988年は27件。
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-3.html
「科学的な事柄について、政府及び関係機関等に実現を望む意思表示をする」「要望」も、2009年が最後。
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-1.html
予算が足りずに活動に支障をきたしているなら、20年以上前に声を上げるべきでしょう。
今、予算を増やせと言うのは、今世紀の活動実績と整合性が合わないように感じます。
ぴよすけさんのご指摘の一方で、元文科省事務次官の方は、
>学術会議は、政府に対して勧告権を有する独立した国家機関として残すべきだと思う。
なんてなことをつぶやいたそうなのです♪
https://twitter.com/brahmslover/status/1783836968268538217?t=vLQgSfY3A4me_rUK---ldA&s=19
会長をはじめ、学術会議には錚々たるメンバーが揃ってて、各々の専門分野での発言・発表には、勧告権とかなくても傾聴に値するものだと思うのです
それが学術会議という名前を冠したとたんにペラ1枚のど〜でもいいものになっちゃってるのは、先生方の能力の無駄遣いな気がするのです