太陽光発電はクリーンといえない
それにしても、次から次へと、よくぞここまで不祥事が生じるものです。宮城県仙台市では15日、メガソーラーから出火し、消防車など19台が出動する騒ぎとなったそうですが、先月の鹿児島県でのリチウム蓄電施設の火災と言い、太陽光発電を巡る災害が多すぎます。これに加え読売新聞の報道によれば、能登半島地震で破損、崩落、感電・発火の恐れがある太陽光発電施設が少なくとも19箇所に及ぶのだとか。
目次
インチキ論説
太陽光発電は環境に優しいクリーン・エネルギーだ。
火力発電と違って発電時に二酸化炭素を排出しないうえに、原子力発電と違って有害な放射性廃棄物を発生させない。しかも大掛かりな設備は不要で、各家庭の屋根の上、ビルの窓ガラスなど、街中にも「発電所」を作ることができる。
さらに、一説によるとサハラ砂漠の面積のほんの4分の1に太陽光パネルを敷き詰めたら、全人類が使用する電力を生み出すことができるという。
さすがに現在の人類の技術だと送電ロスや蓄電ロスをゼロにすることはできないが、送電ロスがゼロになる「超電導送電システム」「超電導蓄電システム」を開発することができれば、サハラ砂漠で発電して地球全体に送電する、といったことも可能になるかもしれない。
新技術の夢は、それだけではない。
「宇宙に太陽光パネルを浮かべて発電し、それをマイクロウェーブで送電する」といった仕組みも、研究が進んでいる。これが実用化すれば、24時間・365日、太陽光による発電ができるようになり、人類はエネルギー問題を解決することができてしまうだろう。
現在の日本は、「太陽光先進国」、「エコ先進国」を目指し、邁進している。
東日本大震災が発生する前年の2010年、太陽光の発電量は35億kWhに過ぎなかったが、これが2022年実績でその26倍の926億kWhにまで増えた。総発電量に占めるシェアはじつに9%に達している。
しかし、まだまだ足りない。
日本列島をソーラーパネルで埋め尽くせば、環境に優しくない原子力発電所や火力発電所を全廃することも夢ではないし、地球温暖化ガスの排出量もどんどんと減らせるうえに日本列島がさらに安全で快適な場所になることは間違いない。
そして、ガソリン車も全廃し、太陽光発電とEVで、日本は世界に先駆けてゼロ・カーボン社会を実現すべきだ。
それに向けて、太陽光発電は、どんどんと推し進めていくべきなのである。
もちろん、太陽光発電にも課題はあるが、その代表例が、コストの高さだ。
今年5月から適用される再生可能エネルギー賦課金の額は、kWhあたり3.49円に設定された。これは毎月400kWhを使用する家庭の場合だと、月1,396円、年間で16,752円となり、決して安い額ではない。
しかし、ゼロ・カーボン社会の実現という理想の実現のためであればやむをえないコストであり、太陽光発電所ができればできるほど、規模のメリットも働いて、太陽光パネルなどの価格も下がっていく効果が発生するのではないだろうか。
能登半島地震で太陽光施設19箇所に問題=読売報道
…。
自分で書いていてアレですが、思わずバカらしくなる記述です。
「太陽光発電は発電時に地球温暖化ガスも放射能物質も出さない」というのはその通りなのですが、本当に環境に優しい発電手段なのかと問われれば、そこも非常に微妙だからです。
当ウェブサイトではここ数ヵ月、太陽光発電などの再エネの多くが、必ずしも環境に優しくないのではないか、と指摘してきました。とりわけ、『釧路湿原を破壊する太陽光パネル』でも指摘したとおり、一部の地域では太陽光パネルが自然環境を破壊するなど、むしろ環境には優しくないのではないか、といった事例が出ています。
こうしたなかで、読売新聞が11日に報じた記事によれば、今年1月1日に発生した能登半島地震では、太陽光発電施設が破損・崩落する事故が少なくとも19箇所で発生していたことが明らかになったのだそうです。
能登地震で太陽光発電施設19か所が破損や崩落、感電・発火の恐れ…被害の全容不明
―――2024/04/11 15:00付 読売新聞オンラインより
読売によるとこの19箇所は国に報告された16箇所に加え、読売新聞が航空写真を分析した結果、ほかに3箇所でも確認したものだとしており、また、破損したパネルは感電や発火の危険性があると警告。「事業者が報告していないケースがほかにもあるとみられる」、などとしています。
今度は仙台市でも大規模火災か
これに加えて15日には、仙台市青葉区芋沢のゴルフ場近くのメガソーラーで火災が発生したとの話題もあります。
【続報】仙台のメガソーラー発電施設で火災 けが人確認されずも炎上続く〈宮城〉
―――2024/04/15 14:52付 Yahoo!ニュースより【仙台放送配信】
仙台放送によると、この火災では消防がポンプ車など19台を出して消火にあたった、とのことですが、ずいぶんと大規模です。実際、ミヤギテレビの下記記事で、ヘリ映像動画により火災の様子を見てみると、たしかにパネルの間から火が出ていることが確認できます。
【続報】仙台市青葉区芋沢「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」で火災 消火活動中の現場上空からリポート(15日午後3時50分頃)
―――2024/04/15 16:21付 Yahoo!ニュースより【ミヤギテレビ配信】
こうした事例、枚挙にいとまがありません。ここ1ヵ月弱の間に当ウェブサイトで取り上げた話題に限定しても、太陽光発電を巡る問題は、数えきれないほどに報じられているのです。
こんなにある!太陽光の問題点
それらのごく一部をまとめておきましょう(図表1)。
図表1 太陽光発電を巡る問題事例の一部
現場 | 概要 | 備考 |
奈良県など | 古墳を取り囲むように太陽光発電施設が建設されている | 『太陽光発電施設が「史跡破壊」か』 |
鹿児島県伊佐市のメガソーラー施設の蓄電池置き場 | 3月27日夜に火災が発生したものの、消火活動が難航した | 『メガソーラー火災で燃え尽きるまで消火できない蓄電池』 |
熊本県の阿蘇地域一帯 | 大規模な太陽光発電所が続々出現し、環境省が景観への悪影響の観点から規制の検討を始めた | 『太陽光発電には総量規制が必要だ』 |
釧路湿原 | 無許可工事に加え絶滅危惧種の生息エリアなどでの事前届け出なしに建設が進められる事例が相次いでいる | 『釧路湿原を破壊する太陽光パネル』 |
能登半島 | 今年1月1日に発生した能登半島地震では、太陽光発電施設が破損・崩落する事故が少なくとも19箇所で発生していた | |
仙台市青葉区芋沢のゴルフ場近くのメガソーラー | メガソーラーから出火した |
(【出所】各種報道等)
ちなみに原発を巡っては、「事故が起きたらどうするのか」、などと主張する人も多いのですが、正直、太陽光発電所が原子力発電所より安全で環境にも優しい、などといわれても困惑します。
太陽光発電を巡ってはこれだけ頻繁に火災、土砂崩れ、崩落などが発生していて、しかも有毒物質などの流出も懸念されているわけですから、やはり太陽光発電は設置・運営基準などに、根本的な問題があると断じざるを得ないのです。
太陽光の問題点と原発との比較
改めて、太陽光発電の問題点を列挙しておきましょう。
①そもそも安くない
再エネ賦課金の存在を前提としていることからもわかるとおり、太陽光発電はそもそも安くない。効率が悪く、太陽光パネルなどの設置費用も必要。さらには中小規模事業者などのパネル設置に伴うトラブル(土砂流出、火災など)対応のコスト、将来の破棄費用コストなどもかかる
②出力が安定しない
電力系統では常に需給のバランスを一致させることが必要だが、太陽光発電は季節、時刻、緯度に加え、その日の天気などによっても出力が大きく変動する。このため、太陽光発電の割合が増え過ぎると、この「需給バランスの一致」という目標を達成することが難しくなる
③面積当たりの発電量が少ない
設置する場所の緯度や気象条件等にもよるが、一般に太陽光発電施設の出力は1ヘクタールあたり500kW程度とされ、日本の気象条件では利用率は15%が良いところであり、この場合の年間発電量は1ヘクタール当たり33万kWhと、出力100万kWの原発とくらべ1万分の1に過ぎない
④環境に優しくない
太陽光発電は地球温暖化ガスを排出しない、などといわれているが、頻発するパネルなどの火災では大量の二酸化炭素などを発生させているし、パネルを設置することで山林の保水能力や光合成能力が低下し、却って地球環境を悪化させることがある
…。
正直、太陽光発電のなにが優れているのか、よくわかりません。
いちおう、反原発派の皆さまが直視したがらないであろう、原発と太陽光発電の違いを、一覧にしたものを再掲しておきます(図表2)。
図表2 太陽光発電vs原子力発電
比較項目 | 太陽光 | 原子力 |
効率の良さ | 非常に悪い | 非常に良い |
発電コスト | 非常に高い | 非常に安い |
日中の発電量 | 非常に不安定 | 非常に安定的 |
送電網への負荷 | 極めて高い | 極めて低い |
発電時の地球温暖化ガス | 排出しない | 排出しない |
その他の留意点 | 火災が頻発しているほか、大規模な環境破壊も社会問題化 | いったん事故が起きれば影響は深刻。核のゴミ問題も未解決 |
(【出所】当ウェブサイト作成)
原子力発電には「いったん事故が起きれば極めて深刻な問題が生じる」、「核のゴミ問題など未解決の課題がある」、といった欠点はあるものの、少なくとも日本では地震を直接の原因とする原発事故は発生しておらず、技術的には極めて安定しているといえます。
(※ちなみにあくまでも著者による私見に基づけば、福島第一原発事故は民主党政権が発生させた「人災」のようなものです。)
コスト面でも、環境面でも、電力網維持という面でも、太陽光に問題があることは明らかです。
中国を潤す太陽光
日本の太陽光発電が中国企業を潤している!?
もっといえば、太陽光発電は原子力発電などと比べ、明らかにローテクの発電方式でもあり、安価な太陽光パネルは中国産のものが多く使われているとの指摘もあります。
たとえば『ITメディアビジネス』に12日付で掲載された、ジャーナリストで研究者の山田敏弘氏が執筆した次の記事には、なにやら不穏当なことが記載されています。
中国系企業が日本の“再エネビジネス”に食い込む 「透かし騒動」から見る実態
―――2024年04月12日 07時00分付 ITmediaビジネスより
山田氏によると「日本政府の電力買取価格はあまりにも破格」で、「国際標準と比べると2倍ほどになる」うえに、「公安関係者」は「中国の事業者らが年間で得ている再エネ賦課金は20億円にもなる」などとする試算を示しているのだそうです。
リチウムバッテリーは川上から川下まで中国が8割占める
そういえば、太陽光パネルだけでなく、リチウム蓄電池も中国が得意とする分野として知られています。
『グローバルX』というウェブサイトに2022年9月に掲載された次の記事によれば、中国企業は世界のリチウムサプライチェーンにおいて川上から川下まで重要な位置を占めており、2021年にはバッテリーセル製造の約80%を占めるまでになっている、などと記載されています。
中国が変える世界のリチウム産業
―――2022/09/27付 GLOBAL Xより
リチウム、太陽光といった「中国でも作れる労働集約的な製品」(※著者私見)に大きく依存する再エネ戦略がいったいどこの国を潤しているのか――。べつに陰謀論によらずとも、普通に産業構造を読み解くだけで、その答えは明らかでしょう。
ということは、中国が太陽光パネルの輸出制限などを通じ、日本の電源に対し、間接的な影響力を与えることができるという状況にある、などといえなくもありません。経済安全保障の観点からは、これも由々しき問題点でしょう。
太陽光推進は間違っている
いずれにせよ、当ウェブサイトとしても、太陽光発電を全否定するつもりはありませんが、少なくとも原子力などの安定電源に優先させるべきものでもなければ、まして、家計に巨額の負担を強いてまで強引に推進すべきものでもありません。
そのことについては、これから当ウェブサイトにおいて、何度でも強調していきたいと思う次第です。
View Comments (9)
毎度、ばかばかしいお話を。
①太陽光発電カルト信者:「太陽光発電を否定する某会計士は、遅れた愚民である」
②太陽光発電カルト信者:「言霊効果で、口に出さなければ、太陽光発電に問題は起こらない」
ありそうだな。
そもそも太陽光発電は、発電するためのものではなく、原発に反対するためのものではないでしょうか。
火力発電を否定されたので原発回帰させないための当て馬なんです。
フリーマンダイソン提唱
夢のエネルギー源
名付けて「大損窮」
再エネ賦課金の根拠となる太陽光パネル発電や風力発電の事業者に当初設定した供給能力に至らない電力供給しか出来なかった場合には時間帯ごとの出力変動毎に違約金を完全義務化したらどうでしょう?
余ったら売ってやるに全国民が金払う義務なんかありません。
なにがなんでも当初の設定通りに供給しなければならないとしたら技術も進化するでしょうし生半可な業者は淘汰されます。
天候や周囲の環境なんか知ったこっちゃありません。
ノーリスク確定ハイリターンの投資なんか存在してはいけません。
それは寄生というものです。
保守政党が自民党一つと言う政治を変えないと、補助金ばら撒き政治が続くと覚悟しないといけませんね。
再生可能エネルギーは、左系や中国系が利権化しているようですので、マスコミも陰の部分は見て見ぬふりしてますし。
右も左も国民から巻き上げた税金でやりたい放題という政治を変えるには、自民党に代わる保守政党しか無さそうですね。
そもそも太陽光なんてエネルギー効率最悪で、中国にマネーロンダリングする以外に使い道皆無ですからね。
うちらウイルス漏らすし
放射能も垂れ流し
CO2減らす気なんぞさらさらない
どこぞの愚物がノコノコやってきて
CO2削減とマヌケな演説ぶちおった
もっけの幸いと
使い切れないほどの太陽光パネル
売りつけてやったわ
>中国を潤す?
一見 環境に優しいソーラーの実態は、
利権 環境に易しいソーラーなのかな?
ってことですよね・・。