小林鷹之氏らは数年前に「TFの意見に根拠なし」と指摘
太陽光発電が問題だらけというのは当ウェブサイトでもしばしば指摘してきた論点のひとつですが、こうしたなかで、政府の再エネタスクフォースの資料に中国国営企業の透かしが入っていた問題は、その民間構成員の中国との関係性もさることながら、そもそも反原発の思想を持つ人物が政府のタスクフォースなどに入り込んでいるという点についての抜本的な見直しをする好機かもしれません。
目次
中国電網は中国政府直轄の国営企業
『タスクフォース関連資料に中国企業透かし…中立性は?』でも取り上げたとおり、内閣府『再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース』の会議資料として民間構成員である「公益財団法人自然エネルギー財団」の関係者が提出した資料のなかに、中国企業の透かしが入っていたという問題が浮上しています。
内閣府の発表によると、この透かしは中国の「国家電網有限公司(STATE GRID)」のものですが、同社ウェブサイトで調べてみると、同社は「中央政府直轄の国営企業」であり、おもに送電網への投資、建設、運営を行っているのだそうです。原文は次の通りです。
「国家电网有限公司成立于2002年12月29日,是根据《公司法》设立的中央直接管理的国有独资公司,注册资本8295亿元,以投资建设运营电网为核心业务,是关系国家能源安全和国民经济命脉的特大型国有重点骨干企业。」
このため、この「国家電網有限公司」は、限りなく中国の国家機関としての性格が強そうです。
なぜこんな会社の「透かし」が入っていたのかといえば、これも内閣府の説明によれば、「自然エネルギー財団の数年前のシンポジウムに国家電網関係者が登壇した際の資料の一部」のテンプレートにロゴが残ってしまっていたものだ、ということだそうです。
つまり、単に資料を流用しただけであって、べつにその中国国営企業からの意向を受けたものではない、とでも言いたのだと思います。
中国との関係性もさることながら…問題は「反原発」バイアス
そのうえで、内閣府はXへのポストで、次のように明言しています。
「なお、自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はないとのことです。念のため内閣府でも確認を行います」。
この点については、どう考えるべきでしょうか。
現時点までに、著者自身が同団体などのウェブサイトを確認した結果、暫定的に至った結論があるとしたら、同団体について「中国と資本・人的関係がない」というのは、「形式的には」そのとおりだと考えます。
ただ、それと同時にもうひとつ強調しておきたいのは、同財団が原子力発電に対し、非常に否定的であるという疑いが極めて濃厚であるという状況証拠があることです。
同団体の『原子力発電の課題』のページでは、原子力発電について、次のように記載されています。
「政府はGX方針で原子力発電を最大限活用するとしていますが、その実態はどうなのでしょうか。日本の原子力発電は、脱炭素化の担い手となりえない大きな課題を抱えています。自然エネルギー財団は、これらのトピックについて様々な角度から調査研究を行っています」。
実際、これに関連し、20前後の記事のリンクが貼られているのですが、それらの多くが原子力発電に対して否定的な立場から執筆されているようです。
原子力の専門家が見当たらない同財団
また、同財団の『役員一覧』のページを確認すると、「設立者・会長」にソフトバンクグループの孫正義代表が就任しているほか、東京大学名誉教授の方が複数名いるほか、ミュージシャン、外国人、ジャーナリスト、公認会計士などが名を連ねます。
しかし、見たところ電力会社の関係者や工学関係者など、電力の専門家と思しき人物は見当たりません。
自然エネルギーなどについて研究するうえで、原子力の専門家が参加している形跡が見当たらないのです。
もちろん、民間団体が誰を代表に据えようが、それはその団体が任意に決めれば良い話なのですが、問題は、このような団体から政府のタスクフォースに民間構成員が送り込まれているという事実ではないでしょうか。
当ウェブサイトでは『再エネ賦課金のせいで5月から全国的に電気代値上げへ』などを含め、何度も指摘してきたとおり、現在の日本の電力政策には非常に大きな問題があると考えています。再生可能エネルギーの多くは電力供給が不安定であるうえ、効率も悪く、コストも高いと考えられるからです。
電力系統は非常に繊細なもので、電力需要と電力供給が一致しなければ周波数が狂ってしまうなどの問題が生じますし、また、現在の技術では、送電ロスを完全になくすこともできませんし、蓄電についてもまだまだ難しいのが実情です(蓄電できないわけではないのですが、ロスが非常に大きいのです)。
したがって、太陽光発電は私たちの社会において、ベースロード電源とはなり得ません。発電量が日照時間や天候、緯度、季節などにより大きく変わるなど、人為的にコントロールすることが、事実上不可能だからです。
反原発団体の多くはこうした「不都合な事実」を敢えて無視し、原発において事故を防ぐための工夫が高じられているという点などにも触れずに、ひたすら「原発の問題点」「再エネのすばらしさ」を強調しているフシがあるのですが、そのような関係者が政府のさまざまな会議に入り込んでいるならば、大変大きな問題でしょう。
小林鷹之氏ら「TFの意見に根拠はない」
これに関しては前経済安保担当相でもある小林鷹之・衆議院議員が24日に改めて公表した、「2021年当時に発表した地産地消議連の提言」と題した資料のリンクなどを見ても、タスクフォースの意見に「根拠がない」と指摘されていることがわかります。
また、あくまでも一般論ですが、電力供給は、安全保障にも直結する重要な課題です。
もしもアジアパワーグリッド構想などが実現すれば、日本は中国、ロシアなどに電力供給を握られてしまう、という可能性が生じてくるのであり、こうした事態は絶対に避けなければなりません。
このように考えていくと、政府のタスクフォースや諮問会議などの人選をいま一度見直し、とりわけ「反原発」の立場にある関係者が中国、ロシアなどの意を受けていないか、などについての調査を急ぐべきでしょう。
野党はどうした!?
ちなみに国民民主党の玉木雄一郎氏は23日、この「透かし問題」を巡って、「単なるミスではなく、中国企業が作ったパワーポイントをベースにして(資料が)作られているのでは」、としたうえで、徹底調査を求める考えをXにポストしています。
この点、個人的には、同団体の中国とのつながりそのものもさることながら、そもそも政府がタスクフォースや諮問機関、審議会などにおいて、反原発のバイアスのかかった人選を行っていないかという点からの調査ないし捜査が必要だと考えていますが、それでも玉木氏のポストは野党党首としては真っ当な問題提起の一種でしょう。
ただ、最大野党である立憲民主党の泉健太代表、あるいは同党に代わって最大野党を目指すと公言している日本維新の会の馬場伸幸代表などが、現時点でこの「透かし問題」に言及している形跡がないことは、非常に気になります。
本来であれば政府のエネルギー政策の大きな過失にもつながりかねない論点なのですが、肝心の有力野党が追及に及び腰であるのは非常に残念です。
いずれにせよ、「中国企業透かし問題」は、民主党政権以降、完全に歪められてしまった日本のエネルギー政策を見直す好機です。岸田文雄内閣にも、ここらでそろそろ再エネ賦課金制度そのものを含めたエネルギー政策を抜本的に見直すことを求めたいと思う次第です。
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この件。
誰がどのような見方で取り上げ、誰が無視しているか。まるでリトマス試験紙のようで、ことの進展を注視しています。
>歪められてしまった日本のエネルギー政策を見直す好機です。
炎上に期待することはまさにこの一点です。政権がまじめに対応しなければならないほどの騒ぎになってほしいもんです。
そういえば立憲共産だけでなく、維新もダンマリですね。過去にも太陽光関係で後ろ暗い話も聞こえてきていましたが。
そのほか、いわゆる「保守」を語る方々の中にも、太陽光でうまいことやってる人は結構いるそうですね。
この件が正されると困る人が多いみたいなんすよね。どこまでいけるか。
日中友好議員連盟のメンバーは触れてほしくないでしょうね。
こんなとき安倍晋三氏がご存命であればどうなったか
かえすがえすも残念ですね
何か騒ぎが起こればそれを逆手にとって膿を出す機会に利用するうまさがあったと記憶しています。様々な問題は常に把握していて、機会をうかがっているかのような。
今は望むべくもありませんね。
「中国企業透かしロゴ事件」など、なんのその。まだまだ、日本国を禿山にし、日本国民から血税を搾り取る魂胆のようです。
【再生可能エネルギー拡大で送電網新設へ 1兆5000億円以上を投入 】 (NHKニュースより 2024/3/25)
"再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、太陽光や風力発電が盛んな北海道や九州と、東京などの消費地とを結ぶ送電網の整備が課題となっています。具体的な整備計画がまとまり、北海道と東京を結ぶ送電網を1兆5000億円以上を投じて新設することになりました。"
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240325/k10014401301000.html
パーティで裏金が集まり
某国は太陽光パネルで大儲けし
二束三文だった山林が高値で売れ
ステルス増税で役人が潤い
CO2削減の名目が立ち地球に優しいらしい
何よりの福音は、庶民の家では豆電球が灯せること
全ての人がハッピーになれる
素晴らしい政策の実現だ
んん様
その豆電球の下で、子供達が「お腹すいた!」と泣いているのですが (´;Д;`)
日本はつくづく平和な国だと感じました。
政治家の収支報告書不記載問題なんかで大騒ぎするよりも今回の問題の方が重要でしょ。
不意記載問題なんか別に我々の暮らしに何の影響もないのだから司法に任すか修正し政治活動に使われなかったものは税金を納めさせれば良いだけです。
こんなことしか大騒ぎしない政党には存在意義がありまでん。
土曜日初めてこの件を知った時、私は「忌々しいが、大した騒ぎにはならないだろう」と
判断していました。岸田政権への期待感の薄さもさることながら、中国関連なら
野党もマスコミも徹底的に「なかった事」にするだろうと思ったのです。
件の民間構成員とやらも丁重に守られ、糾弾から保護されるだろうと。
ところがいくつかのメディアはそれなりに報じ始め、国民民主党は一応反応した。
なにより立憲民主党は民間構成員との対談動画を削除したらしい……
こうなるとある程度の「トカゲの尻尾切り」くらいは期待できるのか?と
少々ワクワクしています。再エネが(現時点では)どれだけ問題だらけで非現実的なのか、
もっと活発に議論されると良いのですが……さすがにそれは再エネ利権勢力が
死に物狂いで阻止するかな?
リトマス試験紙とは、言い得て妙ですね。
こんなにもわかりやすい与党の大失態!
モリカケサクラとか、裏金疑惑とか、吹っ飛ばす大ネタです。
さぞかし・・・、と思いきや日本共産党も立憲民主党も、沈黙。
いつもながら役に立たない奴らだ。(泥棒に吠えない番犬)
維新も沈黙?
国民民主党は玉木が大騒ぎしてますね。GJ
他の泡沫野党は、こういうときこそ目立つチャンス!
なのに沈黙ですな。
福島瑞穂も山本太郎も、腰抜けですな。
みんな議員宿舎への仕出し弁当を、麻布食品に頼んでいた人たちなのかな。
このタイミングで二階が引退表明とか、検察対策にしか見えませんな。
この件、地上波NEWSはきちんと追及すれば視聴率とれまっせ。
信用回復すれば、1年間くらいは平均1%上乗せかもよ。
ちなみに泥船から逃げ出してボーナスもらえるのは、最初の1人だけですからねっ。
(笑)
CRUSH さま
特定野党(立憲民主党、社会民主党、日本共産党、れいわ新選組)は、飼い主がシナなので、決して吠えたりはしません。
特に立憲民主党と社会民主党が、大林ミカ氏とズブズブだという証拠は、幾ら公式が消し去ってもアーカイブ化されて、残っていますからね。
彼らは「消したら増える」という法則を知らないのでしょう。
立憲民主党、自然エネルギー財団大林ミカとの対談記事を削除・隠蔽してしまう 事実を整える
https://www.jijitsu.net/entry/shizenenergy-oobayashimika-rikkennminsyutou
島田洋一氏「河野太郎と中国共産党直結かつ『福島みずほ応援団の中心メンバー』大林ミカ氏との関係は深く、長い」「壁には朱 鎔基の肖像。関係を隠そうともしない」「日本政府の中枢に河野太郎を確保している以上、彼らが大胆になるのも無理はない」 拡散新聞
https://anonymous-post.mobi/archives/41658
日本維新の会も沈黙をしているのは、お膝元の大阪で色々とやらかしていますからね。
詳細につきましては、小坪慎也行橋市議のホームページを確認して戴ければ分かると思います。
再エネ利権が与野党問わずの横断型の権という事なのです。
マスコミがこの件を積極的に報じないのは、それに加担をしているからなのです。
ソフトバンクグループが絡んでくる案件ですし、この辺りは在日利権との複合型になると思います。
nanashi様が載せてくださっている立憲民主とミカ氏の対談をX上から拾ってきました。重複しますが貼り付けておきます。
Xに載せてくださった方、勝手な利用お許しください。
https://web.archive.org/web/20220516153603/https://cdp-japan.jp/news/20220318_3296
まあ何はともあれ「岸田政権での内閣府方針」がコレですから、むしろ菅政権より悪化してるんじゃないですかね岸田政権のエネルギー政策。
スルーするなら信任もしませんよ
福島第一原発凍土壁以来のばかさ加減…
中国が提唱するスーパーグリッド構想が根本にあるらしいし孫正義が立ち上げた財団やらも関わっているようだ。
旧帝大や東工大クラスの方々も参加している絶望感。
中国の拡げた大風呂敷に机上の学者先生は乗ってみたいものなのかな…
電力の送電は必ず減衰を伴い電気エネルギーを安定的に保存する技術は現在存在しません。
モンゴルやチベットで発電した電力を東南アジアに配電するとまで言っている中国的には違和感感じないのかも知れませんが、北海道の太陽光パネルや風車で発電した電力を海中に張った送電線で関東首都圏まで送電するとか聞いて偉い物理学の先生方は人工永久凍土壁と同様に疑問を持たないものなのでしょうか?
無理です。
そんな技術のブレークスルーは起きていません。
やれるもんなら中華人民共和国がとっくにやってます…詐欺です。
孫正義さんは一時期韓国の安価な電力で海底ケーブル送電を受けて九州に配電するという計画を公表していましたが張りぼてでした。
そもそも韓国の電力が安いのは売価が原価割れしているからに過ぎませんしエネルギー政策を外国に依存すると国民生活や産業が崩壊するのはドイツが社会実験済み
脆弱そのものの国家になります。
福島第一原発の失敗永久凍土壁で味をしめたのか、今回のスーパーグリッド構想も失敗しても国民に金銭負担させりゃいいし日本国民に選択肢なんか与えないというのはNHKにも似た暴挙です。
科学者は時として「他人の金なら実験してみたいじゃん…失敗したらごめんなさいすりゃいいんでしょ♪」をやる時があり資本家や産業や政治家がそれにのっかります。
ヘリウム冷却での超伝導でのリニアモーター計画も同様に採算度外視し更なる技術革新を待たない夢物語だと過去にも書いた私です。
(ただしリニアがダメでも老朽化した東海道新幹線の代替に現在のリニア計画区間で在来方式の新幹線通せばいいと思っているので静岡県知事の川勝氏とは全く相容れるつもりはなく腹がたっている一人です。)
現在の技術水準では無理なものは無理で非現実的だというのがそんなに難しい事なんでしょうか?
今、友人らと「本当に日本は1億2千万人もいて外国人入れなきゃいけない状態なのか?」の試算中です。
多分産業形態の多少の変化だけで問題なさそうで、移民に頼らないと国家が成り立たないは嘘だという目処がたって来ています。
昨今日本だけでなく世界が嘘インチキだらけなのが悲しい。