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被災地で活躍…原価1万円のインスタントハウスとは?

被災地で活躍する、15分で組み立て可能、原価1棟1万円のインスタントハウスはどうやって生まれたのか――。ウェブ評論サイト『プレジデントオンライン』が配信した、フリーライターの川内イオさん執筆の名古屋工業大学の北川啓介教授のエピソードが興味深いです。ちなみに同大学基金はインスタントハウスへの寄付金も募っています。

人生、長く生きていたら、「思わず引き込まれる文章」というものに出会うこともあります。

能登半島地震では多くの方が犠牲となられ、また、不便な生活を強いられていますが、こうしたなかで、少し希望を感じさせるような記事がありました。

ウェブ評論サイト『プレジデントオンライン』に掲載された次の記事が、それです。

体育館に「おうち」ができた…能登半島地震で大活躍する「1棟1万円」の簡易住宅を作った大学教授の使命感

―――2024/01/25 7:00付 PRESIDENT Onlineより

1万文字近い力作記事です。

ですが、災害支援などの論点に興味がある方にとっては、おそらく、さほどの負担感を覚えることなく、一気に読み終えてしまうのではないでしょうか。

要約すると、名古屋工業大学の北川啓介教授が開発した、所要組立時間15分・原価約1万円のインスタントハウスが生まれるまでのストーリーで、取材したのはフリーライターの川内イオさんです。

このインスタントハウスは現在、被災地の避難所・輪島市立輪島中学校の校庭に出現しているのだそうですが、北川教授がこれを開発するきっかけが、2011年4月15日、東日本大震災の被災地である石巻中学校の校庭で、小学生の二人の男の子から投げかけられた、こんな要望だったのだそうです。

仮設住宅が建つまで、なんで3ヵ月も6ヵ月もかかるの?大学の先生なら、来週建ててよ」。

これがそのハウスに結実するまでには曲折があったのですが、北川教授の生い立ちに加え、トルコやインドネシアなどでの体験も含め、さまざまなエピソードが丹念に取り上げられています。

原文については是非とも直接お読みください。

ところで、このインスタントハウスについて調べてみたら、名古屋工業大学のウェブサイトに、詳細な説明がありました。

北川啓介教授が能登半島地震の被災地へ屋内用インスタントハウスを届けました

―――2024/01/05付 国立大学法人名古屋工業大学ウェブサイトより

同大学ウェブサイトによると、北川教授が輪島中学校の避難所に届けたインスタントハウスは10棟ですが、ほかにも2023年に、トルコ・シリア大地震の被災地やモロッコ大地震の被災地にもインスタントハウスを届けたのだそうです。

また、同大学基金ウェブサイトでは、インスタントハウス設置支援として、1口1,000円の寄付を募っているそうです。

もしご興味があれば、是非とも寄付をなさってみてください。

新宿会計士:

View Comments (20)

  • BBCあたりが、日本の新たな防災グッズとして放送しそうですね。(もしかして、こういうのが日本のイノベーションなのかもしれません)

  • このような有効な情報が、何故、マスコミで大々的に放送されないのだろう?
    マスコミが報じていれば、今頃、寄付金は、億を超えているのではないか?
    遅いだの、パラシュートだの、何の役にも立たない事ばかり言ってないで、今直ぐにでも、被災者に役に立つ情報を流せ、と言いたい。

    • もし、このインスタントハウスが世界的な話題になったら、マスゴミは「我々は、初めから大々的に報道していた」と言い出すのでしょうか。

    • 多分、間接的にでも自民政権を褒めてしまうニュアンスの報道はボツを
      喰らってしまう確率が上がるんじゃないでしょうか?
      隙あらば自民政権の支持率を下げたいマスコミにとっては、
      被災地は少しでも「悲惨で困っている」イメージを強めたいでしょうし。

      もう一つの理由としては今のマスコミのメイン客層が
      日本ageと日本sageのどちらを好むかと言うと、もはや聞くまでもないかと。

  • 屋外用が15万円、屋内用のダンボールハウスが1万円ですので、誤解を招かないように正確な記述をお願いします。

  • 更新ありがとうございます。

    室内用の方ですが、屋根の側面を二等辺三角形に統一することで、部品の種類を減らしているのですね。四角錐から八角錐ぐらいまでなら、同じ部品を使って、ある程度丈夫な屋根を作ることができそうです。六角形ならうまく部屋を繋げば更に強度を上げることもできそうですね。家族ごとに建てることも想定しているのかもしれません。

    紹介していただけたサイトの写真を見ると、二面分の壁平面が直線に並ぶ部分の上だけ直角三角形を使っています。

    大学教授は賢い人が多いと思いました。

    • ロシアのウクライナ進攻直前のベラルーシによる難民押し付け期かウクライナ戦開戦直後にも北川教授か別な方か出典が定かでない記憶なのですが、避難所内で段ボールによる個室やベッドそして視線を遮りプライベート空間を造る日本の技術が現地の方々に喜ばれていました。
      あれも簡易で安価に搬入設置が出来る優れ発明品でした。

      必要は母というか、自然災害が多いからこその発案が素晴らしい。
      つらい思いをされた人々に喜ばれる研究をされている研究者をも応援したいです。

      • 紙管で有名な坂茂さんですね。2014年にプリツカー賞を受賞されていました。

      • がみ様、nanoshi様、コメントありがとうございます。

        おっしゃられる通り、発想が素晴らしいと思います。自分なら箱を並べ目隠しの布か紙を張るぐらいで、それ以上の工夫までは考えが及ばないです。せいぜい公園とかでたまに見るブルーシートが張られた小屋を参考にするぐらいでしょうか。

        ハニカム構造やタイニーハウスの知識があっても、それを実際に組み合わせられるかどうかは別なのですね。

        紙製の管を支柱材などにするという発想も初めて知りました。染み込ませる樹脂などの工夫まですれば、ある程度の耐火性や耐久性も得られそうです。

        それを低価格で実現するのがスゴイと思います。

    • >大学教授は賢い人が多いと思いました。

      この方は、建築学科の教授です。建築は、形の力学を扱う学問でもあります。また、形状の力学は、いろんな分野で活用されています。
      この世にコメント主さまと同じ程、賢い方は多数いるはずです。
      大学教授に限らず、賢い人が沢山いなければ、この世は成り立たないでしょう。

      • さより様、コメントありがとうございます。

        自分の知識や考え方はかたよっているので、総合的にみるとあまり賢くはないという自覚はあります。

        ブログ主様の記事はもちろんですが、さより様をはじめとし、ここに来られる方々は自分の知らないことをよく論じておられるので、いつもコメントを楽しみにさせていただいています。

        • ありがとうございます。
          オールドメディア界隈や野党情報ばかりに晒されていると、この世はこんな輩ばかりか?と勘違いしてしまいますが、一歩下がって冷静に見て見れば、こんな高度な社会が整然と維持され、更には、発展もしている訳です。これは、やはり、相当に賢い方が多いという事でしょう。
          これは、asimovさまに言うことでは無いのですが、やはり、社会や自分の外界は、与えられた情報に反応して見るばかりではなく、普段から自分の視点で観察する事が肝要だと思ってあります。
          大学教授と言えば、学術会議に屯している人もいるようですが、日本には、その万倍もの優秀で誠実な大学教授がいると思います。

        • 以前たまたま趣味で読んでいた時にイタリアの学者の大真面目な学術論文で、スパゲッティのパスタを1分で茹でる実験がありました。
          日本で売られている乾パスタは長くても7〜8分茹でが多いのですがイタリアだと10分茹でだそうで。

          パスタを茹でる行為には大別して生麺の時の水分量に戻す事と小麦粉のグルテンを熱で柔らかく食用にたえる食感と消化しやすさにかえる行為に二分されるそうです。

          論文では乾パスタを調理1時間前に常温の水に浸してから沸騰した鍋中で茹でると1分でほぼ同様に茹であがるというイグノーベル賞か単なるライフハックみたいな結論になっていて大笑いして読んでいたのですが、実は重要な発見かもしれませんね。

          水を余り含まない乾麺は軽量で保存性も優れています。
          今時災害では香川のうどん支援が悪態を伴って報道されましたが、乾麺のうどんには応用出来そうです。
          要は調理で加熱する時間と熱エネルギーが大幅に節約出来ます。
          能登半島の被災地のように寒い被災地では暖かい食べ物は何よりですしネギや具は乾燥物やレトルトが既に存在し使えますし調理する方々の負担は劇的に軽くなります。
          水が!って言うかたもいらっしゃるでしょうが被災地でも人間に必要な水は1日平均2リットルなので栄養豊富なうどんやパスタの汁でも摂取出来ます。
          まるで学生時代に酒や水飲みながら素麺パリパリ食べてた私みたいですが、エネルギー源になる炭水化物が摂取で来るのは一つの可能性ではないかと。
          厳密専門店の味の再現は出来なくても、暖かい食べ物でほっとしてもらいたい。

          カップ麺よりはお食事した気持ちになるんじゃないかな?

          試して見る価値あると思いますし、被災地以外でも光熱費節約の調理法になるかもしれませんよ。

  • 東工大や九工大が国立なのは知ってたけど、名工大や室蘭工大も国立だったとは知りませんでした。

  • 官僚が統治する法治国家として今後、避難所において婦女暴行などの事案が発生した場合ドアや内部が外から見えるスケルトンにしなければいけない等の規制や指導が入ることが容易に予想される。
    その場合、カプセルハウス利用者はプライバシー権の確保から入口の扉にバスタオルや毛布をかけて外から見られないように対抗する措置を講じなければない。

    • 職業に貴賎はないが、何の仕事をしているか問われたら。
      建築屋「世界の10人に1人は壁のある家に住めていない。建築の専門家としてそういった人達が安心して住める住まいを提供したいのさ」

      行政屋「規制や指導をして国民を正しく導いているのさ。正しい指導があれば問題など起こらないよ」

      被害者屋「新しい住宅を利用して住宅に危険がないか色々試しているんだ。瑕疵があったらメーカーに製造物責任を問うて弁護士と組んで一儲けしようと思っているんだ。」

      各職業ごとに役割に違いがあります。

  • オリンピック選手宿舎用の段ボールベッドを思い出しました。
    アイデア、効能、先進性をサゲたい連中が数人がかりで飛びはねて、強度がないなどアピールしていたケースもありましたね。
    やってた連中やそれを嬉々として報道していたゴミ…。
    大学の皆さんの活躍に光がもっと当たり、避難場所が少しでも快適性が増せばと思います。

  • 氏の思考過程に引き込まれますね。このライターさんの取り上げるポイントがなかなか。
    子供達が組み立てを手伝えるってのもとてもいいですね。

  • 段ボールは便利ではあるもののダニとカビの温床になりますからなぁ。
    保存時に湿度管理できないとそこでもう繁殖してしまいますし、災害時に即生産開始なら数日平気ですが人が居住するならその湿度で繁殖してしまう。
    その点、発泡ウレタンなら紙由来の有機物が無いためカビの繁殖をある程度遅らせ健康被害を減少させるでしょう。
    建設が段ボール並みに誰がやっても簡易にできるよう研究開発の進展を期待したい。