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豪サイトでJALが「最も安全な航空会社」ランクイン

豪ウェブサイトによると、JALとANAの日系2社が「2024年版・最も安全な航空会社」に選ばれたのだそうです。このランキングは、過去5年間の死亡事故の有無、パイロット関連の重大なインシデントの有無など7つの評価軸で出されるものだそうです。また、ランキングが公開されたのが海保機との衝突事故の前日だったのですが、今回の衝突事故も、もしJAL側に過失なしとされた場合は、同ランキング自体に影響を与えることはなさそうです。

「JALは怖い」、本当!?

「JALは、怖い」。

そんな意見を持つ人は、今すぐ考えを改めていただきたいと思います。

日本航空(JAL)といえば、1985年8月に、全部で520人の犠牲者を出したジャンボ機の墜落事故(いわゆる日航123便事故)を発生させた航空会社です。ちなみにこれは、犠牲者数としては世界最悪だそうです。

ただし、この事故は事故から2年後に公開された、運輸省(当時)の「航空事故調査委員会」による調査報告書によれば、事故機が事故の7年前に伊丹空港で発生させた「しりもち事故」による圧力隔壁を巡る、

ボーイング社の不適切な修理による破損が事故原因と推定されています。

この推定通りなら、JAL側に過失はなかったことになりますが、それでも一般人の多くは、JALといえば「日航ジャンボ機の事故」を思い出すようです。それだけ、JALを巡ってはこのジャンボ機事故は大変に悪いイメージを与えているのでしょう。

ジャンボ機以降、乗客の死亡事故を発生させていないJAL

ただし、ここでひとつ注意喚起をしておくならば、『JALグループにおける123便以外の主な事故』のページによると、JALグループはこの123便以降、JALの乗客が亡くなる事故を発生させていません。乗客の死亡事故は1982年2月9日に発生したJA8061便羽田沖事故以降が最後です。

このように考えると、「JALは怖い」というのは、単なる印象に過ぎないのではないでしょうか。

もちろん、JALはその後もいくつかの事故(たとえば乗員が亡くなる事故など)は発生させているのですが、これはJALが日本の事実上の「フラッグキャリア」のようなものでもあり、そもそも国内外に多数の運航便を就航させているという事実を忘れてはなりません。

確率論的な考え方からすれば、便数が多ければ事故が発生するのも当然のことです。

「ペット2匹死亡」よりも大事な「短時間で全員脱出」

こうしたなかで、今年1月2日には、北海道・新千歳空港から羽田空港に到着したばかりのJAL516便が、石川県で発生した地震の支援物資を搭載した海保機と衝突し炎上。海保機側は6人の乗員のうち、機長を除く5人が亡くなるというという、悲惨な事故が発生しました。

しかし、JAL機は滑走路上で全焼したにも関わらず、たった20分弱で、幼児8人を含む乗員乗客379人が全員機外に脱出・生還しました(『新聞記者、JALに対し「御社の信頼に関わる」と糾弾』等参照)。

しかも、『全ての乗客が脱出するまで機内客室に残ったJAL機長』でも取り上げましたが、JAL機長は最後まで機内に残り、逃げ遅れた乗客を機外に誘導したうえで、自身が最後に脱出するという、まさにキャプテンとして理想的の行動をとりました。

すなわち、今回の衝突事故は、JALのクルーの懸命な努力が「乗員乗客の全員生還」という結果を生んだのです。

日本の一部メディアは、「燃え盛る機体の貨物室に取り残された2匹のペット」の話題ばかり取り上げているのですが、本来、メディアが焦点を当てるべきは、JALの乗員の勇敢で適切な行動、手荷物を持たずに秩序だって機外に退避した乗客の行動ではないかと思います。

いずれにせよ、一部メディアが事故原因について、断定的な報道を繰り返しているようですが、本来、事故原因の調査自体はこれから始まる話ですので、当ウェブサイトではこれについて予断をもって安易に取り上げることはしないつもりです。

しかし、「JAL機から乗客・乗員全員が安全に脱出できた」という事実に、私たちとしてはもう少し注目しておいて良いのではないか、という気がしてなりません。

豪ランキングでJALが20位に

こうしたなかで、ちょっと興味深い話題があるとしたら、これかもしれません。

24年版「安全な航空会社」日系2社ランクイン 首位はニュージーランド航空=豪情報サイト

――― 2024年1月9日 14:20 JST付 Aviation Wireより

Aviation Wireというサイトによると、航空会社を評価する豪情報サイト『エアライン・レーティングス・ドットコム』(AirlineRatings.com)が発表した2024年版の「最も安全な航空会社」25社に日系2社が選ばれ、それぞれ全日本空輸(ANA/NH)が7位、JALが20位となったのだそうです。

トップに選ばれたのはニュージーランド航空、2位が豪カンタスで、3位がヴァージン・オーストラリア、4位がエティハド航空、5位がカタール航空だったのだそうです(中東系の航空会社が数社ランクインしている理由はよくわかりませんが、安全にカネをかけているからでしょうか?)。

ただ、エアライン・レーティングスのジェフリー・トーマス編集長はこの上位25社について、「安全性、革新性、新機材の投入で最先端を行く航空会社」、「業界で傑出した存在だ」としたうえで、「各社とも安全性には差がほとんどない」などと述べたそうです。

ちなみに元記事を調べてみると、おそらく該当するページは、これでしょう。

TOP 25 SAFEST AIRLINES FOR 2024

―――2024/01/01付 AirlineRatings.comより

今回の事故もランキングに変動を与える可能性は少なそう

このランキングがどうやって作られているのかについては、上記ページだけだと、よくわかりません。また、記事公開日がJAL機の事故の前日であるため、もしも事故発生日と前後していた場合にはどうなったかについては、よくわかりません。

ただし、航空会社の個別ページを見ると、次のような項目を含む7項目だそうです。

  • その航空会社は過去5年間で死亡事故を経験したか(テロ、ハイジャック、パイロットの自殺、航空会社に起因しない欠陥などは除く)
  • この航空会社はパイロット関連の重大な事故を多数経験したか
  • 航空会社とその出身国はIOSAやICAOなどすべての主要な検査に合格しているか
  • 航空会社は国際的な新型コロナウイルス感染症基準に準拠しているか

これには、「航空会社が使用中の滑走路での滑走路進入(許可されていない航空機、車両、または人が滑走路上に存在する事故)など、自らの過失ではない死亡事故を起こした場合もこれには含まれない」とあります。

事故原因については権限を持った当局が調査中であるため、まだ何とも結論付けることはできないところではあるにせよ、もしJAL機側に過失なしとされた場合は、これらの安全基準に照らして、ランクが下がる要因とはならなそうです。

このランキングは機体の新しさや運航上の事故の少なさなどで評点を付けているものと思われ、JALのランキングがどう動くのかについては興味深いところですが、現にあれだけの事故で乗客の死亡がなかったことについては留意する必要がありそうです。

いずれにせよ、あくまでも個人的に、JALは引き続き利用したいエアラインのひとつであると思うのはここだけの話です。

新宿会計士:

View Comments (12)

  • コードシェアもあるので予約する時はよく確認したいですね。
    大韓航空が12位ですが、韓国(や中国)の会社は利用したくないですね。

  • 飛行機事故に遭う確率は、自動車事故に遭う確率よりずっと低いそうですね。
    結局、移動手段と言うのはどうしてもリスクをゼロには出来ないって事なんでしょう。

    JALが今回、不当な汚名を着せられない様願いたい。

  • 時事ネタに即して読み取りするならば、

    出羽守 「海外はJALとANAをホメてますよお」
    メディア「・・・・」

    どこがホメられているのか?と言えば、端的に
    ①「やらかした失敗を隠してない」
    ②「展示して公開している」
    ③「やらかした失敗を語り継いでいる」
    ④「訓練して再発防止している」

    NHKや朝日新聞社を筆頭に、メディアは上記①~④を実践できていますか?
    (笑)

    ブーメランになるから、そりゃ黙り込むしかありませんわな。

    • JALが海外から絶賛されたと、一部の日本人がはしゃいでいる。だがちょっと待ってほしい(以下略)

  • >「ペット2匹死亡」よりも大事な「短時間で全員脱出」
     大手メディアでは、批判やイメージ低下を恐れて書けないでしょうねこれ。本質の議論を読めるのがここの魅力です。着火する人も多そうですが、まず「ペット2匹などどうでも良い」という意味では全くありませんしね。ペットも保護されるにはどうしていけば良いかという議論が必要であれば、別でやれば良いのですし。

  • >日本航空(JAL)といえば、1985年8月に、全部で520人の犠牲者を出したジャンボ機の墜落事故(いわゆる日航123便事故)を発生させた航空会社です。ちなみにこれは、犠牲者数としては世界最悪だそうです。

    これは航空機単機としての事故で最悪と言う意味であり、乗客の死亡者数が最悪の事故は事故は1977年に発生したテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故です。 この事故では濃霧の中で タクシー中のパンアメリカン航空と管制塔の許可なく離陸の為の滑走を始めたKLMオランダ航空のボーイング747同士が衝突して計583人が亡くなりました。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/100%E4%BA%BA%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E3%81%97%E3%81%9F%E8%88%AA%E7%A9%BA%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

  • 乗務員の緊急事態を想定した訓練は 他の航空会社でも優れた成績であろうとおもいます。でも それは 訓練での話。日航は 実際に緊急事態が起こったときにも 優秀な行動ができた。
    これは 日航の安心、信頼度がさらに評価されると思う。

  • ランキングするには、評価基準が明確に示されていないと、ランキングの意味そのものが、分からない。
    このランキング記事、「安全な」という表題になっているが、どんな「見方」で見て安全と「見た」かの基準が書いてないので、それが妥当なのか、分からない。
    というのは、経済規模では上位に来ない国の航空会社が、このランキングでは上位に来ているので、特に関心を持ったのは、「航空機とその安全な運用には、何か特別なノウハウがあるのかな?」という疑問が出て来たので。

    元記事の説明では、

    >安全性、革新性、新機材の投入で最先端を行く航空会社で、いずれも業界で傑出した存在だと説明。各社とも安全性には差がほとんどなく、
    >エアライン・レーティングは2013年6月にスタート。385社の安全性と機内設備などを7つ星で評価する。安全な航空会社は事故や機齢、政府や監督官庁による監査などを考慮し、選出している。

    安全性と機内設備とは、どんな関係性があるのか?説明が欲しいポイントだ。

    個人的に考えるなら、その航空会社の
    事故件数÷(年間旅客数✖︎年間総飛行距離)
    事故による死傷者数÷(年間旅客数✖︎年間総飛行距離)
    ヒヤリハット・インシデント数÷(年間旅客数✖︎年間総飛行距離)
    などで、比較してくれた方が分かり易い。

  • 日航機の御巣鷹山の事故の前後に、自分は航空機の勉強をしていました。

    事故検証が終わる前だったのですが、話題に出ていたのが当時のJALは自衛隊の輸送機の退役者の中途採用ができないとの話でした。

    元、準国営のJALなので、自衛隊上がりの再就職の許可が下りないのでANAの方が腕が良いと言われたものです。

    JALも株式再上場後は変わったように見えます。感覚だけですけどね。
    今では、乗るなら海外旅行でも国内旅行でもできれば、ANAかJALに乗りたいと考えてます。

  • 関連記事を見つけましたので。
    搭乗していたという学生さんのインタビューです。

    「避難路を若い人に譲る高齢者夫婦」「JALへの文句は一切ない」516便に乗っていた東大生が語る乗客とクルーへの感謝「当事者じゃない方の声が大きい」「今後もJAL便に乗りたい」〈羽田JAL機衝突事故から1週間〉
    https://shueisha.online/newstopics/188670
    >「もともと両親が好んでJALに乗っていたのと、今回の件で素晴らしい対応を身をもって知ったので今後も乗りたいと思います」
    >今回のことですごく感じたのは当事者じゃない方の声が大きいな、ということです。機内を脱出後に乗ったシャトルバス内で猫を失ってしまった女性が近くにいらっしゃいましたが、静かに泣いてました。近くの親子に『大丈夫ですか』と聞かれても『私の猫、預けてたんです…』とポツリと言うだけで、JALへの文句は一切ありませんでした

    文句言って騒いでいるのは当事者ではない外野ばかりだとのことです。
    石川の地震もそう。
    災害や事故が起こると偉そうになる人達はなんなんでしょうね。

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