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データで見る「新聞部数放物線」

自宅から数キロという、都会人にとってはとてつもなく遠い距離にある図書館で、グウと寝ているオジサンやオンラインゲーム(?)に興じているオジサンに挟まれながら紙媒体の冊子をペラペラめくり、手作業でデータを入力した成果はありました。著者自身はとある宗教の教祖の誕生日の前日、日本新聞協会が発刊している『日本新聞年鑑2024』を閲覧するために某所にある図書館にでかけたのですが、その成果が「放物線」です。

部数がよくわからない新聞

新聞各紙「政治家は説明責任を果たせ!」

新聞、テレビなどのオールドメディアの報道を見ていると、ときどき目にするのが、「説明責任」という表現です。

「主要紙」と呼ばれる朝日、毎日、読売の各紙で調べてみても、次の通り、おもに政権与党などに対して舌鋒鋭く、説明責任を果たすように求める記事がみつかります。

(社説)「桜」捜査終結 国会で説明責任果たせ

―――2022年1月6日 5時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より

社説 安倍元首相の捜査終結 説明責任果たさぬままか

―――2021/12/29付 毎日新聞東京朝刊より

派閥の資金疑惑 自民党は説明責任を果たせ

―――2023/12/07 05:00付 読売新聞オンラインより

ただ、新聞業界というものは不思議なもので、他人(おもに与党政治家)に対し、やたらと舌鋒鋭く説明責任を求めるわりには、自分たちの業界についての説明が十分であるとは言い難いところがあります。

新聞の「ABC部数」

その典型例が新聞の部数でしょう。

新聞の部数は、新聞業界の状況を知るうえで、もっとも基礎的な指標のひとつです。それなのに、新聞業界は、各紙の部数について、公表に非常に後ろ向きであり、私たちのような一般人が無料かつ正規の手段で入手できる各紙の部数データは存在しません。

新聞各紙のデータについては、「一般社団法人ABC協会」という団体が公開しているのですが、これについては一般人が包括的なレポートを入手するのは困難です(ちなみに「ABC」とは “Japan Audit Bureau of Circulations” の略だそうです)。

これについて、ちょっとした余談です。

ときどき、某匿名掲示板に何者かが書き込んだであろうABC部数の最新状況、あるいはそれを転載した「まとめサイト」などのコンテンツを見かけることもあります。世の中のブログサイトのなかには、それをさらに孫引きしたコンテンツもあるようです。

しかし、当ウェブサイトではこれらの数値を利用することは基本的にありません。

当ウェブサイトでは「合法的に正規の手段で誰もが無料で入手可能なデータ」を議論の出発点としているためであり、どこの誰が何に基づいて書き込んだのかわからない数値を当ウェブサイトの議論に使うことはできないと考えているからです。

当ウェブサイトでABC部数を引用するのは、▼どこかのメディアがABC記事にした場合に、その記事を引用する際に間接的に引用する、▼誰かがSNSに内容を投稿した場合は、その内容を紹介がてら引用する、▼個別の新聞社が公開している数値があれば、その数値に限って引用する――、などの事例に限られます。

ABC部数はハードルが高い

ちなみに株式会社朝日新聞社は昨年12月以降、「朝日新聞メディア指標」なるものの公開を始めており、このなかで株式会社朝日新聞社が朝日新聞朝刊のABC部数についても公開している、という事例があります(図表1)。

図表1 朝日新聞メディア指標の一部
時点 朝刊部数 朝デジ有料会員 合計
2022年12月 383.8万 30.5万 414.3万
2023年3月 376.1万 30.5万 406.6万
2023年9月 357.3万 30.3万 387.6万

(【出所】株式会社朝日新聞社・コーポレートサイトの報道発表をもとに著者作成。なお、「朝刊部数」はABC部数を意味する)

このように、株式会社朝日新聞社自身が一般向けに広く公開しているデータであれば、当ウェブサイトでも大手を振って紹介することができます。

また、おそらくは株式会社読売新聞グループ本社のものと思しきサイトに公開されているPDFファイルで、読売新聞のACB部数は2021年7月~12月の平均で朝刊・セット版が5,830,164部、夕刊 が1,713,635部、と記載されている事例があります。

ただ、これらについては必ずしもデータの比較の基準が合っているとは言い切れず、したがって、十分な比較ができるとは限りません。

いずれにせよ、このABC部数というデータは、私たちのような一般人が気軽に使うには、少々ハードルが高いものであることは間違いないでしょう。

では、私たちのごとき一般人が正規の手段で新聞部数の状況を知るためには、いったいどういう手段があるのでしょうか。

最も使いやすいのは、一般社団法人日本新聞協会が年1回公表している『新聞の発行部数と世帯数の推移』というデータです。これは各年10月における新聞(※一般紙とスポーツ紙)の合計部数を示したもので、発行形態別では「セット部数」、「朝刊単独部数」、「夕刊単独部数」の3区分のものが入手可能です。

このデータは、例年であれば12月下旬に公表されます。

昨晩の時点ではまだ公開されていませんでしたが、今年も例年通りであれば、早ければ本日、遅くとも今週末までには最新データが公開されるはずです。これについてはデータが公開され次第、できるだけ早いタイミングで内容を把握してみたいと思っている次第です。

ABC部数はどの新聞に関しても大きく減少

ところで、株式会社オンザボード(ON THE BOARD)代表取締役の和田憲治氏が23日、X(旧ツイッター)に、こんな内容をポストしていました。

画像ファイル形式で、ポスト本文に『週刊現代』とありますが、これによるとこんな趣旨の情報が掲載されています(図表2:わかりやすく図表形式に加工しています)。

図表2 新聞各紙の部数
新聞 2003年 2022年(変化)
読売新聞 1006万部 684万部(▲32%)
朝日新聞 831万部 429万部(▲48%)
毎日新聞 398万部 192万部(▲52%)
日経新聞 301万部 174万部(▲43%)
産経新聞 211万部 101万部(▲52%)

(【出所】和田憲治氏のXポストの画像)

この20年でどのメディアも大きく減少しているのですが、比較的減少率が緩やかな読売新聞が32%、2014年に慰安婦問題や吉田調書報道などの「誤報」を認めた朝日新聞の減少率は48%ですが、毎日新聞と産経新聞は52%と、減少率が朝日新聞のそれを上回っています。

『日本新聞年鑑』を読んでみればなにかわかるか?

どうしてこのような差が生じているのか、そもそもこの部数データは信頼に値するものなのか、など、疑念は尽きません。

ただ、和田氏がポストした画像の一番下の部分に、こんな注記があります。

『新聞年鑑』のデータをもとに編集部で作成

ということは、この『新聞年鑑』というデータを調べてみれば、何らかの手掛かりがつかめるかもしれない――。

そう思って、著者自身、とある宗教の教祖の誕生日とされる12月25日の前日にあたる24日に、この『新聞年鑑』というものを調べてみることにしました。

最初に、この『新聞年鑑』の正式名称を調べてみたのですが、これは、比較的すぐに見つかりました。

発行元は日本新聞協会で、正式名称は新聞協会が毎年発刊している『日本新聞年鑑XXXX』で(※「XXXX」部分にはその刊行年の翌年の西暦が入ります)、つい先日、『日本新聞年鑑2024』が刊行されたばかりです。

【参考】『日本新聞年鑑2024

(【出所】アマゾンアフィリエイトサイト)

つまり、この『日本新聞年鑑』を読めば、新聞各紙の部数を詳しく知ることができるのではないか――。

そう思って、この『日本新聞年鑑』がデータで手に入らないか、と探してみたのですが、どうも日本新聞協会のウェブサイトにそのデータはなさそうです。

また、物は試しでこの書籍を購入してみようか、などとも思ったのですが、金額を見ると、ビックリします。なんと、アマゾンのウェブサイトだと26,400円もするのです。

いちおう、日本新聞協会ウェブサイトで調べてみると、1冊当たりの価格は13,200円とあり、なぜか正規版よりアマゾンで購入する方が高いのかについては、よくわかりません。

遠距離移動した成果は「放物線」

「そうだ、図書館に行ってみよう!」

この段階で、正直、諦めかけてしまったのですが、ここでふと思い立ったのが、地元自治体が運営する図書館です。

最近だと、公立図書館のOPAC(Online Public Access Catalog:オンライン蔵書目録検索システム)に自宅からアクセスすることができるケースも増えており、著者自身が居住している自治体でも同様に、ネットで図書館の蔵書を検索することができます。

そこで、地元自治体の図書館のOPACで検索したところ、自宅から数キロ離れた場所にあるA図書館にそれが収蔵されていることが判明したのです。

ちなみに著者自身が暮らす自治体には公立図書館が複数あり、同じ自治体が運営する図書館どうしであれば、異なる図書館の書籍を指定する図書館で受け取ることができます(しかもすべてインターネット上で完結し、大変便利です)。

このため、著者自身は自宅から離れた図書館に収蔵されている書籍であっても、自宅から200メートルほどの距離にあるB図書館で受取指定することが多いのですが、同じ方法でこの『日本新聞年鑑2024』についても予約しようとしました。

自宅から数キロ先の図書館に出掛けてみた

ところが、ここでひとつ、重大な問題にぶち当たりました。この書籍自体が「貸出禁止・館内利用」に指定されていたのです。

つまり、図書館の館内であれば利用できるものの、借りて自宅に持ち帰る、ということができないのです。

そして、著者が暮らす自治体の場合、この「貸出禁止」資料については、「希望する図書館まで回送してもらう」というサービスを使うことができません。必然的に、自宅に近いB図書館ではなく、自宅から数キロ離れたA図書館にまで出かけなければ閲覧できない、ということです。

このあたり、著者自身はとある事情があり、現在、休日にはあまり長時間外出することができないのですが、24日には偶然時間ができたので、思い切ってPCを持参し、A図書館に出掛けることにしました。

こちらのA図書館は普段よく訪れるB図書館と比べると建物設備自体は古いのですが、WiFiも飛んでいて冷暖房も完備されており、電源付きのPC専用コーナーも設けられているなど、なかなかに快適です。

図書館の司書さんに「貸出禁止図書」の利用方法や館内のルールを教えてもらい、お目当ての『日本新聞年鑑2024』を見つけ、さっそく各紙の部数データをPCに転記しようとしたのですが、ここでもうひとつの壁にぶち当たってしまいました。

著者自身、この『日本新聞年鑑』には各紙の部数データが時系列で一覧表になって掲載されているのではないかと勘違いしていたのですが、これは間違いで、現実には各紙の部数データは一覧表になっておらず、それぞれの新聞の説明文のなかに紛れているという、データとしては致命的に使い勝手が悪いものだったのです。

つまり、和田氏がXにポストしたような図表を作成しようと思えば、2003年分以降の各年の日本新聞年鑑(つまり約20冊)をあらかじめ用意し、各冊を1ページずつ手でめくってお目当ての新聞の部数データのページを探し、それを表計算ソフトなどに入力しなければならないのです。

なんとも難儀な話です。

せめて自宅や職場などに持って帰ることができるならば、空いた時間を使ってデータ入力をする、といったこともできるのですが、自宅から数キロ離れたそのA図書館内でしか閲覧できない資料をもとに限られた時間でデータ入力をするのには無理があります。

大変残念な話ですが、この『日本新聞年鑑』をもとに各紙の部数の推移を再現する、という作業については、早々に断念せざるを得ませんでした。

そして、この『日本新聞年鑑』は一覧性に乏しく、収録されているデータの多くが当ウェブサイトで過去に調査したものや、他サイトなどから入手可能なものなどと重なっており、大変失礼ながら、13,200円を出して買うだけの価値がある書籍とは言い難いのが実情だ、ということがわかりました。

かつてエクセルが出現する前は、基本的にほとんどの情報はこうやって紙で出版されていたのでしょうが、さすがにこの令和の時代に、正直、時系列で整理されていないデータにはほとんど存在意義がありません。

「何かデータはないか」→放物線

ただ、わざわざ自宅から数キロ離れたA図書館にまで出かけた以上、タダで帰るのも癪なので、この書籍になにか興味深いデータはないかと調べてみたところ、おもしろい図表が掲載されていたのに気づきました。それが、過年度の新聞部数です。

日本新聞協会の『新聞の発行部数と世帯数の推移』のページで公開されているのは2000年以降のデータに限られているのですが、紙媒体の『日本新聞年鑑』には、それ以前の部数データも掲載されていました。

これを手入力し、グラフ化したものが、図表3です。

図表3 新聞部数データ

(【出所】『日本新聞年鑑2024』及び『新聞の発行部数と世帯数の推移』データをもとに作成)

ちなみに「部数①」は朝夕刊セットを1部とカウントしたときの部数、「部数②」は朝夕刊セットを2部(朝刊1部+夕刊1部)とカウントしたときの部数だそうです。どちらも、見事な放物線です。

部数①については1997年に記録した5377万部、部数②については1996年に記録した7271万部がそれぞれの最高値でしたので、2022年時点の部数(部数①が3085万部、部数②が3677万部)と比べ、部数①が2292万部の減少、部数②が3593万の部減です(図表4)。

図表4 ピーク時と比べた新聞部数の減少
区分 ピーク 2022年の数値
①セット部数を1部とカウントした部数 5377万部(1997年) 3085万部(▲42.63%)
②セット部数を2部とカウントした部数 7271万部(1996年) 3677万部(▲49.42%)

(【出所】『日本新聞年鑑2024』及び『新聞の発行部数と世帯数の推移』データをもとに作成)

この四半世紀で、ピークと比べおよそ半減しているというのも興味深いところです。

「直線シナリオ」を修正する必要が出て来たのか?

そして、あらためて上記図表3をしげしげと眺めてみると、新聞部数は1990年代にピークを付け、そこから放物線を描くように急速に落ち込んでいるようにも見受けられます。さすがに近年のインターネットという技術革新の影響の凄さを痛感せざるを得ません。

また、当ウェブサイトでは以前より、「もしも2017年から2022年までの平均値と同じペースで今後も部数が減り続ければ、2022年から数えて夕刊は8年以内に、朝刊も14年以内に消滅する」、などと論じてきましたが(図表5)、これはあくまでも「直線的に減った場合」のシナリオです。

図表5 新聞部数の推移(実績値と予測値:「直線シナリオ」)

(【出所】『新聞の発行部数と世帯数の推移』データをもとに作成。「朝刊部数」は元データの「セット部数」と「朝刊単独部数」の、「夕刊部数」は元データの「セット部数」と「夕刊単独部数」の、それぞれ合計。なお、「予測値」は2017年から22年までの5年間の平均減少部数が今後も続くと仮定した場合の部数推移)

しかし、新聞部数は、現実には「直線」ではなく、「放物線」のような減り方をしていることが確認できますし、今後の部数も「直線的な減り方」ではなく、「放物線的な減り方」ではないか、と予想できる手掛かりは、いくつもあります。

その最たるものは世の中のインターネット化という技術革新であり、日本の新聞が報じて来たような内容の情報に、じつはほとんど付加価値がないということに、多くの人々が気付き始めているという事情があります。

そもそも日本の新聞には「PL法」が適用されません(『科学を否定し責任を取らない=官僚とメディアの共通点』)。このため、新聞が誤った内容、不適切な内容などを報じたとしても、新聞社がそれを認めて訂正・謝罪するというケースはさほど多くありません。

「慰安婦」、「WaiWai」などの個別事例を挙げるまでもありませんし、なにより2009年8月の衆議院議員総選挙で政権交代が実現した際にも、日本の新聞は自分たちがどのような報道を行ったのかという検証を、まったくと言って良いほど行っていないという事実が、日本の新聞のクオリティの低さを象徴しています。

この放物線を描くがごとき新聞部数の急落も、インターネット時代に紙媒体で情報を印刷するというビジネスモデル自体が行き詰まっているだけでなく、社会のネット化を通じて新聞のライバルとなり得るニューズサイト、ウェブ評論サイトが多数出現したことで、新聞のクオリティの低さがバレ始めている証拠ではないでしょうか。

マクドの値上げは「良い値上げ」、新聞の値上げは「悪い値上げ」

こうしたなかで、『大倒産時代の制作会社こそネットという新天地を目指せ』の前半部分でも論じたとおり、今年に限定して言えば、部数がさらに落ち込む要因もあります。

いうまでもなく、新聞社が相次いで購読料の値上げに踏み切ったことです。

マクド・ナルド社の「良い値上げ」(『マクド値上げで客足減少?マクドの値上げは良い値上げ』参照)のケースと異なり、新聞の値上げは典型的な「悪い値上げ」です。そもそもその製品自体に対する社会的なニーズが落ちているなかでわざわざ値上げに踏み切ることで、自らの部数の落ち込みを加速させるからです。

実際、『朝日新聞社、値上げで増収も経費増大で営業損益圧迫か』でも報告したとおり、たとえば株式会社朝日新聞社の事例でいえば、値上げの影響か、2023年9月中間決算では一時的に増収となったものの、経費増大を吸収しきれず営業利益が落ち込んでいることが確認できます。

最大手である株式会社朝日新聞社ですらこの状況なのですから、経営体力がない新聞社あたりは今年の値上げで却って部数減少に拍車がかかり、廃刊までの時間的猶予がさらに乏しくなった、という可能性が濃厚でしょう。

苦労した甲斐はあった(かも)

その意味で、自宅から数キロという、都会人にとってはとてつもなく遠い距離にあるA図書館にまで出かけ、グウと寝ているオジサンやオンラインゲーム(?)に興じているオジサンの横で『日本新聞年鑑』という紙媒体の冊子をペラペラめくり、手作業でデータを入力した成果はありました。

日本の新聞部数の動きが「放物線」だという気付きを与えてくれたからです。

そして、早ければ本日にも公表されるであろう2023年の新聞部数データがどうなっているかについては、ますます気になる論点のひとつであることは間違いありません。

新宿会計士:

View Comments (10)

  • ・放物線的に減った場合のシナリオ(超ざっくり)

    新聞部数の推移が1996年を最大値とする放物線(2次曲線)で、26年で50%減少したと仮定すると、部数yが0になるまでの年数は、あと
    26×(√2-1)≒11年
    オレンジ色の直線を接線とする放物線を手書きしてみたら、もっと早い??

    ※その他の要因は考慮していない、単なるグラフ上の計算です

    • 毎度、ばかばかしいお話しを。
      新聞業界:「来年は、世の中が激変して、新聞発行部数がV字回復する」
      まあ、その可能性もゼロではありませんし。

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    朝日新聞:「新聞部数放物線というエビデンスは嫌いである」
    まあ。朝日新聞ならエビデンスは不要ですもんね。

  • このサイトでは、度々、新聞の発行部数のことが取り上げられるので、以下のことを本当に感じさせられます。

    1.新聞の機能は、情報という目に見えないものを、「紙」という物理的媒体に印刷したものである。
    2.新聞機構(取材・印刷・配送)というものは、その多くの部分は「紙」という物理的なものを物理的に届けるためのもので構成されている、「装置産業的」なものである。

     これは、目に見えない情報を「伝送」する為に、巨大な「物理的な社会的機構とコスト構造」を構築していたということですね。
     例えれば、糸電話で、話を伝えるためには、紙コップと糸、を用意しなければなりませんが、
    その「糸」の部分に巨大な社会的なコストを掛けているのが、「紙」の新聞ということですね。

    所が、あら不思議! 
    「糸」を、「電線、又は、電波」に替えて、「伝送」を「電送」に変えれば、何と、巨大な「印刷・配送」機構が不要になってしまうのです。

    そして、新聞機構に残る必要な機能は、「取材」だけになります。

    所が、あらあら、今まで、「印刷・配送」という巨大なコストの掛かる物理機構、言わば、装置産業的な部分に、おんぶにだっこ、胡坐をかいて来たものだから、肝心要の「取材」能力は退化の一途を辿っていたのです。
    まともな取材能力と意欲までも無くなっていたのです。

    「取材」とう肝心要の、機能・能力が健全であれば、その部分だけで充分生き残っていけたのに、装置産業の部分が不要になったら、全部が要らないと、社会から言われてしまった、ってことですね。

    これは、良質な出版社は、今も収益を上げ、これからも生き残って行く所はあるだろうと見られているのとは大きな違いです。
    元々、出版社は、印刷配送は外部委託をしていて、企画編集力が出版社の力そのものでしたから、その力が優秀な所は、社会のニーズが無くなることはないでしょう。

    • 雑誌であれば、電子化した上で登録者に好みの記事の方向性を選択してもらい、興味のある内容だけ配信するなどのやりかたも使えますし、更に登録者の大多数の興味のある分野に絞って人員配置することで内容を充実させていくということもできます。
      新聞よりも現代社会に向いているのかもしれませんね。

  • 力作の図表3なのですね。たいへんお疲れ様でした。

    元々図表5のグラフでも、値の拾い方と関数の選び方で放物線の減少予測もできたのですよね。
    図表5(朝刊含むグラフ)を見ていた頃は2017年の変曲点ばかりが目に付いてました。その年から減少ルールが変わったかのような。
    図表3のようにズームアウトすると見え方変わりますね。朝刊グラフで同じような節目が2008年、2013年、2017年にも見え、2008年以降はそれが繰り返されていたような。
    一つの節目区間は、下向きの円弧形。節目で急減したけど後年踏ん張って減少が緩和した。でも次の節目で踏ん張りをチャラにする以上の減少を喰らう。約5年ごとにその繰り返し。
    それらの変動を舐めると、放物線のような関数で近似できるかもですね。

    その5年サイクルの目で今年あたりを見ると、2017の急減が21年以降緩和しているようにも見えます。つまり、次の激減の節目がそろそろ来るのかも知れません。
    わかんないですけどね。(笑)

  • 関係があるかどうか。

    グラフを見ると、1999年が変曲点のようにも見えます。
    新聞発行部数は、1990年迄上昇基調、1990年代は横這い、新しい世紀が始まる直前の1999年に下降に転じて、その後上向く事なく下落が続いています。

    この1999年はどういう時期であったか?
    1、ADSLが本格化し、インターネットのラストワンマイル問題が解消されてインターネットが本格的に普及を始めた頃。
    2、読売新聞が公称発行部数1000万部、朝日新聞が、同800万部を謳った頃。
    そして、新聞発行部数は、それをピークに下降の坂を下り続けることになります。
    3、創価学会が猛烈な会員獲得活動の末に、会員800万人を達成した頃。そして、同会は、これ以上の会員獲得はほぼ無理と悟り、つまり、会員拡大の限界を悟って、自民党との連立を決めた年が、1999年。

    こう見ると、インターネットの本格普及が、社会に実質的な影響を与え始めた頃と重なります。

    • 1999年までは、会社員で「新聞を購読していません」は出世は諦めましたでしょうか。
      周りの「同調圧力」が物凄かった!新聞社も我々が正義!世論を弄んでやりたい放題
      まさか、新聞社が「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり」になるとは感慨深い

      >1、ADSLが本格化し、インターネットのラストワンマイル問題が解消されてインターネットが本格的に普及を始めた頃。

      あの当時に自分の意志で「新聞購読していません」を始めた社会人に拍手を送りたいです。

  • この記事は、偏向メディアが
    ひた隠しにする工作を吹き飛ばす
    堂々たる正攻法での分析結果です。

    とかく日本のメディアや
    特定野党のおべんきょうかいWでの統計とやらは
    その支持者読者層がそんなこんなレベルだから
    致し方ないのでしょうが
    チープなトリックアートのようなおかしなもので溢れてます。
    今回遠い図書館に行かれて
    朝日新聞をこれ見よがしにドヤ顔で
    情弱高齢思い上がり鬱憤が広げているその傍らで(笑)
    こんな凄い分析をなされた新宿会計士さまに
    あらためて敬意と感謝を表します。

    この統計のファクトの前には
    アニメ北斗の拳の『お前はすでに死んでいる』の
    決め台詞がぴったりなぐらいと感じます。

  • このサイトの記事の信頼性の担保は、なるべくの1次資料の取材に支えられていますね。
    私だったら日曜は寒さに負けて有馬記念にも参加せず家で待機ですね。

    地方はわかりませんが、図書館は老若男女、多種多様な方たちが利用されてますね。
    そして男子トイレには「ここでは体を洗わないでください」と謎の張り紙がある・・