「路上喫煙」あるいは「歩行喫煙」と呼ばれる行為は、ただ迷惑であるだけでなく、極めて危険です。大人がタバコを持つ手の高さがちょうど子供の目線と一致するからです。こうしたなか、産経ニュースの報道によると一部観光地で外国人観光客が地域の条例を破って路上喫煙するなどのトラブルが生じているのだそうです。しかし、これも結局は全国一律で規制する法律がないという問題に行き着きます。
目次
後を絶たない路上喫煙
当ウェブサイトではずいぶんと以前から提唱してきた論点のひとつが、「受動喫煙」です。自らの意志によらず、タバコの煙を吸い込むことで、間接的にタバコを吸っているのと同じような状況になることから、このように称されます。
包丁やナイフなどの凶器をブンブン振り回しながら街を闊歩すれば、通常は通報され、警察官から職務質問を受けることが多いと思いますが、その一方で火のついたタバコをブンブン振り回しながら街を闊歩する輩(やから)については、なぜか取り締まられることはありません。
その最大の問題は、取り締まる法律がないことにあります。
地方自治体によっては、歩行喫煙、あるいは路上喫煙などの行為を取り締まる条例が制定されているケースもあり、たとえば東京都新宿区の場合は路上喫煙については条例により、全面的に禁止されている「はず」です。
新宿区空き缶等の散乱及び路上喫煙による被害の防止に関する条例【※PDF】
―――1996/12/06付 新宿区条例第43号
路上喫煙禁止Q&A
―――新宿区ウェブサイトより
「はず」、と述べた理由は簡単で、東京都新宿区内では、この路上喫煙条例が守られていないのです。
もし新宿周辺を訪れる方がいらっしゃれば、試しに新宿区の路上を歩いてみてください。結構な頻度で、歩きながらタバコにシュボッと火をつけている輩を発見することができるでしょう。
子供の目に入ったらどう責任を取るつもりか
そして、この手の輩は得てして火のついたタバコをブンブン振り回し、我が物顔で路上を歩いています。タバコの煙や灰が周囲に撒き散らされるだけでなく、ちょうどこの者たちの手の位置は小さな子供の目の高さと一致しています。本当に危険です。
実際、『片桐眼科クリニック 院長ブログ』というウェブサイトに2022年10月7日付で投稿された『タバコと目の健康』という記事によると、こんな趣旨の指摘があります。
- タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用がある
- 目の血管はほとんどが毛細血管だが、その毛細血管がニコチンの影響で収縮すると、酸素や栄養など、目の健康を維持するために大切な成分が届かなくなり、正常な機能を保てなくなる最近の論文でも年間20箱以上の喫煙者は非喫煙者に比べ緑内障の視野障害の進行度が2.3倍との結果が出ている
- 大人が持ったタバコの高さは子供の目線と同じであり、火が付いたタバコの先は高温で、それが不注意で子供の目に入ると、やけどと同じように目の表面がただれ、運が悪いと透明な角膜が濁ったままになって、視力が回復しなくなってしまう
…。
恐ろしい話です。
もし子供の目にタバコが入ってしまったら、この者たちはいったいどう責任を取るつもりでしょうか(あるいは責任を取らずに逃亡するつもりでしょうか)?
罰則がない条例など「ケンポーキュージョー」と同じ?
ではなぜ、一部自治体ではせっかく路上禁煙条例を設けているのに、この条例が守られていないのか――。
その理由はおそらく単純で、罰則がないからです。
抑止力がないくせに平和を守れると豪語する、どこかの国の「ケンポーキュージョー」と、ソックリです。
罰則がない路上喫煙禁止条例もこれと同じで、正直、意味はありません。当ウェブサイトで長年提唱している通り、本来ならば、何らかの罰則を規定すれば良いだけの話です。どうして東京都新宿区議会がこの欠陥だらけの条例を改善しようとしないのかが謎でなりません。
ただ、「路上煙害研究家」でもあるウェブ主にとっては、やはり諸悪の根源は、国がきちんと路上喫煙を取り締まる法律を作らないことにあると考えます。
現在の『健康増進法』では、学校や官公庁など「多数の者が利用する施設を管理する者」は、「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努める」という義務を課されていますが、ただ、同法には路上喫煙そのものを規制する条文はありません。
だからこそ、路上喫煙禁止条例がない自治体、あるいはあっても新宿区のように罰則がない自治体だと、路上喫煙が蔓延し、人々の健康が侵害されている、というわけです。
産経ニュース「人気観光地で煙害」
さて、こうしたなかで、産経ニュースに土曜日、少し気になる記事が掲載されていました。
急増するインバウンドによる「煙害」 人気観光地で異なる喫煙ルール
―――2023/12/02 10:00付 産経ニュースより
産経によると感染症対策が緩和され、外国人の訪日旅行が活気づくなかで、観光地を中心に喫煙ルールを巡る問題が「再燃している」のだそうです。訪日外国人を中心に、路上喫煙禁止や分煙などのルールを破る者が相次いでいる、というのです。
たとえば奈良市では2009年以降、奈良公園周辺を路上喫煙禁止地域に指定し、職員の是正指導に従わない場合に千円の過料を科しているのだそうですが、これについてこんな事例が取り上げられています。
「だが、同地域内で路上喫煙していた中国人旅行客の40代男性は『ここが禁煙だと知らなかった。地元だと屋外は大体吸えるので、その感覚で吸ってしまった』と話す」。
また、これらの外国人には言葉が通じない場合もあるなど、「現場での周知には限界がある」などの声もあるそうです。
産経ほほかにも大阪市の事例などを取り上げたうえで、こう指摘します。
「さらに、日本のなかでもエリアによってルールが異なることが、喫煙の可否をより分かりにくくしているとみられる」。
全国一律での路上喫煙禁止が必要!
じつは、この指摘は大変に重要です。そして、最終的には「国会が必要な法律を整備しない」、という問題に行き着くのです。
必要なのは、「全国一律での路上喫煙岸の禁止」です。
現状、路上喫煙対策は地方自治体に委ねられており、たとえば同じ東京都23区内でも「路上喫煙は全面禁止+罰金」という事例もあれば、「路上喫煙は全面禁止だけれども罰則ナシ」、「路上喫煙禁止は指定区域に限る」、といったぐあいに、てんでバラバラです。
そして、日本人でも路上喫煙行為に手を染める者がいるわけですから、路上喫煙に日本ほど厳しくない国から来た観光客ならば、なおさら、タバコをそこかしこでスパスパ吸ったりするのでしょう。
やはり、私たち一般人の健康を守るためにも、また、外国人旅行客と日本人の無用なトラブルを防ぐという意味でも、路上喫煙に関する全国一律での包括的な規制が必要です。
このあたり、なにも人口希薄な地域での喫煙も含めて全面的に規制しなければならないというものではなく、路上喫煙禁止区域の指定はその都道府県の警察などに委ねても良いとは思いますが、必要なのは全国一律での対応と、厳格な罰則の導入です。
先ほど紹介した『健康増進法』に、たとえばこんな条文を付け加えたら良いのではないでしょうか。
健康増進法改正私案
何人も、路上喫煙を行ってはならない。ただし、都道府県知事が指定する場所においては、この限りでない。
2 前項の規定に反して路上喫煙を行った場合には、●●に処する。
3 第一項の規定に違反して人の身体を傷害した者は、●●に処する。
…。
この「●●」の部分に罰則(罰金、禁固、懲役、死刑など)を入れれば良いと思います。
ただ、罰則があまりにも軽いのは、抑止力となり得ません。
産経ニュースの記事にあった、奈良県の「指導に従わない場合には千円」、といったものではなく、状況に応じて五万円、十万円、百万円などの高額な罰金を、路上喫煙で他人にケガをさせた場合は懲役刑などを含めた刑事罰を科すべきでしょう。
「タバコ税収で国庫も潤っている」…本当に!?
ちなみにこんなことを書くと、「喫煙者はタバコに関する税金で国庫を潤している(のだからタバコくらい自由に吸わせろ)」、などと詭弁を述べる者が出て来るかもしれません。
しかし、著者自身は「タバコで国庫が潤っている」とする見方には懐疑的です。
喫煙で健康被害が生じるという点を考慮に入れれば、タバコの販売による税収が、それにより生じる健康被害(詳しくは協会けんぽHPの下記記事参照)による医療費の増大(や健康被害そのものによる経済的損失)を上回っているという保証はないからです。
【たばこ】 たばこは周りの人の健康にも影響をおよぼします
―――全国健康保険協会(協会けんぽ)HPより
ちなみに一部の喫煙者は「俺、タバコ吸ってるけどフツーに元気だよ?」などと強がって見せているようですし、一部の「学者」のなかには「喫煙と健康被害は無関係」などと主張している例もあるようですが…。
いずれにせよ、インバウンドにおける外国人との喫煙トラブルという事例も、結局は国会がこの路上喫煙問題に適切な立法措置を講じていないことにあると見るべきであり、その意味では対応が望まれます。
View Comments (13)
インバウンドやマナーの欠如した喫煙者を考えれば立法化もやむなしかな
煙草の規制もよいがアルコールの規制が全く進んでないのは如何なものかと思う
伊勢神宮の境内でも、中国人や韓国人がタバコを吸っている光景を見かけます。
その光景は、ルールを守っている喫煙者にとっても大変不快なものです。
他国の文化を尊重できない輩には誇りというものが存在しない、かつて祖父に聞いた言葉を思い出しました。
ただ、日本人も他国で文化財に落書きするようなのがいたりしますし、迷惑系のちゅーばーとかはそういうの知ったらマネしそうな気もして怖いとも思いますが。
「車上喫煙からの路上ポイ捨て」と「路上灰撒き散らし」も併せて厳罰化を!
四輪二輪軽車両を問わず!!
ま~ムリか…
大阪は2025年の万博に合わせて大阪市の路上喫煙の罰金をとる地域を市内全域にするとなっています
果たしてそれだけ監視して罰金をとれる人がいるのでしょうか、現在駐禁の監視をしている人とかが良いと思いますが、来年から自転車も罰金とるようになるようなので人が足りないかもしれませんのでuberイーツの配達員のアルバイトのような感じで、スマホで登録して空いた時間だけ監視員になって罰金をとる人が増えればいいのかしれません
時給1100円で最低2人以上取り締まるのであれば大阪市の利益も上がりますしアルバイトも増えて路上喫煙が無くなるまではと思います、あちこちで喧嘩が起こるかもしれませんが、あまりにもマナーの悪い喫煙者が多いので強く対策してほしいです
自分はタバコを吸いません。
ので、お店で食事をしている時に横でタバコを吸われるのが本当に許せませんでした。
何故金を払って美味しい食事をする邪魔をするのかと。
タバコを吸う人間にとって食後の一杯がいいのは理解できます。
が、彼らは吸わない人間にとって食事中の副流煙が食事の味を邪魔する最悪のひとときだというのを理解出来ないのです。
例えるなら、店で食事してると隣の客がイキナリスボンをおろしてう○こをし始めるのと同じかそれ以上の迷惑度合いなのです。
が、喫煙者にその認識が欠如しています。
路上喫煙も路上う○こと同じかそれ以上の迷惑度だと喫煙者が認識する事こそ第一歩かと。
実は、喫煙が脳に悪影響を及ぼす可能性があります。
禁煙と書いてある場所で喫煙する人々を見ても明らかで、彼らは喫煙によって漢字を読めなくなった可能性があるのです。
その対抗策に🚭という絵で見てわかる象形文字も開発したが、喫煙の脳への影響はもっと深く、このマークも意味がなさないようです。
東京オリンピックには反対でしたが、そのおかけでお店での分煙が法律化されたのが良かったです。
路上喫煙禁止も法律化されるのが一番かと。
「トイレでタバコ吸うな。喫煙所でう〇こするぞ。」
数年前にネットで流れていたフレーズですが、
民度の低い喫煙者に対して、これほど分かりやすい警告文はないですね。
そう言えば、路上や噴水や列車内など所構わず「う〇こ」している動画や写真、そのほとんどは大陸人だったような。
路上での排泄行為は軽犯罪法違反(第1条27号)だそうです。
同様に路上喫煙も法律化してほしいです。
路上喫煙や路上飲酒♪
ちゃんと禁止して取り締まって欲しいものなのです♪
これらほど緊急性もなければ、世間の理解も得られないことだけど、できればホテルの朝食に納豆を出すのもやめて欲しいのです♪
だいぶ慣れてきたとはいえ、横の席から漂ってくる臭いには、ちょっと困っちゃうのです♪
せっかく美味しい食事を頂いてても、他の香りを台無しにする強烈な臭いにはうんざりなのです♪
せめて納豆専用席に閉じ込めて欲しいのです♪
ホテル朝食で納豆食べる派です。
めちゃめちゃ美味しいです。
自分は「大粒」派です。
専用席があればそちらで食しますので、納豆全面禁止運動は避けていただければ幸いです。
ちなみに新幹線車内で
551蓬莱を食べるのは控えています。
崎陽軒シウマイ弁当は食べます。
転勤族様
返信ありがとなのです♪
香りのある食べ物は、人によって感じ方が様々だから難しいですよね♪
適度なとこで、共存できたら良いなって思うのです♪
551は焼売もオススメっす
売店で箱入り買ったら乗車前に食っちまいませう
豚まんも真逆の揚子江ともども温かいの買ってすぐ食べたい派デスが、揚子江のを綺麗に完食した際の達成感は蓬莱にはナイモノデス(敢えてタトエルなら蓬莱の豚まんの裏の敷物を豚まんにキズ無く1枚のまま綺麗に剥がせたトキの3倍超?)
路上喫煙と路上飲酒と歩きスマホ。
マジで取り締まって欲しい。法律化しないのは国会議員の怠慢です(怒)
くだらない議員立法を上げるくらいなら、ちゃんと役に立つ法律を作れと思う。
常々、喫煙は非喫煙者にとって非常に不公平であると感じるくらいマナーの悪い喫煙者が後を絶たないのが心情的に許し難いです。嗅ぎたくもない臭いものを嗅がされるのはある意味暴力と同じなのではとさえ思います。
都内でも路上喫煙禁止と表記してあるエリアでさえ、堂々と煙草を吸う様な輩も珍しくないでし、この様な光景を日頃から見ていると、高額な罰金刑は科されてるべきという点は完全に同意します。
この様な人たちは、ルールやマナーを守って嗜みとして喫煙されている愛煙家の方々もいい迷惑でしょう。
ふと思いましたが、喫煙禁止区域でも平気で吸う様な喫煙者って左翼の人達に似ていますね。法を守らない点とか、他者に(臭いものを)強要する点とか。
社長は、タバコを吸わない人が多い。(注:以下、個人的な経験)
中小企業の社長にも多く会ったが、先ず、喫煙する人は居なかった。
大手の会社のサラリーマン社長も、吸わない人ばかり。
その部下の役員たちは、半々位で喫煙していたよう。
それで、社長に聞いてみると、社長になってから止めた、そろそろ社長が視野に入って来たから止めた、社長を狙った時から止めた、という人が多かった。勿論、元から喫煙していない人もいた。しかし、元からの非喫煙者と、昔は喫煙していたという人が半々くらい。
今時、社長は、喫煙していると自制心の無い人間と見られるようという雰囲気が漂っているのか?
実際、会った社長達は、皆、意志の固い人ばかりだった。
多分、禁煙くらいは、決意すれば、簡単にやり抜けるのだろう。