国際与信統計で調べてみると、先進国の香港に対する与信はさほど減っているわけではありませんが、日本に限定していえば、まさに「急減」といえる状況にあることがわかります。その一方、HSBCなどの本部が所在するためでしょうか、英国の香港向け与信は減少する気配を見せません。足抜け困難な英国に対し積極的に足ぬけする日本、という構図が見えてくるのです。
目次
香港の終焉…!?
フォーブス「企業の香港撤退が加速」
「香港は自由で開かれたビジネス都市である」――。
こんな常識を、私たちはそろそろ捨てなければならないのでしょうか。
そう痛感してしまうような記事が、米誌『フォーブス』に10日付で掲載されていました。
企業の「香港撤退」が加速、中国政府の失策のさらなる証拠
―――2023.11.10付 Forbes JAPANより
記事執筆者であるミルトン・エズラティ氏は中国に批判的な記事をフォーブスに精力的に寄稿している人物でもあるため、中国に対してネガティブなバイアスがかかっている可能性には注意が必要でしょう。
この点、リンク先記事の要旨は、こうです。
- 習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席が率いる中国政府は自国の経済・金融的利益を妨害してきたが、香港でも外国企業を追い払うことになっている。企業が続々と香港から撤退している。中国は敗者だ
- 1997年の香港返還に際して、香港をそれまで通りに維持するとの約束を破り、2019年の大規模なデモを力づくで鎮圧した
- 中国本土の都市と比べ、香港での金の出し入れはまだ簡単だが、外国人にとって、ビジネスをする場所として香港がかつて持っていた特別な魅力は失われた
…。
邦銀の香港支店撤退の動きは限定的
ずいぶんな言い様です。
エズラティ氏は中国や香港に関する非常に厳しい指摘を繰り返している人物ですが、今回の記事は普段に輪をかけて厳しい気がします。記事の中ではこんな記述も出て来るからです。
「欧米や日本の企業は、中国政府が腹の中を見せた直後から香港を離れ始めた。香港の国勢調査統計局によると、外資企業が香港に置き続けている地域本部の数は、同局の公開データの直近期間である2019年から2022年にかけて約9%減少した」。
「撤退が最も多かったのは米企業だったようだ。2022年までに、香港に地域本部を置く米企業はピーク時から約30%減少した。米国の経営者は、優秀な従業員に香港に移るよう説得するのに苦労していると報告している」。
そのうえで、実際に豪州の2つの銀行のほか、カナダや欧州の多くの企業もが香港拠点を閉鎖する意向を示している、などとしており、また、香港市場に上場している企業の総資本は現時点で約4兆ドルで、2019年の水準を40%ほど下回っている、などというのです。
この記事を読むと、まさに香港の経済都市としての地位は、ほぼ終焉を迎えたと断じざるを得ないのでしょうか。
これについて、まずは日本の状況がどうなっているのかを調べてみると、意外と邦銀が香港拠点を閉鎖したとする話題はそれほど見当たりません。
日本では3メガバンクグループと農林中央金庫に加え、3メガグループに所属していない三井住友信託銀行、地方銀行9行、第二地銀である名古屋銀行などが海外に支店を開設しています。このうち長野県の八十二銀行が今年、シンガポール駐在員事務所を支店に格上げしています。
八十二銀行、シンガポール支店開設 香港支店は廃止へ
―――2023年1月27日 18:53付 日本経済新聞電子版より
ちなみに記事によると、八十二銀行は香港支店を23年度中に廃止するのだそうですが、こうした支店そのものを撤収する動きは限定的です。ということは、邦銀としては香港(や中国)からそれほど資金を抜いているわけではない、ということでしょうか。
後述する通り、「駐在員事務所」を閉鎖したとの報道はいくつかみられるのですが、近年において、「支店」を閉鎖するとの報道は、上記八十二銀行の事例くらいしか見当たらないのです。
日本の国際与信状況
CBSを使ったファクトチェック
さて、エズラティ氏の記事は、じっさいのところ、どうなのでしょうか。
当ウェブサイトとしては「金融指標」という側面から簡単なファクトチェックをしてみたいと思います。その際に使用するのが、国際決済銀行(BIS)が公表している『国際与信統計』です。
この『国際与信統計』に関する話題は、当ウェブサイトでは頻繁に出て来る論点のひとつです(ちなみにこの統計、英語の “Consolidated banking statistics” を略して『CBS』と呼ぶこともあります)
このCBSに基づいて、改めて日本の金融機関の対外与信の状況を見ておくと、日本にとって圧倒的に大きな与信先は米国であり、米国だけで与信総額は2兆ドルを超えていて、これにオフショア金融センターであるケイマン諸島が続いている、ということがわかります(図表1)。
図表1 日本の対外与信の状況(2023年6月末時点、最終リスクベース)
ランク(債務国側) | 金額 | 構成割合 |
1位:米国 | 2兆0753億ドル | 44.67% |
2位:ケイマン諸島 | 5914億ドル | 12.73% |
3位:英国 | 2210億ドル | 4.76% |
4位:フランス | 1892億ドル | 4.07% |
5位:豪州 | 1422億ドル | 3.06% |
6位:ドイツ | 1206億ドル | 2.60% |
7位:ルクセンブルク | 1132億ドル | 2.44% |
8位:タイ | 1026億ドル | 2.21% |
9位:カナダ | 972億ドル | 2.09% |
10位:中国 | 796億ドル | 1.71% |
その他 | 9136億ドル | 19.67% |
合計 | 4兆6459億ドル | 100.00% |
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
邦銀はもともとアジアとのつながりが薄い
ただ、このランキング表を見ていて気づくのは、日本の近隣諸国・地域――中国、韓国、北朝鮮、台湾、香港など――の存在感の低さです。図表1では上位10ヵ国を列挙しているのですが、辛うじて10位に中国が入っているのを除けば、日本の近隣諸国は1ヵ国も入っていません。
対象を「アジア諸国全体」に拡大しても、中国以外にはタイが1026億ドルで8位に入っています(三菱UFJFGがタイの銀行を買収したためです)。しかし、タイ、中国を除けば、アジア諸国はランク10位に含まれていません。当然、香港もこのランキングの上位には登場していません。
じつは、香港はアジアの金融センターだ、などと言われることが多いわりに、日本の金融機関の香港に対する投融資は、意外と多くありません。
そもそもランキングを11位以下にまで拡大したら、やっとアジア諸国がいくつか出てくるのですが、日本の4.6兆ドルという対外与信全体と比べ、金額、割合ともに少ないのが実情です。それぞれの国とランキング、2023年6月末時点の与信金額、日本の対外与信全体に占めるシェアを列挙しておくと、こんな具合です。
日本の対外与信(2023年6月末時点、最終リスクベース、11位以下)
- 11位:シンガポール(753億ドル、1.62%)
- 14位:香港(518億ドル、1.12%)
- 15位:韓国(457億ドル、0.98%)
- 16位:インドネシア(452億ドル、0.97%)
- 18位:インド(435億ドル、0.94%)
- 22位:台湾(287億ドル、0.62%)
香港はシンガポールを大きく下回る518億ドルで、日本の対外与信全体の1.12%に過ぎません。かつての韓国に対する融資額とあまり変わらない水準です。
邦銀の香港、中国、韓国、台湾に対する与信は減少
香港だけではありません。個人的に気になるのは、香港以外に中国、韓国、台湾を含めた4ヵ国・地域に対する与信が、(ドルベースで見た)金額、日本の対外与信全体に占める割合ともに、急激に落ちているという事実です。
ここで、「日本のその相手国に対する与信」を左軸に、(図表1とは逆に)「相手国から見た日本からの与信のシェア」を右軸に取り、その推移をグラフ化したものを列挙しておきましょう(図表2)。
図表2-1 日本の金融機関の対中与信
図表2-2 日本の金融機関の対韓与信
図表2-3 日本の金融機関の対台与信
図表2-4 日本の金融機関の対港与信
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
これについては、円安などが原因ではないか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかにその可能性はあります。
CBSはすべて米ドル建てで表示されているため、たとえば邦銀による円建て投融資などがあれば、それをドル換算した金額は目減りします。
ASEANやインドに対する与信はあまり減っていない
しかし、もしそうであるならば、邦銀のアジア向け与信なども同様に目減りしていなければおかしいはずですが、ASEAN諸国やインドに対する与信については(多少減っているケースもあるにせよ)顕著に減っているという事実は認められません(図表3)。
図表3-1 日本の金融機関の対星与信
図表3-2 日本の金融機関の対泰与信
図表3-3 日本の金融機関の対尼与信
図表3-4 日本の金融機関の対印与信
とくに香港に関していえば、アジアの中では似たようなオフショア金融センターであるシンガポールに対する与信と比べてみると、違いは顕著です。邦銀のシンガポール向け与信は(円安の影響か)昨年下期あたりからやや足踏み、減少傾向にあることがわかりますが、香港と比べて落ち込みは明らかに限定的です。
こうやって見るとなかなかに露骨
以上の図表2、図表3をもう少しわかりやすく集計しなおしたものが、次の図表4です。
図表4 日本の金融機関の国際与信状況(アジア主要国向け)
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
邦銀はASEAN向けの与信を増やす一方、中国、香港(+韓国)向け与信を徐々に減らしている様子が、なかなか露骨に出て来ています。
先ほど指摘したとおり、そもそも香港支店を撤収するという動きは、八十二銀行のものくらいしか報じられていません(※なお、駐在員事務所にまで検索範囲を広げると、香港撤収という話題はわりとでてくるのですが、ここでは「銀行支店」に限定して検索をしています)。
ということは、邦銀は露骨に支店を撤収しているわけではなく、表面上は香港での営業を続けていながら、ステルス的に少しずつ、香港向け、中国向けの与信を減らしている、姿が見えてくるのです。
対照的な日英金融機関
世界の香港向け与信が急減しているとまではいえない
以上は日本の動きでしたが、世界の動きはどうなっているのでしょうか。
BISデータ報告国(全31ヵ国)からの中国や香港に対する与信がどうなっているかを示したものが、図表5です。
図表5-1 報告国全体の中国に対する与信
図表5-2 報告国全体の香港に対する与信
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
これで見ると、たしかに主要国の香港に対する与信は最近、少し減っているという傾向にあるのが確認できるのですが、日本の金融機関の「逃げっぷり」と比べると、まだまだ香港にカネを貸す金融機関は世界にいる、ということでしょうか。
足抜け困難な英国
その答えが、おそらく、英国です。中国、香港に対する国際与信の主要債権国である英国が香港に対する与信を減らしているフシはないのです(図表6)。
図表6-1 英国の金融機関の対中与信
図表6-2 英国の金融機関の対港与信
(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)
英国の場合、英国に本部を置く香港上海銀行(HSBC)の香港分行などの金融機関が所在しているため、HSBCホールディングスを通じた対香港・対中国与信がどうしても膨らんでしまうのでしょう。日本の金融業が香港からの撤収の動きを強めているのとは対照的です。
いずれにせよ、英銀に関しては香港拠点があるためでしょうか、中国、香港からの「足抜け」は、なかなかに厳しそうです(もっとも、米国も中国や香港などに対する与信をさほど減らしている様子は見えないのは気になるところではありますが…)。
以上、少なくとも国際与信統計「だけ」で見るならば、世界の金融機関がいっせいに香港から撤収しているという事実は、現在のところは確認できません。その意味で、あたかも香港から外資系企業がいっせいに撤収しようとしているかのエズラティ氏の記事は、若干誇張されているきらいがあります。
というよりも、英国のように「足抜け」したくても難しい企業がある、というのが実情ではないでしょうか。
邦銀のリスク管理能力はピカイチ
逆にいえば、日本企業は国際的に見て、中国、香港などからの「足抜け」がうまくいっている方だ、という言い方もできるかもしれません。その意味では、エズラティ氏の記事は、英国については間違い、日本については正解、と暫定的に結論付けて良さそうに思えます。
というよりも、個人的には、日本の金融業は国際的に見ても、とくに相場観とリスク管理能力がしっかりしているのではないかと思います。1990年代後半から2000年代前半にかけての不良債権問題・金融危機と、長引くデフレ期で貸出が伸びないという経営環境のなかで苦悩してきたからでしょうか。
想像するに、日本企業の中国と香港(と台湾と韓国)に対する与信の急減も、こうした邦銀のシビアな相場観の証拠なのかもしれません。
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この論稿を読んで、岡崎久彦さんを思い出した。
この元外交官・評論家は、
「“アングロサクソンとの協調こそが日本の国益とアジアの平和につながる”」と一貫して主張していた。
この人は、日本が欧米に軸を置いて付き合うと発展し、アジアに軸を置くと国力を消耗していると言っていた。
明治以降、欧米を模範として付き合っていた時は国力が増強し、アジアに軸を置こうとして欧米と戦争をして国力を失った。1990年代から中国に入れ込んで経済発展をせずに国力を失っている。
自分より下位のものと付き合えば、与える方、つまり、出の方が多くなる。
自分より上位と付き合えば、得られるものは多い。
考えて見れば、これは当たり前のこと。
このままの方向性で、中韓から手を引き、アジアにも入れ込まずに、金のある欧米と上手く付き合っていけば良い。
まあ、今から百数十年前から福沢諭吉さんなんかが主張していることではありますね。
福翁自伝なんかで語られる中韓論が、ここで語られる内容とほとんど変わらないことに苦笑させられます。
それなのに、中韓に入れ込んでしまった。経済界は慶應出が多いのに。諭吉さん、草葉の陰から、不肖の弟子達を嘆いているに違いない。
香港は「出島」のようなものではないか。
オランダが出島のような小さな土地を離れなかったのは日本との貿易が莫大な富をもたらしたからだ。儲からなかったら来なくなるし、帰っていくだろう。香港も同じ運命。富を生むかどうかにかかっている。
香港が返還された1997年当時「中国は金の卵を産む鶏を殺しはしないだろう」と言われていた。一国二制度を唱えたのもそのためだろう。
経済発展で自信をつけて「金の卵」がそれほど重要ではなくなってきたということかもしれない。
昨日のNHK国際報道でやっていたが次の香港の選挙では民主派から立候補できる人はゼロだそうだ。立候補のためには推薦が必要で推薦を出す団体はすべて親中派だからだ。こういうのを選挙と呼べるのか。日本でも戦前の衆議院選挙に「翼賛選挙」というのがあったが立候補ができないという事はなかったし、非推薦で当選した人も多くいた。
BSフジのプライムニュースで鈴置さん真田さんの回に聞く真田さんの話で、国際金融における日本金融機関の考えを窺える時があります。
本記事につながる考えを披露していたように思いました。
この辺りは、定量的継続的に追跡調査することで検証出来るという、ブログ主さまの取り組みは素晴らしいと思います。
一国2制度といって英国から中国へ香港の返還が行われたのが2000年の事でそれまでは返還後50年は制度維持する筈だった。それが2019年の中国の約束を違えるデモ鎮圧で、自由都市香港は潰えてしまった。一国2制度は18年しか守られなかった。富裕層は香港を離れ、デモ実行者は逮捕された。宗主国だった英国の銀行が撤退できなくて、日本の銀行が香港を離れて行くの差は浸透性の違いだろうか。しかし、普通に約束通りほ香港の統治を続けていれば香港のシステムを壊すことなく、中国にも巨額なお金が流入しつづけたはずだ。100万ドルの夜景がなつかしい。バンコク行きで香港経由でたずねたのも幾度かある。空からみほろすと摩天楼のビルに霞が懸かり、空港に出入りするモノレールだろうか、、未来都市のようだった。
返還前、バンダバスツアーでジャッキー・チェンの家を巡った記憶があるなあ。
船上から見える夜景は巨大な「SANYO」、今振り返るとバブルだったんですかね・・
>邦銀のリスク管理能力はピカイチ
中国の世界中の融資先もそろそろ無数に債務再編会議が発足しそう。
んっ?中国の債務再編会議?も始まる??主な融資国は英国・アメリカ
謀略・陰謀好きな国々同士、ウブな日本は騙されないよう近づかないようにね!!
違うよ
>英国から中国へ香港の返還が行われたのが2000年の事で
こ
れは違う!
>それまでは返還後50年は制度維持する筈だった。
こ
れも違う!
英国は条約を勝手に破棄されたのだから、そりゃあ当然香港を取り戻すますよね、少くとも取り戻すつもりなんでしょうね。
金融を支配していてこそ香港を取り戻す価値があり、かつ、戻せるのでしょうよ。
中国相手にビジネスをやるには、有力政治家とその所属する派閥との間に有力なコネクションを築くことが不可欠と言われているようです。政治、経済安保面で激しく対立する米中ですが、米ウォール街辺りは、今でも香港経済を牛耳っている江沢民派の人脈と太いパイプを維持していて、習近平さえ失脚させれば、中国共産党は必ずしも敵視するにおよばない考えとの解説を目にしたことがあります。
英国経済界の対中観も似たようなものとするなら、中国本土のビジネス環境の悪化を受けて企業の撤退は進んでも、将来の展開を睨んで、その基盤としての銀行、金融機関はそのまま維持し、中国本土のビジネスパートナーに対する与信は絞らないまましておくというのは、理に適った戦略のように思えます。
かつての日中蜜月とよばれた時代には、日本の政界、経済界も中国の有力勢力とそれなりに太いパイプは構築していたはずだと思うのですが、反日傾向が顕著になった江沢民政権以降、それも細る一方だったのかも知れません。自民党のN氏あたりを、中国と話が出来る政治家扱いする向きもありますが、多分買いかぶりなんでしょう。中国経済の現状に鑑みて、香港の邦銀が与信を絞るのは当然として、撤退にまで至らないのは、中国の将来をどう見ているのかにも関わり、興味があるところです。
今の習近平政権が、下手して長期的に続くなら、中国経済の没落はまず避けられないように思うのですが、もしそうなってしまえば、米英系の対中金融は大損を被り、早逃げした邦銀は最小被害で済むということになるんでしょうか。しかし、習近平の天下が案外速く瓦解して、中国が再び親西欧、改革開放路線に舵を切れば、順風に早く乗っかれるのは米英、後れを取るのは日本という構図になるのかも知れませんね。
その通りかもしれませんね。
アメリカの金融機関は大損しても税金投入でより一層勇猛果敢!
我が国の金融機関は自己責任で潰された。
そりゃあ慎重になりますよ。
>邦銀のリスク管理能力はピカイチ
じゃあなぜバブルで破滅寸前まで行ったのか。
邦銀の与信は担保主義だからではないか。
担保がなけりゃ貸さない。担保があれば担保価値の範囲で貸す。
バブルで大きな傷を負ったのは価値があると信じていた担保の価値が暴落したから。
日本語読めないのかな?不良債権危機を乗り越えたから日本の金融機関は強くなったって書いてあるんだけど?
邦銀のリスク管理能力はピカイチ
この言葉、初めて聞きました。
管理能力がピカイチなので貸さないのと、自信がないので貸さないのとどう見分けるのだろう。
横からすみません。sqsqさんの表現に感心したので、書いてみたくなりました。
要は、どちらも貸さないというリスクヘッジ側のスタンスの事ですね。今の香港、このスタンスの方が良さそうですし、そのスタンスが取れる日本と、取れない柵(しがらみ)がありそうな、英銀との違いが、この論稿の主旨かと。もし、今の時期にリスクヘッジ側のスタンスを取らないとすれば、邦銀の管理力ピカイチとはとても言えないが、ちゃんと、リスクヘッジ側のスタンスを取っているから、ピカイチ、ということになるのでは?
ちょっと変ですが、バブルの痛い痛い経験を経てリスク管理能力が向上したことは、確かなようですね。
匿名コメント主様
>不良債権危機を乗り越えたから日本の金融機関は強くなったって書いてあるんだけど?
それも要因のひとつですが、それだけではありません。
ただ、大蔵省、金融庁との理不尽な戦いを間近で見て来た金融人としては、じつはもう少し書きたい内容があります。
当ウェブサイトに書けるかどうかという点でまだ少し検討中ですが…。
sqsqさん
>邦銀の与信は担保主義だからではないか。担保がなけりゃ貸さない。担保があれば担保価値の範囲で貸す。バブルで大きな傷を負ったのは価値があると信じていた担保の価値が暴落したから。
日本のバブルは、まさに、この担保主義を形骸的に悪用したものでした。担保価値を社会全体というより、銀行が勝手に作り上げていました。土地・マンション、挙句の果ては、ゴルフ会員権、絵画。金を借りたく無いという人間に、何かと理由を付けて無理矢理借りさせる、土地があるからと無理に貸す、ゴルフをやらないのに、値上がりするから、投資として買え、その分の金は貸すから、と。しかし、相場が下がれば、担保との差額は、借人の負債となる。
まあこれが、バブル時代の担保主義の実態。そして、借人に負債を押し付けても、金の無い人間の負債など空気と同じ。銀行が多額の不良債権を抱える事になりました。
バブルは、日本版債務の罠だったのだろうが、その罠は自分に掛けていた事になります。金融のプロの銀行も、欲に駆られて自ら形骸担保の意味を見て見ぬふりをしたのです。
そして今、それを、グローバルにやっている国がある、果たして、どうなることやら。
>価値があると信じていた担保の価値が暴落したから。
価値があるとは、信じていなかった事は、確か。もし、本当に信じていたなら、バンカーとしての根本的な素養が疑われます。信じてたのに〜、なんて言った瞬間、プロではないことを白状するようなものですね。
時系列を学びましょうね。
違いますよ
>バブルで大きな傷を負ったのは価値があると信じていた担保の価値が暴落したから。
担
保もへったくれもなく兎に角貸付競争というか狂乱貸付というか矢鱈滅多貸し付けに貸し付けていたんですよ、バブルの最盛期は!
>じゃあなぜバブルで破滅寸前まで行ったのか。
破
滅してしまったのですよ、地銀や巨大な証券会社や都銀まで、弱小金融機関は死屍累々!
しかし、ほとんどの証券会社・巨大な銀行・地銀は自力で生き延びたのてすよ。
>担保がなけりゃ貸さない。担保があれば担保価値の範囲で貸す。
こ
れを死守できないのが、できなかったのが、バブルなんですよ。
別に最初からピカイチでなくても、痛い思いをして徐々に学んでいけばいいのでは。
今の段階では、バブルやらその他の反省を生かし、鼻を効かせられるようになってるだけかと。
今は不動産担保どころか金貸しそのものにそこまで注力しておらず、手数料ビジネスに舵を切ってる感じ。お金を預ける個人に冷たくなったのは資金が利益を生むとは思わなくなってるから。
韓国や中国にあまり軸足を乗せないのも、鼻が効いてる証拠かな。国内取引でこの辺には結構やられた経験があるから、どうしても収益源とは考えにくいのかも。やりすぎない、かといって引き過ぎない。そんなギリギリのところを狙ってる感じ。
韓国に比べて、タイに何倍もの資金を投入って結構偏ってるとは思いますけどね。
東南アジアの経済は、殆ど華僑が回しているという事を聞きます。従業員は殆どその国の国民でも経営者は華僑が多いとか。以前、このサイトで邦銀の投融資先は、対アジアが少ないと書いてありました。華僑がいるから、アジアには入り込み難いのか?マレーシア・ラオスなど、高速鉄道が出来ても駅周辺は、華僑資本で押さえられているらしいです。英国は、香港百年の間に華僑と緊密ない関係が出来ているのか?日本は、戦後ゼロからアジアとの関係を再構築したので、案外繋がりが薄いのか?
華僑は、極東・アムール川周辺地域でもロシアに侵食しています。経営者は、華僑で現地国民を雇っている。ロシアの極東方面は、華僑資本がなければ回らなくなっているようです。実は、日本でも、新規起業は華僑が多くて、日本人や日本に働きに来ている外国人を雇っているらしい。
華僑の力、侵食力は凄いらしい。
それから、インドへの投融資が少ないのも、インドには、印僑という強力な財閥達がいるからか?
華僑とは何代目あたりまでを言うのかな?
飛行機でたまたま隣に座ったタイ人は中国系だと言っていた。中国系の名前を持っていると言っていたが漢字では書けない。もちろん中国語も話せない。
バンコクでホテルに泊まるとホテルの名前は横文字なのにロビーには漢字でxx飯店などと書いてある。タイの経済は華僑に支配されているという話は聞くがその華僑自身が現地化してしまっているのではないだろうか。
このへんのところ詳しい人いたらよろしく。
華僑は、中国籍のまま外国で商売する人。現地の国籍になった人は、華人というと、以前ネットで調べた情報です。今時は、ネットでいろいろ調べた方が自分の知りたい情報に辿り着くかもしれません。
sqsqさん
タイの華人と他のアジア諸国の華人との間にはその国の国民と言う自覚の差があるように思います。
元々アジア地域は歴史的に中国との貿易上の結びつきが強く、華僑の経済的な影響力の強さはタイに限らずどこにでもあったかと思います。
ただ幸いなことにタイは独立を保つことが出来ましたが、その他アジア諸国は全て欧米の植民地に。
その際華人は己の利益を追求する余り、欧米列強の手先となり現地人に対する政治・経済的な抑圧に手を貸したと言われています。
それが現地住民と華人との軋轢を生み、何かの折りに華人排斥が起こる原因となっています。
一方タイでは独立を保ったが故に華人が経済を牛耳るもそこまで酷い状況にはなっておらず、またタイも国として華人に対する「タイ国民意識」を持たせる政策を取り、その頃華人はタイ風の名前に変えたと言われています。(タイ人の苗字はすごく長いものとそうでないものがありますが、短めの苗字は華人に多いと言われます)
華人もまた中共政府が内戦後しばらくして「棄民政策(出て言ったやつは勝手に生きていけ)」を取ったために、上記タイ政府の政策もあり、華人も本土に対する忠誠心は薄く、タイ国民と言う意識で暮らしていると思われます。
まとまっていない文章ですみません。
ありがとうございます。
そういえばインドネシアでは過去の暴動で華人が標的になっていましたね。
sqsq様
昔、13年ほど前、クアラルンプール滞在時、急に日本に帰りたくなり、現地の旅行代理店に行きました。最後の1枚ですよ~。ユアーラッキーと云われました。中国系の顔だったの、ア―ユ― ラオパン? と聞いたら、whatと、聞いて来たので、老板と紙に書いて見せました。丿~、丿~と、手を振っていました。いつかはラオパンに成るぞと、顔に書いていました。華僑も世代がグダれば、言葉と文字が伝わらなくなるのだと思いました。
よければデータを見せていただきたいですな
華僑の経営者の数が増加しているのか、していないのか
過去いろんなOSINTから得た知見だから、今からそれを探すのは大変。別に学会で発表している訳ではないので、そのように蓄積された知見を自由に書いている。興味があれば、自分で調べてみたら?何でも、他人からただで教えて貰えるなんて安易な思いは捨てた方が良かろうに。それに、批判的なレスするときは、匿名はやめたら良い。卑怯な印象あり。
それから、このレベルのことでデータ云々言うのは、普段から勉強していない人間だと自ら言っているようなもの。
ん?OSINT見てるんですよね?
でしたらデータと共に主張をする大事さは分かってるはずです。
あくまで、華僑の経営者が増加しているというのは、さより様の感想ということでよろしいでしょうか?
あなたは、OSINTって意味の前に、文章の文意読み取れる方かな?全て書いてある。
それから、感想だろうがなんだろうが、内容に興味があれば、このネット時代、自分で調べれば。そして、その結果、反論があれば、その内容を書いて下さい。このサイトの使い方は、そういう事です。基本、自分の意見や感想や経験や体験などを書いて、何かをこのサイトの読者に提供すること。そういう事をお互いにやって、勉強出来る所。それが、このサイトです。
>>さより様
chatgptで調べましたが、華僑の経営者は増加してると出ました。しかし根拠となるデータはないそうです。
ちなみに、日本人の経営者は増加してるかと聞いたところ、同じような解答がありました。
データは両者ないです。
オールドメディアが嘘をつくことがバレた今、情報リテラシーは大事ですね。
まさにその通り!
>何でも、他人からただで教えて貰えるなんて安易な思いは捨てた方が良かろうに。
全
くもってその通り。
>批判的なレスするときは、匿名はやめたら良い。
は
い その通りですね、卑怯かどうかは兎も角。
>それから、このレベルのことでデータ云々言うのは...
こ
れは、いつもそう思っています。
コメント欄に常識を書いてるだけ。データとか数字とか自分でさがせ、他人のコメントにいちゃもんつけるなら。
評価について、見方、言い方にはさまざまあることをお断りしておく。リスク管理能力がないから貸し出しに慎重なのではないか。
あるいは臆病である。日本企業は製造業でも金融業でも、昔ながらの農業みたいなもの。ローリスクローリターン。これは個人の感想。
日本のベンチャーキャピタル、ファンドで海外で聞くのはソフトバンク程度。どうやらその他は大銀行グループの中にあって経営者も銀行から派遣さで相変わらず慎重なのだという。
バブルの手痛い経験からノウハウを積み上げたのか、それともなますを吹いているだけなのか。アメリカなど、リーマンショックのようなことは資本主義なら何年に1度かは起きるものだと受容しているらしい。
日本企業も以前は商社やプラント輸出業のように政情不安定な地域へ積極的に出かけていたのは今は昔。中東、中央国・ASEANより西のアジアなど、今では韓国、中国の企業が仕事をとっている。JICAのひとと話をしたことがあるが、危険地域に社員職員を遣わして何かあったらマスコミが必要以上に大騒ぎをするから企業も二の足を踏むのだそうな。
そりゃ、さっさと税金投入して貰って助けて貰ったり日本の大銀行から莫大なドルを入金して貰ったアメリカの巨大金融機関ですから
>アメリカなど、リーマンショックのようなことは資本主義なら何年に1度かは起きるものだと...
こ
んなことを言えるのですよ。
一方、日本の政治家や大蔵省は総量規制で締め上げ都銀と一緒に大蔵省管轄外の金融機関を騙したり、
都銀に騙され都銀の不良債権を引き受けてしまった地銀とか...
兎に角、税金投入など一銭もなく自己責任で潰れるままでしたから そりゃあ日本の金融機関は慎重になりますよ、大博打で大儲けは自分のもの大損して巨大金融機関が潰れそうになれば莫大な税金投入で助けて貰えるアメリカのようにはいきませんよ。
このあたり、山﨑 養世さんの記事
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/77761
を読むと、金融システムの違いも関係しそうです。
メインバンクシステムとBIS規制について会計士様のご意見を伺いたいところです。
また、100年企業の多さと、それらに共通する”身の丈を弁え、無暗に規模を追うな”の家訓を考えると、狩猟民族と農耕民族のDNAの違い?を感じますね。
”バブル(崩壊)の手痛い経験からノウハウを積み上げた”のは確かと思いますが、国内投資が不足(GDP停滞)しているのを見るとなますを吹いている面もあると思います。
国、巨大資本グループ、個別企業でテイク出来るリスク量は異なるので、そこを上手く役割分担(保険)できる仕組みがあると良い気がします。
その仕組みの中で、団塊様が仰る”大博打で大儲けは自分のもの大損して巨大金融機関(に限らず)が潰れそうになれば莫大な税金投入で助けて貰える”を防ぐためには所得(個人・法人)の累進課税で調節(チャレンジした方がメリットがあるレベルで)するのが良いかと思います。
コロナ支援金で助けられた日本の中小企業の中にはモラルハザードを起こしているものも少なくない気がします。
そもそも中小企業支援法制がワークしているのか、産業の新陳代謝を阻害していないか見直すべき時のような気がします。
「こういうときは臆病なくらいがちょうどいいのよね」
続き
コロナ以前からの話が継続中のようだが、米中対立で欧米資本が中国から引き上げるという話を誰か知らないけれどまことしやかに伝えているが、そういう実態はないらしいことを現地企業関係者からよく聞く。数字を確認したわけではないので断言はしないが、今回のブログを読んで、なるほどなという感想。
https://www.jiji.com/amp/article?k=2023110400270&g=int
対中投資が初のマイナス 外資が事業縮小―7~9月期
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中国や中国が大好きな方には残念ながら、現実はこれです。
2023年7-9期に、1998年以来で初めてのマイナス。なるほど、そういうことなら不思議ではない。
ということはそれ以前に現地の日系や米系企業関係者から聞いていた話と整合性がとれる。
中国との今後関係については、
・台湾有事は起きるか?
・習近平体制は続くのか?
・共産党一党支配は続くのか?
この辺りの予想によって対応が分かれるのでしょうね。
イギリスは香港を通じて、数多くの中国の幹部と繋がりがあるものと思います。
多分中国から多くの情報を得ているという自信?が金融の世界にも反映されているのではないでしょうか?
正しい判断かどうか分かりませんが。