X

立民・小沢氏「泉氏は辞めた方が良い」→齊藤氏も投稿

有力議員が自身の所属する政党のトップに対し、公の場で「辞めた方が良い」などと言い放てば、その正当そのものに対し、有権者がどう感じるか、想像は付かないのでしょうか。立憲民主党ではときどき、こういうことが発生するようです。もちろん、自民党でも「後ろから撃つ」議員はいないではないのですが、少なくとも現在の有力議員が公然と岸田首相に「辞めた方が良い」などと言い放っているという事例は見当たりません。

これでも立憲民主党は「最大野党」

立憲民主党といえば、衆議院では96議席、参議院では40議席(いずれも統一会派ベース、副議長を除く)で、議席占有率でいえば衆議院では20%少々(つまり約5分の1)、参議院では16%弱(つまり約6分の1)に過ぎません。

しかし、そんな立憲民主党は、衆参両院では自民党に次ぐ第2勢力であり、「最大野党」です。

そして、最大野党は野党に配分された質問時間を采配することができるなど、国会では絶大な権限を持っています。実際、立憲民主党は同じ野党である日本維新の会や国民民主党などに対し、野党枠での質問時間をわざと少なく配分したりする、といった嫌がらせを頻繁に行ってきました。

すなわち立憲民主党は、保有している議席は衆議院で5分の1、参議院で6分の1に過ぎないのに、持っている権限が少々大きすぎるのではないでしょうか。

(※どうでも良い話ですが、もしも近い将来、議席数が日本維新の会と逆転し、最大野党でなくなってしまえば、これまで日本維新の会や国民民主党に対して行ってきたのと同じような嫌がらせを日本維新の会から受けることを懸念しているのかもしれません。)

立憲民主党のジレンマ:共産党と組む?それとも…

それはともかくとして、立憲民主党が政権を奪取するためには、少なくとも立憲民主党(及びその友党?)が衆議院で過半数を制する必要があります。衆議院96議席に副議長1議席を足すと97議席ですが、過半数を目指すなら、あと136議席必要だ、ということですが、それだけでは足りません。

法案を円滑に通すためには衆院で3分の2以上(つまり310議席以上)、衆参両院で過半数(つまり125議席以上)、のいずれかの条件を満たすことが必要であり、このためには、衆議院で213議席を積み増すか、参議院で85議席を積み増すか、どちらかが必要でしょう。

すなわち、立憲民主党が政権を奪取し、政権を安定運営するためには、(「安定運営」の条件にもよりますが、)現在よりも議席数を2倍にも3倍にも増やさなければならないわけであり、ここ10年間の民主党、民進党、立憲民主党の獲得議席数に照らして非現実的といわざるを得ないでしょう。

いや、もちろん、立憲民主党「だけ」でこれを達成しなければならないわけではなく、立憲民主党と連立を組んでくれる政党とあわせてそれだけの議席数を達成すれば良い、という話でもあるのですが、現実問題として、これも難しいでしょう。

とりわけ日本共産党との選挙協力を表明しているなかで、国民民主党や日本維新の会などがその枠組みに参加する可能性が極めて低くなるからです。

あるいは、立憲民主党が日本維新の会や国民民主党などと連立政権を作る、という可能性もない訳ではないのですが、そのための最低限の前提条件は、日本共産党との選挙協力を解消することであり、そうすれば、立憲民主党が現在の議席数を維持できるというものでもありません。

もし「野党連立政権」が発足したとしても、それは2009年のような民主党を主体とする政権ではなく、1993年のような「非自民野合型政権」とならざるを得ないでしょう。

泉健太代表の発言の「一貫性のなさ」

そして、こうした現状を、誰よりも理解しているのはおそらく立憲民主党の内部の人たち――とりわけ、泉健太代表――ではないでしょうか。

せっかく「増税メガネ」(?)で岸田政権に対する支持率が下がっているという「敵失」のなかにも関わらず、各種世論調査で見ても、また、直近の補選の結果で見ても、立憲民主党が自民党に代わって政権を担い得るという可能性は極めて低いからです。

こうした状況に、泉氏も迷走しているフシがあります。以前から「次回衆院選で150議席が取れなければ代表を辞任すると述べ(『辞任宣言?立民・泉氏「150議席下回ると代表辞任」』等参照)、後日、それを撤回するなどの混乱が続いているのですが、それだけではありません。

「5年で政権交代」を修正…発言に一貫性がない泉代表』でも取り上げた、泉代表の一貫性のない発言などは、その証拠でしょう。

泉氏は4日の講演会で、「次期衆院選での政権交代は目指さない」としたうえで、「次の総選挙で基盤を築き、5年で政権交代を目指す」、などと述べたところ、これに対しおそらく党内で相当の反発があったからでしょうか、6日のパーティで「1日も早く政権交代を目指す。当たり前だ」、などと「軌道修正」を図ったのです。

泉氏の発言の一貫性のなさは今に始まったことではありませんが、たった数日で前言を撤回するなど、どうも言葉が軽すぎます。

小沢一郎氏が国会内で泉氏を公然と批判

ただ、この「言葉が軽い」という問題は、泉氏の責任なのか、それともほかに要因があるのかについては、少し慎重に考えておく必要がある論点のひとつかもしれません。

泉氏のことを、立憲民主党の党内がリーダーとして信頼していない、あるいは泉氏に公然と反論する、といったことが罷り通っているのではないでしょうか。

その典型例が、小沢一郎・衆議院議員でしょう。

立民・小沢一郎氏「泉代表は辞めたほうがいい」

―――2023/11/7 18:15付 産経ニュースより

産経ニュースの7日付の記事によると、小沢氏は7日、国会内で記者団に対し、「野党第一党が政権を目指さないと言ったら国民はどう思うか。支持するやつなんかいない」、「(代表を)辞めたほうがいいのではないか」などとこき下ろしたのだそうです。

小沢氏が泉氏のことを批判したい気持ちもわからないではないのですが、少し厳しいことを申し上げておくと、「党代表を全力で支えるべきタイミングで、党代表を後ろから撃つような人物が在籍している政党を信頼できるのか」、という点から、おそらく少なくない有権者が疑問を覚えるのではないでしょうか。

もちろん、「自分の党のトップを公然と批判する」という意味では、故・安倍晋三総理大臣が在任中、石破茂氏が頻繁に安倍総理を「後ろから撃っていた」という事例もありますので、この「後ろから撃つ」のは小沢氏の専売特許ではありません。

齊藤蓮舫氏は小沢氏の発言をポスト

しかし、この産経ニュースの記事を、X(旧ツイッター)にポストしている人もいます。

齊藤蓮舫(謝蓮舫)参議院議員です。

齊藤氏は短く、この産経ニュースの記事を引用した内容をポストしたのですが、これをポストするということは、齊藤氏としても泉代表には辞めてもらいたいと思っている、ということなのでしょうか。

このあたりは、本当に謎ですし、正直、党外の誰もが閲覧できるXなどの場で自分の所属政党のトップに辞めてほしいと表明するような議員が存在すること自体、立憲民主党が組織としての体をなしていない証拠ではないでしょうか。

ちなみに自民党の場合だと、石破茂氏のような「例外」を除けば、少なくとも有力政治家、たとえば高市早苗・経済安保担当相や西村康稔・経産相などが日常的に、公然と岸田文雄首相を批判している、という事例はあまり目にしません。

また、最近だと世耕弘成・自民党参院幹事長が岸田首相に対し、国会質問の場で「国民が期待するリーダーとしての姿を示せていない」と批判したことが話題となりましたが(下記記事等参照)、だからといって世耕氏は岸田首相に「総裁を辞めた方が良いのではないか」とこき下ろしたわけではありません。

自民・世耕弘成氏、岸田首相に反旗 「リーダーとしての姿を示せていない」と指弾、身内から異例の政権批判

―――2023.10/26 11:53付 zakzakより

このように考えていくと、腐敗しているかもしれないにせよ、いちおうは組織としての体をなしている自民党と、もはや組織としての体をなしていない立憲民主党は、ある意味で好対照をなしているといえるのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 「辞めろ」の批判と叱咤激励とは全然違いますよね。
    「辞めろ」は自らが属する組織の結論(代表選出)の否定なのだから、泉代表が辞めないなら自分が離党するくらいの覚悟で述べるべきことじゃないの、と思いますが。
    辞めろと言った人達は今後、泉代表の指示による仕事をできるんでしょうかね。
    なあなあにして泉氏の言うこと聞きつづけるの?

    政局好きのマスコミですが「造反有理」みたいな思想もある風なんですよね。勘違い議員が増えるバイアスがあると思います。

  • >野党第一党が政権を目指さないと言ったら国民はどう思うか。

    ちょっと質問を変えてみたのです♪
    ٩(๑`^´๑)۶「立憲民主党が政権を目指さないと言ったら国民はどう思うか。」
    (。・ω・)ノ゙「はぃ!ですよね〜 わかってました。」

    なんか違和感ないと感じるのはあたしだけなのかな?

    • 「政権交代?ムリじゃね?」

      泉代表の顔にはそう書いてある気がしてます・・・

  • 思い出しました。
    昔、「社会党」と言われる第一野党が有った。
    やっぱり政権を取る気は無く「反対の為の反対」だけだった。
    野党は気楽だもんねえ。
    勉強しない、週刊誌を読むだけ、被災地写真撮影、日本国内でだけ戦争反対。
    間違った発言でも謝罪しない、訂正しない。これはメデアも同罪。
    私も野党議員したい。NHK職員になりたい。

  • 小沢が未だいることに驚き。
    岩手県民の恥だと思うが当選するんですねえ。
    おらが議員様はいつまで続くやら。
    新聞が消えたら全国から同じような議員も消えるかな。長いなあ~

  • そもそも枝野が辞任した後で泉が代表選に出たときに、小沢に幹事長のポストを約束した上で協力を求めているわけだし、小沢の助力で代表になった途端に他の党員から小沢を幹事長にするのを反対されて約束を反故にしたわけですし。
    それ以来小沢以下小沢派の子分たちは泉の敵に回ってる。今回くらいのことは軽く言うでしょう。

  • 小沢一郎大先生の発言は、もはや何の違和感もありませんがね。
    それどころか氏の真骨頂を遺憾なく発揮しているのではないでしょうか。
    国会議員でいることに違和感はありますが・・・・。

  • >立民・小沢氏「泉氏は辞めた方が良い」→齊藤氏も投稿

    矢面に立つ(総理就任)のを固辞したり、代表の責務を投げ出した人たちに言われたくないですね。

    どの口で言ってるんだろう?

  • 間違いなく道を違えなかったら小沢一郎は総理の椅子に手が届いていた。自民党の最年少の幹事長として竹下登、宮沢喜一、あと一人が記憶が定かではないが安倍晋太郎だったかな、面接をして総理選出なんてやるくらい、権勢をほこっていた。鬼籍に入った安倍晋太郎以外は総理にはなったけど竹下登は超短命政権で宮沢喜一は英語が喋れても録なものじゃなかった。小沢一郎は民主党に移り政権交代を2度に渡り成し遂げたが、東日本大震災の時分、福島第一原発の避難の際に岩手県から真っ先ににげだして、その後妻に離縁されている。なんだかんだいっても烏合の衆の立憲民主党にいるけど、記憶しているだけで自由党、新進党、新生党、、政党ロンダリングが激しくて何がしたいのかわからない。小沢一郎も80才過ぎだ。表舞台にたたず裏権力の行使ばかりで最近は選挙も怪しく、小沢帝国と言われた岩手県でも、その影響力には陰りが見える。確かに泉健太では天下は取れぬ。一緒に辞めたらどうか。そもそも立憲民主党自体いらない政党だ。

    • 失礼した。面接したのは三塚博氏だった。
      安倍晋太郎ではなく三塚博。

      • さらに訂正する。竹下登の印象が強くて失念したが竹下登ではなく渡辺美知雄氏だった。当時は「こんちくしょう」といって金丸信、竹下登、小沢一郎が権勢を誇っていた。金、竹、小、、いまなら
        岸田自民党がこんちくしょう、、ですな!

  • 国会の第一党と第二党が、何故ここまで有権者から支持されないのか不思議です。たった二年前の選挙なのに有権者から支持を得た、一番目と二番目の政党なのに。しかしながら、その選挙前後で党代表が共に交代しており、どんな政治家なのか認知度が低かった。そしてその後の2年間で馬脚を表したという事なのでしょうか。
    イギリスもブレグジット以降、政権が安定せず、頻繁に首相が交代したが、今は安定しているように見えます。日本も第一次安倍内閣から野田内閣までの混乱期があり、日本政治史の汚点のように評価されているようですが、落第点の首相には速やかに退場していただいた、というメリットはあるかもしれません。
    泉氏も岸田氏もご自身の醜態で党の評判や政治への信頼性を毀損させるなら、誰かがさっさと引導渡して退場してもらったほうがよほど良いかと思います。
    泉氏の後任は斎藤氏が適任かと思います。岸田氏の後任は、アメリカの大統領選の如く、志のある議員達が討論し演説して、その優秀さを競えば、意外な人物が出てくる、かもしれません。

  • 自分たちが選んだ党首を公然と批判する小沢一郎さんや蓮舫さんを除名すれば、多少は泉さんも『やるじゃん』と思いますけれども、一本芯が通った根性は無さそうですね。立憲民主党はやっぱり脱糞民主党なんでしょうね。疑惑は益々深まっているのに一向に解明されませんね。国籍問題と脱糞問題。

1 2