「ニセの減税」をドヤ顔で指示した岸田首相。その耳元で、「減税は一時的なものにすべき」と囁いていた人物のひとりが、さっそく馬脚を現したようです。宮沢洋一・自民党税調会長が「減税は1年が常識的」などと言い放ったようなのです。底が浅く頭が悪いこの発言を見るに、やはり増税原理主義の思想は脈々と受け継がれているのかもしれません。
昨日の『増税メガネ返上ならず?岸田首相の半端な時限的減税案』でも取り上げたとおり、岸田文雄首相が与党側に指示したとされる「所得税の一時的な減税」は、いわば、中途半端で「ニセの」減税といえるかもしれません。
現在の日本では物価が上昇する一方で賃上げが間に合っていないなかで、インフレに苦しむ家計の支援が必要ですが、それだけではありません。所得税や法人税、消費税などの税制全体は、社会がインフレ化してくるなかで、段階税率の額面額を調整しなければ、実質増税になってしまうからです。
いずれにせよ、日本全体として税制や税率の適正化が必要なのですが、おそらくは財務省出身のブレーンに囲まれているであろう岸田首相には、「減税は恒久措置ではなく一時的なものとしなければならない」などと耳元で囁いているであろう「ブレーン」がいる可能性は濃厚です。
こうしたなか、そうした「ブレーン」が、案外早く姿を現したようです。宮沢洋一・自民党税調会長が、所得税の減税の期間を巡り、「1年が極めて常識的」などと言い放ったのだそうです。
自民・宮沢税調会長、所得税減税の期間「1年が常識的」
―――2023年10月20日 20:30付 日本経済新聞電子版より
岸田首相、所得減税の検討指示 自民税調会長「1年が常識的」―税収還元へ「定額」有力視
―――2023年10月20日22時31分付 時事通信より
記事タイトルだけで、宮沢氏の発言の底の浅さと非常識さ、頭の悪さがわかります。
税収が過去最大となり、使いきれずに予算を余らせてしまうなかで、なぜ「1年が極めて常識的」になるのでしょうか。おそらくここでいう「常識」とは、経済学的な常識ではなく、「財務省内の常識」を述べたに過ぎないものと考えておいて差し支えないでしょう。
岸田首相が9月の内閣改造と党役員人事に際し、本当に更迭すべきだったのは木原誠二・前官房副長官などではなく、じつは宮沢洋一・税調会長だったのではないか、という気がしてなりません。
ちなみに宮沢氏といえば岸田首相の従兄であるとともに、「宏池会首相」としては岸田首相の前代の首相で、自民党を下野に追い込んだという、「あの」宮澤喜一の甥でもあります。
血縁「だけ」を理由に特定の人物の思想、信条を決めつけるのは適切ではないのですが、宮沢氏のこれまでの言動に照らし、やはり「増税原理主義」の大蔵省・財務省の思想が脈々と受け継がれているのではないか、といった疑念は晴れないのです。
いずれにせよ、税法の適正化は恒久的なものでなければならず、減税措置は「1年限り」ありきであってはなりません。
そして、もしも岸田自民党が時限的な減税で国民を失望させるようなことがあれば、過去の宮澤喜一のように、岸田首相自身が自民党政権を終わらせることになりかねません。
岸田首相にその危機感はあるのでしょうか。
これについてはもう少し見極めが必要であることは間違いなさそうです。
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>おそらくここでいう「常識」とは、経済学的な常識ではなく、「財務省内の常識」を述べたに過ぎないものと考えておいて差し支えないでしょう。
前例踏襲主義とも言えそうですね。
岸田文雄が“前例”からどれだけはみ出られるか、がポイントな訳ですが、日本の外交を第三次世界大戦に向けての戦前外交から第二次世界大戦後の戦後外交に戻した“無能な働き者っぷり”を考えると、期待しない方が良さそうです。
喫緊には所得減税よりも「逆進性が顕著な消費税」にこそメスを入れるべきところです。
真に日常生活に困窮してるであろう生活者は、課税所得額にすら達していないからです。
自分のコメントはいつも初歩的な知識からで恐縮なのですが、
「たくさん使う人ほど、たくさん納税する」
ことは消費税のメリットでは?
累進課税じゃなくてフラットレートですが、申告して経費処理できる人たちでも逃げられないてのは、貧乏人からすると
「肉を切らせて、骨を断つ」
ような気もするのですが。
では、経済的に困窮してるひとは?最低限食料品は無税。贅沢品は高課税とするべきです。ガソリンなどの二重課税も問題です。2000CCを境に価格変動しますか?高級車にのれるんだ。カネを沢山はらってもらおう、、、たくさん使うほどたくさん納税というのは間違いです。高級品を買える人が高額納税すればいいんです。
月に100万円遊びに使う人は、10万円納税。
月に1万円だけ遊びに使う人は、千円だけ納税。
というシンプルな構図を書きましたが、間違いですかこれ?
感情的にならずに、勘定的になりましょうよ。
あと、消費目的に貴賤を見出そうとする姿勢は、ゲスい方向に迷い込むと思いますよ。
よい消費とか悪い消費なんてそうそう判定判別できないかと。
生活に余裕がある人ほど「所得税ゼロにして消費税25%でいい」などという理由を考えてみるのも一興かと。
なぜ「消費税の逆進性」が問題提起されるのかじっくり考えてみられても良いのではないでしょうか。
CRUSHさん
>「たくさん使う人ほど、たくさん納税する」
>ことは消費税のメリットでは?
いいえ,そうではありません.
消費税は貧乏人にこそ過酷であり金持ちにとっては有利であるという事実を具体的な数字で考えてみましょう.(話を簡単にするために,消費税に関して食料品などの軽減税率は考えず一律10%としますが,軽減税率を考えても同じです)
手取り(つまり所得税・住民税や社会保険料を支払った後で手元に残る額)が1億円の高収入な人を考えましょう.そして毎月200万円という多額を消費税の掛かる支出に回しているとします.
この場合,この高収入な人は1年間に20万円×12ヶ月=240万円を消費税の形で支払っていることになりますが,1億円の手取りに占める比率つまり税負担率は僅か2.4%に過ぎません.
仮にこの高収入な人の消費が毎月500万円という非常に贅沢で浪費的な生活をしているととしても,税負担率は6%です.
他方,手取り200万円という低収入な人がいて,預貯金に回す余裕もなく(つまりはその日暮らし同然ということですが)収入の全てを家賃やら食料品やら電気・ガスのエネルギー代など消費税の掛かる消費に回さざるを得ないとしましょう.
そうすると,この低収入な人の税負担率は10%にもなってしまいます.
つまり,納税額に関しては確かに高収入で消費額が多い人の方が貧乏人よりも多いですが,消費税の場合,税負担率は(貯蓄に回せる余裕の乏しい)低収入の人の方が高くなる,つまり消費税は貧乏なほど重くのしかかる税金なのです.
という訳で,
>・・・申告して経費処理できる人たちでも逃げられないてのは、貧乏人からすると
>「肉を切らせて、骨を断つ」
貯金も残せず収入の全てを食料品や光熱費や住居費など生活して行く上でどうしても避けられない消費に回さざるを得ない低収入な人こそ消費税によって骨を断たれてしまうのです.
一般に統計的に見れば,収入の多い人ほど消費性向(所得のうち消費に回す額が占める比率)は低くなり,収入の少ない人ほど消費性向は高くなります.
そして消費税は収入額でなく消費額に比例するので,消費性向が高い貧乏人ほど税負担率が高くなるのが消費税なのです.
これが「消費税は逆進的で負担能力が乏しい貧乏人に過酷で高収入な金持ちには有利な税制だ」と言われる理由です.
その通りです。月10万円しか使えない人に1万円の消費税は非常にきついと思います。確かに100万円使う人は10万円も収めていますが、それでも90万円も使う事ができるのです。
ホリエモンも消費税は金持ちに不利のような発言をしていましたが、貧乏人がプライベートジェット持つことが出来ますか?金持ちは燃費の悪い車に乗っても気にしないんですよ。
会社経営者なんか、車もガソリン代も高速代も会社負担があたりまえですが、普通の人にはそんな特典はありません。
貧乏人は車を買う事すら難しいのに・・・・
今の自民党は、「大将を亡くし、戦略を共有せず、多くの副将幕僚がそれぞれに戦術を出し、それを作戦実行直前でもころころと変え、いざ出陣となると兵を小出しにする軍団」です。今は兵数は多くどれかの戦術はあたって局地戦で勝つことはあるものの、大局では勝てないでしょう。
……と、昨日の時限減税の記事で一度は書いたものの、さほど意味の無い指摘だなと投稿せずに消したのですが。こうも続くと確信に変わりもします。
この一連の発言は、短期的・戦術的にすら拙い、言ってみれば「この政策はダメだ」だけでなく、「この人達はダメだ」という、政党評価という重要な点を毀損する、長期的・戦略的に拙いことを見せてしまっている流れです。
コメント失礼します。
減税は一年限定で、増税は恒久が当たり前?10万円給付は所得制限で選別した方が、速く配れるとほざいた財務省らしい詭弁ですね。
国益(自国の生存と発展)に叶うなら増減税はお好きにどうぞという考えですが、一年の減税じゃ企業も安心して投資出来ませんね。
権力とは正当な暴力。減税は財務省の影響力低下に繋がり、増税緊縮で失わせた30年は人災だとバレるからどんな手を使ってでも経済成長潰すでしょうね。
不完全アベノミクスが効き続け、外部から円安好景気が舞い込み、日本人の多くが人災不況で苦しめられてきた積年の恨みが爆発している。財務省の狗総理はマリー・アントワネットかな。傀儡になった時期が悪かった。総理安倍総理以前だったらあっさり増税達成で飼い主に褒めてもらえたでしょうに。
日本人の不満の声は無駄ではないので、これからも引き続き、感情と論理で財務省と狗を合法で責め続けましょう。
今回、スマフォから打ってみましたが結構勝手が違うな。
叔父が叔父なら甥も甥。国賊一族は脈々と受け継がれる。選んでいるのは(阿呆な?)選挙区の有権者。次回選挙では根こそぎ財務省に餌を与えられ飼育されている政治屋に鉄槌を下しましょう。嘘つき増税クソメガネは言うに及ばず。頼むわ、特に広島県人さん。
宮澤派の地盤は定数削減での新広島6区ですがどうでしょうかね。
この夏に福山城へ行った時ですが、天守閣の上層部の常設展示に福山の偉人が列挙されていました。
その中に叔父はしっかり含まれていました。
仮にも総理大臣務めた人間を外すわけにはいかないのかもしれませんが期待薄と思います。
一之介さん
阪神に負けるようでは期待できませんね。
これは選挙対策の減税かな。自民党も、行くところまで行ってしまってなと言う感じです。いくら岸田文雄が言っても財務省に完全に洗脳されている。これが常識であれば、自民党に明日はない。
維新の会は、吉村知事に万博を任せて、早く次の選挙に地盤固めをしてほしい。国会の自民党独占体制から公明党を外して、維新の会で連立するまでやらないと国政は正常にならない。
霞が関に頭を押さえられている、自民党にはいつまでも国政を任せていられない。
維新には無理。
最低あと30年はかかるでしょ。
頭に血を上らせた首相がつぎつぎと失言妄動を繰り返し国民から失笑を集めて最後に自決に追い込まれるという展開がいよいよ現実になりそうな予感がします。
最近、河村名古屋市長について知る機会がありました。減税日本という地域政党を立て、減税をベースにした施策を数多く打ち、いろんな成果を上げているようです。1200億円の減税を行い、2400億円の税増収があった、との事。
安倍首相の政策による景気回復があったにせよ、減税により可処分所得が増え、消費や企業の設備投資が増え景気が良くなった結果ですよね。この当たり前の事が財務省の前では根拠のない絵空事になってしまうのでしょうか。
国政選挙で自民を激減させるのは、今のところ代替政党がないので不安ですので、地方選挙や補欠選挙でどんどん自民を負かすしか無いですね。そしたら自民も少しは民意の厳しさに気付き、こんな馬鹿な発言はしなくなるでしょう。
日本保守党の共同代表にも就任しましたね河村さん。
既存与野党が財務省言いなり増税では一致している以上、増税に否定的な新規政党を応援して行かないといけません。
>負担軽減に向けて「大胆な取り組み」を主導する姿勢
を見せたいのに「常識的」なことをやってたら意味ないっすよね。宿命的にショボくてサプライズのない策にしかならない。支持率上げたいんですかね。
首相の指示時点から「所得税減税も含めて」と、減税を所得税に絞ってます。減税を戻すときの反発が少なそうなヤツを選んでるんではないでしょうか。
>定額減税や定率減税、納付分還付などの選択肢が浮上するが、宮沢氏は会談後、記者団に「定率減税はなかなか難しい」
3つを独立の選択肢のように書いてますが、納付分還付って前2つと併用可能ですよね。それ、定額、定率減税せずに納付分還付だけをしうるって意味なのでしょうか。納付分還付って、とりあえず取り上げる税額は変えず、取った後に返すってヤツでしょ。
減税したくなくてしょうがない財務省の意向が滲み出てるようにしか見えないですね。
「財務省のポチ」の返上は当面ないですかね~。
内閣支持率の回復→解散総選挙→総裁選再選狙いが見え見えで、国民の支持が得られるとは到底思えません(国民は貰えることは歓迎するでしょうが)。
現状、高所得者優遇との批判を回避するため、定額減税+それすら受けられない貧困層向けの給付金がセットで検討されているようです。1998年の定額減税では、一人1万8千円、扶養家族は一人9千円を減税したようです。今年の税金には間に合わないので、来年の税金(ということは源泉徴収の還付がある来年12月)で還元されるのでしょうか。妻が一人、子供が二人の標準?家庭とすれば、4万5千円が来年12月に一回こっきり貰えます。
それなら、コロナ給付金のように、国民みんなに一律10万円さっさと配ったほうが、内閣支持率回復に寄与するのではないでしょうか?
いずれにせよ、防衛増税を言ってみたり、内閣支持率が下がると減税を打ち出したり、考え方に軸のない岸田政権だけは、早めに終わらせないといけません。放っておけば、安倍派の塩谷座長が「再選支持」を打ち出しており、このとんでも政権があと1+3年続きかねません。
一刻も早い解散総選挙→自公過半数ギリギリに敗退→岸田おろし→自民党内の政権交代を、期待してやみません。