2023年8月における日本のロシアに対する輸出が急減しました。その理由はもちろん、日本政府が発動した中古自動車の部分的な輸出禁止措置に基づくものですが、それだけではありません。もともと日露両国は隣国同士とは思えないほど経済的関係が薄いのですが、最近だと(なぜか)ロシアが日本産の水産物の禁輸措置を打ち出すなど、両国関係はさらに薄まっていく兆候を見せています。
日本政府、ロシア向け中古車輸出禁止範囲を拡大
以前の『ロシア向け中古車輸出制限で日露貿易はさらに縮小する』や『対ロシア中古自動車輸出制限で期待される転用防止効果』では、日本政府・経産省が7月28日付で発表した対ロシア制裁の強化の一環としての中古乗用車などの輸出制限に関する話題を紹介しました。
該当する政府発表は、次のリンクで読むことができます。
ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令の一部を改正)
―――2023年7月28日付 経済産業省HPより
この措置では排気量1,900㏄超の自動車(ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、電気自動車等)の輸出が禁止されており、関連省令等の改正は8月9日時点ですでに施行済みです。
ロシア向け輸出額は前月比半減!
こうしたなかで、財務省が先月末に発表した普通貿易統計を調べてみると、大変わかりやすい影響が生じていたようです。まずは、グラフを紹介しましょう(図表)。
図表 日本のロシア向けの輸出額
(【出所】財務省『普通貿易統計』データをもとに著者作成)
これによると、日本のロシアに対する輸出額は、ウクライナ戦争勃発前は、だいたい月による変動はあれど、毎月400~800億円程度で推移していました。また、ロシア向けの中古車輸出はじりじり増えていたものの、ウクライナ戦争直前では毎月100億円前後、といったレベルでした。
ところが、ウクライナ戦争勃発後に、ロシア向けの中古車輸出が急増。2022年11月だけで384億円分もロシアに輸出され、その後は一時やや落ち着いたものの、今年7月には単月で360億円と、やはり戦争前と比べて非常に多額の輸出が行われていたのです。
しかし、先月28日に発表された2023年8月分のデータによると、日本からロシアへの輸出額は233億円と7月と比べて276億円も減少しました。ざっと半減ですが、その現象を主導したのは中古車で、360億円から133億円へと227億円も減少しました。前月比で3分の1近くに激減した計算です。
もちろん、この133億円という金額は、ウクライナ戦争勃発前と比べて依然高水準ではありますが、それでも急激に落ち込んでいることは間違いありません(想像するに、経産省の省令改正の施行を踏まえ、駆け込み需要もあったのではないでしょうか)。
ロイターも本件を速報
そして、この貿易統計に関する話題を、ロイターも本日、配信しています。
Japan puts the brakes on lucrative used-car trade with Russia
―――2023/10/02 14:19 GMT+9付 ロイターより
ロイターによるとロシア側ではウクライナ戦争以降、世界の主要メーカーがロシア事業から撤退したことを受け、ロシアの日本からの中古車需要が急増。しかもロシアが日本産の自動車を、2020年と比べて2倍の平均価格8,200ドルで購入していた、などとしています。
また、ロシアの分析機関の統計によると、今年1月から8月までにロシアが外国から輸入した中古車303,000台のうち半分以上が日本からのものだとしており、富山県の業者も7月まで毎月6,500代の中古車を日本の伏木港からウラジオストクまで輸送していたのだそうです。
ちなみに伏木からウラジオストクまでは船便で2日ほどだそうで、こうした「地の利」もロシアで日本産中古車が飛ぶように売れていた理由なのでしょう。
いずれにせよ、西側諸国が現在、ウクライナ戦争をロシアの敗北に終わらせるべく努力しているなかで、日露貿易が停滞するのはある意味で当然のことでしょう。
また、最近だとロシアが日本産の海産物の輸入を禁じようとする動きもある(『ロシアが日本産水産物禁輸へ?壮大なセルフ制裁の予感』等参照)との話題も出ています(端的に申し上げて意味不明ですが…)。
ロシアはいったい何がやりたいのでしょうか。中国が科学的根拠なしに、日本からの水産物の輸入を禁止していることは有名ですが、報道によるとロシアがこれに参加する可能性があるようなのです。ただ、魚介類に関するロシアから日本への輸出は今年1月から7月だけで682億円に達しているのに対し、日本からロシアへの輸出はわずか2億0864万円。もしも日本が対抗措置を講じたら打撃が大きいのはロシアの側です。ヒト・モノ・カネで読む経済普段から当ウェブサイトで報告しているとおり、もしも経済を議論するならば、可能な限り、「数字... ロシアが日本産水産物禁輸へ?壮大なセルフ制裁の予感 - 新宿会計士の政治経済評論 |
もともと日露両国は隣国同士とは思えないほど経済的な付き合い関係が薄い国ですが、こうした両国関係がさらに薄まっていくのは、ある意味では仕方がない話なのかもしれんません。
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第二次大戦後はマダ平和友好条約的なのもナイしナ~
対露(対ソ)感情ヨロシクナイと経済的な行き来も低調ナカローサ
シッカシ連中「ヨシフのヤラカシヒビイとるでぇ」とは露ホドも思うトリャセンのじゃろのう…
ロシアに中古車の輸出がまだ幾らかあるのが信じられない。中古車には半導体が組み込まれている。ロシアの兵器開発を助長しかねないことなのだ。中古車を売って生計を立てている業者も居るのだろうが間接殺人とは云えまいか。ロシアとは断交するくらいの覚悟でならねばならない。北方領土返還の戯れ言にはだまされてはいけない。返す気があればとっくに返っている。北朝鮮も同じ。いまカネをつんでも拉致被害者は帰って来ない。金正恩政権を助長するだけだ。時間がかかっても内部崩壊させるべきだ。努々岸田の功名心には踊らされない事だ。拉致被害者関係者には申し訳ないが本人も50年経っている。向こうに同化しているんじゃなかろうか。かわいそうだが。
エリツィンは返してくれかけたみたいな話もありましたが…
日本側がビビって逃げたとかって
聞いたときは「自眠党遮回答凶酸等害務省クソがっっ!」と
ホントかね?