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小泉進次郎氏が福島でサーフィン:東京都は中国語応答

元環境相の小泉進次郎氏が福島県南相馬市で開かれたサーフィン教室に招かれ、みずからサーフィンに興じたほか、魚を食べて福島の安全性を全力でアピールしたことが、ちょっとした話題となっています。これに加えて中国からのものとみられる迷惑電話が相次いでいるなか、東京都では先日より中国語の自動音声対応に切り替え始めたとの話も出て来ています。こうした良い取り組みは良い取り組みで正当に評価すべきでしょう。

レジ袋有料化

「小泉進次郎氏」と聞けば、小泉純一郎元首相の次男で「レジ袋を粗末に扱った政治家」、という印象を持っている人は多いかもしれません。コロナ禍の2020年7月以降、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでレジ袋が有料化され、地味にストレスを感じている国民は多いでしょう。

正直、このレジ袋有料化に関しては、法律ではなく省令で定められているという意味において、正直、極めて違法性の疑いが強いものです。

該当する省令は、『平成18年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第1号 小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令』という、非常に長ったらしい名前の省令です。

同省令の第2条に基づき、事業者に対してはプラスチック製の買い物袋を消費者に有償で提供することが義務付けられています。

しかし、この省令自体は『容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律』(第7条の4第1項)の規定に基づいて定められているものなのですが、レジ袋有料化義務が国会で決めた法律ではなく官僚が書いた省令に書き込まれているというのは、やはり官僚の暴走、という疑いが濃厚です。

止められなかった小泉氏に「セクシーレジ袋」の異名も!

それに、レジ袋有料化に伴い、具体的にプラスチックごみが年間何トン減ったのか、これによる地球温暖化ガス削減効果が具体的にどのくらいだったのかについての総合的な検証を、財務省も環境省も、経産省も厚労省も農水省も、いっさい行っていません。

官僚が勝手に決めて暴走しようとしたら、それに歯止めをかけるのは、本来は政治の責任です。

しかし、当時の環境大臣だった小泉氏が結果的に国民から恨まれることになったのも、結局のところ、このレジ袋有料化を止めるどころかむしろ推進した(と多くの国民に認識された)からではないでしょうか。

ただし、レジ袋有料化に関する省令は管轄が環境省ではなく財務省(出た!)や経産省、農水省、厚労省の4者であり、とりわけ経産省がレジ袋有料化を主導しているフシがあるため、小泉氏にレジ袋有料化を阻止する権限(や知識)があったのかどうかは微妙でしょう。

いずれにせよ、レジ袋有料化以来、街中では人々がコンビニやスーパーなどで買い物し、買った商品をそのまま手で持って歩いている姿を見ることも増えてきましたが、これらの姿を見かけるたびに、あるいは会計時にレジ袋におカネを払うたびに、小泉氏の顔が多くの人々の脳裏に浮かぶのではないでしょうか。

(口が悪い人は現在でも氏を「レジ袋セクシー大臣」などと呼ぶかもしれません。)

ただ、小泉氏を巡って不可解な点は、ほかにもあります。

2021年4月に現在話題の福島第一原発・ALPS処理水の海洋放出を決定したのは菅義偉総理大臣でしたが、菅総理のもとで環境相を務めていたはずの小泉氏の存在感が、まったくといって良いほど見えないのです。

実際に処理水放出は菅総理の決定に従い、2年後の現在、岸田文雄・現首相のもとで実行されているわけですが、著者自身を含め、海洋放出を巡って「小泉氏が具体的に何らかの役割を果たした」という印象を持っている人は多くないのではないでしょうか。

小泉氏が南相馬市でサーフィンに興じる

ただ、こうしたなかで、この「レジ袋セクシー大臣」(?)を巡って、久しぶりにちょっとした話題が出てきました。

小泉氏が福島県南相馬市の坂下海岸を訪れ、地元の子供たちとサーフィンを楽しんだというのです。

該当する動画については小泉氏のフェイスブックのページに掲載されているのですが、これについての説明文は、こんな具合です。

今日は福島県南相馬市の坂下海岸で地元の子どもたちとサーフィンをしました。処理水放出後、多くのサーファーは変わらずに地元の福島の海でサーフィンを楽しんでいます。

今日のこどもたちの楽しそうな姿をみてください!

福島県外・海外の一部の心ない、科学的根拠のない批判などとは別に、変わらぬ日常を貫くことで、言葉ではなく行動で「なにくそ!」「俺たちはこれからも福島の海とともに生きるんだ!」という強い想いを福島の方々から感じます。<後略>

実際、たしかに動画では小泉氏が地元の方々と交流する姿、サーフボードっぽいものに乗ってひっくり返ったりしながら楽しそうに遊んでいる姿などが確認できるほか、地元の人が捌いてくれた(おそらくは地元で獲れた)魚を美味しそうに食べる姿などが映っています。

参考:小泉氏

(【出所】小泉氏フェイスブック動画キャプチャ)

エッフェル塔オバサン事件で傷ついたイメージ、少しは挽回した?

ちなみに2022年10月21日付の同士のブログ記事によると、小泉氏は自民党サーフィン議連のメンバーだそうであり、FNNプライムオンラインの3日付の報道によれば、この日のイベントは同海岸で開かれた子供向けのサーフィン教室に小泉氏が招かれたものだったのだそうです。

小泉進次郎氏 サーフィン教室で処理水の安全性アピール 福島・南相馬市

―――2023/09/03 18:24付 Yahoo!ニュースより【FNNプライムオンラインより】

正直、人それぞれに得意、不得意がありますので、得意分野で頑張るのは良い話であり、また、小泉氏が不器用(?)なりにも福島の安全性を全力でアピールする姿は、見る人には強烈に印象付けられるのではないでしょうか。

レジ袋の汚名が少しは払拭されたのかどうかは知りませんが、それでも中国が日本産の水産物の禁輸に踏み切るなかで、国際的な風評被害に少しでも立ち向かううえでは、今回のパフォーマンスはなかなかに印象的だったことは間違いありません。

また、少なくとも「エッフェル塔オバサン」で傷ついた自民党に対するイメージも、多少は回復したのではないでしょうか。

いっそのこと岸田首相は9月の内閣改造で、小泉氏を風評被害対策専門の「内閣府特命担当大臣(サーファー・のどぐろ担当)」あたりに任命してはいかがでしょうか。寒くなる前の季節に限定されるかもしれませんが、今年の夏の残り期間中、サーフィンで風評被害を払拭するのは良いアイデアかもしれません。

東京都も良い仕事をした

さて、良いことは良いと是々非々で判断するのが当ウェブサイトの考え方ですが、こうしたなかで、もうひとつオマケ的に取り上げておきたいのが、中国が発信源の迷惑電話の着信が相次いでいるとする話題(『中国から福島各地にいたずら電話』等参照)の「続報」です。

【独自】中国からの迷惑電話に新対策 都庁が「処理水」めぐり自動応答

―――2023年9月2日 17:42付 FNNプライムオンラインより

FNNプライムオンラインの報道によると、福島第一原発事故を巡り、中国の国番号(86)からかかって来て中国語でまくしたてる迷惑電話に対し、東京都では中国語の自動音声案内に切り替える対応を取っているのだそうです。

同記事が報じた内容は、こんな趣旨のものだそうです。

あなたはご存じですか?福島第一原発のALPS処理水の海洋放出は国際基準および国際慣行にのっとり、安全性に万全を期したうえで実施されています。中国の原子力発電所には、トリチウムの年間処分量が福島第一原発の約10倍にもなっているものがあります

…。

もしかすると高い通話料を負担してまで東京都などにわざわざ迷惑電話をかけて来る中国人の皆さまにとっては、まくしたてようと思ったらいきなり、中国当局が隠しているであろう情報を中国語で聞かされるというのは、中国にとっては強烈なカウンターです。

ちなみにFNNの記事によると、東京都の関係者は1日午後4時45分からの1時間半で、この自動音声で198件対応したと明らかにしたそうです。

いずれにせよ、外国からのいわれなき誹謗中傷に対しては、「どうかご理解ください」などと相手に理解を求めるのではなく、ちゃんと反論することがスタートです。是非ともこの対応を続けていただきたいところであり、また、こうした東京都の取り組みが外務省などを通じてほかの自治体などにも広まってほしいものです。

新宿会計士:

View Comments (32)

  • >(口が悪い人は現在でも氏を「レジ袋セクシー大臣」などと呼ぶかもしれません。)

    小泉クリ男とか小泉テル男とかは無いのですね。。。

    • >正直、人それぞれに得意、不得意がありますので、得意分野で頑張るのは良い話であり、また、小泉氏が不器用(?)なりにも福島の安全性を全力でアピールする姿は、見る人には強烈に印象付けられるのではないでしょうか。

      小泉クリ次郎なら「反論」は出来なくても「パフォーマンス」は出来るって事ですね。

      脳みそすっからかんだけど外見はイケてる議員向けの仕事が出来た、と。

      • >いずれにせよ、外国からのいわれなき誹謗中傷に対しては、「どうかご理解ください」などと相手に理解を求めるのではなく、ちゃんと反論することがスタートです。

        外国というか、特定アジアと特定野党と特定メディアと…。

        あ、他には難民問題関係とかでの「国連から来た人達」もですね。

        日本軍慰安婦問題の当初、クマラスワミ報告に毅然として反論しなかった外務省の判断が強請り集りの乞食民国たる韓国の被害者コスプレ商売につながりましたし。

  •  え?なんでノドグロ???アカムツにしてください。
    そういえばサヨリという魚。見た目も味もたいへん上品なのに
    お腹の中は真っ黒なんですよね。

     さより様、お気に障ったらゴメンナサイ。m(_ _)m

      • 意味不明な事を、論理性も無く言って何となく意味ありげに思わせるのが、パフォーマンス小泉さんの一番得意なお仕事でしたね。しかし最近、選挙でも余りお呼びが掛からなくなったので影が薄かったのですが、今、福島でパフォーマンスをして久々に注目されています。多分、今の所、政治家になってから初めて少しは、国家の役に立ちそうな場所を見つけたのでは無いかな?夏はサーフィン、春秋は海釣り、冬は魚網の修理のお手伝いでもして、1年中福島に常駐していたらいいかも。そして、福島の良さを発信して貰って復興の力になれば、政治家としても認められるかも知れないですね。福島復興担当大臣なんていいかも、です。やはり、今の所、レジ袋でばかり顔が思い出されているようでは、総理への道は開かないでしょうから。

        • 更に細かい指摘で恐縮ですが。
          ノドグロは元々日本海側(山陰、北陸)での呼び名です。(最近は全国区ですが)
          ですからここではアカムツのほうがよろしいかと。

    • >そういえばサヨリという魚。見た目も味もたいへん上品なのにお腹の中は真っ黒なんですよね。

      こういう言葉と真実を知りませんか?
      「谷深ければ山高し」
      人間も、性格の陰影の落差の大きい人は魅力値が高いですし、顔も掘りが深い程、魅力と知性を感じます。
      落差という事は、自然界では、力の源泉です。所謂、位置エネルギーが大きいという事でポテンシャル(可能性)が高いという事でもありますね。
      まあ、裏表が無いことは美徳である事は間違いありませんが、面白味や発展性が感じられない事も良く経験することです。のっぺりした顔も魅力が少ないですね。
      まあ、人生や社会をいろいろと考察してみるテーマの一つではあります。

      •  さより様
         
         色々とご教授ありがとうございます。m(_ _)m
        また、さより様はお優しい。

         冬は漁網の修理との事ですが冬こそサーフィンが
        よろしいのではないでしょうか?ウェットスーツ無しで。

         

        • 世の中の殆どの人は、多分、優しくて腹黒です。優しくて腹白の人は、長生きしません。昔から、「佳人薄命」という言葉があります。佳人とは、心底(腹)が私心無く他人に優しくて思い遣りのある聖人君子みたいな人の事のようですから。もし、セクシー◯◯さんが、自分は心清く優しい人間だと思っておられたら、生命保険は多目にしておかれた方がいいかもしれませんね。

  • もしかしたら、小泉進次郎(元)環境相は、福島処理水のトリチウム問題で、「自分は科学に強い」さらには「自分は学歴詐称していない」ことをアピールしたかったのではないでしょうか。(もちろん、上手くいくかは別問題です)

  • 政治家は役者要素も必要ですね。
    ネット社会で政治家と国民の距離が近くなっている。
    (国民の不満を利用するポピュリズムには注意ですが)

    環境省の官僚に利用されるだけでなく、
    小泉さんも政策実行のため逆に官僚を利用できれば
    サラブレット??大穴から本命に大化けするかも・・・

    う~~ん
    ありえないね・・・。

  • ○○氏のマスコミを惹き付ける力。キャラも併せて、科学的事実ではなく噂話などに影響されやすい「風評被害の担い手層」にはたらきかけるには適任かと思いました。
    こればかりやってくれれば有害性も発揮されなくてwin-winです。

    しかし、写真と記事を見たときは(いい意味で)爆笑したんですが、○○氏の写真の笑顔は純真無垢というか悪気を感じないというか、いい笑顔ですね。(笑)
    ガースーはこれに騙された? いやちょっとまて。

  • かいわれ大臣を思い出しました。それを思うとあまり調子に乗せない(これを成功体験にさせない)方が後々の禍根を絶てていいのではないかと思いました。

    ってか、進次郎って放出に反対してなかったでしたっけ?

  • ところで、中国からの迷惑電話に対するカウンター音声に「六四」とか「天安門」を意味する中国語を流したらどうなるのでしょう?
    当然のように中国共産党は通信を傍受していて電話も例外ではないでしょう。中国国内の反体制活動家が日本の同志とそのような会話をしているのと区別はつかないと思われます。
    「疑わしきは罰する」を地で行く中国共産党が何もしないとは思えません。

  • 福島県南相馬市の海岸でサーフィンやって、処理水放出の安全性をアピール。
    ウ~ン、その志や良し、と言いたいところでけど、なんかずれてね?

    前にもコメント欄に書いたことだけど、この問題の焦点は「体内被曝」を心配しなくて良いのかどうかというところ。海水で体の表面濡らしただけでは、体内被曝は起こりません。

    それと、あの辺の潮流の基本は親潮で、放流水は南方に流れていくんじゃないかな。
    どうせサーフィンやるなら、放流口より北に位置する南相馬市より、茨城県の大洗海岸辺りの方が適当なのでは?

    まあ、ないものをないと証明するのは、誰がどうやったって、無理なはなしではあるんですが。

    • パフォーマンスだから、福島でなければ宣伝効果が無いのでしょう。
      世の中、伊江太さんのように厳密な科学的思考が出来る人ばかりなら、この世は天国でしょう。

  • レジ袋有料化のダメージはいつまでもつづくだろう。逆にいえば廃止する大臣がでてくればあっという間に支持率があがるだろう。岸田と自民党の支持率は知らないが。環境への影響をまとめあげた論文がないのは疑問で、わざわざ海に流す人間はいないだろう。それより韓国から流れてくるペットボトルやビニール類のほうが遥に有害だろうに。国連での「セクシー」発言も国内で沈静化されても、海外では「あのレベルて大臣になれる国」なんだと認識されそう。人気ゆえに再起の目はあるだろうがパフォーマンス議員が定着しているのだ。一挙手一投足が注目はされる。滝川クリステルと結婚までは順調だが風向きはよろしくない。

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