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NHK「ネット配信」に対する一般人の辛辣なコメント

NHKネット業務に関連し、ウェブメディア『J-CASTニュース』によると、ネット上では一般人から、「ネットで『視聴したい人』から費用を徴収するなら、地上波・衛星放送の受信料も『視聴したい人』から徴収するようにしなければ整合性が取れない」、「スマホで『見たい人が料金を払う』というシステムは地上波にも適用すべきだ」といった意見がさっそく出始めているようです。これも当ウェブサイトの予想通りの反応です。

NHKネット業務の本当の意味

先日の『NHKネット業務に関する自民党提案の「本当の意味」』でも取り上げたとおり、「NHKネット業務進出」と「ネット受信料(?)」は、「NHKの受信料の性格を変質させる」という意味で、いわば、「NHK利権崩壊」のきっかけとなりかねないものです。

NHKの利権拡大の動きが逆にNHKの利権を瓦解に追い込むのか――。以前からしばしば取り上げている「NHKネット視聴」に関し、産経ニュースが22日、自民党の提言案について報じています。これについてはネット上で自民党に対する批判も出ているのですが、これには若干の誤解があります。むしろ、NHK受信料の性格を変える可能性を通じ、NHK利権を瓦解させる可能性があるのです。自民党もNHKネット業務で提言産経ニュースに22日、こんな記事が出ていました。NHKネット視聴に負担を 放送法改正で本来業務に 自民提言案―...
NHKネット業務に関する自民党提案の「本当の意味」 - 新宿会計士の政治経済評論

簡単に議論を振り返っておきます。

現在、NHKの受信料を支払う義務がある(※厳密には「NHKと受信契約を結ぶ義務がある」)のは、「NHKの放送を受信することができる設備(=テレビ、カーナビ、ワンセグ機能付きスマホなど)」を設置した者に限られています。

したがって、テレビなどを設置してしまうと、仮にNHKの番組を1秒たりとも視聴していなかったとしても、「法的には」、事実上、NHKに受信料を支払う義務が生じます。

さすがにこれはおかしいじゃないか、と思う人もいるかもしれません。

アマゾンプライムやNetflixといった動画配信サービス(VOD)の例でもわかるとおり、カネを払うのは「自らの意思で視聴する場合」であって、自らの意思で視聴しているわけでもないのにカネを払わなければならないというのは、経済合理性にも社会正義にも反するからです。

破綻に向かう「NHK特殊負担金理論」

しかし、こうした批判に対し、総務省やNHKが持ち出している屁理屈のひとつが、「特殊負担金理論」です。

これらの説明に基づけば、もともとNHKの受信料は「公共放送を支える特殊な負担金」であり、コンテンツの対価ではありません。要するに、私たち国民は、テレビなどを設置した場合には、NHK職員という「上級国民」の皆さまの、まさに貴族がごとき生活を支える義務が生じる、というわけです。

ただ、その一方で冷静に現状を整理すると、厳密には、「NHKの番組を視聴したいかどうか」という軸と、「NHKが映る設備を設置しているかどうか」という軸に分けて考察する必要が出てきます。つまり、次の①~④の類型の人が、世の中にいるはずなのです。

  • ①設備を設置している・NHKの番組を視聴している
  • ②設備を設置している・NHKの番組を視聴していない
  • ③設備を設置していない・NHKの番組を視聴したい
  • ④設備を設置していない・NHKの番組を視聴したくない

この①~④の割合がそれぞれ世の中の何%なのかについては、わかりません。あくまでも「理屈の上で」、世の中の人にはこの4つの類型が考えられる、と述べているだけの話です。

ただ、少なくとも「NHKの番組を見ていないのに受信料を払わなければならないのはおかしい」という苦情を申し立てているのは、上記②の類型の人であることは間違いないのですが、「理屈の上では」、①や③のように、NHKの番組が好きで好きでたまらないという人も存在するはずです。

そして、NHKが騙る「特殊負担金」理論が適合するのは上記①、②の類型の人ですが、③、④の人に対しては適合しません。とりわけ③の類型からすれば、「NHKオンデマンド」などのサービスを別とすれば、NHKのコンテンツを視聴する手段がこれまでなかったのです。

それって「コンテンツの対価」であることを認めていませんか?

だからこそ、上記③の類型の人に対し、「テレビがない場合でも、見たい人はカネを払えばNHKを見て良い」という手段を提供する、というのが、「NHKネット事業」の本当の意味でしょう。

実際、自民党議員の情報発信などを眺めていても、そのような意味合いであることは間違いなさそうです。たとえば小野田紀美・参議院議員は、「ネットにつながるだけで(NHKを)見ない人から受信料を取るという話ではない」と注意喚起を行っています。

わかりやすくいえば、上記④、つまり「ネット環境を持っているけれどもNHKを視聴する意思はない」という人たちから受信料を徴収する考えはない、という意味です。これは、議論の流れを踏まえれば、ある意味では当たり前の話でしょう。

ただし、当ウェブサイトにて何度となく指摘してきたとおり、この「③の類型の人から料金を徴収する」という流れは、NHKの「受信(?)料」の性格を大きく変えてしまうものです。それをやることで、NHKと総務省がこれまで騙って来た「特殊負担金」理論が、根底からガラガラ崩れてしまうのです。

つまり、もしも上記③の類型の人からカネを取るのならば、それは「コンテンツの対価」であることを認めるということであるとともに、これまでの「受信料=特殊負担金」理論がウソだったことを、国とNHK自身が認めることになるものでもあります。

したがって、③の類型の人からカネを取る法改正をするなら、②の類型の人からはカネを取らないという法改正もセットで行わなければならないのではないでしょうか。

さっそく、ネット上で反応が!

これに関して興味深いのが、J-CASTニュースが24日に配信した、こんな記事でしょう。

「スマホでNHK見たら受信料?」自民党と総務省、NHK支援の動き急ピッチ!「スマホ保有だけでは徴収せず」というが、ネット民から批判の声殺到

―――2023年08月24日19時45分付 J-CASTニュースより

J-CASTによると、今回の自民党の提言は、あくまでも放送法改正で「スマホでNHKを見る人に『受信料』を負担させる仕組みに変える方針」であり、「スマホを持っているだけでは(受信料を)徴収しない」としつつも、ネットでは「批判の嵐が殺到している」、などとしています。

スマホやパソコンなどを保有しているだけでは費用負担を求めず、『利用者IDの取得などコンテンツを視聴しようと積極的な意思を表示した場合に限り、費用負担を求めるかたちとすべきだ』と強調した。この点は、テレビを持っているだけで受信料を支払わなければならない現行制度との大きな違いだ」。

「(しかし)ヤフーニュースコメント欄では、一般の人から厳しい批判が相次いだ」。

具体的には、こんな声が紹介されているのです。

NHKのネット視聴で費用が発生するのは『利用のためのID取得や、視聴に積極的な意思を示した場合が対象になる』のなら、地上波放送も衛星波放送も『視聴する意思』があるかどうかを確認しないと整合性がないです。放送でみる映像と、通信でみる映像を分ける意味がわかりません

『スマホなら、スクランブル放送で提供します』ということ。それはとてもよいことだ。国民にとって『見たい人が利用料を支払う』というシステムはプラスなこと。ぜひ、それをテレビ機器にも適用して欲しい。<中略>テレビも『見ることを希望する人のみ』に課金すればよいこと

…。

早速に出て来た反応ですが、もしかして、この読者コメントを書いた方は、当ウェブサイトの愛読者の皆さまなのでしょうか?(笑)

どう考えても正当化できない受信料制度

いずれにせよ、NHK受信料制度そのものが制度疲労を発生させているなかで、いつまでもNHKが「見ない人からも受信料を取り立て続ける」という仕組みを続けられるはずがありません。社会のインターネット化は日々進んでおり、NHK受信料制度自体に意義を見出せない人が激増しているからです。

そして、今回の「NHKネット議論」も、従来ならば①②の議論に留まっていたNHK受信料制度を、③という範疇にまで拡大したことで、受信料の性質が変わり、②の類型の人から受信料を取り立てる合理的理由が崩壊することにつながります。

つまりは、こういうことです。

  • 類型①、②の人から受信料を取る根拠→NHK受信料は「特殊負担金」
  • 類型①、③の人から受信料を取る根拠→NHK受信料は「放送の対価」
  • 類型②、③の人から受信料を取る根拠→???

類型③の人から受信料を取れるようにするならば、類型②の人から受信料を取るための根拠はすでに失われています。もしも総務省がNHKの存続を願うならば、受信料については「見たい人が払う」形に、早急に改革すべきでしょう。

それをやらなければ、「利権の第三法則」に従い、NHKは総務省ごとメガ・クラッシュを起こすのが関の山ではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • ネットからの反応は予想できることなので、見方を変えれば放送法を変えたいと思う勢力が裏に居てスクランブル放送に持って行こうと画策していると捉えられませんかね?
    考えすぎですかね、そうであって欲しいと思いますね。

  • 地上波の受信料制度についてどう考えているのか、一般人の辛辣なコメントを添えて小野田議員に聞いてみたい。

  • 流す方でいくらでも調整出来るんだから

    「NHKはネット進出してはいけない。だって放送法の定めた放送局だから」

    だけで本来済むのでは。
    「ロシアで衛星放送するなんて法に書いてません。」
    とかも明確にしていただきたい。
    だって国内の視聴料金だけで経営成り立つ前提で料金決まってるらしいから域外放送やネット配信は本業外でしょ?

  • 新聞産業界が NHK に文句を言っているのは、最近ますます暴走の度合いを高める NHK が目障りでしょうがないからです。そうしたからと言って、新聞産業界が NHK に代わってネット化できるわけでも、凋落が止まるわけでもありません。新聞社は勝手に潰れていろ、でよろしいのではないでしょうか。

  • 放送は特殊な負担金、ネット配信はコンテンツ課金。別物なので区別をしてはならない理由がないような気もします。

    思いつきですが、特殊な負担金の受信料で作ったコンテンツをネット配信するのなら、ネット配信にかかるコストを差し引いた分は全額受信料引き下げに充当するよう、規制したらどうですかね。
    ピンハネしていないかチェックも必要ですから、コスト内訳の公開もセットで。

    そんなことやるわけないですね。(笑)

  • どう考えても正当化がない、、、このことに提言なり疑問なりをする議員を見たことがない。聞いたこともない。よっぽど甘い汁なんだろうな、、とおもう。NHKの年間視聴料金が幾らかしっているんだろうか?NTTもJTもJRも郵便局も分割あるいは民営化され、名前をかえた。NHKはいつになるんだろう、横綱審議会のメンバーに名前を連ねている場合じゃないんだけどな。聞くのが得意とのたまったバカ総理は何を聞いているのか。最低だ!おれは自民党にはいれない。立憲、共産もだけどな。あぁ、、おフランスにビジネスクラスでいいから、行きてぇ!

  • NHKが云う、「放送と通信の融合」とは、NHKを放送法や電気通信事業法の下に置くなという意味なんでしょう。放送法の下から出て、独立したNHK法に改正しなさいと。

    議員の云う「ネット繋がるだけで見ない人から受信料を取るなんていう提言案には全くなっていません!」は、「ネットに繋がるとか繋がらないとは関係なく、放送受信設備の有無とも関係なく、勿論、NHKのコンテンツを見る・見ないとも関係なく、日本国内に存在する全ての世帯や事業所は、特殊負担金を上納しなさい。」という意味なのでは?

    まあ、ネットに繋がらない世帯からも特殊負金を徴収する提言案なら、議員の言っている事は全くの嘘ではない。

    強欲の極みですな。

  • 今の内に民営化するなり、公社化するなり、第3セクター化するなり、今後のNHKの在り方を真剣に考えるのが良いですね。NHKは、NHKの在り方考えるのが好きで、過去ずっと考えて来ている。大概、在り方を考える時って、存在が、必要か否か、と思い悩む時。やっぱり、NHKは、自分でも、自分の存在の仕方間違っているんじゃ無いか?と思っているのです。
    在り方、真面目に考えれば簡単な事で、取材部門と放送部門を分割して、それぞれ、売り出せば良い事。日本と世界に張り巡らせた取材部門は、高く売れるのでは?
    放送部門も、その設備力は大したものだから、これも高く売れると思います。
    何を言いたいかというと、それだけ、高い能力とシステム力があるのだから、いつまでも、国民に寄生し続ける必要はないでしょう、という事です。
    特殊負担金なんて、何なの?そんな事言ったら、民放だって徴収できる事になるんじゃないかな?
    ネット事業に進出って?それはどこの誰でも出来る事業形態、NHKがやる「特殊」な事業では無い。
    今のような、技術も資本も民間に潤沢にある時代に、NHKが、わざわざ特殊負担金を国民から徴収して、在り続ける理由は、微塵も無いことは、明白の中の明白な事ですね。
    戦後の民間資本が殆ど無い時代に国民に「放送」を届けるという主旨で設立されたNHKは、もう要らないのですよ。

  • 現在のNHK受信料は税金です。固定資産税や自動車税と同じで受信機を持っている人にかかります。支払いは義務です。使っているか否かは関係ありません。税金でやっている以上、政府批判などしてもらっては困ります。政府の方針や考えを、説明不足などとたわごとをいわずに、正確に報道する義務があります。したがってチャンネルも一つでよい。私の意見は、分割民営化です。地方ごとに九つくらいに分けてください。東京は二つに分けてもよい。もっと分けてもいいかもしれない。ぜひこの意見を広めてください。

  •  この議論を聞いて一番肩を落としているのは、TVメーカーと製造工場従業員かもしれません。

    • 農民さん

      一番肩を落としているのは、滅びゆくオールドメディア(寄生オールドタイプ)です。
      ※ネットビジネスモデルの前に、TVビジネスモデルは絶賛崩壊中♪

      私見ですが、大型ディスプレーが受信機未搭載(=テレビ電波停波)になっても、
      最新有機ELテレビやMiniLEDテレビは超綺麗な大画面とYouTube、アマプラ、ネトフリ等ネット機能が超充実して魅力的な現状から考えると、ネットコンテンツがある限り大丈夫かも・・・
      ※ネット閲覧(ほぼYouTube)に寄せているのが、某Rグザ全録自動録画の番組閲覧♪
      ※近未来で、画面でなくSFやアニメでよくある夢の「仮想現実」デバイスにシフト希望♪

    • 放送は死んだのです。
      先週土曜日3Dプリンタの少人数講習会をおしゃれなコワーキングスペースで受けて来ました。移動式ホワイトボードより大きく豪華なディスプレィに近寄って拝聴するのですが、講師が表示に使っているのはiPhoneでした。要領よくまとめられたプレゼンには動画も埋め込まれており、巧みな話術もあってインパクトが髙かった。高速無線通信手段を皆が私有できている時代に TV 放送に意味がないのは明白と思います。

      • >放送は死んだのです。

        全くそうなんですね。
        そうすると、NHKって、身体は自然界に
        全く適応出来なくなって死んでいる状態なのに、頭の中の幻想だけで生き延びようとしているゾンビなんですね。
        全く的確な表現ですね。

        それにしても、スマホは何という先見だったのでしょうか?
        NHKも生き延びたければ、これくらいのこと考えなきゃ、ね。国民に寄生することばかり考えるから、結局、愛想をつかれるですねー。

      • >放送は死んだのです。

        そのとおりですが、現状正確には「死に体」でしょうか。
        視聴率爆死って一般国民の皆さまから、立ち直れないと判断された状態。
        視聴者から見向きもされなくなりつつある状態。

        本来なら双方向・情報検索・AI等を活かしたコンテンツ創作を目指すべきなのに、
        旧態依然の上から目線かつちゅご〜く偏な有害ゴミコンテンツでは・・・
        創意工夫した普通の人に負けちゃってますね♪ 視聴率0%まで、あと少し♪

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