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30年で半分に減ったパチンコ店

このペースで減少すれば、パチンコ店は2038年6月にはゼロになる

以前からときどき取り上げている話題が、パチンコ店の廃業状況です。パチンコ・パチスロは、誰がどう取り繕ったとしても明らかな賭博(ギャンブル)ですが、それと同時に近年、パチンコ店は順調に数を減らしていることもまた事実です。全日遊連のウェブサイトに掲載されている統計データを入手し、グラフ化してみたところ、近年、パチンコ店の減少ペースはさらに加速しているようです。

パチンコはギャンブルです

パチンコ(やパチスロ)は、誰がどう取り繕おうが、れっきとした賭博(ギャンブル)です。

いちおう表向きには、パチンコ等は「ギャンブルではない」とされているようですが、そのわりに消費者庁の『ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ』というウェブサイトにパチンコ関連情報が掲載されているほどですので、政府も事実上、パチンコをギャンブルと認めている格好です。

ただ、現在のパチンコ店に関しては、「三店交換方式」と呼ばれる手法で、「違法ギャンブルではない」というロジックを作っているようです。

これは、パチンコ店が「特殊景品」を客に渡し、客がそれをパチンコ店近くの「古物商」に持ち込むと、その古物商がおカネを客に渡す、というもので、この「特殊景品」自体、さらに第三者を通じてパチンコ店に還流する、などの仕組みです。

これで「パチンコはギャンブルではない」と言い張るにはかなりの無理がありますが、現実に日本の警察当局はこの三店交換方式を「違法ギャンブル」として取り締まっていないため、事実上、違法賭博であるパチンコが野放し状態になっているのです。

パチンコ店はピーク時の4割に減った

ただ、その一方で、最近になって興味深い話題もいくつか出てきました。

以前の『パチンコ業界の総売上高が3年で5兆円減=TDB調査』でも取り上げたとおり、コロナ禍の影響もあってか、パチンコ業界の売上が激減中だというのです。

以前から当ウェブサイトで報告している「パチンコ業界」に関連し、またひとつ、興味深い話題が出てきました。帝国データバンク(TDB)によると、パチンコホールはコロナ禍で4社に1社が消滅し、総売上高も3年間で5兆円以上が失われたというのです。こんな話題で思い出すのは、業態転換するか、不動産などの有効活用を図るか、体力があるうちに廃業するか、といった「3つの選択肢」です。この「3つの選択肢」は、なにもパチンコ業界に限った話ではありません。コロナで4分の1が消滅:売上高も5兆円減少これは久しぶりに興味...
パチンコ業界の総売上高が3年で5兆円減=TDB調査 - 新宿会計士の政治経済評論

これに関連し、「全日本遊技事業協同組合連合会」(全日遊連)という組織のウェブサイトに『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』というデータが公表されているのですが、ためしに2022年末までの店舗数や台数のデータを取得し、グラフ化して見ると、興味深いことがわかりました。

データは1990年分から2022年まで、33年分存在しているのですが、これによるとピークは1995年の18,244店だったのが徐々に減少し、直近の2022年では7,665店へと、じつに4割程度にまで減少していることがわかります(図表1

図表1 店舗数

(【出所】全日遊連『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに著者作成)

しかも、減り方の速度は上昇しています。

コロナ禍が深刻化した2020年12月末時点においては、店舗数は9,035店で、前年比604店舗減少したのですが、2022年12月末に関しては7,665店で、前年比の減少は793店舗となっており、前年比1,089店舗減少した2007年を別とすれば、過去最高のペースです。

その一方で店舗の大型化も進む

ただし、稼働している台数(パチンコ、パチスロ)の台数に関しては、直近の2022年12月末時点では依然として3,564,039台であり、ピーク時の2004年12月時点の4,969,156台と比べて減っているものの、それでも70%少々の水準にあります(図表2)。

図表2 パチンコ・パチスロ等の台数

(【出所】全日遊連『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに著者作成)

このことから導かれる仮説は、「経営体力のない中小パチンコ店が廃業し、パチンコ店の大型化が進んでいる」、とするものです。

実際、最も古い1990年のデータで見ると、店舗数は16,704店であるのに対し、台数は4,008,598台であり、1店舗当たりの台数は約240台です。しかし、2022年の3,564,039台を7,665店で割ってみると、1店舗当たりの台数は約465台であり、倍近くに増えていることがわかります。

あと16.48年でゼロに…?

もっとも、2022年時点でパチンコ店の数は7,665店で、前年比で465店舗減っているという事実を踏まえ、仮にこの店舗の減少速度が今後も続くとしたら、パチンコ店は2022年12月31日から起算して16.48年後、つまり2038年6月末までにゼロになるという計算です。

経営体力のあるパチンコ店もまだいくつかあるとみられるなか、まだまだ息が長い話ではありますが、それでも以前の『パチンコ業界に見る「衰退産業の転進事例3パターン」』でも取り上げたとおり、パチンコ業界では現在、経営体力がある業者を中心に、業態転換などの事例も進んでいます。

パチンコ・パチスロ店の減少が相次ぐなかで、パチンコメーカーも廃業を決断したようです。こうしたなか、パチンコ・パチスロ店の「転進」パターンを眺めていると、隣接業界への転身(たとえばパチンコ屋をやめてカラオケ店に衣替えする、など)、不動産の活用、余力のあるうちに廃業、といったパターンがあるようです(もちろん倒産という事例もありますが)。冷静に考えてみると、これは他業界、とりわけ新聞や雑誌業界などに対しても参考になる事例ではないでしょうか。新宿東口のパチスロ店がカラオケ店に!「パチンコ・パチスロ屋...
パチンコ業界に見る「衰退産業の転進事例3パターン」 - 新宿会計士の政治経済評論

当ウェブサイトではかなり以前から申し上げて来ているとおり、一般に「未来が見えない衰退産業」においては、経営体力に余裕があるうちに、早期に経営転換を図るのが吉です。

たとえば、先日は東京の繁華街にある某店舗の事例を取り上げましたが、業態転換するならば店舗の改装費用や従業員の再教育費用などの先行投資も必要でしょうし、廃業するなら廃業するで、設備の売却・廃棄費用、従業員への退職金支給なども必要です。

幸いなことに、東京の某店のケースだと、運営していた会社はカラオケ店やカプセルホテル、さらにはレストラン、パーティースペース、フォトスタジオなどを幅広く手掛ける総合レジャーサービス会社であったという事情もあり、資金繰り的にはかなりの余裕もありました。

また、パチンコ店は多くの場合、駅前の良い場所に店舗を構えていますので、もしも土地が自社の所有物であるならば、ゲームセンター、カラオケ、コンビニエンスストアなど、業態を転換すれば、いかようにも再利用が可能でしょう。条件次第ですが、飲食に業態転換することも可能かもしれません。

実際、東京・山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士の場合も、東京の繁華街からどんどんとパチンコ屋が消滅していることを体感しています。都内某所では長らく、商業ビルの1階にパチンコ屋が入居していたのですが、数年前に退店し、あるケースではコンビニエンスストアが入店し、大変に便利になっています。

このように考えていくと、行政の側としても、パチンコ店の業態転換を促すための努力を重ねる余地もあるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (9)

  • COVID-19渦の初期。集近閉を避けよう、という掛け声の中、行列を作ってパチンコ屋開店を待つ人々がいたのが印象的でした。
    当時、豪華客船QE号乗客の感染が知られていたので「俺のような貧乏人には関係無い」という意のことを記者に言っていたように記憶します。
    結局のところ、そのようなコアとなるターゲット層人口が減った、或いはパチンコ代替え手段が台頭したことでパチンコ店が減ってきたのだと思います。

  • パチ店は元々は歴とした日本人の発明で、大半は日本人資本の店舗だったのが、度重なる警察の指導や規制の波ごとに、何故か主に日本人資本の店舗が減少し、在日朝鮮人資本などがシェアを伸ばすと言う事を繰り返して来ました。
    その為、現状の大チェーン中心の業態をかなりの比率で在日朝鮮人(帰化者その他含む)資本になって居ます。
    昭和の、オッサンたちが立ったまま、猛烈に喫煙しながら、片手に玉を握り締め、もう片手で一球ずつ弾いて興じて居たシーンをリアルタイムでみた事があります。出玉の受け口にしか「皿」が無く、左手の親指の爪で器用に一球ずつ繰り出す。割と牧歌的なイメージがあったのですが。今は往時と似ても似つかない感じですね。

  • 業界の縮小で失職したたパチンコ玉さんたちの去就が気になって食が進みません。
    重くて大きすぎるので、無下に爪弾きされることは滅多にないでしょうが、再就職の道を閉ざされた大勢の上玉さんたちが上野の山下公園あたりにたむろする姿が頭から離れません。

    岸田政権は早急に対策を練るべきです。

    例えば、NHKの受信料をパチンコ玉で景品交換として払えるように放送法を改変するとか。

  • パチンコ業への規制は、国内の破産者を減らす為と北への送金を減らす為?万景峰号も来なくなったし。

  • 韓流ボッタクリ朝鮮玉入れ遊戯が
    衰退していくのは日本のためにも
    世界のためにもいいことです。

    なんせ韓国では
    法律で禁止されているパチンコなのに
    日本では韓流の人たちが営んで私服肥やして
    ゴリ押ししての構図は
    韓流カルト宗教統一教会が
    日本を騙しての金づるとしてきた発言姿勢と
    同根のものだろうと容易に理解できるものです・

    それにしても
    言論の自由な日本では、
    生ポ受給者がパチンコに金突っ込むのを
    非難するネトウヨはけしからん!・・・とか暴れる
    「人権ビジネスでおまんま派」だか
    韓流の人たちがいましたが
    そうしたそんなこんなの人たちとともに
    当たり前に早く正しく淘汰されてほしいものです。

  • 「パチンコ タマデール」の電飾が断線してて夜だと「パ」がなくなるという話は事実だったのか都市伝説なのか

  • 閉店となり、
    おそらく大量に廃棄されていると思われる
    パチンコ玉やスロットのメダル、
    資源として再利用は出来ないものですかね?

  • ライダージャケット&パンツで尿意を催した時、駆け込むのは気兼ねなく入れるきれいで割とゆったりした個室の、しかもティッシュまでおまけがある街道沿いのそこしかありません。コンビニは狭くてちょっと。唯一のうーんは、あの騒音だけかな?最近、減って探すのが大変。

  • 知人が亡くなり
    もう15年経とうとしているのか。
    大卒の方で話はうまかったげど
    公務員で家庭持ちなのに
    パチンコめられず家庭崩壊。
    いろいろあって、最後は餓死。

    パチンコは民間が堂々と賭博をやって
    何故か警察が手を出せない。
     
    >なんせ韓国では、法律で禁止されているパチンコなのに

    警察の署長は何故か任期中に家が建つと言われたそうですが
    影で、何十万人もの家庭崩壊、自殺、貧困を生み出している
    天下り先に一般の企業の総務を開拓してるのだから
    そろそろ違法なものは違法で、警察は、堂々賭博を取り締まれよ~~
    警察官僚は、いつまで目が曇っているのかしら?

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