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喫煙者困惑?分煙大国・ニッポン

日本を訪れる外国人が困惑するのは、日本の分煙カルチャーなのだそうです。「日本旅行中、あなたが困ったことをすべて教えてください」とする調査結果によると、喫煙者に限定すれば、その44%が「喫煙場所の少なさ・分かりにくさ」を挙げているのだそうです。言い換えれば、日本は諸外国と比べ、分煙が徹底しているという証拠なのかもしれません。

インバウンド大国・ニッポン

先月の『訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本』でも取り上げたとおり、現在の日本は、じつは「インバウンド大国」です。

日本政府観光局によると、2023年5月の訪日外国人は189万8900人で、前月と比べ少し減ったにせよ、コロナ明け以降の最大値水準で引き続き推移していることが判明しました。出国日本人が低迷しているため、現在の日本はインバウンド大国となりつつあるようです。もっとも、これが良いことかどうかはわかりません。入国者が特定国に極端に偏っているからです。5月の訪日外国人は189万8900人日本政府観光局(JNTO)は21日、最新の『訪日外客統計』を公表しました。これによると2023年5月における訪日外国人は189万8900人で、内訳は韓...
訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本 - 新宿会計士の政治経済評論

というのも、昨年10月に政府が水際対策を緩和し、一般の観光客の受入を再開したところ、日本に入国する外国人が激増しているからです。

日本政府観光局(JNTO)によると、昨年9月に21万人弱だった訪日外国人は、10月以降は50万人、93万人と順調に増え、昨年12月時点で100万人の大台を突破。3月以降はそれぞれ182万人、195万人、190万人と、コロナ禍前の最盛期にこそ及ばないにせよ、非常に高い水準で推移しています。

これに対し、法務省が発表するデータによると、毎月の出国日本人数は最大でも70万人弱であり、100万人の大台にも達しないという状況が続いており、結果的に出国日本人は訪日外国人の3分の1前後に留まっているのです。

コロナ禍以降の状況

インバウンドvsアウトバウンド(2022年9月以降)
  • 09月…訪日外国人**206,641人vs出国日本人319,165人(0.65倍)
  • 10月…訪日外国人**498,646人vs出国日本人349,557人(1.43倍)
  • 11月…訪日外国人**934,599人vs出国日本人379,196人(2.46倍)
  • 12月…訪日外国人1,370,114人vs出国日本人432,193人(3.17倍)
  • 01月…訪日外国人1,497,472人vs出国日本人443,105人(3.38倍)
  • 02月…訪日外国人1,475,455人vs出国日本人537,705人(2.74倍)
  • 03月…訪日外国人1,817,616人vs出国日本人694,292人(2.62倍)
  • 04月…訪日外国人1,949,100人vs出国日本人560,178人(3.48倍)
  • 05月…訪日外国人1,898,900人vs出国日本人675,661人(2.81倍)

(【出所】JNTO、法務省)

これをグラフ化しておくと、もっと露骨です(図表1)。

図表1 インバウンドvsアウトバウンド

(【出所】JNTO、法務省データをもとに著者作成)

なるほど。

最近の出張旅費(とくにホテル代や航空運賃)の暴騰の背景には、こうしたインバウンドラッシュという事情もあるのかもしれません。

入国者は特定国に偏っているが…

もちろん、インバウンドにも大きな課題がありますが、その最たるものは、訪日客の出身国の偏りでしょう。

今年1月以降5月までの入国者数を合計してみると、図表2のとおり、すでに864万人もの外国人が入国した計算ですが、そのうちのざっと3割が韓国人、16%が台湾人です。

図表2 訪日外国人(2023年1月~5月累計)
人数 割合
1位:韓国 2,583,383 29.91%
2位:台湾 1,381,635 15.99%
3位:米国 745,401 8.63%
4位:香港 723,425 8.37%
5位:タイ 446,398 5.17%
6位:中国 386,090 4.47%
7位:ベトナム 262,064 3.03%
8位:豪州 232,322 2.69%
9位:フィリピン 222,882 2.58%
10位:シンガポール 198,107 2.29%
その他 1,456,836 16.86%
総数 8,638,543 100.00%

(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)

中国からの入国者が少ない理由は、中国が日本向けの団体旅行商品をほとんど販売していないからだとされているようですが、その分、韓国などの存在感が目立ちます。このため、日本のインバウンド観光は、「訪日外国人の出身国の多様化」に最も大きな課題がありそうです。

喫煙者が見たニッポン

その一方で、喫煙者にとってのニッポンは、また違った姿が見えるようです。

東京MXテレビが6日、こんな記事を配信しました。

外国人観光客が困惑 日本の分煙マナー

―――2023/07/06 11:20付 Yahoo!ニュースより【TOKYO MX配信】

これは、日本を訪れている外国人観光客の多くが喫煙所を探すのに苦慮している、などとするものです。

東京MXテレビは実際に外国人観光客らに取材し、「探すのに2時間かかった」、「表示がない」などの不満の声を紹介しています。

記事ではまた、『地球の歩き方』が展開する訪日情報サイト『GOOD LUCK TRIP』の調査を引用し、「外国人旅行者が不便に思うこと」について、喫煙者に限定すればその44.3%が「喫煙場所の少なさ・分かりにくさ」を挙げていると指摘。

「インバウンドで賑わう東京」、「喫煙者もそうでない人も、心地よい観光を楽しんでもらえるための対策が求められています」と述べている、というものですが、これについてどう考えるべきでしょうか。

東京MXテレビが引用しているものは、おそらくは株式会社学研ホールディングスが先月8日に公表した、次の調査報告でしょう。

訪日外国人が「日本で不便に思うこと」のランキング。「地球の歩き方」が展開する訪日旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」が発表。

「地球の歩き方」が展開する訪日旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」が、訪日中に外国人旅行者が不便に思うことを、海外在住10~60代以上の男女891人を対象に調査し、ランキングを発表した。<<…続きを読む>>
―――2023年6月8日 09時00分付 PRTIMESより

調査の原文によると、「日本旅行中、あなたが困ったことをすべて教えてください(複数回答、n=891)」とする調査で、1位がWiFi環境、2位が施設等とのスタッフとのコミュニケーション、3位が多言語表示の少なさ、などとなっているのだそうですが、タバコ云々に関しては14.4%で8位です。

しかし、喫煙者に限定(n=237)すると、その割合は44.3%に跳ね上がります。

このあたり、著者自身も経験がありますが、外国だと、歩行喫煙はまだまだ当たり前であり、パリなどではタバコの吸い殻がそこかしこに落ちていたりするようです。同じノリで日本にやって来て困惑する人も多いようですが、分煙では日本が世界を主導しているというのも意外な話です。

ただ、日本でもはやり歩行喫煙は後を絶ちませんので、いっそのこと、歩行喫煙そのものを軽犯罪法かなにかで規制し、ごく軽い刑事罰(たとえば死刑や無期懲役)などを科すというのも、そろそろ検討しても良いころではないでしょうか。

【参考】喫煙する男

多言語表示も「日/英」でスッキリさせては?

どうでも良いことですが、GOOD LUCK TRIPの調査では、旅行者にとっての日本の不満の2位と3位は「コミュニケーションが取れないこと」、「多言語表示の少なさ、分かりにくさ(観光案内版・地図等)」なのだそうであり、これに「公共交通の利用」、「ゴミ箱の少なさ」、「決済手段」などが続きます。

たしかに日本だと、英語で話しかけられると嫌がる人が多いということかもしれませんが、これに加えて邪推ですが、一部の鉄道路線で無意味に日本語、英語以外の言語で表示していることも、混乱に拍車をかけているという事情はないのでしょうか。

これについてはいっそのこと、東海道新幹線のように、駅の表示をすべて「日本語/英語」に統一してみたら、意外とスッキリするのかもしれない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (32)

  • 最後の主張、賛成🙋
    あと、自民党ではなく、維新や国民にいれます!

  • 電車内で、一部の読めない言語が長く表示されて結局駅で乗り換え損ねたことがあります。
    国民より観光客の方が偉いのかよと。
    日本語だけ、または日本語と英語だけでいいと思います。

  • 最寄のJR駅のホームに「出口」を意味するハングルが書かれている箇所があります。そこはハングルと日本語でだけ書かれています。他の言語は無し。
    日本語の「出口」すら読めない韓国人観光客を想定して書いたと言うことだろうと思うんですが・・・住宅地で観光客なんていやしないし。
    しかもその駅はホームから出るには階段上がるしかない構造で、出口なんか見りゃわかるんですよね。
    それすらわからない来訪者を想定するとするなら、必要な対策は「出口」と書く程度じゃすまないと思うんですがね。

    JR駅のあちこちにあるハングルは、邪な動機で書かれてるんじゃないのと、思わなくもないです。

    •  近所のスーパーのゴミ捨て場、通常の分別部分は日本語とアイコンだけなのに、「死んだペットを捨てないでください」は中文ハングル併記で注意書きが掲げられています。
       こちらは邪というよりは、"書かなければならなかった"のでしょうね……

  • 日英台中韓の多言語看板がありますね。漢字圏の表記が重複してて見づらいときがあります。
    ・・・・・

    (余談です。)
    本稿のサムネイルが、まるで風船人形のような様相ですね。
    後ろの男性は、エアーポンプを操作しているのでしょうか?

    https://shinjukuacc.com/wp-content/uploads/2019/10/20191023KINBUTA-tabako.jpg
    ↑サムネイルの末尾に仕組まれた文字の羅列「ki〇n〇bu〇ta」には痺れました。

    • ニホンゴモエイゴモワカラナイ 対策と聞いたことがあります。

      • 追記
         
        工事現場で元は”~禁止”用で日本語、ハングルと簡体漢字だったのが・・・あとはご想像にお任せします。あくまでその看板の設置者に聞いた話なのですが。

  • 歩きタバコでは、手にジュッとやられたことがあります。
    大火傷しなかったのが不思議なくらい熱かったのですが、
    もし子どもの目には入ったらと思うとゾッとします。
    交通違反のように高額の反則金を〇万円納付させるか、罰金を科して前科者にしてしまえばよいのではないでしょうか。

  • >ごく軽い刑事罰(たとえば死刑や無期懲役)などを科すというのも、そろそろ検討しても良いころではないでしょうか。

    優しいですなぁ。せめて「市中引き回しの上、打ち首獄門」くらいにはしておかないと。

    • まじめな話(どこまで真面目かはともかく)懲役1-2年にしてやれば、自発的には無理な禁煙も可能になるのではないかと愚考します。

  •  子供の頃、シンガポールという国では「ゴミをポイ捨てしたり、ガムを吐き捨てたり、蚊が湧く水桶の放置などですら罰せられる」と聞いて、そういう国もあるのか、そうしないとならない理由があるのだろうなー、と思ったものです。そんな厳しい国は行きたくない、とはあまり思わなかったような。捨てなければ良いだけですし。現日本の分煙に関して厳しいというのも、別に単なる日本の特色として受け取ってもらえるのではないかなぁと思います。
     先進国においては喫煙家>嫌煙家で喫煙率は20%前後となっており、

    喫煙に困る人<煙がなくて快適な人

    ですし。不便な減点どころか得点なのではなかろうか。

     傾向としては、訪日の多い"中国人男性"と"韓国人男性"において喫煙率が高い(但し女性はかなり低い)。何らかの理由に於いて「中国人・韓国人比率を下げたい」となると、例の矢鱈な当該国語表示をやめて分煙禁煙を進めると、効果的かもしれません。逆にその表示などは彼らのためのものですし。

  • 4か国語の表示なんて要らんて。
    京阪神の地下鉄、また一部私鉄、青のJR、未だに日本語、英語、その次に中国語(簡易体)、朝鮮ハングルになってます。日米だけでスクロールは十分です。なんで日本語版を見落としてから、1分以上待たないと日本語が表示されないんですか?煙草については、路上喫煙は辞めて欲しいですね(^^)。

    正直、20m離れていても分かります。匂います。電車に乗って発車際まで吸ってた人が横に来ると、気分が悪くなります(離れたい)。欧米人は自由にやらせろ、なんでしょうが、日本は日本。ゴミのポイ捨てや煙草ポイ捨ては辞めてください。

    路上は貴方の灰皿じゃない(^^)。今どき日本で何処の大都市でも、煙草吸える場所って、まず無いのでは?JTが申し訳なさげに囲ったりしてますが、新ビルや新公園が出来る度に無くなっています。ホテルでさえ全室禁煙普通ですよ(換気が要らないからかな?)。早よ皆やめよ〜(笑)。

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