日韓通貨スワップは日本を助ける協定だ、とする珍説が、韓国メディアから出てきました。これも強烈な説明です。ただ、その一方で韓国銀行が5日に発表した2023年6月の韓国の外貨準備統計を眺めていると、やはり韓国の外貨準備のうち「現金預金+有価証券」の部分が4000億ドルを割り込んでいる状況は続いているようです。
「韓日通貨スワップのドル建ての意味」=韓国紙
岸田文雄政権といえば、おそらくは圧倒的多数の日本国民が反対しているであろう日韓通貨スワップの復活を決めたという意味において、なかなかに「あり得ない決断」を下したものだと思わざるを得ません。
こうしたなか、わかりやすいもので、韓国紙にはこのスワップを巡って、「日本にとってもメリットがある協定だ」とする珍説が掲載されたようです。
8年ぶりの韓日通貨スワップ…ドルで結ばれた理由は=韓国
―――2023/07/04 09:49付 Yahoo!ニュースより【ハンギョレ新聞日本語版配信】
内容は、なかなかに強烈です。事実誤認の嵐だからです。たとえばこんな具合です。
「ドルスワップ形態の契約を結んだ日本の立場としての背景には、円の切り下げ状況がある。円は現在1ドル145円水準であり、今年最大の円安を記録している。韓国ウォンと円の裁定為替レートも最近、100円=900ウォン台を一時割ったほど大きく下落している。このため、日本銀行は為替レートの安定に努めてきた。日本の財務省は昨年、外国為替市場に史上最大規模で介入して為替安定化を誘導し、現在日本の財務相は『過度な円安の動きには適切な措置を取る』という口頭介入にも乗り出している」。
そもそも、「日銀が為替レートの安定に努めて来た」とする記述自体が、大きな事実誤認です。日本の場合、中央銀行である日本銀行には「為替相場の安定」という使命は課せられていないからです。敢えて為替相場の安定に責任を持つ官庁があるとすれば、それは財務省であり、日銀ではありません。
それに、日本の場合、そもそも自国通貨である日本円が国際的に広く通用する「ハード・カレンシー」ですので、実際のところ、日本企業にとっての円安は、韓国企業から見た「ウォン安」と比べ、大きなインパクトを持ちません。
日本にとってメリット?
さらにいえば、日本の財務省は1兆ドルを超す巨額の外貨準備を保有しており、おそらくその多くは米ドル建てです。財務省が昨年やったように、「円安を阻止するための為替介入」をするための原資は豊富です。
それなのに、ハンギョレ新聞の記事では、こんな記述も出てきます。
「ドルスワップは、こうした状況で日本が円相場の安定を誘導できる一つの保険になりうる。日本が韓国に円を貸してドルを受け取ることになれば、日本国内のドル供給が多くなるとともに円供給が減り、円安傾向が制御されるためだ」。
「もちろん、今年6月に集計された日本の外貨準備高は1254兆ドルと十分な水準であり、経常収支も黒字を記録しているため、短期的にはスワップ契約を履行する可能性は低い。ただ、外国為替市場が極端なストレスを受ける場合、ドルスワップは円防御のための保険になりうる」。
「日本の外貨準備高は1254兆ドル」というのは凄い金額です(笑)「1254兆ウォン」とでも書きたかったのでしょうか?
この記述自体、日本円が国際的に通用するハード・カレンシーであるという事実、および日本政府が巨額の為替介入原資を持っているという事実を完全に無視しており、なかなかに印象深いところではあります。
ただ、それ以上に、ハンギョレ新聞の記事では、なかば意図的に、韓国が恒常的に通貨危機懸念を抱えているという状況を無視しているのは印象的です。
韓国の外貨準備高の最新状況
さて、それはさておき、韓国銀行は5日、2023年6月の外貨準備高を公表しました。
これによると韓国の外貨準備高は4214億5392万ドルで、前月と比べて4億7055万ドルと小幅に増えました(図表1)。「増えた」とはいっても前月比0.11%増に留まっているため、事実上は「横ばい」と評価しても良いでしょう。
図表1 韓国の外貨準備高
項目 | 2023年6月時点 | 前月比増減 |
外貨準備合計 | 4215億ドル | +4.71億ドル(+0.11%) |
うち金 | 48億ドル | ±0.00億ドル(±0.00%) |
うちIMFRP | 147億ドル | +0.34億ドル(+0.23%) |
うちSDR | 47億ドル | +0.22億ドル(+0.46%) |
うち現金預金+有価証券 | 3972億ドル | +4.15億ドル(+0.10%) |
(【出所】韓国銀行データをもとに著者作成)
ちなみに外貨準備のなかでも実質的に使い物になるのは「現金預金+有価証券」の部分ですが、この部分については先月、4000億ドルの大台を割り込んでいます。
現金預金+有価証券の残高は4000億ドル割れ続く
また、韓国の外貨準備高のうち「現金預金+有価証券」が過去最大だったのは2021年7月の4457億ドル、外貨準備全体が過去最大だったのは2021年10月の4692億ドルでしたが、その最大値と比べれば、500億ドルほど少ないという状況にあります(図表2)。
図表2 韓国の外貨準備高の推移
(【出所】韓国銀行データをもとに著者作成)
コロナ禍以降、韓国の外貨準備が増えている理由は、米FRBの旺盛な金融緩和にあったと考えられます。
ただ、米国が金融引き締めに転じたことで、その後は逆に韓国から猛烈に資金が流出し、最近になって資金流出は一巡したものの、依然として予断を許さない状況が続いている、というわけです。
こうした状況を踏まえると、今回の日韓通貨スワップ、金額こそ100億ドルと少ないにせよ、恒常的なドル不足に悩む韓国にとっては干天の慈雨のようなものでしょう。
いざというときに実際に日本から100億ドルを引っ張ることができるわけですし、また、国際的な投機筋に対しては、「現在の韓国のバックに再び日本がついた」というアナウンスメントを行うこともできるからです。
さらには、いったん通貨スワップ協定を締結すれば、あとはそれを拡大するのは簡単です。岸田文雄政権が続いている間に、かつての「野田佳彦スワップ」のように、増額措置を押し込めばよいからです。
個人的には、岸田政権が仮に来年9月以降も続くことになれば、岸田首相はおそらく日韓通貨スワップの規模を1000億ドルかそれ以上に拡大しようとするでしょう(もしそれが不満だったとしても、私たち日本国民としては投票を通じて意思表示する以外に方法がないのが苦しいところですが…)。
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有価の部分が本当に額面通りの有価なのか、興味がつきません。煽ったら顔真っ赤にして内訳をポロリとかしてくれないかなあ。まあすぐに現金化できないとか劣後するとか、面白いのが一杯ってことはないよネ。
>「日本の外貨準備高は1254兆ドル」というのは凄い金額です(笑)
>「1254兆ウォン」とでも書きたかったのでしょうか?
韓国紙で単位が間違えられることはデフォルトです。記事によっては「なにが言いたい?」みたくなりますが。
昨日のテレビでやってた。インドはロシアから原油を買って代金をルピーで払っているとのこと。ロシアがインドから買うものはほとんどなくルピーがたまり外貨準備の15%ほどになっていてロシアは困っているとのこと。
外貨準備といっても中身次第ということ。
昨日のBSプライムニュース、鈴置節のピークはここですかね
8:40あたりから
https://www.youtube.com/watch?v=DJmjwk7xK70
>通貨スワップのおかげで韓国は(円高)ウォン安をキープできるようになった。2008年から2012年までの4年間、このレートでやられたら生き残れないです。
>10年前にスワップを批判したら財務省から反論がきて、「鈴置は分かっていない。もしスワップを付けなかったらもっとウォン安になってもっとひどいレートになっていた」。そこが浅知恵なんです。そこまで(円高ウォン安が)行ったら今度は韓国の金融がもたなくなる。そうなると例えば三星電子が通貨安で輸出ドライブして日本の半導体をやっつけようと思っても輸入(の際の)金融が働かなくなって原材料が入らなくなる。これは実際に1997~98年にかけて起きたこと。
>97年の通貨危機で日本は韓国を助けなかった。助けようと思ったらアメリカが止めてきた、政治的な問題で。それで韓国は底なし沼の通貨安になった。だけど日本には被害は起きなかった。それは韓国の金融システムが壊れちゃったから。安い通貨を背景に輸出ドライブを掛けようにも掛けられなかった。金融の専門家とか財務省はそこを見ていない、実体経済との関係を。
日韓通貨スワップは日本にとって百害あって一利なしですね
>韓国の金融システムが壊れちゃったから。安い通貨を背景に輸出ドライブを掛けようにも掛けられなかった。金融の専門家とか財務省はそこを見ていない、実体経済との関係を。
強烈ですね。
霞が関の奥の院で世間の風を知らず省内情報と新聞程度でこの世が分かった気になっている官僚へのストレートパンチです。
>財務省
>もしスワップを付けなかったらもっとウォン安になってもっとひどいレートになっていた」
そ
うなっても日本の財務省には何ら不都合がない。
大韓民国の金融が潰れたければ潰れればよい。日本には関係ない。
結んでしまったモノはしょうがない。万が一が来た場合に備えて、すぐ蒸発する額で止めとけと思う。
(古いニュースですが)
韓国ファンド「KIC」8月まで40兆損失、収益率-14%(2022.10朝鮮日報)
https://www.chosun.com/economy/stock-finance/2022/10/20/XT6QFVYXPZH6HDTQQVZIDBH43E/
>ジン・スンホKIC社長は19日、国会企画財政委員会の国政監査で「今年8月末現在、284億ドル(約40兆4000億ウォン)の投資損失が発生した」と明らかにした。
↑これって、市況が回復してなければ、韓国の外貨準備高はそのまんま「284億ドルの含み損」なんですよね。韓国銀行は取得原価主義会計(売却時まで評価替えしない方式)を採用してるのですから・・。
岸田首相がそそくさとスワップ提供したのはこのあたりにも理由があるのでしょうね。
麻生さんも先日韓国を訪問した時に泣き付かれたのだと思います。韓国人ですので心の中で舌を出してると思いますが。
真田さんも昨日プライムニュースで言ってましたが、韓国がすぐに使える外貨は600~700億ドルくらいでしょうと。
内情はかなり危ない状態かと予想されます。
日本に関係ないというか、デメリットしかないと思います。
昨日のプライムニュースに松川るい参議院議員も出てましたが、スワップに関しては殆ど理解できていないですね。
またこの方以前防衛政務官もやっていましたが、レーダー照射事件についてはノーコメントでした。防衛政務官やってたのに自衛隊員の気持ちが理解できないようです。
こんなのが外交や防衛を担当しているのですから、自民党も国民をなめ切っていると言わざるを得ません。
この付けは近いうちに払ってもらわなければなりません。
先の参議院選挙で票を投じたことを深く後悔しています。期待をかけて損をしました。ホンキで言ってます。また後悔した。次はましな候補を探します。
第二のマッカサー気取りのエマニュエルと、韓国>日本なバイデンのおかげでク〇法案は成立するは、お咎めなしの韓国を日本は我慢させられた挙句に世話までしなければならなくなったので、お礼として日本保有の米国債を韓国に貸してあげるのはどうだろうと思う今日この頃。借りた米国債をどうするかは韓国にお任せ。
>日本保有の米国債を韓国に貸してあげるのはどうだろうと
貸してやるのでなく
日本名義の100億ドルの米国債を大韓民国名義に変更してくれとFRBに依頼するのですよ、日本が通貨スワップで大韓民国にドルを供与するというのは。
いっその事で米国債でスワップしてやればと思いますね。即換金されたら米国も慌てるしスワップ増額も考慮するかも知れませんね。
怯んだり投げ出したりせず、このまま事実陳列を続けて追求すれば、自壊そうなのは岸田政権だけでなくて、自民党への信頼や自民党の権威実力は(やはり)虚構であり、同時にすました顔で分かったような口を利く官僚のメンツが丸つぶれになる「信頼崩壊ドミノ」が起きるかも知れません。